ビジネスパーソンと企業、2つの“当たり前”を兼ね備えたタブレット――本田雅一氏が「ARROWS Tab R726/M」を徹底レビュー

高性能でスタイリッシュ、かつ企業が安心して導入できる――そんなWindowsタブレット「ARROWS Tab R726/M」を富士通が発表した。日々さまざまな最新IT機器に触れているITジャーナリストの本田雅一氏が、モバイルワークなどを行うビジネスパーソンの視点で同端末を徹底レビューする。

» 2016年03月16日 10時00分 公開
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 Windows 8.1、Windows 10と、PCのOSが移り変わる中で、ビジネスパースン向けの情報端末に求められるニーズが確立されてきた。ノートPCでもなく、しかし従来の概念には収まらない。そんなタブレット端末へのニーズである。

 タブレット端末の使い心地とノートPCの持つ生産性を両立するWindowsタブレットは、iPadやAndroidタブレットだけでは全ての仕事を完結できないモバイルワーカーにとって、今まさに“ちょうどいい”端末として受け入れられ始めている。

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 そんな中、富士通がPCならではのパフォーマンスと、タブレット端末としてスタイリッシュに使いこなせるフォームファクタを両立し、またキーボードを用いた作業性も重視したWindowsタブレット「ARROWS Tab Rシリーズ」を発表した。オフィス外で仕事をする機会の多い立場から、この新製品がどんな実力を持っているのかレポートしてみたい。

法人用タブレットで実績ある富士通が「スタイリッシュさ」に注目

 「富士通」というブランドは、汎用コンピュータ時代から培われた伝統があり、PCの世界でも最初期から話題の中心にあり続けてきた。企業向けの“お堅い”製品や技術開発をしてきた企業である一方、FM TOWNSに代表されるようにコンシューマーとの接点を大切にしてきたブランドでもある。

 かつてはOASYS Pocket、あるいはモバイルコンピューティングの時代にはLOOXシリーズを展開して、コンピュータとネットワークの世界に常に最先端の提案をしてきた。

 しかしながら、近年はある種の型にはまった、予測可能な定番商品を作る手堅い企業という印象が強くなっていたかもしれない。

 そんな富士通が長年取り組んできたのがタブレット型のコンピュータだ。その歴史は古く、業務用端末として90年代に取り組み、2000年にTablet PC(Microsoftが掲げたタブレット型コンピュータの形態)を提唱し始めるなど、多方面から注目を集めてきた。

 筆者自身も、病院内の回診管理や、レントゲン写真などへのペン書き込みや指示書き込みといった具体的な端末活用シーンを取材した際に、医療現場で富士通製端末が広く使われていることを知った。とりわけ信頼性が要求される場面において、富士通のペン入力型端末への信頼感はあらためて議論するまでもない。

 しかし、一方で業務用、あるいはオフィスワークに特化した質実剛健さは、昨今の「薄くて軽い端末」がもてはやされる中では、無骨という一言で片づけられてしまう側面もある。

 そんな富士通が頭を悩ませてきたのが、業務用タブレットとコンシューマ向けタブレット、それぞれのニーズに対するギャップだったそうだ。

 プロフェッショナルが使う業務用端末として、あらゆるニーズに応えようとするほどにサイズや重量、デザインなどさまざまな面でハンディキャップを背負う。スタイルの面では、たとえば故障時の保守を現場レベルである程度できるようにしたり、そもそもの堅牢性を高めたりと、個人向けPCとは異なるベクトルの要求をきちんと押さえておかなければならない。

 ところが、こうした企業向け端末のトレンドにも変化が訪れている。昨今、BYOD(私有情報機器の業務利用)を受け入れられるよう、企業向けITシステムにも変化が起き始めている。加えて従業員が個人でもモバイル端末を所有することが増えてきたことで「これまでより薄くて軽い端末を使い、モバイル環境でも軽快に仕事をこなしたい」という現場からの要求が強まっているという。

