文科省の「GIGAスクール構想」とは? 教育ICTの学校導入を任されたあなたがやるべき4つのこと

» 2020年03月06日 10時00分 公開
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 2019年末から、文部科学省が打ち出した「GIGAスクール構想」が教育界を中心に大きな話題となっている。これを受けて、すでに取り組みを発表している自治体もあるが、これから何をすべきか迷っている自治体や学校の教育ICT担当者も多いだろう。そもそも「GIGAスクール構想」とはどのようなものなのか。

 この記事ではGIGAスクール構想の概要から特に注目すべきポイントを解説し、学習者用PCや校内LANなどの整備を任された担当者がやるべき4つの事柄をまとめた。

GIGAスクール構想とは?

 GIGAスクール構想とは、全国の学校で義務教育を受ける児童生徒に、1人1台の学習者用PCやクラウド活用を前提とした高速ネットワーク環境などを整備する5年間の計画をまとめたものだ。

 これらの目的は子どもたちの個性に合わせた教育の実現にある。さらに教務や保健などのデータを一括管理する「統合系校務支援システム」の導入で、教員の負担を減らして働き方改革につなげる狙いもある。

 GIGAとは「Global and Innovation Gateway for All」の略だ。PCと校内LANを用意するだけでなく、変化の激しい時代にあわせてICTを活用し、新しい教育へシフトしていくことを表している。

 GIGAスクール構想の初年度予算は2318億円。20年度中には、希望する全ての小・中・高等学校、特別支援学校の校内LAN整備を支援するため、整備費用の2分の1を補助する。1人1台の学習者用PCの導入は23年度までに実現する計画で、1人あたり最大4.5万円の補助金を支給する。

photo GIGAスクール構想の実現の概要(文部科学省)を基に作成

 文部科学省の調査によると、20年3月時点での学習者用PCの導入台数は児童生徒5.4人に1台程度だった。GIGAスクール構想では、これまで予算の関係で整備ができていなかった学校にも学習者用PCが行き渡るようにし、ICTを活用した教育の指導者養成も含めた教育改革に取り組む。

GIGAスクールの重要ポイントはこの4つ!

 GIGAスクール構想に対する教育現場の意見はさまざまだ。1人1台の整備には期待の声もある反面、導入後の保守や技術サポートなどの課題点も寄せられている。これからGIGAスクール構想に沿った対応を行う担当者が考えていくべきことは、「校内LANの整備」「学習者用PC」「学習と校務のクラウド化」「ICTの活用」の4点だ。

校内LANの整備

 1つ目は「校内LANの整備」だ。すでにネットワーク環境を整えた学校では、Wi-Fiの通信混雑や同時接続の上限などによる影響で授業が滞ることもあり、教員ではトラブルに対処できないといった声も聞かれる。今後は動画を使った授業や遠隔授業なども増え、より高速なネットワークも求められる。全校生徒が同時にネットを使っても問題のない環境整備が必要だ。

 また、現状では一部の教室でしかWi-Fiが使えない学校も多いが、体育館や特別教室などを含め、どこにいても校内LANにアクセスできる環境を整えることが望ましい。導入機器の仕様や予算の策定については、支援事業者もあるので、Webサイトで情報収集してみるのもよいだろう。

学習者用PC

 2つ目は1人1台の学習者用PCだ。文部科学省は「標準仕様書」を公開している。具体的なPCのシステム要件が書いてあるが、あくまで例であり、「記載内容を参考にしながら、各自治体が必要な内容を取捨選択し、調達仕様書を作成する」よう求めている。

 標準仕様書では、最新のOSが搭載されたPCを選ぶことや、「ソフトウェア、通信ネットワークなどをそれぞれ別に考えるのではなく、複合的に勘案して、全てがストレスなく稼働するかを見極めることが重要」などと明記されている。

 「使いたい教材やソフトが導入した学習者用PCに対応していなかった」──そんな事態が起きないように、学校の教育カリキュラムと予算を照らし合わせながら入念に検討する必要がある。

学習ツールと校務のクラウド化

 3つ目がクラウド活用だ。GIGAスクール構想では学習ツールと校務のクラウド化を推奨している。

 クラウド型の学習用ツールとしては、アクティブラーニングに活用できる「協働学習支援ツール」や、「グループウェア」「ファイル共有」などがある。プレゼンテーションソフトや文書作成ソフト、表計算ソフトに関しては、従来のようにあらかじめPCにインストールするものだけでなく、Webブラウザ経由で使うクラウド型も選択肢として十分に考えられる。

