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» 2019年04月17日 10時00分 公開

青天井で増えるデータを「うまく使えないか」――創業50年、ビル管理の老舗が踏み出した一歩

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 「建物が建ってから“生涯”を終えるまで、得られるデータはどんどん増えていく。それらをうまく利用すれば、より少ない人手でも管理ができ、より高度な取り組みも可能になるのではないか」――竹中工務店のグループ会社で、建物管理事業を手掛けるアサヒ ファシリティズの中島大介氏(ICT推進室 課長)はそう話す。

 創業から50年、「業界全体の売上高は伸びていて、当社も堅実に業績を伸ばしている」(中島氏)というが、管理する建物が増え、管理業務の範囲が広がるとともに、取り扱うデータの量・種類も増大する中で、中島氏らは「建物に関するさまざまなデータを統合的に収集・活用して、建物管理の効率化、高度化を図らなければならない」と考えていた。そんな悩みを抱えていた同社は、Microsoftのクラウドプラットフォーム「Microsoft Azure」の活用によって新たな一歩を踏み出した。

「滞りなく使えてはいたが……」

photo アサヒ ファシリティズの中島大介氏(ICT推進室 課長)

 アサヒ ファシリティズは、建物が建ってから生涯を終えるまで、建物の設備管理、清掃や警備、改修・更新工事に至るまでをサポートしている。管理物件数は、日本全国で2029件(2018年12月時点)に及び、オフィスビル、商業施設、ホテル、病院、スタジアム、教育施設など多岐にわたる。

 建物をより効率よく管理するため、ICTを活用した取り組みは「早い段階から進めてきた」(中島氏)。24時間365日、建物の状況を監視する「遠隔管理システム」もその一つだ。設備の故障などが起こると、管理する建物から警報をリアルタイムで受信。アサヒ ファシリティズの技術員が現場に急行し、原因確認や応急処置などを図る。中島氏は「当社は1970年代には、遠隔管理の仕組みを構築していた」と話す。

 これまで遠隔管理システムは、アサヒ ファシリティズがオンプレミスで運用し、サービスを提供してきた。「滞りなく使えてはいたが、よりよく使いこなせないか」という思いがあったという。そこで、ハードウェアを入れ替えなければいけないタイミングでシステムを見直し、Microsoft Azureの導入も決めた。

 システムの見直しの背景には、取り扱う物件数が増え、「サービスをより多くのお客さまに提供することになっても、ハードウェアリソース増強などの対応はスムーズに行わなければならない」(中島氏)という理由があったが、さらに“踏み込んだ”狙いもあった。

 「遠隔管理サービスは継続して提供しなければならない一方、建物から収集したあるデータと別のデータを組み合わせると、より高度なことができる場合がある」(中島氏)

 これまでアサヒ ファシリティズは、遠隔管理システム以外にも、目的に応じてシステムを自社開発してきた。そうした他のシステムで集めたデータ、例えば「定期点検・メンテナンス時のデータ」と、遠隔管理システムから集めた「警報のデータ」を結び付けると「どこに攻めどころ(改善の余地)があるかが分かる」(中島氏)。しかし、こうしたシステムは独立して作られていたため、データの処理・蓄積のレイヤーでの連携が難しかったという。

 「表計算ソフトでデータを集計して眺めてみると、改善できる点はたくさんあると思えた」と中島氏。しかし、そのために人手でデータを出力し、見比べるという作業は効率がよくない。さらに外部のシステムとの連携も考えるとなおさらだった。

 「建物管理にまつわるさまざまな情報を、相互に活用できる仕組みは必然になってくる。システム上でフレキシブルにデータ同士を組み合わせられる、そんな『建物情報プラットフォーム』が必要だと考えた」(中島氏)

 建物に関するデータを共通の基盤で処理・蓄積できるようにし、さらにはAI(人工知能)技術を活用して分析する――中島氏らは、そんな構想を描く。そのためには、管理物件が増えても、これまで通り同じシステムを使えるという拡張性に加え、他のシステムとの連携しやすさ、一貫したセキュリティ対策なども必須条件だった。

