「Shall we ダンス?」「がんばっていきまっしょい」「ウォーターボーイズ」など、数々の人気映画を生み出してきた映画プロダクション、アルタミラピクチャーズ。同社は専任の情シスを置かず、映画の助監督などを務める堀田弘明氏がサーバ担当者を兼任している。堀田氏は就任当初、映画公式サイトに熱心なファンのアクセスが殺到した時の“サーバ落ち”など、共用サーバの負荷が高まった際のパフォーマンス低下に悩んでいた。そこで社内のITインフラを見直し、GMOクラウドのクラウドサーバ「ALTUS」に切り替えた。このサーバをなぜ選んだのか? 日々の映画製作にどう役立っているのか? 堀田氏の見解を聞いた。
東京・渋谷の雑踏から少し離れた静かなマンションの一角に、コアな映画ファンならば誰もが知る実力派の製作プロダクションが入居している。「Shall we ダンス?」「がんばっていきまっしょい」「ウォーターボーイズ」など、数々の人気映画を生み出してきたその企業は、社名をアルタミラピクチャーズという。
同社は、プロデューサーの桝井省志氏と小形雄二氏、映画監督の磯村一路氏と周防正行氏の4人が1993年に創業。主なヒット作は上記のほか、「スウィングガールズ」「それでもボクはやってない」「ロボジー」などがある。
作品はオリジナルのものが多く、独自の企画を練り、丹念に取材した上で製作している。ウォーターボーイズは、男子のシンクロナイズドスイミングを特集したドキュメンタリー番組を見たプロデューサーの発案で制作に至ったそうだ。
このほか、「音楽ドキュメンタリーシリーズ」と題し、高田渡、ザ・ゴールデン・カップス、遠藤賢司、こまどり姉妹、田端義夫――といったアーティストを題材にしたドキュメンタリー映画も製作。幅広いジャンルを取り扱っている。
アルタミラピクチャーズでデザイナー・コンポジター・助監督・制作部などとして活動している堀田弘明氏は「オリジナル作品は、元になる小説や漫画が存在しないため、企画から取材・本づくり・オーディション・撮影・編集・劇場公開・パッケージ販売まで含めると、一連の制作プロセスには3〜4年かかります」と“裏側”を明かす。
映画製作後の宣伝にも携わっているため、作品の公式サイトを制作・運営するのはデザイナーを兼ねている堀田氏の仕事だ。ファンに映画の魅力をしっかり伝えられるよう工夫しており、スウィングガールズの公式サイトに当時人気だったBBS(掲示板)を設置したこともある。ただ、熱心なファンの書き込みや意見交換が殺到してサーバが“落ちて”しまったそうだ。
堀田氏はPCに詳しいことから、“兼任情シス”のような形でサーバの運用と管理も任されており、サイト制作をWebサーバの構築フェーズから担当している。前述のサーバダウンの際は共用のレンタルサーバを使用しており、提供元に連絡することで事なきを得たが、その後も負荷がかかった際のパフォーマンス低下に悩むことは少なくなかったという。
そんな堀田氏が現在、自社のWebサーバとして活用しているのが、GMOクラウドが提供するIaaS型パブリッククラウドサービス「ALTUS」(アルタス)。申し込み画面や管理画面に分かりやすいUI(ユーザーインタフェース)を採用し、15分程度で利用を始められる“初心者にやさしい”クラウドサーバだ。
レンタルサーバは提供元が運用を代行してくれる点、VPSは低価格で運用できる点などのメリットがあるものの、アプリの追加や容量・台数の変更ができないデメリットがある。映画の公式サイトはアクセスが作品公開日の前後に急増し、時間とともに減少するため、リソースの柔軟性に欠ける両サーバでは変化に対応できないのだ。
一方、ALTUSは複数台のサーバを構築して使い分けたり、ニーズに応じて拡張・縮小したりといったIaaSならではの特性を持つ。「負荷に応じてリソースを変更でき、使った分だけ課金するALTUSに変えてからは、公式サイトにアクセスが集中してもサーバがダウンするトラブルはなくなりました。初期費用がゼロで導入のハードルも低く、コスト削減にもつながっています」と堀田氏は明かす。
アルタミラピクチャーズは、公式サイトの基盤としてだけでなく、社内のITインフラとしてもALTUSを重宝している。例えば、ファイルサーバとして活用し、映画製作時にスタッフ間で映像ファイルを共有したり、映画の配給先である劇場にチラシを送ったりといった使い方をしている。メールサーバとしても活用し、独自ドメインのメールアドレスの発行や削除も行っている。
こうしたサーバ運用に役立つのが、黒画面にコマンドラインを入力しなくても、コントロールパネル上のメニューを選択するだけでサーバの設定ができるツール「Plesk」(プレスク)だ。ALTUSはこのツールとの連携に対応しており、簡単な設定のみで利用を始められる。連携後は直感的な操作が可能なので、コーディングの知識がなくてもサーバを自在に使いこなせるのだ。
PCの知識はあるものの、コーディングは門外漢だという堀田氏は「帯域を確保したり、Webサイトのドメインを取ったり、社用のメールアドレスを発行・削除したりといった作業が瞬時にできるので助かっています。現在、社内ドメインは12個、社用メールアドレスは20個ほどありますが、ボタン一つで管理できますし、履歴も残るのでミスも防げます」とPleskの有用性を説明する。
「コマンドラインをゼロから勉強すると、マスターするのに数カ月もかかるはずです。私には扱えないので、他の担当者が必要かもしれません。Pleskを使えばその手間や人件費を解消できるので、通常の業務への影響はわずかで済んでいます」
手厚いサポート体制も魅力で、「電話でのサポートが充実しており、何か質問をすると、Pleskの豊富な知識を持つ担当者から的確なアドバイスをもらえる点もありがたいです。メールのSPF(なりすまし防止のためのドメイン認証)など、やや難易度の高い作業で迷ったこともありましたが、電話を1本入れて『どうすればいいですか?』と聞くとすぐに手順をレクチャーしてくれました。担当者はこちらのサーバやPleskの設定を詳しく把握しているので、時間をかけて説明する必要もありません」という。
会社のITインフラを管理しつつ、本業の映画製作では助監督や美術応援、VFXを手掛けるなど、複数の役割を一手に担ってきた堀田氏。スピーディーかつ柔軟に運用できるALTUSとPleskは、同氏の本業を圧迫しないことで、ヒット映画の誕生を支えているのだ。
堀田氏は今後も両ツールを駆使し、アルタミラピクチャーズの映画作りと宣伝を支えていく。直近では、スウィングガールズを手掛けた矢口史靖監督の最新作で、同監督初のミュージカルコメディ映画である「ダンスウィズミー」の公開が9月に控えている。公式サイトはすでにローンチ済みで、これからPRを加速させていく。
スウィングガールズの流行から15年が経ち、ファンはBBSではなくSNSで交流する時代になった。アルタミラピクチャーズはそんな潮流の移り変わりに対応し、サーバと同じく宣伝手法も柔軟に変化させていく。
堀田氏は「TwitterやFacebookなどのSNSが台頭するにつれ、映画の公式サイトに求められる役割が変わってきました。時代の変化にしっかり対応し、今後はSNSを活用した宣伝や公式サイトへの送客などを取り入れていきます。ALTUSとPleskがあれば、どんな宣伝手法にも対応できるでしょう」と力強く語った。
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アイティメディア営業企画/制作:ITmedia NEWS編集部/掲載内容有効期限:2020年3月31日