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» 2020年01月14日 10時00分 公開

花の写真をAIが採点! 大盛況のフォトコンテストを支えた、Microsoft Azureの機械学習の実力

[PR/ITmedia]
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 人間が撮影した花の写真をAIが採点し、ランキング化する――。IT・ガジェットに関する書籍やWebメディアを手掛けるインプレスが、こんなコンテストを2019年11月14日〜12月12日に開催した。期間中は約3万点の写真が投稿された他、1人で2000点超の写真を投稿する“猛者”が現れるなど、大きな反響を呼んだ。

 コンテストの名称は「Microsoft AIがあなたの写真を格付け! 『花フォト』勝ち抜きコンテスト」(以下「花フォトコンテスト」)。主催したのは、インプレスが運営する写真投稿サイト「GANREF」だ。GANREFは、ユーザーが撮った写真を投稿し、お互いに評価できる会員制サイト。プロの写真家が審査するコンテストは定期的に開催してきたが、審査にAIを活用するのは初という。

photo GANREFがAIを活用したフォトコンテストを実施

 花フォトコンテストの仕組みは、ユーザーが花の写真を投稿すると、AIが瞬時に写真を採点し、ランキング化するというもの。枚数の制限はないため、ユーザーは何度も撮影・投稿にチャレンジできる。採点結果はランキング化し、100位以内に入ったユーザーのハンドルネームと写真は公式サイトに掲載。上位だった人には商品もプレゼントした。

“AI審査員”で応募のハードルを下げ、写真の裾野を広げる

 こうした工夫が奏功し、花フォトコンテストは大いににぎわった。

 「皆さんがゲーム感覚で高得点を狙いにいっていたのが新鮮で、すごく驚きました。応募数は想定を大きく上回り、従来のコンテストとは全く違った反響がありました」と振り返るのは、GANREF編集長の富樫真樹氏だ。

photo GANREF編集長の富樫真樹氏

 「これまでのコンテストは、実績のあるプロ写真家が全ての応募作品を時間をかけて丹念に審査し、コメントを添えて受賞作品を発表するというものでした。信頼される企画に育ってきており、多くの上級者がチャレンジしていますが、初心者が気軽に参加しにくい一面もありました。花フォトコンテストでは、AIを活用することで抵抗感を和らげ、応募するハードルを下げたいと考えました」(富樫氏)

 結果的に、一眼レフや高価な機材を持たずとも、スマートフォンのカメラで花を撮って応募する人も増えた。「応募と採点のサイクルを早くすることで、写真という趣味の裾野を広げられたと感じています」と富樫氏は語る。花フォトコンテストに参加する中で、応募者が「露出を通常よりも明るくした、枝に咲いた桜や梅の写真は良い点数が出やすい」というAIの好みを理解し、数多く投稿するなど、自発的に攻略法を見いだしたこともうれしい誤算だったという。

バックエンドのシステムは全て「Microsoft Azure」

 こうして成功に終わった花フォトコンテストだが、裏側ではどんな仕組みが動いていたのだろうか。構築に携わった、ネクストスケープの上坂貴志氏(システムインテグレーション事業本部 クラウド事業部 部長)は、「ランキング表示の仕組みを除き、バックエンドのシステムは、全てMicrosoft Azure (以下Azure)のサービスが使われています。写真の採点を行っていたのもAzureのAIプラットフォームです」と説明する。

 「今回使用したAIプラットフォームには、過去にGANREFに投稿された約10万点の花の写真と、それにひも付くGANREF Pointの数を機械学習させ、写真を評価するアルゴリズムを構築しました。花の写真に限定した理由は、1カ月という短期間で構築するためでした。花であれば、高得点を取りやすい写真のパターンが決まっているのではないかと考えたのです」(上坂氏)という。

photo ネクストスケープの上坂貴志氏(システムインテグレーション事業本部 クラウド事業部 部長)

 GANREF Pointとは、GANREFのユーザーが、他の会員の投稿写真を気に入った時に付与できるポイント。SNSでおなじみの「いいね!」に似た仕組みでやりとりされる。AIは、写真の内容とGANREF Pointの量を機械学習したことで、高評価/低評価される写真の傾向を見いだし、ユーザーから寄せられた写真を採点できるようになったというわけだ。

 この“AI審査員”が写真を分析する過程でも、さまざまなAzureのサービスが活躍している。その流れを詳しくみていこう。

花フォトコンテストの裏側の仕組みとは?

 ユーザーが投稿した写真は、まずAzureのAI技術群「Azure Cognitive Services」の画像分析サービス「Computer Vision」によって、内容を意味する文字情報をタグ付けされる。例えば、青空をバックに、桜の枝と男性が写っている写真の場合は、「ピンク色」「花」「空」「枝」「人」「男性」といったタグが付与される。

 もし花とは関係のない写真や、絵に描いた花が投稿された場合は、Computer Visionがタグ付けした情報を用いて採点の対象から除外する。ただ今回のコンテストは、GANREFの会員に参加者を限定したため、悪意ある投稿はなかったという。

photo Microsoft AzureのAIプラットフォームを活用した、花フォトコンテストの裏側の仕組み

 これらの手順で得たタグの組み合わせや特徴をもとに、機械学習プラットフォーム「Azure Machine Learning Studio」(ML Studio)上に構築したクラスタリングモデルを活用して、写真を複数のクラスタに振り分ける。クラスタは、教師データの写真を学習させた段階で、AIが自動で複数生成したもの。投稿された写真は、このいずれかのクラスタに分類される。

