AI×RPAで働き方が変わる?! 自動化を“パーツ”から“全体”に広げる4つの活用ケース

RPAとAIを掛け合わせることで、これまでできなかったどんな作業を、どこまで自動化できるようになるのか――。UiPathのパートナーソリューション本部 テクノロジーパートナー部でマネジャーを務める鷹取宏氏に聞いた。

» 2019年11月07日 10時00分 公開
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Photo UiPathのパートナーソリューション本部 テクノロジーパートナー部 マネジャーの鷹取宏氏

 RPAとAIを掛け合わせることで、これまで「RPAだけでは自動化できなかった作業」はどこまで自動化できるようになるのか。AIとRPAを組み合わせた導入というと、コストやリスクなどの障壁がありそうに感じられるが、本当のところはどうなのか――。

 RPAを導入する企業が直面する“自動化の限界”を突破する切り札として期待されるAIとRPA。この2つを掛け合わせることで実現する自動化の広がりと可能性について、UiPathのパートナーソリューション本部 テクノロジーパートナー部でマネジャーを務める鷹取宏氏に聞いた。

RPA×AIで広がる自動化の可能性 業務全体の自動化も

 これまで人手に頼ってきた、コンピュータ上で行う「仕分け」や「データ分類」「データ入力」といったさまざまな定型作業を、あらかじめ定めた手順に沿って自動化する「RPA」(ロボティック・プロセス・オートメーション)が今、注目を集めている。

 しかし、そのRPAにも弱点がある。デジタル化されたデータ、つまり「構造化データ」の処理を自動化するのは得意だが、特定の構造を持たない画像や動画、紙の書類、会話といった「非構造化データ」を扱うのが難しいという点だ。

 そこで力を発揮するのが、UiPathが推進しているRPAとAIの組み合わせだ。UiPath製品には、「画像認識」「OCR/自然言語処理」「音声認識/チャットbot/会話型AI」「プロセスマイニング」の4つのAIテクノロジーが搭載され、60を超えるAIテクノロジーパートナーのスキルを活用できるようになった。

Photo AIとRPAの掛け合わせで業務自動化の可能性を広げるUiPath

AIとRPAの掛け合わせで業務自動化の可能性を広げるUiPath

 さまざまな可能性を秘めたAIとRPAの掛け合わせを通じて“創造的な業務自動化”を実現するために、UiPathが提供するのがRPA向けマーケットプレイスの「UiPath Go!」と、アーリーアダプタープログラムの「AI Fabric」だ。

 UiPath Go!はRPAで再利用可能なさまざまなコンポーネント(自動化部品)をダウンロードできるマーケットプレイス。UiPathだけでなくさまざまなパートナー企業や団体、デベロッパーが提供する約600種類のコンポーネントが公開されている。日本語版では、AI-OCRや画像認識、チャットbotなど、AIを利用したものを中心に、約50種類のコンポーネントを用意した。

 「AI Fabric」は、現場に役立つAIを開発するためのプログラム。さまざまなAIモデルをUiPathに簡易実装し、配備や設定作業を行う機能を組み合わせ、現場の人間が簡単にAIの実装からテスト、管理を行えるようにしていく取り組みだ。

 そんなUiPathとAIを掛け合わせることで、「実務に役立つ活用ケース」として期待される以下の4つのシナリオは、業務現場をどのように変えていくのか――。それぞれを解説していこう。

【1】視覚情報の理解(該当テクノロジー:AI-OCR、画像認識)

 紙の帳票類(定型・非定型)のスキャンしたデータ(機械文字・手書き)を読み取り、AI-OCRからデータを抽出、処理をすることでデジタル化することが可能。また画像認識機能を使って画像データの分析・判断を自動化することが可能。

【2】会話情報の理解(該当テクノロジー:Chatbot、音声認識)

 コンピュータによる会話を提供するソリューション。シナリオ形式で自動応答することが可能。また機械学習や自然言語処理で作られた対話エンジン経由で自然的な会話で自動応答することも可能。

【3】ドキュメントの理解(該当テクノロジー:自然言語処理)

 自然言語処理によりOCRで読み取った文字やメールの文字を意味や構文、キーワード抽出しテキストの内容を分析することが可能。

【4】プロセスの理解(該当テクノロジー:プロセスマイニング)

 プロセスマイニングツールにより企業内のさまざまなシステムに蓄積されているイベントログデータから業務プロセスを抽出し業務を可視化することが可能。RPA導入、プロセスの標準化・最適化のための定量分析を可能にする。

視覚情報の理解:UiPath×AI-OCR 紙の帳票データのシステム入力業務自動化

 「手書き伝票の処理」は、RPAを導入している企業の中でも課題と捉えている担当者が多いといわれる分野だ。手書きのアンケートやFAXで送られてくる発注書、伝票などの入力作業は時間もコストもかかることから、現場が自動化に寄せる期待は大きい。