 ARROWS Tab Rシリーズはまさにそんな要求に対し、従来の法人向けタブレットで培ったノウハウと、コンシューマー向けPCメーカーとしても長年トップメーカーであり続けた富士通のセンスを兼ね備える製品として企画されたのだ。

モバイル業務に十分な使い勝手 注目すべきは「カバーキーボード」

 新製品「ARROWS Tab R726/M」は、フルHD解像度を持つ12.5型液晶パネルと第6世代インテルCore iプロセッサを搭載。今回試用したモデルにはCore i7-6600Uが搭載され、メモリも8Gバイトとフル装備だったが、Core i5やCore i3モデルも要求パフォーマンスや予算に応じて選択できる。内蔵SSDは暗号化機能をコントローラに内蔵した128Gバイトと256Gバイトから選択できる。

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 気になる重量は本体が約890グラムで、これにマグネットで接続するスクリーンカバー兼用のキーボードが約360グラム。合計で約1.25キロだ。

 もちろん、いくら軽くてもバッテリー持続時間が短かすぎれば意味がない。公式バッテリー持続時間は約7.6時間(JEITAバッテリー動作時間測定法(Ver. 2.0)に基づいて測定)で、実際に使ってみても5時間以上問題なく動作しそうだ。このあたりは、最新の第6世代インテルCore iプロセッサの長所が生きていると感じられた。

 さて、評価に当たってのポイントだが、外形デザインや薄さ、軽さ、それに各種外部インタフェースポートの配置、バッテリー容量、ディスプレイサイズなどは、スペックからおおむね想像が付くだろう。最新プロセッサを搭載するだけに、パフォーマンスは十分だ。

 本機にはガッチリと固定して机の上で使えるポートリプリケータ機能と充電機能を持つクレードルが用意されているが、オフィス内で使う際には通常のPCと同じように、パフォーマンス格差を感じる事なく使える。省電力プロセッサの搭載もあって、これ1台で業務をこなしていても排熱時のファン動作などで不快な思いをすることもないだろう。

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 しかし、それだけならばノートPCを選べばいい。ARROWS Tab Rシリーズを評価する上でポイントとなるのは、やはり「モバイルワーカーが使う上でどのような利便性を実現しているか」である。

 本体背面に内蔵しているU字型のスタンドは、想像以上に剛性感があり、しっかりとしていて信頼感がある。Windows 10搭載のタブレット導入する理由がキーボード操作とタブレットの両立ならば、スタンドを使う機会は多いはず。これについて機能的な不安は全くない。

photophotophoto U字型スタンドは最大約90度まで無段階調整できる
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 そしてARROWS Tab Rシリーズをもっとも特徴付けているのが、同社製ノートPCと同等のタッチを誇る、ストロークの深いキーボードだ。縦横比を変形させずに配置したキーボードは、剛性感・タッチとも“カバー兼用”であることを意識させられることはない。

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 なぜタブレット端末にWindowsマシンを選ぶのか。その本質は、繰り返しになるがキーボードでの操作性とインテルCore iプロセッサによるパワフルなパフォーマンスが理由という人は多いと思う。仕事に使うのであれば、手早く最小限のストレスでテキストを入力・編集できる必要があるからだ。このあたりの作り方は、しっかり机の上で安定するクレードル、スタンドなどの作りとともに、長年PCを作ってきた富士通ならではの経験が生きている。

 また選択するモデルによっては、LTE対応のWAN接続機能を内蔵している点も見逃せない。もちろん、近年は大多数のスマートフォンがテザリングに対応し、低コストな無線ルータも商品化されているが、タブレット側に通信機能を完全に内包できる利点は大きい。LTEモデムの内蔵は他のWindowsタブレットに対して大きな優位点と言えるだろう。

法人向け端末として考え抜かれた“細部のこだわり”と“サポート体制”

 一方、使っている中でやや疑問に感じたのが本体とカバーキーボードのマグネットカップリングだが、これは富士通のタブレット端末開発ノウハウを生かした結果だそうだ。

 十分な力で吸着しているとはいえ、カバーキーボードを少し引っ張ると本体から比較的簡単に外れる。ライバル機種などは、カバー側を持って本体をぶら下げても外れないようにしているケースが多いが、それとは真逆の仕様となっている。しかし、この仕様はあえて意図したものだという。

