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» 2018年11月27日 10時00分 公開

なぜ日本企業でイノベーションは起きないか:PoCで失敗する3つの理由

[PR/ITmedia]
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ISID 製造業を中心に、多くの企業の新規事業や新商品立案を支援してきたiTiDコンサルティングの大屋雄さん

 最近はAI(人工知能)やIoTがトレンドになり、「うちもAIやIoTで何かできないか」と考え、それに取り組む企業が増えている。

 しかし、多くの企業において新しい取り組みはうまくいかない。その理由は何なのか。

 「企業の経営層は、AIやIoTを使えば素晴らしい新事業が起こせるという幻想を抱きがちです。高度経済成長の時代なら、トレンドに乗っていれば事業が成功することもありましたが、今はもうそんな時代ではありません。AIやIoTを魔法の杖のように思っているうちは、なかなか成功しません」――製造業を中心に、多くの企業の新規事業や新商品立案を支援してきたiTiDコンサルティングの大屋雄さんはこう話す。

 「一方、昨今は働き方改革や業務の効率化をより強く求められ、現場の社員が新しいことに挑戦する余裕はありません。このような状況ではイノベーションは起きません」

 新しい技術に理解のない経営陣。挑戦できる環境がない社員たち。日本企業が古くから抱える問題点のようにも見える。一方で「新しいことに対して具体的な取り組みを始めている企業でも、その取り組みの多くはうまくいっていない」という。

 企業が新しいことに取り組む際には、その実効性を検証するため、「PoC」(Proof of Concept:概念実証)を行う。大屋さんは「多くの企業において、ここでつまづいているケースが散見されます」と指摘する。

 なぜ、多くの企業がPoCでつまづくのか。

「PoCで失敗する」3つの理由

 PoCでつまずく企業には、主に以下の3つの理由が挙げられるという。

  1. 当事者意識が薄く、外注へ丸投げする
  2. 適切な目的を設定できていない
  3. 目的と行動がずれている
PoC 本来のPoC

その1:当事者意識が薄く、外注へ丸投げする

 IoTやAIのような取り組みを企業で新しく始めるとき、その役割を担うのは誰になるだろうか。これまでにそれを専門としていた部署は社内にはないため、一見すると似ている情報システムの部署や、新戦略を考える部署を新設して、そのメンバーが考える、というのがよくあるパターンだ。

 しかし彼らにとっても初めてのことであり、何をどう進めるべきか分からないため、AIやIoTのPoCを請け負う外注を頼ることになる。外注をうまく使えれば問題ないが、内容が分からないまま丸投げをしてしまうケースが多い。

 経営層の考え方だけでなく、組織構造や人事評価などにも原因があるという。社内評価を気にする現場担当者は「分かりやすい実績」に固執してしまうからだ。

 「実績が重んじられる会社におけるキャリアアップを考えると、現場の社員は失敗をしたくないもの。そういう意味では、成果が出るかどうか分からない新規事業開発に積極的に挑戦するメリットがありません。何かやっていることをアピールしないといけないので、『とりあえずPoCはやりました』という実績を示すことが目的になってしまう。そのように始めたプロジェクトが、その先に進むことはありません」(大屋さん)

その2:適切な目的を設定できていない

 また、よく見られるというのが「適切な目的を設定できていない」パターンだ。

 IoTやAIを導入するためにとりあえず現状の機器や環境にセンサーをつけておいて、クラウドでデータをためてみても、新規事業を立ち上げる意味や目的を最初に設定できていないと、「とりあえずデータを集めてみたが、そこからどうすればいいのか分からない」「興味深い知見は得られたが、実際の収益に結び付けられない」といった結果に終わってしまう。

 「とりあえずデータを取るところから始めると、その先が難しい。面白いデータが取れればお金になるかといえば、それは別の話です」

その3:目的と行動がずれている

 なんとか目的を設定できたとしても、「やりたいことと、やっていることがズレている」ケースもある。

 例えば、製造業の企業が「機械のメンテナンス回数を減らしたい」「稼働率の最適化をしたい」と考えるなら、その目的に沿ったセンサーの配置やデータ収集をしなければならない。