 次に校務システムだ。文部科学省はクラウド活用により教務、学籍、学校事務などを一括管理する「統合型校務支援システム」の運用を想定している。同省によると、すでに導入している自治体では、教員の業務効率化や負担削減につながり、「教材研究の時間が確保できる」「打ち合わせ時間が短縮され、教材準備の時間を確保できる」といった現場の声もあがっている。教員1人あたり年間100時間の削減効果が出たというデータもある。

 文部科学省の「統合型校務支援システムの導入のための手引き」に調達や利用の具体的な手順が紹介されているので、現状の課題をふまえたうえで移行の準備を進めていくべきだ。教育ICT機器の導入担当者はセキュリティ対策基準についても検討や策定を行う必要がある。

ICTの活用

 4つ目がICTの活用だ。20年度から小学校で実施される学習指導要領には「情報活用能力の育成」や「ICTを活用した学習活動の充実」が明記されている。具体的には小学校で必修化となるプログラミング教育や動画活用などがある。

 プログラミング教育については、「小学校プログラミング教育の手引(第二版)」に算数や理科の単元での例示がある他、全学年を通して、段階的にPCの操作を学び、理解していくことが望まれる。

 学習ツールは教材メーカーなどから複数の教材が開発されており、どの教材を選定してよいのか迷うことも多い。GIGAスクール構想の予算の対象ではないが、この機会に学習ツールの見直しも行っておくとよいだろう。専門家の意見や先行事例などを参考にして、学習指導要領とこれから調達する学習者用PCのシステム要件、さらに学校の教育カリキュラムに沿って検討する必要がある。

 ICT活用については「導入して終わり」ではなく、導入後の効果や使い勝手も含めて、自治体による活用計画やフォローアップなど、継続的に改善を続けていくことが必要だ。

教育ICT機器の導入担当が取り掛かるべきこと

 GIGAスクール構想における重要なポイントは上記に示した通りだが、導入にあたって担当者が具体的に取り組むべきは、「現状把握と課題提出」「情報の収集」「調達仕様の策定」「外部資源を頼る」だ。

現状把握と課題提出

 最初にやるべきは現状把握と課題提出だ。管轄内の学校へのヒアリングを通じて、現状のICT環境を確認し、課題を洗い出していく。校務支援システムについては、先行して導入している学校がある場合、旧システムからのデータ移行についても検討する必要がある。

情報収集

 学校現場の現状把握と同時に、GIGAスクール構想や先行事例などの情報収集も進めておくべきだ。文部科学省のGIGAスクール構想のWebサイトには、今後のスケジュールをまとめたロードマップや、仕様書などの資料が多数公開されているので、教育ICT機器の導入担当者なら全て目を通しておきたい。先行している他自治体や学校への視察なども大切だ。

調達仕様の策定

 課題が洗い出せたら、標準仕様書を参考に調達の仕様を策定していく。校内に設置したWi-Fiに関しては、授業での利用を想定した台数で動画視聴などを行い、正常に動作するかといった実証実験などを行うケースもある。システムの導入後の保守や運営も見据えた人員や部署の配置なども検討するべきだ。情報セキュリティについても十分に配慮する必要がある。

外部資源を頼る

 外部資源を頼るのも重要だ。ICT導入をスムーズに進められるようICT支援員の配置や、地域、大学、企業との連携を行うケースもある。大学や民間企業との連携においては、ネットワーク機器の構築やプログラミング教材の提供、研修会やイベントの開催など、さまざまな取組事例を参考にしたい。

ICT機器の導入に悩んだらSB C&SのWebサイトをチェック

 予算は用意された。仕様書も公開されている。「あとはやるしかない」というのが、現在のICT機器導入担当者の立場だろう。特に、校内LANの整備は20年度の予算を使う必要がある。

 ICT機器の導入で迷った際は、ネットワークやクラウドで実績のある企業に相談し、現状の課題を洗い出ししていくのもよいだろう。ソフトバンクグループでIT製品の流通ビジネスを手掛けるSB C&SのICT製品情報サイト「IT-EXchange」では、GIGAスクール構想に関する情報を順次更新する予定だ。

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 GIGAスクール構想で教育ICTに変革がもたらされようとしている。新しい学習指導要領とともに、日本の教育を大きく変える第一歩となる。やるべきことは山積みだが、子どもたちの新しい学びの環境を作るため、国をあげて取り組む一大プロジェクトに挑戦してほしい。

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