社員が安心して働ける企業はスピード成長する ピョートル氏が提言する「本当に必要な組織変革」は

» 2019年08月01日 10時00分 公開
[PR/ITmedia]
PR

 「働き方改革」の本質は、テクノロジーや手法の改善を取り入れることで業務を効率化したり、仕事と生活が調和するワークライフバランスを実現したりすることだ。

 ところが、多くの日本企業が取り組んでいる働き方改革は、逆効果を生んでしまっているのではないかと主張をする人がいる。経営や組織戦略、人材育成などのコンサルティングを請け負うプロノイア・グループの代表取締役で、多数の著書も手掛けてきたピョートル・フェリクス・グジバチ氏だ。

 企業が成長しながら、従業員が働きがいを見つけ、仕事に集中して生活の質を高めていくために、必要なこと、そして捨てるべき常識とは何か。

働き方改革をやめて「生き方改革」に注力する

photo ピョートル・フェリクス・グジバチ氏

 日本は人口減少に伴って労働人口も減少傾向にある。企業が働き方改革を推進するのは、優秀な人材を流出させず、さらに獲得し続けていくという意味も大きい。

 ピョートル氏は、仕事の在り方が「Work 1.0」から「Work 3.0」に変化していると話す。Work 1.0では従業員に勤勉さと従順さが求められたが、Work 3.0では0から1を生み出せるクリエイティブな人材が求められる。

 1.0で求められた勤勉さや専門性は、AI(人工知能)や、不特定多数にタスクを割り振るクラウドソーシングで入手できる時代になっているからだ。

photo

 どうすれば良質な人材を採用できるのか。社内での働き方改革を以前より精力的に実行して“ホワイト企業”であることをアピールすればいいのか。

 ピョートル氏が訴えるのは、企業は働き方改革ではなく「生き方改革」に着目するべきで、遂行するべき本質は「経営改革」ということだ。

 「経営の方針をしっかりと定め、会社のミッション、ビジョン、戦略を定めた上で実行できるビジネスモデル、組織作りをしていくこと。また、目標に従業員が向かえるようなメンタリングコーチを行い、目標に対する評価を行うといったマネジメントを行うことが重要です。マネジメントがうまくできていない日系企業が多いように思います」(ピョートル氏)

photo

 さらに「会社の軸だけでなく、個人の生き方の軸を定められるようにする必要がある」とピョートル氏。大企業に入社すると、若い頃に持っていたはずの「世界にもたらしたいこと」「やりたいこと」といった夢が無くなってしまいがちだという。

 「世界に何を与えたいか、世界から何を得たいかといった軸を持っていれば、仕事についてのフィロソフィー(哲学、考え方)も定まり、目標を持って仕事に取り組めるのです」(ピョートル氏)

 従業員がどのように仕事に取り組みたいかを会社が把握していれば、お互いの関係性は良くなり、真の働き方改革につながるというわけだ。

 これらを踏まえ、会社側も人材側も軸が定まったとしたら、次はどのようなステップへ進むべきか。

スピーディーに成長しているユニコーン企業に学ぶ

 ここでピョートル氏は、10億ドル規模にまで育った未上場のスタートアップ企業、いわゆる「ユニコーン企業」の考え方から学びが得られると話す。多くのユニコーン企業は、次のような新しいビジネスの考え方を持っている。

photo
  • 一見すると愚かなアイデアを取り入れる
  • 最初からマネタイズをしない
  • 新しい行動パターンをつくる
  • 競争が激しい飽和市場に参入
  • 経験がない創立者

 例えば「民泊」という言葉を世界中に広めた米Airbnbは、ビジネスのスタートからわずか5年で米国ホテル業界のトップに登り詰めた。

 Airbnbは「自分の家の空き部屋を人に貸す」という、一見すると愚かな考えを取り入れ、マーケット作りを重視し、競争の激しい宿泊市場に参入。そして創立者は業界の常識を持っていなかった。

 「今は一気にサービスを世界中に広げられるテクノロジーがあるので、Airbnbは顧客に新しい価値を提供できました」(ピョートル氏)

