「理想のオフィス」を目指す企業が見落としがちなポイントとはオフィス&ワークスタイル イノベーションセミナー

「働きやすいオフィス」を目指す企業は少なくないが、やみくもに始めるとかえって使いづらくなるケースもある。魅力的なワークスペースの作り方や、ツール導入時のポイントを解説したセミナーの内容を紹介しよう。

» 2016年10月03日 10時00分 公開
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 資料作りは自分のデスク、ディスカッションは会議室で……そんな会社にとって“当たり前”だった光景が、いま徐々に変わりつつある。遠隔地で働く人とリモート会議するシステムを整えたり、社内外を問わず気軽に会話できるスペースを用意したり――このように働きやすいオフィスの構築を考える企業も少なくないだろう。

 ただ、むやみに理想だけを追い求めたオフィスを作ろうとしても、勘所を抑えていないと、逆に使いづらいオフィスになってしまうケースもある。このほど開かれた「オフィス&ワークスタイル イノベーションセミナー」では、魅力的なオフィスを作るポイントと、新しい働き方のアイデアが披露された。

必要なのは「当たり前だと思っていた視点をずらすこと」

photo ドラフトの山下泰樹代表

 基調講演に登壇したのは、オフィスや商業施設の空間デザインを手掛けるドラフトの山下泰樹代表。リクルートグループのような大企業やスタートアップなど、大小さまざまな企業のオフィスづくりを手掛けてきた山下氏は、「それまで当たり前だった働き方を疑い、“本気”で変えようとすることが必要」と話す。

 例えば、社員のコミュニケーションが最も活性化されるべき「会議室」は今までオフィスの1区画に集中していたり、事前予約が必要だったりと堅苦しいイメージがあったかもしれない。そこで社内のあちこちに、ファミリーレストランのボックス席やカフェのテーブルのようなスペースを設け、いつでもすぐにミーティングができる環境づくりを提案するケースが増えているという。「偶然発生するコミュニケーションやチームメンバーと気軽に話をする中で、よいアイデアが生まれることは非常に多い」(山下氏)。

 他にも、モニターを眺めながら横に並んで打ち合わせができるミーティングブースを作ったり、1人で集中して作業できる個室ブースを設けたりと、社員それぞれの働き方を尊重し、モチベーションを向上させるオフィスづくりが注目されているという。「空間づくりを通じ、当たり前と思っていた視点を日々少しずつよい方向にずらしていきたい」と山下氏は話す。

1階にはカフェスペース!? 他社との“共創”生み出すオフィス

photo イトーキの秋山恵氏(ICTソリューション開発室室長)

 では、こうした「当たり前を疑う」心構えを持ちつつ、具体的にどのようなオフィス空間を目指せばよいだろうか。

 「1社で新しいプロジェクトを始めることは難しく、他社と交流し“共創”できるオフィスが重要」――こう話すのは、イトーキの秋山恵氏(ICTソリューション開発室室長)だ。

 他社との交流で得た知見を基に、新しいアイデアを生み出すには、どんなオフィス設計が必要なのか。秋山氏によると、今回のセミナー会場にもなったイトーキ東京イノベーションセンター「SYNQA」自体が、この考え方を反映したオフィスになっているという。

 SYNQAの1階フロアは「WORK CAFE」と題し、本セミナーを開催したイベントスペースに加え、来訪者がイトーキの社員と気軽に会話できるカフェスペース、自由に閲覧できる企画展示や書籍スペースを設けている。

photo 1階フロア「WORK CAFE」

 続いて「TEAM LAB」と呼ばれる2階フロアには、複数の会議室やセミナールームを用意。同社社員が他社のパートナーと共同でプロジェクトを進めるとき、深い議論を交わす“共創空間”として利用しているという。

photophoto 2階フロア「TEAM LAB」

 3階フロアは、社員同士がコミュニケーションを行う「SYNC OFFICE」。組織ごとにまとまっているスペース「CAMP」、組織間を越えて話し合いができる「スギの回廊」、個々人が集中して作業するブースなどがあり、働き方に応じて場所を変える。「社外から知見を取り込み、内部で育てて新しい価値を生み出す」――その流れを3段階のステップに分け、1〜3階のフロアに反映しているという。

photophoto 3階フロア「SYNC OFFICE」

1台から徐々に全社展開へ いまのテレビ会議は「DVDデッキ並み」の手軽さ

photo Googleの浦田康之氏(Google for Work マネージャー)

