新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、テレワークで業務を行うケースが増えてきた。2021年になって緊急事態宣言が再発令されたこともあり、またテレワークを再導入した企業も多いに違いない。
テレワークでのミーティングというとWeb会議ツールで行うのがスタンダードになりつつあるが、画面上のやりとりだけではコミュニケーションが不足していると感じている人も多いだろう。
必要な情報が伝えられないと、作業の指示が的確にできずに無駄な仕事が増える、何か問題が起きたときに気付くのが遅れる、正当な人事評価ができない、従業員がストレスを感じ生産性が下がるなど、さまざまな影響が出かねない。
そこで今回は、コミュニケーション戦略の専門家で、近著「世界最高の話し方」が12万部を超えるベストセラーとなっている岡本純子さんに、ニューノーマル時代における上手な情報の伝え方と、やりとりを円滑にする適切なIT環境について話を聞いた。岡本さんはビジネスパーソンのトップエリートを対象としたプレゼン・スピーチなどのプライベートコーチングに携わっており、これまでに1000人を超える社長や企業幹部にノウハウを伝授してきた、コミュニケーションの達人だ。
この1年で、人との関わり方はどのように変化したか。岡本さんは「テレワークへと移行したために、コミュニケーションの質と量が変化しています」と語る。人と人との連携が取れなくなり、孤独感を感じているケースが多いという。
上司の立場に限って言うと、今の管理職は対面でのコミュニケーションでメンバーを掌握してきた世代だ。部下の仕事ぶりを目で見て感じながらコミュニケーションを取ってきたため、オンラインでは心理的に距離を縮められなくなっている。「あうんの呼吸や以心伝心を前提とする人だと難しさが増してしまいます。部下と話したいのに話してくれない、何を考えているのか分からない、伝えたいけど伝わらないという悩みをよく聞きます」(岡本さん)。
以前は身ぶり手ぶりで相手の意図を読み取ったり、会話をスムーズにしたりすることもあった。しかしこれもWeb会議ではなかなか伝わらない。
実際にWeb会議の時に、部下の仕事ぶりについて話を振っても「問題ありません」と答えられてしまい、会話がストップするケースもある。Web会議で部下の働きぶりを把握するのは「以前より5段階くらいハードルが上がっています」(岡本さん)。
上司の背中を見て学び、忖度(そんたく)が求められる世界で生きてきた今の管理職には、自分の言いたいことを伝えるノウハウも、部下の気持ちを読み取って会話を進める対話力も持っていない人が多い。
とはいえ管理職である以上は部下の仕事ぶりを評価しなければいけない。しかし、進捗(しんちょく)を報告してくれと伝えても報告されない、何をしているのかを突っ込みすぎるとハラスメントだと言われる。リアルなら働いている時間数が見え、成果物も分かり、その人の表情もうかがえる。しかし「どう? 最近」と話すだけでも、Web会議をセッティングしなければならない。
また、「若者は話をしてくれない、何を考えているのか分からない」と言っている管理職もよくいる。しかしこれは、岡本さんに言わせると、上司の説教を聞きたくないだけだという。
今の20〜30代は対話、共感の世代で、コミュニケーションを双方向で行いたいと思っているという。一方、上司は飲み会の席で一方的に説教したり、自分の話を言って聞かせたりするのが上司の本分と思っている人が多い。若者はコミュニケーションを取りたくないのではなく、上手なコミュニケーションを求めている。
「コミュニケーションは情報の発信者に責任が9割あります。部下が言うことを聞いてくれないのは、つまらない話をしているあなたに原因があります」と岡本さん。話をするだけでなく、言いたいことを相手に理解してもらうことが大事で、聞いている人が受け取りやすいボールを投げる必要がある。
「人とつながりたいという欲求は誰もが持っており、特にコロナ禍で孤独を感じる人は多くいます。部下は上司を嫌っているわけではなく、一方的に自分の価値を押し付けられるコミュニケーションの不毛さを嫌っているのです」(岡本さん)。
上司と部下の関係だけでなく、同僚同士のコミュニケーションも不足している。特に不足しているのは雑談だ。たわいのない話でもコミュニケーションの量を補う役目があった。
「実際に雑談がチームワーク、やる気、生産性を上げるという調査結果も出ています」(岡本さん)。雑談が嫌いだ、人との関係が煩わしいと思う人もいるが、それはコミュニケーションが職場にとって重要だという意識が低かっただけだ。
コミュニケーションロスは、経営上のデメリットとしても浮上しかねない。実際にアメリカでは、コミュニケーションロスによる損失が年に数万ドルに上るという研究もある。
こうしたコミュニケーション不全を解消するには、コミュニケーションの常識をアップデートすることが大事だという。「日本ではコミュニケーションについての“いろは”を教えてくれる場が全くありません。アメリカでは子供のときから聞き方、話し方、交渉の仕方を習います。社会人になっても、会社帰りに30ドルを払ってストーリーテリングやパブリックスピーキングを習うのです」(岡本さん)。