 IT機器にマグネットを用いると、周囲の製品や機器に対する影響を与えることがある。強い磁石を用いた上で、構造的に外れにくいメカ設計を行うこともできるが、医療機器との干渉/影響を考えると、漏れ磁束を2500ガウス以下に抑えたい。一般的なオフィスシーンを想定しても、各種カードの磁気ストライプのデータは500ガウス程度の磁気で壊れてしまうこともある。

 その上で、本端末はカバーキーボードと本体を接合した状態での磁束漏れを最小限に抑えたという。S/N極の向きなども工夫し、本体とカバーキーボードをしっかりとカップリングさせながら、磁束漏れを抑えた作りになっているそうだ。

 このような知見は、グローバルで法人向けIT製品を提供してきた富士通が、各地域からの要望を取り入れてきたからこその強みと言える。何げなく使う機能にも、細かなこだわりがさり気なく込められているのだ。

 他にも例えば、しっかり地に足が付いた設計のクレードルは、本体をガッチリとホールドすることで安定した使い心地を提供しつつ、カバーキーボードを装着した状態で着脱できる。こうすることで、ユーザーが着脱時に2段階の操作を強いられないようになっている。

 近年は近距離の無線通信技術であるWiGigを用いた無線ドッキングステーションも登場しているが、世代的には対応出来る本機プラットフォームであえて採用を見送ったのも、単なるコストダウンではなく、企業で実際に使われる際のトラブルやパフォーマンス低下を考えてのことだという。

 多くの従業員が同時にコンピュータを使うオフィス環境では、混信や実効通信帯域の低下が発生しやすい。信頼性を考えれば物理的なドッキングが確実なのは当然で、その上で使いやすさを追求したのが本製品というわけだ。

 さらに地味ながらNFC内蔵も見逃せない点だろう。TYPE-A/Bだけでなく、FeliCaカードとの通信が可能なTYPE-Fにも対応しているため、社員証など個人認証の一部にFeliCaを使っている企業ならば何らかの用途が見つかるだろう。

 企業向けPCではお馴染みとなっている、バッテリーのサイクル性能(繰り返し充電性能)を延ばす80%充電機能なども抜かりなく搭載されているが、企業向けPCを手がけてきたメーカーとしての“他社との違い”は何か。これについて尋ねると「顧客サポートが違いとして大きい」と富士通担当者は話す。

 例えば、マイクロソフトのSurface Proシリーズはセンドバック保証のため、修理中はユーザーがPCを使うことはできなくなる。この点、オンサイト保守を行えるフィールドサービスが充実している富士通なら、即時の対応も可能というわけだ。

※本製品のオンサイト保守は個別対応となります。富士通の営業担当者または富士通販売パートナーにお問い合わせください。

 このように企業向けPCと同様の考え方を踏襲しつつ、ユーザーがパーソナルなツールとしても軽快に使える。本製品を実際に使ってみた上で、そのような点が如実に感じられた。


 本稿の前半は現代のパーソナル情報ツールとして“当たり前”と感じるかもしれない。逆に後半は、企業導入するコンピュータの“当たり前”だ。この2つの“当たり前”を、サラリと実現している。ARROWS Tab Rシリーズが評価できる点は、そのバランス感覚にある。実際に端末を利用する従業員にとっても、またシステム導入担当者にとっても満足できる製品であることが、本機の本質的な価値なのだ。

著者プロフィール

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本田雅一(ほんだ・まさかず)

PC、IT、モバイル、オーディオ&ビジュアル、コンテンツビジネス、モバイル、ネットワークサービス、インターネットカルチャー。テクノロジーとインターネットで結ばれたデジタルライフと、関連する技術、企業、市場動向について。知識欲の湧く分野全般をカバーするコラムニスト。


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提供:富士通株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia ニュース編集部/掲載内容有効期限:2016年3月29日

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