 社員の生産性を高めるオフィスを作るには、こうした“土台”作りに加え、リモート会議システムなどのICTソリューションも必要だ。続けて登壇したGoogleの浦田康之氏(Google for Work マネージャー)によると、同社では全ての会議室にテレビ会議システムを導入し、「毎日、世界中の社員がアイデアを交換できる環境を作っている」という。

 このグローバルなコミュニケーションの基盤に使われているのが、テレビ会議システム「Chrome devices for meetings」だ。最もベーシックな小規模会議室向け(8人用)タイプは、Chrome OSを搭載する小型デスクトップPC「Chromebox」、キーボード付きリモコン、ノイズフィルタリング対応のマイクとスピーカー、自動調節機能付き高性能カメラ(1080p)が一式セットになっている。

photo テレビ会議システム「Chrome devices for meetings」
photo 電算システムの北村友史氏(プロダクトマネージャー)

 セットアップは、本体とモニター、マイク、スピーカーをケーブルでつなぐだけ。あとは画面の指示に従ってリモコンから操作すればいい。同製品を国内販売している電算システムの北村友史氏(プロダクトマネージャー)は「家庭用のDVDデッキなみに簡単にセットアップできる」と胸を張る。

 Chrome devices for meetings同士だけでなく、PCのWebブラウザ、タブレット/スマートフォンのハングアウトアプリなどとも連携でき、最大25人(25デバイス)の会議に対応する。Google Appsを利用している企業であれば、Googleカレンダーと自動で連携し、会議室を予約したり自分のスケジュールと同期させたりできる。

 取引先や社外パートナーと会議したいときは、公開範囲を柔軟に設定したり、ゲストをメールで招待したりすることも可能。複数の会社に設置されたChrome devices for meetingsで会議を設定することもできる。

photo 最大25人(25デバイス)の会議に対応

 1台当たり初年度は15万円、次年度以降はライセンス費の3万5000円のみという価格設定もポイントだ。「高価なテレビ会議システム1台分の費用で、何台も購入できる点を喜んでいるユーザーもいる。まずは1〜3台から検証を始め、徐々に全社展開していくのがおすすめ」と北村氏は話す。

ものづくりの現場で活躍 図面やCADデータを共有できるWeb会議

photo パイオニアVCの志冨尚氏(コラボレーション営業部部長)

 続いて登壇したパイオニアVCの志冨尚氏(コラボレーション営業部部長)は、ものづくりの視点から遠隔拠点とのコラボレーションの重要性を指摘する。志冨氏によれば、製造業がグローバル化や競争力の強化を進める上では「拠点の分散化」が必要だが、それぞれの現場が離れていると「電話やメールだけでは情報や指示を正確に伝えられない」という。

 そこで同社が提案するのが、ビジュアルコラボレーションツール「xSync Prime Collaboration」だ。音声通話に加え、画面を見ながらデータをやり取りできる機能に重点を置いているため、「設計段階で離れた拠点とCADデータを共有したい」「現場で緊急のトラブルが起きたとき、図面を共有しながら指示を出したい」といったニーズに応えられるという。

photo 「xSync Prime Collaboration」の画面

 独自の画像圧縮処理技術を用い、リアルタイムで同じ画面を見ながら図面などにペンで描き込んで共有できるのも特徴だ。操作画面は「メイン操作パネル」「データ共有エリア」「拠点接続情報」「テレビ会議パネル」というシンプルな構成で、直感的に扱えることを目指したという。帯域管理などの機能も充実している。

photo 図面にペンで描き込んで共有できる

 Webコラボレーションツールで起こりやすい「音声の遅延」も軽減している。パイオニアグループが培ってきた画像・音声技術、サーバ通信技術、さらにカラオケ技術を組み合わせて低遅延を実現したという。「当社グループ内でも、さまざまな開発会議や講習会、外部ベンダーとの進捗会議などに使っている。オンプレミス型、クラウド型の両方をラインアップしているので、環境や予算に合わせて利用してもらえればと考えている」(志冨氏)