 「例えば、手書きの文書を読み込んでデジタル化する作業は、AIの技術(AI-OCR)を用いて実現でき、そこから先のシステムへの入力処理はUiPath(RPA)で自動化できます。このRPAと既存のAI-OCRの技術を組み合わせることで、紙の文書を人が読んで判別し、必要な情報をシステムに登録する――という一連の業務を自動化できるのです」(鷹取氏)

Photo 紙資料のデータ登録自動化シナリオ

 このようにRPAにAI-OCRを掛け合わせることで、これまで実現が難しかった作業全体の自動化が可能になりつつある。

会話情報の理解:チャットbot×UiPathを使った手書き書類のデータ化と入力の自動化フロー

 定型の問い合わせに対する自動回答や、対話による情報入力などの用途で注目を集めているチャットbot。この分野でもAI×RPAの活用に対する期待が高まっている。

 「例えば、チャットbot AIはかなり進化していますが、『本人確認が難しい』という弱点があります。ここにRPAを組み合わせれば、『ご住所はどちらですか』といった質問に対する回答をチャットbot AIがデジタルデータとしてUiPath(RPA)に渡し、登録されたマスターデータと照合することで、本人確認が行えます。

 また、Chatbotの弱点の一つが、Chatbot経由で入った依頼内容の変更、登録の作業を人に頼らざるを得ない点ですが、問い合わせ内容に基づいて顧客管理システムや基幹系情報システム向けに行う入力や修正、登録作業も、UiPathが自動で処理します」(鷹取氏)

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 チャットbot×UiPathを使った業務改善の取り組みは、UiPath自らも「ID作成依頼の自動化」という形で取り組んでいる。既存のチャットbot AIとRPAを組み合わせて、問い合わせ対応を自動化するというもので、適切なFAQを選択して自動応答を返すだけにとどまらず、ライセンスのディアクティベーション作業の自動化も実現した。

 これにより、サポート全体の業務を従来より25%削減できただけでなく、処理に要する時間も大幅に短縮され、これまで10分程度かかっていたライセンスのディアクティベーション作業が、「確認のためのワンクリック」という一瞬で済むようになった。

文書の理解:自然言語処理・会話変換・テキスト解析

 AI-OCRで読み取ったデータやメールの文章、チャットbotでやりとりされる文字などは、あくまでも機械文字(デジタルデータ)でしかなく、意味づけするためには自然言語処理が必要となる。

 具体的には、自然言語処理の技術を使って、メールのテキストからキーワードを抽出したり、内容を解析したりすることで、届いた問い合わせが「サービスについて聞いているのか」「製品について聞いているのか」といったことが分かり、自動で分類することが可能になる。

 この自然言語処理とAI-OCR、UiPath(RPA)を組み合わせた事例としては、アンケートの自動集計や、分析レポート作成の自動化などが挙げられる。

 AI-OCRと自然言語処理とUiPathを組み合わせることで、短期間で結果レポートの作成からフォロー対象のリスト化まで実施した例がある。

 具体的には、手書きのイベントアンケート(紙)をAI-OCRで読み取ってデジタル化し、RPA(UiPath)が文書データを自然言語処理してキーワードを抽出(訪問を希望、デモの依頼)。フォロー対象のデータを作成して再度UiPathに返し、自動的にアンケート結果リストと営業対応リストの2つのレポートを作成した。

 「1000件を超える手書きのアンケートの分析レポートは、従来は当社では外注していました。レポート化、営業対応の優先順位付けをするまでには1カ月近くの時間がかかっていましたが、この仕組みを社内で使うようになってからは、1日もかからずにレポート作成までが可能になり、実際にはイベント終了後の1週間以内にフォローできるようになりました。作業時間を大幅に削減できています」(鷹取氏)

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プロセスマイニングで「業務全体の自動化、最適化」へ

 RPAで自動化できる範囲は、一般にはまだ限定的と捉えられがちであり、実際のところ従来のRPAでは、人間が自動化する業務の内容や流れを理解することが不可欠だった。

 「例えば、ロボット掃除機を使い始めると分かることですが、うまく掃除させるためには、ロボット掃除機が掃除をしやすいように、人があらかじめ部屋を片付ける必要があります。企業におけるRPA導入にそうした印象を抱いている人もいるかもしれません」(鷹取氏)

 だが、UiPathが推進するRPAとAIの掛け合わせが広がれば、自動化の範囲が大きく広がり、スタッフそれぞれの作業の最適化だけでなく、「企業全体で何を自動化するか」を検討するプロセスマイニングや、ビジネスプロセスリエンジニアリングにつながっていく。

 「“誰がどんな作業をしているか”を可視化し、自動化できる作業はどんどん自動化し、業務プロセスを見直して最適化することで、『どうしたらもっといいサービスができ、顧客のためになるか』を突き詰めていくことができます」と鷹取氏。本質的な働き方改革やデジタルトランスフォーメーションは、そんな取り組みの延長線上にあるというのが、同氏の考えだ。

