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» 2019年05月28日 10時00分 公開

「現場が回らない」介護業界、IoTで改善 コニカミノルタの新事業

[PR/ITmedia]
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 「効率化しないと『現場』が回らなくなってきています」――介護事業を展開する医療法人社団康明会 とよだ居宅介護支援事業所(東京都日野市)所長の菅原拓氏はそのように現状を話す。

 あらゆる分野で人手不足が叫ばれているが、介護業界はとりわけ厳しい人手不足の波にさらされている。現場では要介護者に寄り添うきめ細かなケアが求められるが、細かいノウハウや日々の申し送り事項を介護の現場で共有しようにも紙のメモに頼るケースがほとんどで、属人化しがちだった。

 こうした介護事業の課題を解決しようと、コニカミノルタが取り組んでいる。コニカミノルタというと、複合機や産業用光学システムのイメージが強いかもしれないが、2013年ごろからはそれらで培った技術を生かした新規事業を検討。その一つが介護事業だった。

「知れば知るほど、大きな課題があった」

photo コニカミノルタQOLソリューションズ 取締役 事業戦略部部長 野田篤広氏

 当初はセンシング・画像処理技術を生かしたお年寄りの見守りという観点から介護領域へのソリューション提供を検討し始めたコニカミノルタ。だが「知れば知るほど、構造的に大きな課題があると気付き、われわれのICT技術で現場とバックヤードをつなぐことでお手伝いできないかと考えました」(コニカミノルタQOLソリューションズ 取締役 事業戦略部部長 野田篤広氏)。そんな狙いから、2016年にリリースしたのが「ケアサポートソリューション」だ。

 ケアサポートソリューションでは、近赤外線カメラとドップラーセンサーを介護施設に導入し、入居者の動きを認識することで、事前に状況判断して業務を行えるようにし、夜間などの見回りの負担も減らす。転倒・転落などの事故が発生した際はドライブレコーダーのように前後の画像を記録し、原因は何か、どんな再発防止策を打つべきかを、事実に基づき行うことが可能だ。

 介護スタッフは、どんなケアを行ったかをスマートフォンを用いてその場で記録するとともに、「今日は体調がよさそうです」といったちょっとした気付きも共有できる。ナースコールに振り回され、ペーパーワークに追われがちな現場の負荷を減らし、業務を効率化することで、本来のケアに当てるべき時間を増やす――それが、ケアサポートソリューションの狙いだ。実際、ケアに充てる時間が2.5倍に増えた事例もある。

photo 介護施設の天井に取り付けるセンサー。起床や転倒・転落など、入居者の動きを認識する

「クラウドを使うしかない」 在宅介護の負担も軽減へ

 コニカミノルタは、このケアサポートソリューションを、当初の対象である介護施設向けだけでなく、居宅(在宅)介護分野にも広げようとしている。

 在宅介護の場合は、1人の要介護者に対して複数の介護事業者がサービスを提供するため、ステークホルダーが非常に多く、要介護者の生活サイクルも考慮しながら訪問介護や訪問リハビリといったサービスを最適化することは困難だ。この分野にもケアサポートソリューションを提供することで、効率化と負担軽減を支援できるのではないかと考え、2016年から開発を進めてきた。

 ただ、ここで検討しなければならなかったのが、インフラの在り方だ。施設向けのソリューションならば場所が決まっており、行動分析センサーの数も把握できるためオンプレミスのサーバでサポートできる。だが在宅介護となると、あちこちに分散した不特定多数の個人宅を見守ることになり、インフラの設計が難しい。今後の技術進展やIoTデバイスの増加に伴って、モニタリングするデータ容量が飛躍的に増える恐れもある。

 「こうした要件を考えると、在宅向けのケアサポートソリューションではクラウドを使うしかないと最初から思っていました」(コニカミノルタ 産業光学システム事業本部 QOLソリューション事業部 データビジネス開発部 サービス企画グループ アシスタントマネジャー 山下雅宣氏)

photo コニカミノルタ 産業光学システム事業本部 QOLソリューション事業部 データビジネス開発部 サービス企画グループ アシスタントマネジャー 山下雅宣氏

 多くのクラウドサービスの中からコニカミノルタが実証実験用に選んだのは「Microsoft Azure」だった。選定で重視したポイントの一つは、迅速に開発ができることだ。住宅向けケアサポートソリューションについても、完成しきったものをリリースするのではなく、現場のニーズを見ながら素早く開発を進めていくことが求められた。それには「PaaS(Platform as a Service)でクイックに作れるAzureが適していました」と山下氏は振り返る。

