IT導入率が低い会社は“残業”が多い? 読者調査で分かったビジネスパーソンの悩み、その解決への道は

働き方を変えようという機運が高まる中、実際の状況はどうなのか。読者調査の結果を基に、現代の企業やビジネスパーソンが抱える課題とその打開策を考えてみたい。

» 2016年11月24日 10時00分 公開
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 ここ数年で、企業の「働き方改革」に対する意識は高まりつつあると言われている。従業員が時間や場所を問わずに働けるようにしたり、育児・介護中の従業員が在宅勤務したりできれば、生産性向上や離職率の低下につながる可能性があるからだ。果たしてその実態はどうなのか――ITmedia ニュースが10月に実施した「働き方改革に関するアンケート」の結果を基に、企業やビジネスパーソンが抱える課題とその打開策を考えてみたい。

この記事のポイントは?

  • アンケートの結果、働き方改革で先行する大企業に対し、中小企業は取り組みが遅れていることが分かった。特に中小企業は、ITツール・制度の導入が進んでいないために、残業につながっている可能性――など、次々と課題が浮き彫りに。
  • 中小企業の取り組みが遅れている理由は、(1)実は政府が支援策を用意しているのに活用できていないから、(2)ITツールや制度の導入が不十分だから。さらに、ITツールの導入がうまくいかない背景には、若者と昭和世代の間に「働き方」に対する考え方のギャップがあるようだ。
  • では、ITツールを活用して働き方を変えるにはどうすべきか。コストをなるべくかけず、利便性と安全性の両方を担保できる方法をご紹介しよう。

調査概要

  • テーマ:「働き方改革」に関するアンケート
  • 調査方法:Webによるアンケート
  • 調査期間:10月13日〜10月20日
  • 有効回答数:536件

【アンケート結果のダウンロードはこちら】


ITツール導入率が低い会社は“残業”が多い? 調査で浮き彫りになった課題

 読者の勤務先で、業務環境に関して課題になっていることは何か。1位は「残業が多い」(43.4%)で、以下「メンバー間で情報共有がしにくい」(39.7%)、「オフィス外で働けない・働きづらい」(35.8%)、「社外との情報共有がしにくい」(35.3%)と続いた(図1)。

photo 図1:読者の勤務先で、業務環境に関して抱えている課題

 それらの課題解決に向け期待されているのが、モバイル端末やクラウドサービスなどのITツールや、柔軟な働き方を許可する制度の整備だろう。それらの取り組み状況を見てみると、次のような結果が出た。

 業務環境の改善に向けたITツール/制度の導入状況は「積極的に導入している/ある程度導入している」が合計51.8%だった。「あまり導入していない/全く導入していない」(合計43.2%)を上回ったものの、一般的な日本企業の大多数に浸透しているとは言えないようだ(図2)。

photo 図2:ITツール/制度の導入状況

 具体的なITツール/制度としては、どのようなものが導入されているのか。1位は「ファイル共有システム」(44.0%)で、続いて「社内コミュニケーションシステム/グループウェア」(43.6%)、「リモート会議システム」(35.1%)、「モバイル端末」(31.0%)、「時短勤務制度」(21.8%)という結果になった(図3)。

photo 図3:導入しているITツール/制度

 業務環境に関する課題でトップにもなった「残業の多さ」(長時間労働)は昨今、企業の経営リスクとしても問題視されるケースが多い。上記のような働き方改善に向けた取り組みは、残業時間にどう影響しているのだろうか。続いてはそのデータを見てみよう。

 業務環境の改善に向けたITツール/制度を「積極的に導入している/ある程度は導入している」と回答した企業のうち、「残業が多い」と答えたのは40.2%だった。一方、「あまり導入していない/全く導入していない」と回答した企業では、「残業が多い」が46.9%とやや高い結果に。ITツールや制度の導入状況は、実際の従業員の働き方にも影響しつつあると言えるだろう。

