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» 2020年12月10日 10時00分 公開

「AIの民主化ってこういうことか」――FrancfrancのIT部門がゼロからAIを内製できたワケ DX実現までの6カ月の軌跡

[PR/ITmedia]
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 大手IT企業や研究機関では、日進月歩でAIの研究や応用が進んでいる。特定のタスクに限っていえばAIの判断能力はすでに人間を超えているため、先進的なAIアルゴリズムとそれを実行できるだけの計算資源、そして分析対象のデータベースを持つことは、“持たざる者”に対して絶対的に有利になることを意味する。

 逆に、持たざる者は現在もしくは将来的に厳しい立場に置かれることになる。しかも、AIやデータ分析のスペシャリストは市場に多くない。政府の育成戦略によってAI人材が生まれるのも早くて2025年で、人材不足の状況はしばらく改善されそうにない。

 持たざる者、つまりAIのノウハウを持っていない企業は指をくわえて見ているしかないのか。そうではないことを、インテリアショップのFrancfranc(フランフラン)と日本マイクロソフトのタッグが今回実証してみせた。

 日本マイクロソフトが協力した結果、FrancfrancのIT部門はたった半年で社内のさまざまなデータを統合し、分析して仮説を検証できるところまで至った。単にお金を払って外部に分析を依頼したのではなく、Francfrancの社員が自分でできるようになったのがポイントだ。しかも、日本マイクロソフトは無償で協力に応じている。

 2社はどのような取り組みを行ったのか。詳しく見ていきたい。

人もモノも時間もない

桑田和紀執行役員CIO(事業支援本部 本部長 兼 情報システム部部長)

 Francfrancは青山に旗艦店を置くインテリアショップだ。ECサイトや専用のショッピングアプリも展開しているが、それぞれから得られたデータを横断した分析や活用はしていなかった。ここに、同社の桑田和紀CIOは課題感を持っていたと話す。

 「Francfrancには“Customer is my dear friend”という考え方があります。本当に良いものは友人にも良いと勧めるし、悪いものを友人に勧める人はいないですよね」(桑田CIO)

 消費者の趣味嗜好はそれぞれ異なる。一緒くたに新商品をレコメンドするよりも、その人に合わせて「これは良い」「これは悪い」と伝えられる関係を顧客と構築することでLTV(ライフタイムバリュー、顧客生涯価値)を上げたい。そう考える桑田CIOだが、今よりもその関係性を深めていくには顧客の行動理解のため、分析することが不可欠だった。

 しかし、分析に当たって問題は山積みだった。まず分析のノウハウが社内にない。外部からスペシャリストを雇うのは容易ではない。顧客IDや購買行動のデータベースは、実店舗、ECサイト、公式アプリで統合されていない時期もあり、散在していた。

 人もモノも時間もない――。そんなFrancfrancに手を貸したのが日本マイクロソフトだった。

導入の相談からモデル作成・評価まで無償サポートする「Data Hack」

 データ分析機能を持つクラウドサービスはいくつかの大手IT企業が提供しているが、中でも日本マイクロソフトはユーザー企業への支援策の一つとして、「Data Hack」(データハック)という取り組みを行っている。

 これはデータ分析プロジェクトの支援として、日本マイクロソフトのデータサイエンティストやアーキテクトがユーザー企業に参加するものだ。

日本マイクロソフトのデータサイエンティストが無償でユーザー企業をサポートする「Data Hack」とは

 具体的には、Azureのデータサービスを活用し、ユーザー企業のデータ分析テーマに合わせて、分析定義・データ加工・可視化・モデル作成・評価といった一連のデータ分析プロセスを体験でき、データ分析のスキルやノウハウを習得できるサポートプログラムだ。Francfrancの例では月に1〜2回のペースで、半年で計10回の会議を行った。

日本マイクロソフトの望月美由紀さん(デジタルトランスフォーメーション事業本部 エンタープライズクラウドアーキテクト技術本部 クラウドソリューションアーキテクト(Data & AI))

 「一度構築した機械学習のモデルはいつまでも使えるかというと、そうではありません」と指摘するのは、日本マイクロソフトのクラウドソリューションを手掛ける望月美由紀さんだ。

 ある時点で精度の良いモデルができても、時間がたつにつれてデータの取得元である市場のニーズや環境も変わってくるため、どこかでモデルの再構築が必要になる。

 「企業が継続的にデータ分析を行うには、自分で手を動かし続けられることが重要です」と望月さん。そうした内製化マインドを持つ企業に手を差し伸べ、Microsoftのクラウドサービスを継続的に使ってもらおうというのがData Hackの狙いだ。

プログラミング言語不要で分析できる「Azure」のツール群

 とはいえ、これまでデータ分析をしたことのない人物がPythonやRといった統計処理に向くプログラミング言語を一から学び、データサイエンティストとなるのは支援があっても簡単なことではない。そこで効いてくるのが、日本マイクロソフトが用意する「Azure Data Factory」や「Azure Machine Learning」といった、プログラミング言語を知らなくても使える、いわゆる“ノーコード”のクラウド分析ツール群だ。

 Azure Data Factoryではデータの加工・統合をマウスクリックだけで行える。Azure Machine LearningもGUI上でのマウス操作だけで機械学習モデルを構築できる。

 プログラミングの知識がなくても、分析のエッセンスさえ身に着ければ難しい計算はAzure環境が行ってくれる。まさに、内製化のマインドはあっても分析のノウハウがなかったFrancfrancのような企業に向いているツール群だといえる。

