4月に働き方改革基本法が施行され、日本企業は残業削減や労働環境の改善に注力している。中でも、外出先や自宅、コワーキングスペースなどで場所と時間を選ばず働くテレワークは、子育てと仕事の両立にもつながり、働き方の柔軟性を高められるため、導入を検討中の企業は多いだろう。
だが、実は東京都内の企業のうち、テレワークを導入済みの企業は25%にすぎないとの調査結果が出ている(東京都産業労働局、2019年)。社員同士が離れた環境で働いていると、電話の取次ぎや情報共有が難しくなることを懸念し、導入をためらう企業も少なくないようだ。
「テレワーク普及を妨げる一因になっているのが固定電話です。たくさんの社員が外部で仕事をしていても、固定電話はオフィスに残されています。重要な外線・内線がいつかかってくるか分からないので、誰かが席にいなければならず、誰かが電話当番をし、取次ぎをしなければならないという悩みをよく聞きます」
日本企業が抱える課題についてこう指摘するのは、ネットワークシステムやコミュニケーションサービスを手掛けるシスコシステムズの石黒圭祐さん(業務執行役員 コラボレーションアーキテクチャ事業担当)だ。
石黒さんは、企業が固定電話からなかなか離れられない理由の1つに、オンプレミス型のPBX(構内電話交換機)が多く使われていることを挙げる。
PBXは、かかってきた外線を受けて特定の電話機に振り分けたり、接続している電話機同士で内線通話ができるようにしたり、かかってきた電話を別の電話機に転送したり――といった機能を持つ。交換機本体をハードウェアとしてオフィス内に設置し、電話機と有線で接続するのが一般的であるため、外に持ち出すことが難しいのだ。
テレワーク中の社員に会社支給の業務用スマホを持たせている企業もあるが、スマホは基本的にPBXと接続できないため、会社の固定電話にかかってきた内線・外線を転送して受けることは難しい。テレワークが今後さらに広がるには、この課題を解消し、社外でも柔軟な電話対応を実現することが不可欠だろう。
こうした状況を変えるべく、シスコはKDDIの協力のもと、クラウド型の電話システム「Cisco Webex Calling」を10月31日にリリースする。国内のデータセンターに展開されたクラウド上のソフトウェアにPBXの役割を持たせ、KDDIの音声通話基盤と連携させて提供するサービスで、ユーザーは専用アプリ上で「03」などの市外局番から始まる固定電話番号で音声通話をしたり、内線通話を発着信したりすることが可能になる。
アプリをインストールしていれば、PC・スマートフォン・タブレットなど多様な端末から利用できるため、石黒さんは「電話線に縛られず、どこでもオフィスと同じように仕事ができます」と強調。「家やコワーキングスペースでテレワークしつつ、会社からかかってきた内線をスマホで受けられます。普段オフィスで使っている固定電話番号で、取引先に電話をかけることも可能です」と解説する。
Cisco Webex Callingの大きなメリットの1つが、PBX機能がクラウド上にあるため、高額な初期投資によってハードウェアを購入したり、ベンダーと長期のリース契約を結んだりする必要はなく、有線のネットワーク構築も不要なことだ。内線通話は無料のため、企業はコストを大幅に抑えられるだけでなく、オフィスのレイアウト変更や移転などの際に、固定電話を取り外して持ち運ぶ手間も解消できる。
実機としてのPBXを持たないことで、災害時のBCP(事業継続計画)対策にも役立てられる他、NTT東西が2024年1月にISDN(電話回線網)のサービスを終了し、25年1月にかけて固定電話網をIP網へ移行することも決まっているため、石黒さんは「早い段階で固定電話をやめて、スマホで業務用の通話をする体制に切り替えておくと、コスト削減の他、移行前の混乱を防ぐ効果も期待できます」と説明する。
携帯電話を内線用端末や固定電話の子機として使えるサービスには、携帯キャリアなどが提供してきたFMC(Fixed Mobile Convergence)も挙げられる。1つの端末で携帯電話網と固定電話網を状況に応じて使い分けられる仕組みで、こちらもテレワークなどで役立つことは確かだ。だが、FMCとクラウドPBXには大きな違いがある。それはシステム上の"縛り"だ。