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身近な課題解決からスモールスタートできるUiPath(RPA)×AI

 こうした自動化に向けたソリューションを一から開発したり、作り込んだりする必要がなく、身の丈に合った規模から始めることができるのもUiPathの特長だ。高度なレコーディング機能や分かりやすいGUIで容易にワークフローを作成でき、一つの部門、一つの部署から小さく始めて、大規模環境まで拡張することが可能だ。

 ある企業では、人が定期的に行っていた社内便の確認作業をAIとRPAで自動化したという。

 「社内便用の仕分け棚の前にネットワークカメラを設置し、撮影した画像を元に“各部署宛に荷物や郵便物があるかどうか”をAIで解析し、自分の部署宛に何か郵便物が届いていれば担当者にメールを送って通知する仕組みを作り上げたのです」(鷹取氏)

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 開発に掛かった時間は、差分解析によって「棚に郵便物があるかどうか」を判別するAIのアルゴリズムの作成に1日程度、AIからデジタルデータを受け取ってメールを送るプロセスをRPAで作るのにたった30分だ。

 「これは非常にシンプルな例でインパクトに欠ける印象がありますが、実はこのささやかな成功体験をきっかけに、RPA×AIを使った改善を推進する機運が高まり、顧客へのサービスに扱えないか? といった社内、社外へ展開が進んだのです」(鷹取氏)

 RPAとAIの組み合わせは、AIを使うことが目的ではなく、『私の業務』『私の作業』で自動化できていないところを何とかできないか――という、現場の要望や現場の知恵から始めることが大事だ。

 一度でもこうしたシンプルな成功事例ができれば、あとは「これを顧客の在庫管理に活用できないだろうか」といった具合に、どんどん活用のアイデアが広がるという。

自社にとって最適なAI技術の選択が可能に

 複数のAI技術の中から目的に合わせて最適なものを試行錯誤しながら選び、組み合わせることができるのも、UiPath RPAの大きな特徴だ。UiPath RPAを一種の「ハブ」として、テクノロジーパートナーが提供する幅広いAI技術と連携させることで実現できる。

 一例が、紙の文書をデジタル化するAI-OCRだ。鷹取氏によると最近のAI-OCR技術は精度の向上に加え、「手書き文書に強いもの」「非定型文書に強いもの」「英語に強いもの」など、異なる得意分野を持つようになっている。

 つまり、UiPath RPAがオープンプラットフォームの役割を果たし、複数のAI-OCR技術の中から業務内容に応じて得意なAI-OCR、適切なAI-OCRを組み合わせることができるというわけだ。

 「技術者がいないから使えない」「読み取ったデータの登録作業はなくならない」というAIの弱点をRPAが補い、「非構造化データを処理できない」というRPAの弱点をAIが補う――といった具合に、互いに補い合い、自動化の範囲を広げていけるのがRPA×AIの最大の特徴といえるだろう。

 「親和性が高い、既にある2つの技術の掛け合わせで、これまで限られていた自動化の範囲を広げられることが一番のメリットです。例えば、これまで1時間かけていた作業をRPAとAIの掛け合わせにより10分程度で終わらせることができれば、空いた時間を企画案の作成や顧客とのコミュニケーションといった創造的な仕事に使えるほか、早く帰宅することだって可能です。

 業務を自動化するにはRPAとAIは1対1(RPAとOCRの連携)だけではなく、1:nの関係も必要になります。チャットbotとOCRとRPAを組み合わせて自動化を図るなど、あらゆるAIとRPAの組み合わせが必要になり、その時にRPAはAIを活用する上でのハブになる。いわゆる頭脳と手足をつなぐ神経のようなものになるわけです」と鷹取氏。

 UiPathでは、RPAとAIの組み合わせによる自動化を早期に実現し、作業を支援するために、UiPathと連携ができるAI-OCRによる文字認識、チャットbot、自然言語処理、画像認識モデルなどのAI関連を含む各種のコンポーネント群を用意している。それらをマーケットプレイスである“UiPath Go!”から自由にダウンロードして使うことが可能だ。無料で提供しているUiPath Community Editionや、60日間試用できるUiPath Platform 体験版をダウンロードして、UiPath Go!にアップロードされているアクティビティーなどのコンポーネントとの組み合わせを試すことができる。

 またUiPathでは、UiPath×AIの実際の連携したケースを実際に体験することができるスペース「UiPath AI Lab」を開設。さらに実証実験を早期に立ち上げる支援プログラムとして、各テクノロジーパートナーとRPA×AIの実証実験PoC導入支援キャンペーンを展開している。期間限定ではあるが、開発期間や費用、手間を大幅に削減したかたちでUiPath×AIが業務活用できるかどうかの実証実験を行えるという。

 UiPathは、RPAとAIの掛け合わせでより人の作業を自動化し、「働きがいのある会社づくり」を目指す企業を後押ししていく考えだ。

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提供:UiPath株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia NEWS編集部/掲載内容有効期限:2019年11月23日

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