AIビジネス活用の鍵は「チャットbot」にあり──リコージャパンが開発するAIツール、完成度を高めるコツは

» 2018年09月10日 10時00分 公開
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 AI(人工知能)技術の目覚ましい発展により、さまざまな分野でAIの活用が始まっている。この潮流に乗り遅れまいと、AIソリューションの開発に取り組むベンダーも少なくない。複合機、複写機、プリンタ、デジタルカメラなどの光学機器を製造するリコーの販売会社、リコージャパンもその一社だ。

 同社は、チームコラボレーションツール「IBM Watson Workspace」(WWS)のAIチャットbot機能や、開発と運用を行えるクラウドプラットフォーム「IBM Cloud」を活用した3つのアプリケーションを開発した。

 WWSは、ユーザーがやりとりした会話を整理してまとめる「モーメント」や、会話の中にあるキーワードから関連情報を検索してユーザーに提案する「フルフィルメント」といった、IBM Watsonを活用するAI機能をあらかじめ備えているが、さらに社内業務の利便性を向上させる仕組みの実装を目指して開発を進めた。

 リコージャパンの強みとして、開発したツールをまず自社で導入し、フィードバックを受けて完成度を高めたものを顧客に提供できる点が挙げられる。リコーグループの製品販売を事業の主軸とする一方、顧客企業のニーズに応える他社製品の提供も含めたシステムインテグレーション(SI)ビジネスも事業の柱として位置付けているためだ。

 企業ITシステムの企画から開発、導入、運用までを行うSIビジネスの一環としてAIの開発に取り組み始めたというが、そもそものきっかけは「社内に蓄積された膨大なデータを活用したい」という顧客企業の要望を解決することにあったと、リコージャパンの竹田勝哉部長(コラボレーションソリューション部)は話す。

photo リコージャパンの竹田勝哉部長(コラボレーションソリューション部)

 「当社は、グループウェアのIBM Notes/Dominoによるソリューションビジネスを20年以上にわたって展開していますが、近年は蓄積されたデータ資産を活用できないかという問い合わせが多く寄せられるようになりました。企業のNotesデータベースには数万の文書データ、非定型データが保存されています。企業はそれらのデータを二次活用したくても、語彙が完全に一致しなければ目的のデータを見つけられないという不便さを抱えています。そうした課題を解決し、データ活用を促す手段としてAIは有効です。そこでコラボレーションソリューション部では、2年前からAI活用の前段となるデータアナリティクス分野も含めた研究開発に取り組んでいます」(竹田部長)

 AIの研究開発に着手したリコージャパンは、業務に有効なソリューションを目指して試行錯誤を繰り返したという。そうした中、実用性の高いものとして挙がったのが「チャットbot」だった。

技術的に先行する「IBM Watson」に注目

photo リコージャパンの臼井孝仁リーダー(コラボレーションソリューション部 第1グループ)

 チャットbotは、AI技術の中でもビジネスの現場で実用化が進んでいるソリューションの1つだ。顧客や社内から音声通話やテキストチャットで届いた話し言葉(自然言語)による質問を人間の代わりにAIが認識し、適した回答を返すという機能を持つ。人間が問い合わせに応対するよりも迅速かつ正確な回答が得られることから、すでに大手金融機関のコールセンターや保険会社、鉄道会社のWebシステムなどに採用され、業務の効率化に役立てられている。

 リコージャパンでは、AIの研究開発に着手した2016年時点で技術的に先行していた「IBM Watson」に注目したという。同社の臼井孝仁リーダー(コラボレーションソリューション部 第1グループ)は次のように話す。

 「AIの研究開発を始めた2年前は、日本語に対応したAIは非常に少なく、日本語認識の精度も悪いという状態でした。しかし、この2年でWatsonの能力があっという間に向上し、提供される対応アプリケーションの数も増えてきました。そうした中、学習済みのAIが利用できる『IBM Watson Workspace(WWS)』が登場したことで、ソリューションを開発しやすい環境が整ったことから、WWSのチャットbot機能を利用したアプリケーション開発に取り組みました」(臼井リーダー)

photo リコージャパンの穂積隆史さん(コラボレーションソリューション部 第1グループ)

 同社はアプリケーションを開発するに当たり、まずは自社内の業務効率化に役立つもので試した。開発メンバーの一人、穂積隆史さんによると、真っ先に挙がったのが「リモートワーク申請」だったという。

 「当社では働き方改革を推進するためにリモートワークを推奨していますが、社員がリモートワークを行うには申請書類を提出しなければなりません。この申請書を簡単かつ正確に作成する上で、自然な会話を進めていくだけで完成するチャットbotの仕組みが適していると考えました」(穂積さん)

