シスコが目指す、次世代のデータセンターネットワーク 実現の鍵は「自動化・可視化・分析」にあり

» 2021年07月30日 10時00分 公開
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 本格的な「ハイブリッド/マルチクラウド」時代の到来により、企業システムの所在は分散化の一途をたどっている。

 オンプレミスで運用するサーバ仮想化基盤を使ったプライベートクラウドをベースに、パブリッククラウドサービスを適材適所に組み合わせたシステムが一般化。特にビジネスの需要や社会情勢の変化が激しい昨今では、柔軟で機敏な運用管理の体制を維持するため物理的な環境に依存しないネットワーク構築は必須だ。一昔前の状況に比べると、処理性能や信頼性、そして管理のしやすさと、データセンターのネットワーク環境に求められる要件は、より高度になっているといえるだろう。

 仮想マシンやコンテナなどコンピュートリソースが分散化する中で、“オンプレミスとクラウド”、“クラウドとクラウド”の通信に対してどのように統制をとるのかという点も課題であるといえる。従来のネットワークアーキテクチャをそのままに、アプリケーションに最適なパフォーマンスを維持しながら、かつ企業の中で統制の取れた信頼性の高いネットワークを構築することは至難の業だ。

 複雑に絡み合うネットワークの運用負荷が高まるばかりで、ネットワーク構成の抜本的な見直しにいつか直面するだろう。

 このようなデータセンターネットワークの課題を解決する手段として注目されているのが、物理的な環境に依存しない柔軟なネットワークを実現するSDN(Software Defined Network)技術だ。

photo シスコの井上景介氏(シニアプロダクトセールススペシャリスト)

 ネットワーク構成を仮想化、抽象化してシンプルにまとめ直し、異なる環境を行き来するトラフィックにも対応できるSDNを導入すれば、ネットワークのプロビジョニングや、異環境間におけるトラフィックの制御、そして効率的に管理できる環境を短期間で実現できる。

 まさにハイブリッド/マルチクラウド時代に必須のネットワークアーキテクチャだが、それらを内包する次世代ネットワークプラットフォームを手掛けるシスコは、どのようなニーズを捉え、応えようとしているのか。同社の井上景介氏(シニアプロダクトセールススペシャリスト)に話を聞いた。

データセンターのネットワーク構成を一元管理

 SDN技術を支えるコアソリューションとしてシスコが提供する「Cisco ACI」(Application Centric Infrastructure)は、データセンターの仮想化や自動化をSDNコントローラーによって実現する。井上氏はCisco ACIの特徴を次のように話す。

 「ACIは昨今のネットワーク基盤に必要な要件であるネットワーク仮想化はもちろん、通信のセグメンテーション、サービスインサーションのようなトラフィックコントロールをポリシーという概念で実現します。また柔軟かつ迅速に提供するために必要となる自動化や統合管理によって、運用管理の負荷とコストを削減することも可能です」(井上氏)

 ネットワークの負荷分散を行うロードバランサーや、ファイアウォール、IPS/IDSといったアプライアンス製品との統合、そしてVMware、OpenStack、Kubernetesなど仮想基盤やコンテナ基盤と連携できるのもCisco ACIの強みだ。

 また同社が提供する「Cloud ACI」によって、AWSやAzureといったパブリッククラウドの一元管理とともに、オンプレ同様ACIのポリシーの概念によってネットワークの制御を行うことが可能だ。

シスコのデータセンター向けスイッチ「Cisco Nexus」シリーズ

 加えてオンプレミス環境でSDN技術を効率的に導入し、運用を始めるには、データセンターのネットワークに最適化された高性能なスイッチが欠かせない。そうしたニーズに応えるシスコのスイッチ製品が「Cisco Nexus」シリーズだ。

 Cisco Nexusはさまざまな特長を備えている。トラフィック処理を高速かつ効率的に行う専用ASICとなる「クラウドスケールASIC」を搭載し、アプリケーションのパフォーマンスを最適化できる他、仮想ネットワークを実現するVXLANでノンブロッキング転送を実現可能だ。

 ネットワーク環境の状況を可視化するテレメトリー機能も充実している。テレメトリーデータを分析して相関関係を把握することで、トラブルを未然に防止し、万が一の場合でもネットワーク管理者が迅速な対応を行える体制を整えられる。

 前述のACIや「DCNM」という管理ソフトウェアからNexusを管理することによって、シスコが追い求める効率的な一元管理、自動化に向けた細かなオプションも豊富にそろっている。

シンプルな運用管理を実現するために

 Cisco ACIをはじめとするSDN技術と、Cisco Nexusシリーズのファブリック技術を組み合わせることで、ハイブリッド/マルチクラウド環境でも、パフォーマンスに優れ自動化された信頼性の高いネットワーク構築が期待できる。

 しかし、井上氏は「ネットワークの運用や管理の負荷をさらに軽減するには、各サイトを一元的に管理し、多数のツールをまとめ、シンプルな運用管理を実現する仕組みが欠かせません」と強調する。

