「働き方改革」の下で以前から検討されてきたテレワークだが、新型コロナウイルス感染症の流行で外出や移動の自粛が求められる中、急ピッチで導入が進んでいる。感染対策のため外出を控え自宅で仕事をするのが当たり前になった人も多い。
感染収束後もテレワークを前提とすることに決めた企業も出てきた。オフィスに縛られない自由な働き方ができるかどうかが企業の価値を決める一つの要因になり、求人や離職率にも影響する時代になりつつある。
テレワークを推進する企業の中には、在宅とオフィスの中間ともいうべき「サテライトオフィス」を導入するところもある。複数の場所に小規模なオフィスを配置し、従業員が好きな場所で働けるようにすることで、移動にかかる時間やストレスを軽減するといった効果が期待できる。
しかし、サテライトオフィスの実現にも課題がある。それが通信ネットワークの構築と運用だ。短期間に十分な品質のネットワークをできるだけ低コストで作り上げ、情報セキュリティ対策や管理体制も整えなければならない。拠点が増えればその管理も煩雑となり、サテライトオフィス開設のような思い切った施策の実行に二の足を踏む組織も多いだろう。
ネットワークシステムの構築や運用支援サービスなどを手掛けるネットワンシステムズ(東京都千代田区)もサテライトオフィスのネットワーク整備に悩んでいた企業の一つだ。同社の小玉まさきさん(管理本部DX推進部第3チーム)は「当社はコロナ禍以前から働き方改革に取り組み、従業員が気楽に立ち寄れるサテライトオフィスの開設に向けて検討を進めていた」と話す。課題になったのは「構築スピード」「回線コスト」「情報セキュリティ対策」の3点だった。
ネットワンシステムズはテレワーク制度の整備などの取り組みが一段落した2019年、営業メンバーのために「タッチダウンオフィス」の導入を検討しはじめた。タッチダウンオフィスはサテライトオフィスの一種。「休憩所」「一時的に立ち寄る場所」という意味合いが強く、仕事をするためにわざわざ足を運ぶというよりは、営業の合間に少し立ち寄って作業するという使い方を想定したもの。わざわざ本社オフィスまで戻らなくても、営業先の近場で準備や社内処理ができるメリットがある。企業としても、地価の安い地域にオフィスを分散させることで、賃貸費用の削減が狙える。
同社にとって理想のサテライトオフィスとは、必要なときに必要なだけ設置でき、運用も撤収も簡単なオフィスだ。実現には素早く開設できること、快適でセキュアな通信環境があることを求めていた。
ネットワンシステムズはオフィスのネットワークも手掛けているが、一般的にサテライトオフィスの場合は本社オフィスに比べて規模が小さく、短納期での構築を望まれることがほとんどだ。新型コロナウイルス感染症の影響で経済状況の見通しを立てにくいことも、すぐに設置できてすぐ撤収できる仕組みが求められる背景の一つになっている。
同社はタッチダウンオフィスを開設するに当たり、これらのニーズを踏まえ、ネットワーク機器とクラウド型のネットワーク運用ツールを一括提供する、シスコの「Cisco Meraki」に注目した。
ネットワンシステムズがCisco Merakiを選んだ理由は、構築スピード、回線コスト、情報セキュリティ対策の3つの課題をクリアできるからだ。
Cisco Merakiでは、ファイアウォールやスイッチ、無線アクセスポイント、ネットワークカメラなどのネットワーク機器と、ネットワーク運用ツールを一つのパッケージとして提供。PCやスマートフォンのWebブラウザでダッシュボードを開けば、ネットワークの状態や通信状況などを遠隔でいつでも一元管理できる。
Cisco Merakiにはオフィスのネットワーク構築に必要な機器や管理ツールがそろっている。ネットワンシステムズの角田一磨さん(管理本部DX推進部第3チーム)は「サテライトオフィスの箱にCisco Merakiを入れればネットワークの構築はできたといっても過言ではありません」と語る。同社は21年5月に神奈川県藤沢市と東京都立川市にタッチダウンオフィスを開設。立川オフィスではCisco Merakiを導入し、1カ月程度でネットワークを構築できた。