 それらITツール/制度の導入状況を企業規模別に見てみると、興味深いデータが出た。大企業(300人以上)で「積極的に導入している/ある程度は導入している」と答えたのは55.8%だったが、中小企業(299人以下)では45.8%と低い結果に。大企業と比べ、中小企業のITツール・制度の導入は進んでいないことが浮き彫りになった(図4)。

photo 図4:大企業・中小企業別のITツール/制度の導入状況

 こうした中小企業における公式ITツール/制度の導入率の低さは、“シャドーIT”(許可されていない個人用ITツールの業務利用)のまん延にもつながっているようだ。「会社で許可されているITツールのほかに個人用ITツールを業務で使っているか」という質問に「モバイル端末を使っている」と答えた人の割合は、大企業では38.4%だったが、中小企業では51.3%とはるかに高かった。

 では、中小企業がITツール/制度の導入に向けて課題視していることは何だろうか。1位は「コストがかかる」(32.6%)で、「セキュリティが不安」(19.5%)、「経営者の理解が得られない」(13.2%)という理由が続いていた(図5)。

photo 図5:中小企業がITツール/制度の導入に向けて課題視していること

中小企業のIT導入が遅れている理由

photo 日本マイクロソフトの小柳津篤さん

  このように、働き方改革に向けた取り組みは大企業がやや先行し、中小企業では遅れをとっている傾向があることが分かった。

 いまや働き方改革は国家戦略だ。政府は今年9月に「働き方改革実現推進室」を設置。長時間労働の是正、テレワークの推進などに取り組む姿勢を見せている。「政府の後押しもあり、トヨタ自動車や資生堂、サントリー、富士通、日立製作所、リクルートなど、大企業ではすでに働き方改革を進めているところが多い」――日本マイクロソフトでユーザー企業の働き方改革プロジェクトを支援している小柳津篤さんはそう話す。

 一方、「(こうした流れが)中堅・中小企業までは浸透していない」と小柳津さんは指摘する。中小企業の取り組みが遅れている理由は何なのか――そこには大きく2つの理由が考えられるという。

 1つ目の理由は、政府が中小企業向けに用意している支援策を知らなかったり、知っていても使っていなかったりすることだ。「中小企業の働き方改革の支援は、厚生省や総務省などが予算をつけて取り組んでいる。働き方改革の推進を宣言した企業には、補助金を出したり、社会保険労務士などの専門家を派遣したりするプログラムもある。積極的に活用すべきだ」(小柳津さん)。

photo 東京都は2016年4月に「TOKYO働き方改革宣言企業制度」を創設。働き方改革の推進を宣言した企業には、助成金を支給したり、専門家のコンサルティングを受けたりできる

 もう1つの理由は、調査結果にもあるように「ITツールや制度の導入が十分でない」ということだ。

 小柳津さんによれば、この課題の背景には、IT導入に関する「逆転現象」が見られるという。携帯電話などのITツールが市場に出始めたころは、「企業向けITツールが徐々に個人向けにも普及していく」という流れが一般的だったが、最近では逆に「優れたITツールがまず個人向けに普及し、その後大企業が取り入れ、中小企業が導入するのは一番あと」になってしまっているという。

 「特に、20代から30代前半くらいの若者たちは、子どものころから携帯電話やスマートフォンなどに接しながら育っている。彼らは私生活で使っているそれらのツールを仕事で使えないことにストレスを感じている。その結果、若者の離職やシャドーITのまん延につながってしまうのでは」(小柳津さん)

photo 若者は子どものころから携帯電話やスマホなどに接しているなど、昭和世代と価値観や働き方が異なっている

 だが「中小企業こそ働き方を変えるべき」と小柳津さんは指摘する。「大企業のほうが働きやすい環境が整っているとなると、若者はそちらに移ってしまう。人材不足が深刻化する中、中小企業が優秀な人材を確保しつつ生産性を上げるためには、ITツールを活用した働き方の改革が欠かせない」。

コストをなるべくかけずに働き方を変えるには?

