「働き方改革はゴールじゃない」 名刺管理のITベンチャーSansanが「社内メール・固定電話廃止」を実現できた理由

常に「新しい働き方」を模索してきた名刺管理のITベンチャーSansan。画期的な施策を進めてきた同社の発想の根幹には何があるのか。

» 2018年06月28日 10時00分 公開
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 「実は、会社として『働き方改革をしよう』と言ったことはないのです。生産性向上を目指してトライ&エラーを繰り返していたら、結果的に働き方改革になっていました」――クラウド名刺管理サービス・アプリを提供するITベンチャーSansan(東京都渋谷区)の小池亮介さん(ブランドコミュニケーション部 広報担当)はこう話す。

小池さん Sansanの小池亮介さん(ブランドコミュニケーション部 広報担当)

 2007年に設立された同社は、社内メールの廃止、社長や役員も参加する社内SNSの導入、ビデオ会議によるオンライン商談への全面切り替え(現在はオンラインと対面を併用)など、普通の会社ではなかなか導入に踏み切れない画期的な試みを続けてきた。今は固定電話の廃止を計画中。さらに自由度の高い、新しい働き方を追求している。

 小池さんは「働き方改革や、ITツールの導入自体が目的になるとダメ」と強調する。同社のミッションは「ビジネスの出会いを資産に変え、働き方を革新する」だ。このミッションを達成する上で「目の前にある課題は何か」、そして「その課題をどうやって解決するか」を全社員が常に考えているという。

 既存の社内システムを抜本的に変えていく上での困難や課題はないのだろうか。小池さんは「新ツールの導入については、意外とスムーズです」と話す。肩書や部署に関係なく、オープンに意見を言い合える空気が浸透しており、「無駄だと思ったことは遠慮なくやめていきます。最近では、オンラインで十分にコミュニケーションが取れているという目線合わせの末、社長と広報との定例会議もやめました」と笑う。

 社風と言ってしまえばそれまでだが、なぜ同社はこのような革新的な取り組みを続けることができるのか。また、新しいITツールを導入する際の選定基準や、全社導入する上で超えなければいけない壁などはあるのだろうか。

ビデオ会議のオンライン営業、商談数は2倍に

 同社は、2009年に社内メールを廃止し、今は米Facebookの法人向けSNS「Workplace」を利用中。その他、Web会議システム「bellFace」を使ったオンライン商談の活用、徳島県や北海道などへのサテライトオフィスの設置、現場エンジニアから要望の多かったコミュニケーションツール「Slack」の導入など、新しい働き方を目指してさまざまな取り組みをしてきた。

 新しくITツールを導入する際は、「ITID」(ITインフラデザイングループ)と呼ばれる社内インフラを担う組織が中心になる。それぞれの取り組みは、「現場からの声もあれば、経営層の鶴の一声で始まることもある」という。「今は何が課題なのかという課題ファーストで物事が進む。取り組みのきっかけが誰かというのは関係ないですね」(小池さん)

 例えば、社内メールを廃止したときは、社内の連絡をメールで返すのは無駄な時間なのでは、という社長の仮説から始まったという。小池さんは「クローズドな空間なので、情報共有も煩わしかった」と振り返る。

 当初は違う社内SNSを使っていたが、それをWorkplaceに変えたところ、社長や役員含め、誰もがフラットにコミュニケーションできる場になったという。「フロアの違う同僚とたまに対面の会議をしても、久しぶりに会ったという気がしない。オンラインで十分コミュニケーションを取れることが分かった」(小池さん)

 このように、まず気になるツールを試してみて、トライ&エラーを繰り返しながら、より良いものがあればすぐに切り替えていくスピード感も特徴だ。「もちろん、ツールを導入してうまいくいかないこともある。これまで掛けた時間とコストはあまり気にせず、そのときに必要なものが何かを追求します」(小池さん)

 営業の現場にWeb会議システムを導入したときは客先への「訪問禁止」を掲げた。Web会議でのオンライン商談のみで、クライアントには一切訪問しないと決め、生産性向上のために振り切った。

 「当初、お客さまから不満の声が上がるかなと思ったが、意外となかった。訪問営業の新規開拓は1日4件が限界だったが、オンライン商談に切り替えたら、2倍の8件増えて効率が上がった」(小池さん)

 その後も試行錯誤を重ね、今は「必要な商談は対面で行う」という、オンラインと対面のハイブリッド方式を採用。決めたことにとらわれない、「課題ファースト」の考えがここにも現れている。

導入ツールの選定基準は「将来性・発展性」

 新しいITツールを導入する際、どのような基準でそれらを選んでいるのだろうか。同社は特に(1)トライ&エラーしやすいクラウドサービス、(2)まだ完成されていない将来性と発展性のあるサービスである、という2点が大事と考える。

 前者は他社も参考にできそうだが、後者は担当者の“目利き”が必要になりそうな印象もある。実際、社内インフラを担うITIDのメンバーは後者をひと言で“イケてるサービス”と表現する。

 「(先見性を身に付けるための)確立されたノウハウはありませんが、日々の情報収集や担当者が気になったものをまずは試してみるというトライ&エラーの繰り返しですね。既に完成されたサービスより、これから発展しそうだという将来性を重視します」(小池さん)

 社内SNSをWorkplaceに切り替えたときも、「(サービス自体の)進化のスピード」を重視したという。

 今計画しているのは、固定電話機の廃止。「固定電話じゃない方が生産性が向上するのでは」という仮説のもと、PCやスマートフォンなど、あらゆるデバイスから同じ電話番号を使える法人向けクラウド型電話システムの導入を進めている。現在、社内のリプレース状況は60%ほどで、あと3カ月間で全ての交換が終わる見込みという。これで、社内メール・社内固定電話は両方廃止される。いわゆる、一般的な大企業とは一線を画する取り組みが多いが、社員に戸惑いの声はないのだろうか。

 「解決すべき課題が残り続けることの方がデメリットなので、社員教育はデメリットというより乗り越えられる工数と考えます。課題解決のための工数は惜しみません」(小池さん)

 働き方改革の成功・失敗を語る上でしばしば話題に上がるのが「成果が分かりにくい」という面。効果測定の方法が分からず、今の取り組みを続けていくべきか、それともやめるべきかの判断に迷うという企業も少なくない。

 小池さんも「コミュニケーションツールの効果測定は難しい」と悩むが、「当社の場合、課題に対して何ができたかが指標になる。定性的な要素も多く、特に実験段階では現場のヒアリングを重ねてITIDのメンバーにフィードバックすることも多い」という。

Sansanは「働き方改革」のイベントを主催することも

物事のシンプル化進む、「本質見極めて」

 「時間は有限なので、もっと効率的に働かないといけない。ITツールは工数をシンプルにするので、今後は物事のシンプル化がもっと進んでいくはず」と小池さんは話す。Workplaceでも、「これって無駄じゃないですか?」「これは何のためにやってるんですか?」という議論が若手・ベテラン問わず活発に行われているという。何十回も議論したイベントでも、目的と合致しないと分かれば開催を見送ることもあった。

 オープンな空気、社員間での意識の共有、意思決定の速さ、これらが合わさってさまざまな取り組みが進んでいく。

 「ITツールの導入で、目の前の課題が解決され、世の中がスムーズになっていく。どんなツールを取り入れるかが企業の競争力につながり、それでまた世の中が変わっていくというサイクルが続く」と話す小池さんは、「今解決すべき課題は何で、そのために必要なものは何なのか。その本質を見極めることが大事だ」と強調した。

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