 一度覚えた過去のやりかたを忘れて学び直す“学びほぐし”も大切だ。忘れるべき古いやり方、またそれに取って代わる方法とは何か。ピョートル氏は次のキーワードを挙げる。

  • 「モノづくり」──モノを作るだけではなく、仕組みづくりも同時に行う
  • 「強欲」──他人とともに新しい世界を作っていくという利他主義的な考えを持つ
  • 「クローズド自前主義」──ユーザーや顧客とともに新しいプロダクト、新しいサービスを作っていく
  • 「トップダウン」──経営者が全てを知っているわけではない。チームメンバーが自発的、自律的に働けるようにすることで、集合知が生まれ、イノベーションが生まれる
  • 「ピラミッド」──ピラミッドは死者のもの。変わっていく生きた組織づくりを心掛ける
  • 「計画主義」──計画ありきではなく、走りながら情報を集め、プロトタイプを回す。変わってもいいという経営をしながら学ぶ
  • 「プレイングマネジャー」──解決策は現場ではなく、マネジャーに見つけてもらう
  • 「鵜飼(服従させて管理するような状態)」──社員が持っているスキルを生かし、夢をかなえられるようにマネジメントして、彼らがポテンシャルを発揮できるよう育てていく

月曜日が待ち遠しくなるような施策を

 ピョートル氏は「月曜日に会社に行きたい!」と思う人が日本には少ないと指摘。日本人の生産性はG7(先進7カ国)の中で最も低い。その理由は「働きがいのなさ」だ。

 働きがいが感じられず、生産性が低いのは「4つのエネルギーを満たしていないからだ」とピョートル氏は理由を推測する。

 4つのエネルギーとは「身体」「感情」「集中」「生命」のこと。体が健康で、幸せを感じられていれば、自然とパフォーマンスが上がって物事に集中できる。仕事に夢中で取り組めれば、生命力が上がるという。

 しかし、一時的な対処では4つのエネルギーを満たせない。エネルギーは長期的に「育む」必要があるとピョートル氏は語る。個人の力が経営に大きな影響を与える中で、企業が価値ある人材を採用するには、テクノロジーと結びついた制度のある組織づくりが急務だ。

 「つまらないルーティンワークをなくし、能力のある社員がクリエイティビティやスキルを発揮できるような環境を作る必要があります」(ピョートル氏)

photo

従業員がフロー状態の時間が長い=企業の成長性は高まる

 優秀な人材が高いパフォーマンスで仕事をするには、4つのエネルギーを満たすことの他に、好奇心をもって楽しみながら集中している「フロー状態(またはゾーン)」に入れるような環境を作ることも大切だ。

 プロノイア・グループの調査によれば、日本の企業で働く人が8時間の業務中にフロー状態に入っているのは平均で30分程度だ。ピョートル氏はこの時間を増やすことでパフォーマンスはもっと増えると強調する。

photo

 従業員がフロー状態に入りやすくするためには、職場でネガティブなプレッシャーを受けることなく、安心して自分らしく働ける環境の構築が大切だ。プロノイア・グループでは次の3つの行動指針を打ち出している。

  • 「Play Work」──遊ぶように働く
  • 「Implement First」──前例を作っていく
  • 「Offer Unexpected」──考えもしなかったようなことを提供していく
photo

 プロノイア・グループにはこんなエピソードがある。社員たちがピョートル氏を模したキャラクターを勝手に作り、LINEスタンプとして販売したり、資料に使ったりし始めた。同社は経営者や上司に多少イタズラしたとしても、辞めさせられないという“心理的安全性”がある。このような環境なら、仕事中は従業員がフロー状態に入りやすくなり、いろいろな場面でアイデアを出しやすくなる。結果的に会社が経営者一人の限られた知識ではなく、集合知によって成長していける状態になる。

 「働き方には会社だけでなく、個人の力も関わっているということを念頭に置いた組織作りをしていただけますように」(ピョートル氏)

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.


提供:レノボ・ジャパン株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia NEWS編集部/掲載内容有効期限:2019年8月14日