 分類された写真は、機械学習用の仮想マシン「Azure Data Science Virtual Machines」(DSVM)を使って構築したディープラーニングの学習済みモデルで評価し、GANREF Pointで採点する。

 写真を採点するまでの一連のフローは、全て「Azure Web Apps」でホスティングされたWebAPIシステム内で制御している。AIプラットフォームで算出した点数は、このWebAPIを使って花フォトコンテストの公式サイトに送信する。

 API経由で結果を受信した公式サイトでは、AIが算定したGANREF Pointをそのまま掲載するのではなく、100点満点のスコアに置き換えた上でランク付けを行う。

 コンテストの開催中は、ランキングページには色とりどりの花の写真が掲載されていたが、その裏側ではこんな処理が行われていたのだ。

機械学習未経験のエンジニアが1カ月で構築

 上坂氏の指示のもと、一連の分析プロセスの開発責任者を任されたのは、ネクストスケープに入社して1年弱の太田宗孝氏(システムインテグレーション事業本部 クラウド推進部)だ。太田氏は前職で組み込み系のシステム開発を行っていたものの、花フォトコンテストに携わるまで機械学習は未経験。機械学習に用いる開発言語「Python」も、趣味で触ったことがある程度だったという。

photo ネクストスケープの太田宗孝氏(システムインテグレーション事業本部 クラウド推進部)

 そんな太田氏は、開発を任されるに当たって、上坂氏や同僚から勧められた統計学の入門書を読むことからスタート。続いて機械学習の解説書を読み、機械学習の基本的なフレームワークやデータ分析の成り立ちなどを学んだ。その後は専門書にも手を広げ、アルゴリズムの選択や機械学習モデルの構築についてのノウハウを学びつつ、実際に手を動かしながら開発を進めた。

 太田氏はその結果、Azureの一連の仕組みを約1カ月という短期間で作り上げることに成功した。ゼロからの挑戦を成功させた同氏は「最初は不安でしたが、常に学びながら課題を1つずつクリアし、一歩ずつ前に進むようなイメージで開発を進めました」と当時を振り返る。

 「知識を深める段階で、機械学習を専門とする先輩からアドバイスをいただき、写真を評価する手順や使用する技術をある程度イメージできるようになりました。そのため、途中からはスピーディーに取り組むことができました」(太田氏)という。

 機械学習未経験の太田氏にプロジェクトを任せた理由について、上坂氏は「私は『Azureを使えば機械学習をすぐに始められる』と考え、普段からさまざまな所で説明してきました。そのことを証明するために、実際に未経験者にやってもらおうと考えたためです」と明かす。「ただ、どんなに仕様が優れていても、未経験者が独学で、素早くモデルを構築するのは難しい面もあります。そこで、社内に蓄積された機械学習をマスターするノウハウを伝えることにしました」という。

 「紹介した書籍や教えた手法は、私やチームメンバーが過去にさまざまな勉強法を試す中でたどり着いた最適解です。太田には同じ回り道をしてほしくなかったので、本当に現場で役立つことだけを教えました。そうすれば、彼なら最短距離でゴールにたどりつけることは事前にイメージできていました」(上坂氏)

 Azureは、蓄積したデータが無くてもすぐに使用できる「CognitiveServices」、コードをほとんど書かずにモジュールの組み合わせだけで学習済みモデルを構築できる「ML Studio」、機械学習環境が全て構築済みの「DSVM」――など、初心者から上級者まであらゆるユーザーが使用できる機能を備えている。

 これらのさまざまな環境から必要なものを正しく選択したことが、太田氏の素早い構築につながったことは間違いない。だが、上坂氏・太田氏をはじめとする、ネクストスケープの開発陣のチャレンジ精神と信頼関係が花フォトコンテストを盛況に導いたのも確かだろう。

人とAIが共存し、写真を愛する人の日常を豊かにする

 このように、AIが人間顔負けの分析能力を手にした現代では、「AIが人に取って代わるかもしれない」といった議論が各所で展開されている。だが、花フォトコンテストで手応えを得た今も、インプレスのGANREF編集部にそうした考えはない。今後は次回の企画をあたためつつ、従来通りプロの写真家が審査するコンテストを継続していく方針だ。

 GANREF編集部員の有馬貴氏は「斬新な取り組みによって、これまでとは違う楽しみ方を提案できましたが、プロが審査するコンテストならではの味や良さもあります。上級者ならではの楽しみ方も尊重したいと考えています」と話す。

photo GANREF編集部員の有馬貴氏

 有馬氏は「写真を気軽に楽しんでもらうための取り組みがこれで終わるわけではありません。今回はブラウザ経由でのみ応募を受け付けていましたが、次回は専用のアプリを用意して、さらに手軽に応募できるような仕組みを作りたいです」と意気込む。花フォトコンテストで応募者から寄せられた写真と点数をAIに学習させ、アルゴリズムの精度をさらに進化させる計画もあるという。

 GANREFの富樫編集長は「今回はたまたま、枝に咲いた桜や梅の写真に高い点数がつきましたが、次回のAIは別の写真を高評価する可能性も多いにあります」と説明する。開催を心待ちにしているファンは、参加時に全く新しい攻略法を編み出す必要がありそうだ。

 第2回花フォトコンテストの開催時期は現時点では未定だが、ネクストスケープの太田氏は今後さらに経験を積み、一回り成長した姿でプロジェクトに戻ってくるつもりだという。撮影技術のレベルを問わず、写真を愛する全ての人の日常をAIでもっと豊かにする――。そんな未来の実現に向け、GANREF編集部とネクストスケープはそれぞれの得意分野で、これからも一歩ずつ前に進んでいく。

photo 花フォトコンテストに携わったメンバー

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