機器の到着も早く、他社サービスであれば納入に3〜4カ月かかるところ、Cisco Merakiの場合は導入を決めて発注してから1カ月強で構築に取り掛かれた。この点においても、Cisco Merakiの導入メリットは大きいといえるだろう。
さらに、Cisco Merakiはネットワーク設定の“コピペ”ができるのも強みという。サテライトオフィスは複数開設するケースが多く、そのたびにネットワークを構築する必要がある。機器は当然それぞれでそろえる必要があるが、ネットワークの設定は使い回せるため、2拠点目以降はさらに短期間で展開できる。これがネットワンシステムズのニーズにぴたりとはまったという。
次の課題は回線コストだ。これまでもあった支店や支部といった規模の拠点では専用の通信回線(専用線)を使うことが多かった。しかし、専用線は帯域の割にコストが高く、サテライトオフィスのような小さな拠点で使うのはコストパフォーマンス面で難しい。インターネット回線を使いVPN接続するのが現実的だ。
Cisco Merakiは、専用の機器を設置してインターネットの終端装置とつなげるだけで、ワンタッチレベルでVPNトンネルを実現し、回線コストを抑える。インターネット回線とVPN接続を場面によって使い分け、ネットワークの負荷を軽減する「ローカルブレイクアウト」も可能だ。
情報セキュリティ機能も一括導入できる。Cisco Merakiはファイアウォールの他にも侵入防御システム、フィルタリング、マルウェア防御システムなどを含んでいる。それらをダッシュボードから全て管理できるのが強みで、ネットワンシステムズが掲げていた高いセキュリティ要件も難なくクリアした。
こうしてネットワンシステムズはタッチダウンオフィスが抱える課題を解決できたが、驚くべきはこのネットワークを構築したのが2年目の棚橋誠一郎さん(管理本部DX推進部第3チーム)だったことだ。棚橋さんはネットワークエンジニアの技能を認定するCCNA(Cisco Certified Network Associate)の資格を取るため勉強していたが、現場でのネットワーク構築は経験がなかった。
「設定画面やダッシュボードがシンプルで運用や設計を可視化できて分かりやすかった」(棚橋さん)
タッチダウンオフィス開設からしばらくはネットワークの状況を確認するため、何かあれば全て通知するように設定。「他社製品に比べると通知の内容からトラブルの原因を調査しやすく、可視性が高いのが大きなメリット」(角田さん)だという。
例えば「20分間、1GB以上の通信が続いていたら通知する」という基準を設定していると、いつ、誰が、どのような通信をしているか、ダッシュボードですぐに分かるようになっている。無線LANに問題が出た場合も、トラブルが起きているのは認証か通信プロトコルかといった内容まで伝えるように設計してある。
ネットワンシステムズは、立川タッチダウンオフィスのオープンをきっかけに複数のタッチダウンオフィスを横展開するだけでなく、既存の地方拠点でもネットワークリプレースのタイミングでCisco Merakiに入れ替える計画を立てている。インフラチームの負担軽減、社内全体の生産性向上が目的だ。
専用線の廃止や本社のフロア削減などのコストメリットを考えると、数年で億単位の経費削減も狙えるという。
そしてネットワンシステムズ傘下のネットワンパートナーズ(東京都千代田区)では、これらの成功を基に、同じような課題やニーズを持っている企業にもディストリビューターとしてCisco Merakiを広める予定だ。販売パートナーにノウハウを展開し、顧客の現場に合わせたCisco Merakiの使い方を提案できるよう準備している。
コロナ禍のテレワークをきっかけにサテライトオフィスの導入を考えている企業、現状のサテライトオフィス運営に課題を感じる企業は、リアリティーのある提案ができるネットワングループに相談してみてはいかがだろうか。
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