IBM Cloudなどを活用した3種類のアプリを開発

 リモートワーク申請アプリの開発を実際に担当したのは、開発メンバーの温井晴子さんとOJT目的で配属された入社1年目の新人社員だった。温井さんは当時を次のように振り返る。

 「IBM Cloudでは、開発環境として用意されている『Node-RED』が使いやすく、チャットbot機能を提供する『Watson Assistant』も簡単に利用できるため、新人社員でもほぼ自力でアプリケーションを開発できました。LINEやSlackなどのメッセージングアプリに表示するインタフェース、Notesデータベースへのデータ蓄積、申請に対する承認ワークフローなどの機能を実装したアプリケーションは、わずか2カ月で完成しました」(温井さん)

photo AIチャットbotを活用した「リモートワーク申請」の機能イメージ
photo リコージャパンの温井晴子さん(コラボレーションソリューション部 第1グループ)

 穂積さん、温井さんらの開発チームでは、このリモートワーク申請とは別に「電話伝言メモ」というアプリケーションも開発した。

 このアプリケーションは、NotesメールやOutlookに届く電話不在着信メッセージ(いわゆる留守番電話)をチャットbot経由でメッセージングアプリに飛ばして通知するとともに、メッセージングアプリ上で内容を確認できるというものだ。

 メールクライアントでは大量の受信メールの中に埋もれてしまい、見逃しや聞き逃しが発生してしまう。チャットbotなら、メッセージを確実に伝達するという役割を果たしやすいのがメリットだ。

photo AIチャットbotを活用した「電話伝言メモ」の機能イメージ

 リモートワーク申請と電話伝言メモの2つは、コラボレーションソリューション部の業務に本番導入しており、これから業務効率化やコスト削減の効果を測る。また、顧客企業へのソリューション提供も開始し、実際に商談も進められている。

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 これらのアプリを導入する場合、IBM Notes/Dominoを基幹システムとして利用している顧客企業であればシステムを新たに入れ替える必要もなく、WWSやSlack、LINEなど現場で使われているメッセージアプリで手軽にAI活用による生産性向上の恩恵を受けられる点が魅力だろう。「AIのビジネス導入」と聞くと、大規模なシステム改修などを思い浮かべることもあるが、より身近なところから始められる土壌が整ってきている。

 さらに現在、営業部門の業務効率化を目的とした「営業日報」のアプリケーションを開発中だ。このアプリはリモートワーク申請と同様、チャットbotとの会話の中で営業日報を作成したり提出したりするための機能を備えている。現在はデモ版が出来上がった段階で、これから機能をブラッシュアップしたのちにソリューションとして提供する予定だという。

photo AIチャットbotを活用した「営業日報」の機能イメージ

AIビジネスの拡大を目指す施策を推進

 リコージャパンでは今後も引き続き、AIチャットbotを活用したアプリケーションの開発を進め、ラインアップを広げていく。またAIの範囲をチャットbot以外にも拡大し、AIの活用を目指す企業向けに導入支援やコーチングなどのサービス提供も計画している。ただし、現時点では課題もある。

 「リコーグループ全体で複数の事業体や部署が個別にAI技術の研究開発に取り組んでおり、横連携が図れていません。私たちコラボレーションソリューション部が、AIチャットbotを活用したアプリケーションを提供していることを知らない社員もいます。まずは社内で私たちの取り組みを広めるために、営業部門をはじめとする各部署に導入を促したいと考えています」(竹田部長)

 同時に竹田部長が注力しているのは、AIビジネスを発展させるための体制づくりだ。

 「本格的なAIビジネスに取り組むためには、AI専門家やデータサイエンティストなどの人材が不可欠です。コラボレーションソリューション部でも人材育成に力を入れており、技術的な部分は対応できます。しかし、AIを活用した新しいビジネスを創出するには最新のAI活用事例をはじめとする社外の情報をいち早く手に入れなくてはいけません」(竹田部長)

 リコージャパンでは、そうした情報の入手を行うためにITシステムのディストリビューター・ネットワールドが運営する「ネットワールド IBM Watson・リング」に参加した。これは、パートナー企業が行うIBM Watsonビジネスの立上げや展開をネットワールドが技術、営業、マーケティングの側面から包括的に支援するプログラムだ。

 リコージャパンもネットワールドも、長年にわたってIBMとの強固なパートナー関係を保っている。そんな両者がタッグを組むことにより、今後もWatsonを活用した新たなイノベーションが生まれることを期待したい。

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 あなたの会社は、まずはAI導入の第一歩を踏み出したい、あるいはデジタルトランスフォーメーションを一歩先へ進めたいといった要望を抱えていないだろうか。自社で育んだからこその完成度を誇るAI活用ツールで、現場の課題解決をサポートするリコージャパンに相談してみてはいかがだろうか。

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