具体的なテクニックとしては、褒めること、共感することが重要だ。褒めることの重要性はよく言われるが、テレワークでのコミュニケーションの難しさが上がっている現状では、褒めることを意識しなければどうしても不足する。
また、話を聞いている際にはどうしても「こうしなさい」と説教になってしまうことがある。いったん話を聞いて共感し、解決策を導き出していくことも重要だ。そして部下の働きぶりを認めること、成果を上げてくれることへの感謝も忘れてはいけない。
テレワークをする上で、これらのコミュニケーションの窓口になるのがPCだ。チャットにしてもWeb会議にしても、遠隔地にいる人同士の対話は通信機器なしには行えない。PCの性能や機能次第でも、コミュニケーションの質は変わってくる。
例えば音声の面では、リアルに近いものが欲しいという。岡本さんはWeb会議中、PCから出る音がキンキンして耳が痛いときには、外部のスピーカーを接続するなどして、聞きやすい音が出るようにしているそうだ。イヤフォンやヘッドフォンを使っている人もいるが、これらも長時間着けていると耳に負担がかかってしまう。「脳に負荷が掛からないコミュニケーションは大事です」(岡本さん)。
カメラのセッティングにも注意が必要だ。岡本さんは、Web会議では相手に目線を合わせることが重要だと話す。岡本さん自身は、多少画面が見づらくなったとしても、カメラをディスプレイの中心に設定して話しているという。
一方、スタンフォード大学は、Web会議中にいろいろな人に見られることで「Web会議疲れ」になるという研究を発表している。普通の会議では自分に視点が集中し続けることはあまりない。しかしWeb会議では、参加者の顔が画面上にずらっと並び、誰かにいつも見られているように感じる。
これを避けるためには、ある程度カメラから距離を置いた方がいいという研究もある。また、カメラから離れた方がジェスチャーを見せられるため、コミュニケーションしやすくなる。
テレワーク時代のコミュニケーションの質を高めるには、意識の変化に加え、適切なIT環境の整備が必要だ。そこで、コミュニケーションの窓口になるPCを生産している日本HPが提案するのが、テレワークでの仕事に適切な機能を備えた新しい13型ノートPC「HP Elite Dragonfly G2」(以下、Dragonfly G2)だ。
同モデルは音にこだわった作りになっている。マイクは周りの人の声を360度拾える他、余計な音が入らないようノイズキャンセリング機能も備える。
カメラにもちょっとした仕掛けがある。ディスプレイの上部のインカメラには、使わないときにレンズを隠せる物理シャッターがある。
先ほど、Web会議では参加者の顔が画面上に並ぶため、いつも見られている気がして疲れてしまうという話をしたが、カメラがあるだけで、つながっていなくてもストレスを感じてしまう人もいる。カメラを物理的に隠せるようにすることで、Web会議中以外の時間も「もしかして監視されているんじゃないか」という余計な心配をしなくて済む。
マイクやカメラ以外にも、テレワーク向けPCとして、重さは989g(構成により変動あり)の軽量ボディ、長時間の使用に耐えるバッテリー、Wi-Fiがない場所でも通信できるLTE対応モデルなど、自宅やサテライトオフィスなどでの作業に適した機能を搭載している。
日本HPはノートPCの他にも、会議室に特化した据え置き型PCとして「HP Elite Slice G2」も用意している。これは立方体のような形を持つWeb会議専用のデスクトップPCで、会議テーブルの中央において利用するものだ。
こちらも音にこだわり、全方位に音を届けるスピーカーを配置。耳に負担を掛けず、話しやすさと聞きやすさを両立させる仕様になっているため、Web会議のストレスを軽減できる。
今後、新型コロナウイルス感染症の拡大が落ち着き、オフィスで仕事をするようになっても、Web会議はその便利さから、コロナ以前よりも気軽に利用されるようになるだろう。そうなった場合も、Web会議専用機でリアルの会議に劣らない体験を提供するため、幅広いラインアップを用意している。
テレワークにおけるコミュニケーションの困り事とその原因について、ここまで語ってきた。その解決策は、「コミュニケーションに対する価値観をアップデートすること」「視線を意識すること」「ストレス無くやりとりできる環境を整えること」などさまざまだった。
コミュニケーションとは相互のやりとりであり、言葉だけでなく、熱量や思いも重要になる。また部下とのコミュニケーションでは共感が大切だ。
スクリーンを越えて意図を伝えるには話し手の技量も必要となるが、そこに使いやすいPCがあることで、意思疎通のサポートができるようになる。社内でのコミュニケーションに課題を感じている企業にとって、Dragonfly G2やElite Slice G2を始めとした日本HPのビジネスPCが力強い味方になってくれるはずだ。
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提供:株式会社日本HP
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia NEWS編集部/掲載内容有効期限:2021年3月30日