 しかし、いざ取り組んでみると、取得したデータでは不十分だったり、そもそもデータの取得方法が不適切だったりする場合がある。

 大屋さんは「やるべきことではなく、やれそうなことから取り組むと失敗してしまう」と指摘する。この失敗を避けるためには、目的に沿ってデータの取得場所、頻度、取得方法などを設計しないといけない。目的や必要な要件をしっかり考えていないと、実装段階でズレが生じてしまうのだ。

求められる「顧客価値」という視点

 これらの失敗パターン全てに共通する“根本的な原因”は「顧客価値という視点が抜けていること」だという。自社が顧客に対してどのような価値を提供できるのか、顧客は何に対してうれしいと感じるのか――という視点だ。

 「顧客は自分の生活が楽しく、快適になるからお金を払うんです。その価値を提供できる企業は利益を得られる。顧客にとっての“うれしい”にこそ価値があるのに、そこがすっかり抜け落ちてしまうのは問題です」

 大屋さんは「AIやIoTは手段であり、それ自体が価値ではありません。また、企業で働いていると、自社の利益や自分の立場を守ることに気持ちが向きがちですが、まずは顧客価値を考えなくてはいけません」と続ける。

 では、どうすればPoCで失敗するパターンを回避し、顧客価値を生み出せるようになるのか。

プロジェクト成功のために「押さえるべきポイント」

 「適切な目的を設定するには、顧客価値から検討することが重要です。顧客価値を考える上で、押さえるべきポイントは決まっています」と大屋さんは話す。 「まず、人間は何があったらうれしいのか、どうなったら楽しいと思うのかをプロジェクトメンバーにフレームを用いて広く発想してもらいます。そしてその中から実現させたい価値を選んでいきます」

 iTiDコンサルティングでは、顧客価値を考えるフレームとして「K-Matrix」と呼ばれる発想法を用いているという。

ISID 顧客価値を考える発想法「K-Matrix」

 提供したい価値が決まったら、実現するための手段を考える。「この順序が大切です。先に手段から考えても価値に結びつかなければ意味がありません」

 同社では、実現手段を検討する際に実現すべき価値を細かい要件に分解し、どんな技術や設備が必要になるかを独自のメソッドで導き出している。

 「手段を考え始めると、どうしても実装しやすさに引っ張られてしまい、達成すべき顧客価値から離れてしまうことがよく起きます。ツリーで価値と手段をつなげて考えることにより、そうした乖離(かいり)を防いで適切な実装を検討することができます」

ISID 顧客価値を実現する手段を導き出す「価値手段ツリー」

 こうした進め方で重要なのは、発想の起点を「世の中(=企業の外)」に置いていることだ。自社のメンバーだけで考えると、どうしても手持ちの技術や製品の枠組みで「自分たちにできることは何か」と考えがちになる。そうした自社起点の発想を捨てることこそが、プロジェクト成功への第一歩だと、大屋さんは指摘する。

 ただ、自社に身を置きながら、内向きの発想を捨て去ることは容易ではないはずだ。なかなか成功パターンをつかめず四苦八苦している企業は、外部の手を頼ってみるのも一つの手だろう。

 「企業がAIやIoTを活用して新しいことを始める際に、多くのSIerはPoCや運用だけを請負うケースが多いが、それでは部分的にAIやIoTを手段として提供しているだけに過ぎず、顧客企業の価値創出に貢献できているとは言い難い。ISIDグループでは価値構想検討から一緒に行うことにより、以降のPoC、構築、運用まで有効なデジタル活用をご提案することができます」

ISID 電通国際情報サービス(ISID)によるビジネス実現のプロセス(iTiDはISIDのグループ会社)

 正しい発想や手段といった土台さえ作れれば、その後は社内での工夫によってプロジェクトを軌道に乗せることもできるだろう。

 PoCは新規事業の初期段階でありながら、その時点でプロジェクトの成否を決める重要な節目だ。成功への糸口を見いだせずに閉塞(へいそく)感を抱える企業や、打開策が見つからないと感じている企業は、まず一度「成功パターン」を実感してみてはいかがだろうか。きっと、これまでにない新たな視点が得られるはずだ。

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