「仕組みを熟考した」新システム

 こうした構想を基に、アサヒ ファシリティズはソフトバンク・テクノロジーの協力のもと、2017年秋にPoC(概念実証)をスタートした。結果を踏まえて要件定義を行い、Microsoft Azureを活用したシステム開発を始めたのが18年7月ごろ。急ピッチで開発し、19年2月に運用を始めた。

 新しい遠隔管理システムは、次のような仕組みだ。監視対象の建物設備に異常が発生すると、送信装置がモバイルもしくは固定回線経由でAzure上に構築したシステムに警報データを送る。アサヒ ファシリティズが運営する監視拠点のオペレーターは、システムが受信した警報データをWebブラウザ経由で確認可能に。さらに、現場に駆け付ける技術員のPC、タブレット端末からも警報の情報を閲覧できるようにした。

photo システム全体の構成図

 「警報が発生しても、短時間で復旧している場合もある。これまでは、オペレーターの指示を受け、技術員が駆け付けると、既に復旧していたというケースもあった。いずれにせよ現場確認の作業は必要だが、技術員がリアルタイムで状況を参照できるようにし、次のアクションを迅速に考えられる仕組みを作った」(中島氏)

photo 監視対象のビルで発生した異常の内容を、現場作業員がリアルタイムで確認できるようにした

 技術員が主体の遠隔管理業務にシフトすることで、業務の効率化を狙う。ソフトバンク・テクノロジーの中内浩嗣氏(技術統括 クラウドソリューション本部)は「モバイル回線やクラウドなどの技術が成熟してきたため、実現できた」と話す。

 19年2月現在、遠隔管理のために送信装置を設置している物件数は数百件。各ビルにある送信装置の“先”には、空調・電気・給排水設備など、あらゆる設備が存在し、それらが発する警報の取り逃しは許されない。中内氏は「警報だけみると接続設備の数はそれほど多くはないが、確実に検知するため、仕組みを熟考した」と振り返る。

 加えて、中内氏は「将来は、計測ポイントが増えることも考慮した」と力説する。故障を知らせる警報だけでなく、エネルギーの使用状況、温湿度の変化など、さまざまなIoTセンサーデータも取り込めるようにする計画だ。

「建物から得られるデータは青天井」

photo ソフトバンク・テクノロジーの中内浩嗣氏(技術統括 クラウドソリューション本部)

 「今後、機械学習、AI(人工知能)技術を活用するとなったとき、オンプレミスやプライベートクラウドを採用していると、結局、追加の開発が伴う。パブリッククラウドであるMicrosoft Azureを選べば、そうした機能がクラウド上で提供されており、容易に拡張可能と判断した」――中内氏は、そんな展望も明らかにする。

 例えば、集めたデータを分析するために、Microsoft Azureのクラウド環境上で機械学習を実行できるようにする「Microsoft Azure Machine Learningサービス」などを、立ち上がり早く導入できると考えている。既存のライブラリ、モデルを使えるメリットもあるという。

 中内氏は「データのやりとりが容易。今回運用を始めた遠隔管理システムと、他のシステムの間で、収集・蓄積するデータの共通化を図りやすい」とも説明する。「将来を見据えた機能やサービスがそろっていることが優れている点だ。他のクラウドサービスと比べると、単品の機能だけをみれば強み、弱みはあるが、トータルで優位性がある」

 さらに、アサヒ ファシリティズの中島氏は、データを収集するエッジ側でMicrosoft Azureのサービスを実行可能にする「Azure IoT Edge」にも期待を寄せる。例えば、建物内のカメラが撮影した映像を、クラウド側ではなくエッジ側で処理し、故障などの兆候を判定する――といった活用も検討している。

 将来的にエッジでの処理に重きを置く場合でも、Azure IoT Edgeであれば既存のワークロードをエッジ側にデプロイしやすい点を、中島氏は評価しているという。「そうしたエッジでの処理の部分も見据えて、Microsoft Azureを採用している」

 「建物から得られるデータは青天井」と中島氏は語る。全てのデータをデジタル化できるわけではないが、システムを高度化すればするほど使えるデータは「桁違いに増えていく」。そうしたデータを建物の未来に役立てるため、アサヒ ファシリティズの挑戦は続く。

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アイティメディア営業企画/制作:ITmedia NEWS編集部/掲載内容有効期限:2019年5月16日

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