遠隔会議はなぜ失敗する? 見直したい「音環境」

photo ヤマハの大泉好史氏(音響事業統括部 営業推進部)

 企業が遠隔会議システムの導入を検討する際、ついつい映像品質やコストばかりを気にしてしまいがちだが、合わせて注意しておきたいのが「音」の部分だ。最後に登壇したヤマハの大泉好史氏(音響事業統括部 営業推進部)は、遠隔会議で失敗しがちな「オフィスの音環境」について解説した。

 大泉氏によれば、遠隔会議のシステム自体に問題はなくても、音のトラブルが原因で「遠隔会議は思うようにコミュニケーションが取れない」と感じるユーザーも少なくないという。


photo 調音パネル TCH

 会議室内の音が響きすぎると、声の聴き取りやすさが低下するだけでなく、遠隔会議ではエコーや音が途切れる原因になることもある。響きを解消するには、カーテンやグラスウールのような音の反射を少なくする吸音材が必要になるが、素材によっては違和感のある聞こえ方になることもある。

 そこで同社が勧めるのが「調音パネル TCH」だ。吸音する音域に偏りがあるグラスウールのような素材とは違い、調音パネルは低音域から高音域までの響きを偏りなく吸音できるため、響きを抑えつつ自然な聞こえ方になる部屋を作れるという。「厚さも3センチと薄く、金具で取り付けるだけなので施工も簡単」(大泉氏)。


photo 「スピーチプライバシーシステムVSP-1」

 隣の会議室にいる人や会議室の外を歩いている人に、個人情報や機密情報が聞こえてしまうといった、音の漏えいもトラブルの一つに挙げられる。特に、壁や天井を反射して音が伝わるオープンスペースでは、壁や天井を反射して音が伝わるため音の遮断が難しい。この音の漏えいを防ぐ手段の一つに、別のスピーカーからの音を被せる「マスキング」がある。同社の「スピーチプライバシーシステムVSP-1」は大きな音で無理やりかき消すのではなく、音声をかく乱して聞こえにくくする「情報マスキング」と呼ばれる独自の技術を使うため、大きな音を出さなくても効果を得られるという。

 その他にも、マイクと話者の距離が遠すぎたり、騒音源の近くにマイクを置いたりしないように注意することや、部屋の広さや参加人数に合った製品を選ぶことも重要だという。


photo 遠隔会議向けマイクスピーカーシステム「YVC-1000」

 大泉氏はこれらの点を踏まえ、マイク1台で8人規模の会議に対応し、5台連結することで40人規模の会議や、外付けのマイク接続機能を使った遠隔セミナーの実施ができる遠隔会議向けマイクスピーカーシステム「YVC-1000」を紹介する。「YVC-1000は、実際の会議でテストを繰り返して作り込んだ端末で、モニターの95%が音声品質に『問題なし』と回答している。無料貸し出しもあるので、まずは気軽に試してもらえれば」(大泉氏)。

photo 「響きすぎ」「音が漏れる」「聞こえない」と問題ごとに対応が必要

 魅力的なオフィスの構築には、ワークスペースのレイアウトに加え、導入するWeb会議システム、音環境への配慮など、さまざまな視点で納得できるアプローチが必要だ。本セミナーで各社が提案したアイデアやツールを参考に、あなたのオフィスの“当たり前”を疑い、ワークスタイル変革に取り組んでみてはいかがだろうか。

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アイティメディア営業企画/制作:ITmedia ニュース編集部/掲載内容有効期限:2016年11月2日