 もう1つのポイントはセキュリティだ。介護に関するセンシティブな情報を取り扱う以上、万が一にも盗み見られるようなことがあってはならない。その点、デバイス認証機能や通信の暗号化機能を備えた「Azure IoT Hub」は最適だった。「機器の管理や死活監視を一元的に、楽に行えます。もし自前で用意しようとしたら大変な手間がかかっていたでしょう」(山下氏)

「ブラックボックスだった」高齢者の生活が分かるように

 コニカミノルタは2018年から、Microsoft Azure上に構築した在宅向けケアサポートソリューションのプロトタイプを用いたコンセプト検証に取り組んでいる。同社の拠点がある日野市を通じてパートナーを集い、趣旨に賛同した事業者が居宅介護支援事業所 康明会だ。「業務負担の軽減といったわれわれの課題を解決できると考え、協力しました」(菅原氏)

 1つの建物の中に関連する介護・看護スタッフがおり、24時間“誰かの目”がある介護施設とは異なり、「在宅介護はブラックボックスになりがち」という。「誰も見守っていない時間がどうしても生じてしまいます。何かあったときにいち早く発見できるソリューションが必要だと考えていました」(菅原氏)

photo 医療法人社団康明会 とよだ居宅介護支援事業所(東京都日野市)所長の菅原拓氏

 そこで康明会は2018年11月〜12月、同意を得た上で、在宅向けケアサポートソリューションを数件の介護対象者に導入してみたところ、作業の効率化によるケアマネジャーの負担軽減はもちろんだが、予想していなかった効果もあった。

 「センサーによって、これまでブラックボックスだった要介護者の生活リズムが文字通り手にとるように分かるようになりました」と菅原氏。ある家では、これまでよかれと思って午後に訪問していたが、いつもは昼寝の時間なのに、訪問日だけ起きてくれていた――ということが分かった。「お互いの気遣いで口に出せなかったことも含め、データに基づいて生活リズムを妨げないタイミングで訪問時間やリハビリなどの計画を立てることができ、寄り添った介護が可能になりました」(菅原氏)

 「一人暮らしのお年寄りの中には、別居する家族が安心のために自分たちで見守りカメラを設置する例もあります。今回の導入先は、いずれも一人暮らしの方でしたが、こうしたソリューションによって、一人暮らしの不安感が誰かにつながっている安心感に変わることを期待しています」(菅原氏)

今後のクラウドシステムへの期待

 IoTデバイスをクラウドに接続してデータを収集・蓄積する仕組みは整ってきている。今後は、膨大なアナログデータのハンドリングやデータのばらつきへの対応、個人的なデータの取り扱いへの対応が重要となってくる。

 例えば「高速・大容量」が特徴の「5G」(第5世代移動通信システム)が実用化した暁には、センサーやカメラからより多くのデータを取得でき、用途も広がるだろう。そうすると、大量のデータの中から必要なものだけを拾い上げるデータクレンジング技術や、AI(人工知能)を活用した高度な行動解析技術も求められる。「プライバシーやデータの秘匿性を守る仕組みが提供されていることも、プラットフォームを選択する鍵になってくる」(山下氏)

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 未曾有の超高齢社会に突入する中、介護業界の人材不足は深刻化の一途をたどっている。「ケアマネジャーもホームヘルパーも人材不足で、本来提供すべきサービスが滞り始めている状況です。限りある人材で高齢者対応に当たるには、業務をより効率化しなければ、現場が回らなくなり始めています」(菅原氏)。コニカミノルタはそんな介護の現場を、ケアサポートソリューションを通じて支えていく。

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アイティメディア営業企画/制作:ITmedia NEWS編集部/掲載内容有効期限:2019年6月27日

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