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» 2020年11月04日 10時00分 公開

「クリックするだけ」で本当に実用的なAIは作れるのか AI自動生成ツールを使ってる人に聞いてみた

[PR/ITmedia]
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 AIの産業利用が叫ばれる一方で、AIモデルを構築できるデータサイエンティストやエンジニアの数は不足している。そんな中、AIを知らずとも、プログラムが学習データに適したAIアルゴリズムを自動で選び、良い精度で分析を行える「AutoML」(自動機械学習)を実装したAI自動生成ツールがこの2年ほどで増えてきた。日立ハイテクソリューションズの「AIモデラー」はその一つで、作業者はデータさえ入力すれば、後は数クリックの作業だけで高精度な分析結果を出力してくれる。

 しかし、「数クリックで」といわれても本当にそれでできるのか、それで作ったAIを実業務に使えるのかは、説明を聞いているだけでは理解しにくい部分もある。

 そこで今回は、AIモデラーを業務で利用している日立製作所の原山元希さん(社会イノベーション事業推進本部 スマートインダストリー開発部)と周祐梨さん(同)に実際の使用感や使い方のコツを聞いた。

「表計算ソフトより楽」──設定できる項目は“最低限”

AIモデラーの主な役割

 AIモデラーは、分析したいデータさえ用意すれば、AI分析の主要プロセスである「データ加工」や「特徴抽出」「AIモデル構築」を自動化してくれるツールだ。従来のAI分析では専門的な知識を必要としていた部分をAIモデラーが自動で行うため、ユーザーが設定を変えられる項目は最低限にしか設けられていない。

 そう聞くと柔軟性が低いようにも思えてしまうが、原山さんは「最低限の項目しかないのが逆に良いのです」という。

日立製作所の原山元希さん(社会イノベーション事業推進本部 スマートインダストリー開発部)。AIモデラーで10件ほどの案件をこなしてきた。自身はプロデューサー的な立場で、データ分析は専門部署に任せてきた

 原山さんは、これまでパートナー企業の課題解決のために要件の理解や解決策の提示などを行ってきた。しかし具体的なデータ分析の部分については社内の専門部署に依頼していたため、分析手法自体に深い知見を持っているわけではない。

 「初めて触れたときから迷うことがありませんでした。設定できるのは『目的変数』『説明変数』『交差検証』くらいなので、AIについての予備知識がなくても少し統計を知っていれば困らないのではないでしょうか」(原山さん)

 例えば、工場で作った製品の重量のばらつきを調べたいとすれば、目的変数は重量だ。説明変数は生産ラインの各所に設置されたセンサーデータで、AIモデラーは「どのセンサーの値(説明変数)が重量のばらつき(目的変数)の原因となっているか」を自動で分析してくれる。逆に言うと、これを設定しないことにはAIモデラーも「何を目的に分析したらいいか分からない」となってしまうくらい基本的な設定項目だ。

 交差検証は「過学習」を防ぐためのもの。AIに与えたデータを全て学習に回してしまうと、「学習に使ったデータからは高い精度で予測できるが、新たなデータを入力するとうまく予測できなくなってしまう」という状態に陥る。こうした過学習を防ぐため、例えばデータセットを10個に分割し、内9個を学習に、残り1個を学習結果の検証に使うのが交差検証だ。ただ、データセットの大きさに対してどれくらいの割合で分割するのが妥当なのかは専門的な知見が必要になるところでもある。

 「交差検証を初めから最適な設定にするのは難しいですが、AIモデラーは最短10分ほどで結果を得られるので、短いサイクルでトライ&エラーができます。現場の担当者でも自分で手を動かして最適な設定を探せるのが良いところです」(同)

 原山さんと同様に、顧客のスマートファクトリー化に向けた課題解決を行っている周さんは「表計算ソフトよりも楽」とAIモデラーを評価する。

 周さんはまだ勤続年数も浅く、データ分析やAIについては全くの初心者。そんな自分でもAIモデラーを使いこなせたという。

 「AIモデラーでは表計算ソフトでの分析に必要な関数や各種分析手法の知識が不要なため、これまでデータ分析をしたことのない私でも使いこなすことができました」(周さん)

周祐梨さん(社会イノベーション事業推進本部 スマートインダストリー開発部)。AIモデラーで1つの案件をこなしたばかりで、データ分析に関しては初心者

10分で結果が出ることの強み 客先に出向いたその場で分析も

 原山さんや周さんが担当したケースでは、案件の相談を受けてから分析結果を先方に見せられるようになるまでに2〜3カ月を要していたという。

 一方で、AIモデラーを使用した場合は1カ月ほどで先方に結果を見せられるという。期間を短縮できるのは、AIモデラーが分析を約10分で終えられるため、従来は社内の専門家に頼んでいた分析の工数をそのままショートカットできるからだ。