 そこで登場したのが、データセンターの統合プラットフォーム「Cisco Nexus Dashboard」だ。Cisco Nexus Dashboardには、ネットワークの運用管理を一元的に操作できる集中管理コンソールが用意されている。このコンソールを利用すれば、ネットワーク管理者は「ACI」や「DCNM」によって管理される各サイトを一元的に管理しつつ、ネットワークの詳細な状況を可視化して、プロビジョニングやトラブル対応が可能になる。

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 複数のデータセンター管理コンソールを統合すれば、ネットワークの監視も容易になり、シンプルな運用自動化、可視化、分析を実現できる。

 「分かりやすいユーザーインタフェースによる使いやすさ、単一コンソールを使った拡張性の高さ、メンテナンスの容易さといった特長を備え、オンプレミス環境にも、ハイブリッド/マルチクラウド環境にも柔軟に導入できます」(井上氏)

 さらに井上氏は、Cisco Nexusシリーズのハードウェアと分析ソフトウェアとの融合によって粒度の高い分析を行い、問題に先回りで解決する「Cisco Nexus Dashboard Insights」、一貫したポリシーでオンプレミスとパブリッククラウドにまたがるネットワークの運用管理機能を提供する「Cisco Nexus Dashboard Orchestrator」、さらにサードパーティー製品と連携した運用サービスも同時並行で利用することを勧めている。

AI技術を活用した「Cisco Nexus Dashboard Insights」

 Cisco Nexus Dashboardで利用できる運用サービスの中でも、とくに役に立つと井上氏が太鼓判を押すのが「Cisco Nexus Dashboard Insights」だ。AI技術を活用したこのツールを使用すれば、これまで問題の原因究明や兆候を捉えることが難しかった監視、トラブル対応業務を簡素化できる。

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 AIの分析結果に基づいた対応を能動的に実施することで、“リアクティブ(後手)”の運用から“プロアクティブ(先手)”の運用へと転換を図れる。

 Cisco Nexus Dashboard Insightsが提供する機能は、ダッシュボードを見れば一目瞭然だ。「ネットワークファブリック内部のどのスイッチ、どのインタフェースでどんなドロップが発生したのか」を分かりやすくグラフで表示し、フローの情報やファブリックのリソース、環境情報、統計情報を確認できる。これらの情報で何らかのトラブルが検知されていれば「異常」として表示する。

 ネットワーク管理者は、この“異常”を入口にしてトラブルの原因究明や兆候探索などの調査を行える。また、コントローラーで発生したイベントはタイムラインに表示されるので、影響範囲や因果関係の把握も容易になるだろう。

 井上氏は、Cisco Nexus Dashboardを使ってネットワーク運用管理を簡素化すると、価値創出までの時間を短縮するようなカスタマーエクスペリエンス向上に役立つと解説する。

 「複数のデータセンターにまたがる管理ツールを使い分ける複雑さや不規則さを解消してネットワーク全体のコストを削減し、トラブルの根本原因を素早く修復してビジネスの継続性とコンプライアンスを確保するといったメリットが得られるでしょう」(井上氏)

データセンターのネットワークを高度化するために

 ここまでCisco ACIをはじめとするSDN技術、Cisco Nexusシリーズのファブリック技術、さらにCisco Nexusシリーズの運用管理を高度化するCisco Nexus Dashboardを中心に紹介してきた。

 シスコのネットワークソリューションを導入し、ハイブリッド/マルチクラウド環境におけるデータセンターネットワークの「自動化」「可視化」「分析」を実現することが、これからの次世代のネットワークを高度化するための“鍵”になるのは間違いない。

 最後にデータセンターネットワークスイッチ「Cisco Nexusシリーズ」の代表的なラインアップを紹介しよう。「Cisco Nexus 9000」シリーズは、ネットワーク帯域性能と機能によって選べるシャシー型、ボックス型の筐体を採用したデータセンターネットワークスイッチのメインストリーム製品だ。

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 最新の「Cisco Nexus 9300クラウドスケールスイッチ」には、最大400Gに対応した高密度・高速インタフェースを搭載している。シスコ独自のクラウドスケールASICと、Nexusシリーズ上で稼働するネットワークOS「NX-OS」により、ハイブリッド/マルチクラウド時代のデータセンター要件に対応できる。

 最新のシャシー型製品「Nexus 9500 モジュラ型クラウドスケールスイッチ」は、共通コンポーネント(シャシー)に、400G対応のラインガードやファブリックモジュールを搭載する仕組みだ。

 また一般的なデータセンター要件と少し毛色が異なるが、2020年にCisco Nexusシリーズとして加わった「Cisco Nexus 3550シリーズ」は、シスコが20年2月に買収した豪Exablaze社の製品をリブランディングしたもので、証券・金融商品取引所などの高頻度取引ネットワークに最適な超低遅延、高性能スイッチとなっている。Exablazeの技術をラインアップに統合したことで、低遅延アプリケーションのニーズに応えるネットワークプラットフォームの提供も可能になった。

 オンプレミスとパブリッククラウドにまたがる複雑なネットワーク運用をシンプルにしたい──そんな課題を抱えているなら、現代のネットワークにふさわしい解決策を持つシスコに相談してみてはいかがだろうか。

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