 では、中小企業がITツールなどを活用して働き方を変えるにはどうすべきか。調査結果では「コスト」を懸念する中小企業が圧倒的に多かったが、こうした課題に対しては、政府の支援策を有効活用することに加え、クラウドサービスの利用が有効だという。

 「かつて企業が高機能なITを利用するためには、インフラの整備や運用管理などに多大なコストや人手がかかっていた。しかしクラウドサービスならば、大企業と同じITツールを、中小企業でも高額な初期コストをかけずに定額料金で使える」と小柳津さんは話す。実際、日本マイクロソフトのクラウドサービス「Office 365」は1ユーザー当たり月額1360円から利用でき、ヤンマーや三井住友銀行のような大企業から50人未満の小企業まで、あらゆる規模の企業/組織に活用されているという。

photo Office 365

 Office 365の特長は、WordやExcel、PowerPointなどの最新Officeアプリケーションに加え、ビデオ会議サービス「Skype for Business」による画面を共有しながらのオンラインミーティング、グループウェア「Exchange Online」による連絡先・スケジュール共有、クラウドストレージサービス「OneDrive for Business」によるファイル共有――などのコラボレーション機能も備えている点だ。これらの機能を活用し、モバイルワークや在宅勤務を実現している企業は少なくないという。

photo ビデオ会議などコラボレーション機能も充実

 一方、クラウドサービスを採用するとしても、それを活用するためのモバイル端末を導入するのにコストがかかるのでは――と懸念する向きもあるだろう。これに対して小柳津さんは、Office 365はBYOD(個人所有端末の業務利用)でもメリットがあると話す。

 Office 365は2015年春のアップデートで新たにMDM(モバイルデバイス管理)機能を搭載し、スマートフォンやタブレットに対して「5分間操作がないときに端末をロックし、その後3回サインインに失敗したら端末内のデータを削除する」といったセキュリティポリシーを一括設定できるようになった。もちろん各種OfficeアプリなどはWindows/iOS/Android OSを問わず利用でき、クラウド上にアップロードした業務ファイルは企業の管理下に置かれるため、従業員がすでに持っている端末を生かしてBYODを実現できるというわけだ。

photo MDMツールの活用で、従業員がすでに持っている端末を生かしてBYODを実現

 「個人所有端末にMDMツールを入れて業務で使う場合、管理者権限を奪われるし、厳密な意味での“プライベートな端末”はなくってしまうかもしれないが、それは従業員にとってもメリットがあると考えている。端末の紛失・盗難に万一遭っても、即座にデータを消せるし、端末がどこにあるかを追跡できる。これはユーザーを守ることにつながる」(小柳津さん)

photo クラウドサービスを活用し、個人所有の端末でもガバナンス下に置くことで安全性を担保

 このほかクラウドサービスならではの利点として、セキュリティパッチの最新バージョンを自動で適用したりできる強みもある。「かつてITソリューションといえば、ウイルス対策ソフトのように“守るもの”と、コラボレーションサービスのように“便利にする”ものが別々に考えられていた。だが最新のクラウドサービスは“利便性”と“安全性”の両方を担保できる」と小柳津さんは話す。

photo 働き方改革を成功させるには“利便性”と“安全性”の両方を担保する必要がある

 実際、Office 365を活用して働き方改革に乗り出す中小企業も増えつつある。例えば、空調メンテナンス事業を手掛けるある企業(従業員250人ほど)では、タブレット端末とOffice 365を活用してスケジュール共有やファイル共有などを実施。IT管理者が1人しかいないにもかかわらず、社内外から業務データにアクセスして働ける環境を整えたという。

 「中小企業は本来なら、大企業よりもフットワークが軽く、働き方を変える上での障壁も少ない場合が多いはず。ワークスタイル変革がもはや福利厚生ではなく『経営課題』となった今、トップダウンで会社が生き残るための方法として取り組んでほしい」(小柳津さん)

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アイティメディア営業企画/制作:ITmedia ニュース編集部/掲載内容有効期限:2016年12月23日