 もちろん専門家による分析に一日の長がある場合もあるが、原山さんが専門家による分析とAIモデラーによる分析を比較したところ、同等の精度が得られたケースもあったという。

 「専門家にお願いする場合は、分析の前提条件やそれぞれのデータの意味の説明に加え、いただいた分析結果を理解するのにも時間がかかっていました。しかしAIモデラーは、どの説明変数がどの目的変数に影響しているかが可視化できます。自身で分析しているので専門家への説明も不要で、分析結果も理解しやすい。取引先にもスムーズに説明できるので助かっています。何より、早くボールを打ち返せるので、先方の熱があるうちに結果を共有でき、次につなげやすくなるのがメリットだと感じています」(原山さん)

 10分で結果を出せるということは、極端な話、客先に出向いたその場で分析することもできる。

 「ヒアリング先でいただいたデータをその場で入力し、10分後に結果が出ることでお客さまとスピーディーに認識共有を図れます。やりたい分析に対し、影響度の高い、あるいは足りないデータが分かり、今後の施策についての議論も活性化させることができます」(周さん)

AIモデラーの精度が出ないときは?

 AIモデラーをもってしても、望むような精度が出ないことはあるという。その一つが「そもそもデータが足りない」状態だ。

 「材料の重量のばらつきを改善したいという取引先のデータをAIモデラーに入れてみたら精度の高い結果が出ず、ばらつきを説明するためのデータが足りないことが分かりました。取引先もそれまでデータは十分だと思っていたのですが、AIモデラーを使ってみて初めて、データがもっと必要だと分かりました。そのため、まずはセンシング項目を増やそうと、データ収集の見直しをしてもらっています」(周さん)

 AIモデラーは結果を可視化できるため、足りないデータも突き止めやすい。繰り返しになるが、結果が出るまでの時間も短いため、取りあえず入力して試すことが簡単だ。最低限の設定項目しかなく、高速に分析できるAIモデラーならではの使い方といえそうだ。

どんな分析にAIモデラーは向いているのか

 誰でも使えて高精度と聞くと万能そうにも思えるが、向き不向きはあると原山さんは言う。

 「そもそもの仕様として、画像処理には使えません。数値のデータセットを処理する場合、例えば方程式で書けそうなものや重回帰分析など初歩的な統計分析で済みそうなデータについては、AIモデラーを使うメリットはあまりありません」

 初歩的な統計分析では解決できなさそうな複雑さはありつつ、「この辺りの改善が問題解決につながりそうだ」と現場担当者が直感的に感じているようなケースの分析に向いている。

 「問題意識を持っているのは現場担当者です。担当者が自分でAIを活用できると気付きを得られるし、試行錯誤もしやすい。普段からいろいろなセンサーデータを見ている人であれば活用しやすいと思います。手元でクイックに分かるという良さは現場の人向きといえます」(原山さん)

AIモデラーは「現場が使えるAI」

現場がAIモデラーを使うようになれば、現場主導でDXを進めていけるようになる

 業務の効率化やさらなる事業成長のためにDX(デジタルトランスフォーメーション)が求められている。DXを推進するには、一般的には企業内のDX推進部門が各部署に働きかけていくことになる。しかし、DX推進部門と各部署で課題のすり合わせから入り、現場担当者へ教育を行っていくことになるため、一筋縄ではいかない。

 AIモデラーはそんな停滞感を払拭するのに一役買いそうだ。これまではDX推進部門が課題の集約や解決に主な役割を担ってきたところ、AIモデラーで現場担当者が分析できるようになれば、課題の解決は現場主導で進められる。誰よりも課題を理解している現場担当者が、AIモデラーを使って10分で分析結果を得られれば、その分短い期間で改善のサイクルを回していけることになる。

 そうなれば、DX推進部門やデータサイエンティスト、あるいは日立製作所のようなSIerは、その改善サイクルをさらにスムーズに回せるようにアシストする役割を担っていくようになると考えられる。

 DXを推進する上で、ペーパーレス化、はんこレス化といった書類周りのデジタルシフトや、データを可視化するBI(ビジネスインテリジェンス)ツールや定型業務を自動化するRPA(ロボティックプロセスオートメーション)といった現場向けの業務ツールを導入・検討している企業は少なくないだろう。

 現場からDXを加速させていくには、これらの施策やツールに加えてAIモデラーの導入も、検討する価値は十分にありそうだ。

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提供:株式会社日立ハイテクソリューションズ
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia NEWS編集部/掲載内容有効期限:2020年12月3日

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