今回のData Hackで利用した分析ツール群

大変だったのはデータの準備 その後の分析は「拍子抜けするほど簡単」

 2社のData Hackの大まかな流れとしては、(1)データ分析の目的を定め、Azureの環境を構築、(2)Francfrancの社内に散らばったデータを集めて統合、(3)顧客情報や購買情報についてデータ可視化ツール「Power BI」で基礎的な集計を取り、データの傾向や特性、不備などを確認、(4)自動で最良の予測モデルを構築するAzure Machine Learningの「Automated Machine Learning」と、データセットと分析モジュールをドラッグ & ドロップで接続する「デザイナー」を使ってモデルを構築――というもの。

 分析の目的は「優良顧客の購買特徴のあぶり出し」とした。これが分かれば、どうしたら潜在的な顧客により興味を持ってもらえるかの手がかりがつかめるからだ。もっとも、桑田CIOとしては「優良顧客は店舗でもECサイトでもたくさん購入している。つまり部屋のインテリアのFrancfranc率が高いのではないか」という仮説も持っていた。これが正しいのかを検証する意味合いもあった。

竹中均課長(情報システム部 店舗システム課 兼 CRM課)

 実際の分析プロジェクトに携わったのは、桑田CIOの下で働く竹中均課長(情報システム部 店舗システム課 兼 CRM課)と武本圭史さん(同CRM課)。方針は竹中課長が定めつつ、作業の面は武本さんが主に担当した。

 分析作業に当たった武本さんは「分断されたデータを一つにまとめるのが一番大変でした」と語る。Francfrancでは実店舗、ECサイト、公式ショッピングアプリでの顧客行動がばらばらに保存されており、取得自体も自動化されていなかった。

武本圭史さん(CRM課)

「まとめるのにかかった時間は、合計して約1週間になったと思います。全体の作業量を10とすれば、データ準備が9くらい」と武本さんは振り返る。

 しかし時間をかけた分、分析用のデータは緻密なものができあがった。「われわれが1〜2を教えたとしたら、10〜20の成果が返ってきました」。望月さんとともにData Hackに参加した日本マイクロソフトの武田雅生さんと中里浩之さんは、武本さんの作業成果に目を見張る。望月さんも「この分析モジュールにはこんな使い方があるのかと逆に勉強になったほどです」と感心したという。

集計データのPower BIによる可視化

 こうして用意したデータの傾向をPower BIで確認した後、Azure Machine Learningに入力。同サービスが機械学習モデルを構築するわけだが、武本さんは「機械学習とは何かを知らないまま触っていた」と明かす。

 優良顧客の購買特徴の予測モデル作成には、機械学習モデルの構築を自動化するAutomated Machine Learningを活用。データと予測したい変数さえ与えれば、同ツールがさまざまなAIアルゴリズムを調整しながら自動的にモデルを生成し、予測精度の良い順に並べてくれる。今回のData Hackでは最も良いモデルで95%超の精度が出た。

機械学習モデルを自動で生成する「Automated Machine Learning」

 ここで作ったモデルからは、細かい部分は明かせないものの、これまでの仮説を裏付ける納得感のある特徴とこれまで気づいていなかった意外な特徴が確認できた。

 顧客のセグメンテーションを知るため、クラスタリングも実施。これにはAzure Machine Learningの「デザイナー」というGUIツールを使った。これはデータセットとデータの前処理や分析用のモジュールをドラッグ & ドロップして接続するだけで機械学習パイプラインを開発できるもの。この結果、店舗利用とECサイト利用の多寡から「潜在顧客」「リアル店舗メイン顧客」「ECメイン顧客」「熱烈なファン」「リアル店舗・ECバランス顧客」という5つに顧客を分類できた。

ドラッグ & ドロップ中心の操作で機械学習モデルの開発を行える「デザイナー」機能

 いずれも中身は高度な機械学習の計算ではあるものの、武本さん自身のスキルは「Excelで簡単な集計を取ったことがある程度」だった。「最終的には機械学習も行うと聞いて、どうやるのだろうとドキドキしていましたが、これでできてしまうのかと拍子抜けするほど簡単でした」(武本さん)

 Francfrancは分析の結果を受けて、ABテストの施策を行っていくとしている。分析結果からヒントを得て施策を打っては結果を分析して、と繰り返すことでさらなる顧客満足を得て、顧客のLTV(ライフタイムバリュー)を上げていきたい考えだ。

 同社のEC・アプリ会員数は現在100万人で、Data Hackでの分析開始時の30万人から半年で70万人も増えている。今後も会員数増が見込まれる中、再度の分析には計算リソースとコストの最適化や処理自体の自動化などが必要になってくる。分析方法の今後の課題について、日本マイクロソフトは引き続きFrancfrancを支援していきたいとしている。

素人集団がDX時代に勝ち抜くための道具

 プログラミングや機械学習のことを深く知らなくても、分析の目的や考え方をしっかり持ち、データを用意できれば分析できてしまうのがAzureの分析ツール群だ。

 「うちみたいな分析ノウハウのない会社でもこれらを使えば分析できるようになる。AIやDX(デジタルトランスフォーメーション)の民主化ってこういうことなのだと思います」と桑田CIOは語る。

 「アリがゾウに勝てる見込みが見えてきました。素人集団が今後のDX時代で勝っていくために、こうしたノーコードのツール群を今後も使い倒していきます」(桑田CIO)

左からFrancfranc桑田CIO、竹中課長、武本さん、Data Hackに参加した日本マイクロソフト望月さん、中里さん、 武田さん

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提供:日本マイクロソフト株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia NEWS編集部/掲載内容有効期限:2020年12月16日

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