IT担当者はわずか6人・外注なし――そんな地方信金が「ハイパーコンバージド・インフラ」導入を決めた理由EVO:RAIL Day Osakaレポート

国内でも注目を集めつつある「ハイパーコンバージド・インフラ」だが、その意味や価値をいまいち理解しきれていない人も多いはず。イベントレポートとユーザー事例を通じて分かりやすく解説しよう。

» 2015年06月29日 10時00分 公開
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 従来型のサーバ/ストレージに代わり、クラウド環境の立ち上げや運用管理を大幅に簡素化するとして注目されている「コンバージド・インフラストラクチャ」製品。さらに最近では、クラウド環境構築のスモールスタートを可能にする「ハイパーコンバージド・インフラ」と呼ばれる製品群も登場している。

 ハイパーコンバージド・インフラを実現するための代表的な基幹技術の1つが、ヴイエムウェアが提供している「VMware EVO:RAIL」だ。本記事では、同社が大阪で開催したイベント「EVO:RAIL Day Osaka」のレポートを通じ、ハイパーコンバージド・インフラが企業のIT環境にもたらす価値を紹介しよう。

「ハイパーコンバージド・インフラ」とは何か?

photo ヴイエムウェアの草野氏

 「従来の仮想化で十分メリットを感じているお客さまもいる。しかしわれわれはさらにその先、さらなるコスト削減を実現できると考えている」――イベント冒頭に登場したヴイエムウェアの草野繁氏(システムズエンジニアリング本部 西日本SE部 部長)はこう話す。

 ヴイエムウェアは2012年から、データセンターを構成する各要素(サーバ、ストレージ、ネットワーク、運用作業など)をソフトウェアで制御し、企業がITリソースを柔軟に活用できるようにする「Software-Defined Data Center」(SDDC)というコンセプトを提唱している。草野氏によれば、同社が昨年から提供しているハイパーコンバージド・インフラ「EVO:RAIL」はSDDCを実現するための強力な要素になるという。

 EVO:RAILは、サーバやストレージ、ネットワーク製品と仮想化ソフト(VMware vSphere)、運用管理ソフトなどを2Uの筺体に格納した製品コンセプトだ。このコンセプトに基づき、デルや日本ヒューレット・パッカード、ネットアップなど各ベンダーが具体的な製品を提供している。

 その大きなメリットの1つは、クラウド環境を立ち上げるための要素が「2Uの筺体1つに全て収まっている」こと。つまり、最初から大規模なインフラ環境を用意する必要がなく、既設ラックに収納すればすぐに利用できる。後からITリソースを拡張したい際は筺体を追加するだけでOKというわけだ。

photo EVO:RAILの特徴

 「SDDCに魅力を感じるお客さまは多いが、いざ実現するためにはサーバの仮想化だけでなく既存インフラ環境との統合など、さまざまな点に気を使う必要があった。EVO:RAILなら、箱を開けて電源をONにしてからわずか15分でセットアップを完了できるし、運用管理も非常に楽。SDDC実現のための“ファーストステップ”として最適な選択肢となっている」(草野氏)

ただ「早い」だけじゃない――EVO:RAILがもたらすもの

 EVO:RAILのメリットは仮想マシン作成の簡単さだけにとどまらない。次のセッションでは、ヴイエムウェアの霧峰光氏(システムズエンジニアリング本部 パートナーSE2部 部長)がEVO:RAILならではの利点を詳しく紹介した。

photo ヴイエムウェアの霧峰氏

 「仮想基盤を構築する上でボトルネックになりやすいのはストレージだった」――霧峰氏はこう切り出す。

 仮想環境を構築する上では従来、各仮想マシンからアクセスする「共有ストレージ」という要素が必須だった。しかし、仮想マシンを拡張するたびにストレージのハードウェアを追加することは難しいため「構築時には拡張後のことも考えてストレージ機種を選ばなくてはならず、その後も将来を見越してサイジングしていく必要があった」という。

 そこでEVO:RAILでは、筺体1つ1つに物理ストレージを搭載し、それらをストレージ仮想化技術によって共有リソースプールとする「Virtual SAN」方式を採用。つまり、仮想マシンの拡張に合わせてストレージも自動で拡張&相互連携するため、管理者が特別な作業を行う必要ない――というわけだ。

photo Virtual SANの概要

 「パフォーマンスが必要になったらEVO:RAILを追加すればいい。しかも、それらのストレージは1つの画面で簡単に運用管理できるのだ」(霧峰氏)

福岡ひびき信金がEVO:RAIL国内初導入に踏み切った理由とは?

 EVO:RAILは昨年提供が始まったばかりにもかかわらず、すでに数多くの企業に導入されているという。特別講演では、国内で初めてEVO:RAIL導入を決めた福岡ひびき信用金庫の吉田篤史氏(事務部 システムグループ グループ長)が取り組みを紹介した。

photo 福岡ひびき信用金庫の吉田氏

 福岡県内の数十店舗で金融サービスを展開している同信金は、一般的な金融機関とは大きく異なる特徴がある。それは、SI事業者などにシステム構築を委託せず、わずか6人の職員で各種業務システムを内製・運用保守している点だ。

 「当信金のIT担当者はそろって営業店での渉外経験者。だからこそ、“現場視点”で本当に必要なシステムを開発できる」と吉田氏は胸を張る。

 だが、そんな同信金ならではの課題もあった。1つは、大災害に備えて仮想化基盤上で稼働している業務系システムのバックアップサイトを構築する必要があったこと。そしてもう1つは、それを行うための人員とコスト不足だ。

photo 導入前の課題

 そんな折、吉田氏は2014年に訪れたヴイエムウェアのイベント「vForum 2014」でEVO:RAILの存在を知る。「本当に構築が簡単なら担当者の教育時間が少なくて済むし、ストレージが構成済みならあれこれ悩む必要もない。これはバックアップサイトの基盤として最適なのではと考えた」(吉田氏)

 当時はまだ国内での導入事例はなかったが、同信金はネットワンシステムズのサポートを受けての導入を決意。初期設定は「システムグループ(IT部門)に配属されてわずか1年の職員に担当させたが、本当に15分で仮想マシンのセットアップが完了した」という。「環境構築にかかった日数は従来の10分の1。簡単すぎて『これ、本当にできたのか』と不安になったぐらい」と吉田氏は笑う。

photo EVO:RAIL導入で得られたメリット

 さらに初期構築後も、2Uサイズならではの可搬性、ストレージ管理の簡単さなど、EVO:RAILをバックアップサイトとして使うメリットを多々感じているという。

 「最初は価格が少し高いかもしれないと感じたが、サーバ構築費やvSphereのライセンス費用などを含めて比較すると、サーバやストレージを個別で導入するよりも安かった」と吉田氏。今後は「本番環境をリプレイスする際にもEVO:RAILの採用を検討したい」と話している。

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提供:ヴイエムウェア株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia ニュース編集部/掲載内容有効期限:2015年7月12日