FMCは会社が携帯キャリアと契約した回線でしか利用できず、BYOD(私用端末の業務利用)には非対応だ。通信サービスと端末がひも付いた提供形態も多く、業務用のスマホを一括導入することで、通信料を含む月額料金が安くなるケースもある。
一方Cisco Webex Callingでは、そういった制約から解放される。アプリさえ入れておけば、契約しているキャリアやMVNO(仮想移動体通信事業者)を問わず利用できる。業務用の端末はもちろん、私用の端末でも、固定電話番号で発着信したり、内線をスマホで受けたりすることが可能で、BYODとの相性も抜群だ。
また、Cisco Webex Calling のアプリはシスコが開発・提供しているコラボレーションツール「Cisco Webex Teams」 との連携に対応。Webex Teams からWebex Calling を呼び出して音声通話の発着信を行うことができる。将来的にはWebex Teams アプリ内で完結する形も予定している。シスコのWeb会議ソリューション「Cisco Webex Meetings」との接続も可能だ。
「さまざまなサービスの"いいとこ取り"ができるのも強みです。音声、ビデオ会議、チャットを1つのサービス上で利用できるため、ユーザーは複数の異なるツールを立ち上げ、その都度切り替えて使う手間が省けます。オフィスの内外を問わず、さらなる生産性向上が期待できると考えています」(石黒さん)
ただ現在は、固定電話がテレワークの妨げになっていることなどに着目し、クラウド電話ビジネスに参入する企業が増加。PBXをクラウド化し、Web上で固定電話番号を提供したり、アプリ上に表示させたテンキーに番号を入力すると音声通話ができたりするサービスも登場している。Cisco Webex Callingは、他のツールとはどんな点が異なるのだろうか。
石黒さんは「歴史と実績に裏打ちされた通話品質の高さが最大の特徴です」と説明する。米国本社のCisco Systemsは1984年に創業後、オンプレミスのPBXシステムやネットワーク、ゲートウェイなどを開発・販売してきた実績がある。現在は、米国のIPを利用した音声通信市場で約45%のシェアを獲得して1位、アジア・パシフィック地域の同市場でも約30%のシェアを占めて1位となっている(米Synergy Research Group調べ)。
「当社はオンプレミスのIP-PBXが広がり始めた20年以上前から音声ビジネスを手掛け、市場のニーズに応じて製品を進化させてきた歴史があります。Cisco Webex Callingで使っているテクノロジーにも長年のノウハウを凝縮しているため、音声の品質には自信を持っています」と石黒さんは語る。
「シスコに"総合ITベンダー"とのイメージを持つ方がいらっしゃるかもしれませんが、実は音声通話システムの開発・販売も当社の専門分野の1つです。"餅は餅屋"だと思って任せて頂けるとうれしいです」(石黒さん)
さらに、シスコの高品質なシステムを使いながらも、ユーザーサポートをKDDIが一括で請け負っているのも、Cisco Webex Callingの便利な点の1つだ。
これまでみてきたように、Cisco Webex Callingは、コストメリット、高品質な音声通話、他のアプリとの連携、KDDIによる手厚いサポートなどの強みを持つ。シスコは同製品の提供を通じて、テレワーク導入などの"働き方改革"を進める企業を支援していく考えだ。
石黒さんは「これまで長く使ってきたオンプレミスPBXや固定電話を全て廃止し、クラウド電話を全社導入するのが難しいケースもあると思います。その際は、支社単位・部門単位・チーム単位などのスモールスタートで始めることも可能です。『まずはアプリを入れてみようか』と気軽にトライし、働き方の変化を実感してみてください」と話している。
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