オフィスに出社して働くことが当たり前ではなくなった今、さまざまな環境に合わせたビジネスPCを柔軟に選ぶことが、従業員の生産性を高める重要な鍵となっていることは多くの企業で理解が進んでいるだろう。
ビジネスPCを手掛けるPCメーカー各社も、そうしたニーズに合わせた製品を続々とリリースしている。レノボ・ジャパンが、同社を代表するノートPCブランド「ThinkPad」のフラグシップ「X1」シリーズに、今求められる機能を詰め込んだ「ThinkPad X1 Yoga Gen 6」もそのうちの1つだ。
本製品の魅力はディスプレイの10点マルチタッチ機能と、スタイラスペン「Lenovo Pen Pro」を搭載し、キーボードをたたんでタブレットとしても使用できる2in1の形態にある。
プロセッサには最新の第11世代Coreを搭載。オプションで企業向けの管理/セキュリティ機能を付加したインテル vPro対応CPUや、WQUXGA(3840×2400ピクセル)の高解像度にブルーライト軽減機能を加えたディスプレイ、Windows Helloの顔認証機能が利用できるIRセンサーも搭載できる。ディスプレイサイズは14型で、本体重量は約1.4kgとなっている。
新型コロナウイルス感染症の流行に伴うリモートワークの拡大、そしてオンライン会議の増加といった働き方の変革がめざましい時代に重視される機能を多く搭載している。今回はその実力を紹介していきたい。
ボディーは2世代前の「Gen 4」から採用しているアルミニウム合金で、光沢感を抑えたマットな質感だ。色は「ストームグレー」と呼ばれる濃いグレーで統一されている。天板とキーボード面に刻印された「ThinkPad X1」のロゴやLenovo独自のポインティングデバイス「トラックポイント」の赤が映える。天板の「i」のドットが電源オン時に点灯するのもユニークで目を引くだろう。
サイズはA4サイズから一回り大きい314.4(幅)×223(奥行き)×14.9(高さ)mmで、コワーキングスペースやファミレスのテーブルといった狭い場所でも扱いやすい。
キーボードの色も本体と同じストームグレーで、文字の刻印は白く視認性が高い。配列はテンキーを省いた日本語配列で、右のAltキーやファンクションキーの幅が狭くなっているが、PrintScreen、Home、End、Insert、Delete、PageUp/Downといったキーはしっかりと配置されており、文章のタイピングからデータの入力といった細かいタスクまで、作業性が高いキー数を確保している。
英字キーのサイズは約15mm四方で、キー同士の隙間は約3mm。押した感触はほどよい弾力があり、キートップにもマットな加工が施されているため打ち心地は良好だ。ThinkPadシリーズのキーボードは中央がわずかにへこんでいて指が収まりやすく、使いやすさを向上させる要因になっている。
Fnキーとファンクションキーの同時押しで音量の調整などの機能も使える。Fn+F10/F11は「Skype」と「Microsoft Teams」に対応した通話への応答/終了ボタンで、Fn+F12には「アプリケーションやファイルを開く」「ウェブサイトを開く」といった特定の動作を選べる機能が割り当てられている。こうした細かな機能を使いこなすことで、ユーザーの生産性を高められる。
マウスカーソルを操作するポインティング機能はトラックポイントの他、一般的なトラックパッドも搭載。トラックパッド下部に左右クリックに対応するクリックポイントを備え、専用の左右ボタンがそれぞれのクリックに対応。中央のボタンを押しながらトラックポイントを動かせばスクロールできる。
トラックパッドはマルチタッチ機能を備えるため、Windows標準のジェスチャーに対応している。2本指でのスクロールやピンチイン/アウトでの拡大/縮小の他、3本指で左にスワイプするとキーボードでAlt+Tabを押したときと同じウィンドウ選択を行えるなど、片手で行える操作がかなり多く、紙の資料などを確認しながら作業を行う場合などに便利だ。
14型ディスプレイのアスペクト比は16:10で、今回試用したモデルが搭載するディスプレイの解像度はWUXGA(1920×1200ピクセル)。ノングレア加工(光沢なし)のIPS液晶で映り込みが最小限に抑えられており、ビジネスPCとして最適だろう。
ThinkPad X1 Yoga Gen 6が採用している16:10のアスペクト比は、家庭用テレビやデスクトップPC向けのディスプレイに多い16:9と比べて縦方向の表示域が広い。フルHD(1920×1080ピクセル)とは120ピクセルの違いとなるが、実測で20mmほど違う。ブラウザのウィンドウを拡大したり、オフィスソフトを複数表示したりする際にかなり便利だ。
「インテル Evo プラットフォーム」は、第11世代インテル Coreプロセッサと8GB以上のメインメモリ、256GB以上のPCIe/NVMe SSD、Thunderbolt 4対応のUSB端子、Wi-Fiは高速かつ混雑に強い最新の「Wi-Fi 6」を搭載しているなどの要件をクリアしたノートPCに与えられる認証だ。
今回使用したモデルにはプロセッサにCore i5-1135G7、メインメモリがLPDDR4X 8GB、ストレージがキオクシア製256GB SSD「KXG60ZNV256G」という構成だった。なお、最大構成ではプロセッサがCore i7-1185G7、メインメモリ32GB、ストレージ2TBとなる。より高いパフォーマンスを求めるパワーユーザーにも十分に対応できる。
今回の構成でWordやExcel、Microsoft Edgeといったソフトを同時に開き、普段行っているデータ処理や執筆作業をしたが、マウスやタッチ機能の引っ掛かりやキーボード操作の遅延も感じられず、ネットワークの接続状態も常に安定していた。
インタフェースは左側にUSB Type-C×2、USB Type-A 3.0、HDMIコネクターが配置されており、USB Type-Cは2つともにThunderbolt 4に対応する。この他に右側のUSB 3.2 Gen 1 Standard-A端子はPCの電源がオフになっていても給電可能なPowered USBに対応している。右側にはケンジントンロックとmicroSIMスロット、マイク/ヘッドフォンジャックに加えてLenovo Pen Proを内蔵する。
オプションでLTEまたは5G/LTEモジュールを追加してWWANを利用すれば、Wi-Fiスポットがない場合やセキュリティ上の問題でWi-Fiを使えない状況でも、勤務先のVPNなどに接続できて便利だ。
外部サービスに接続して記事を投稿していた筆者の経験だが、人が多く集まるイベントや席数の多いコワーキングスペースなどでは、モバイルネットワーク回線が普段通り使える一方、フリーWi-Fiが混雑したり、テザリングで通信容量を使い切って作業が停滞したりする場面は多かった。
あくまでオプションではあるが、普段から外出先でネットワークに接続して作業を行っている場合、データ通信専用でもSIMを契約してWi-Fiスポットやテザリングに頼る必要のない環境を作る価値は十分にある。
本体に内蔵されているLenovo Pen Proは110(長さ)×直径5(太さ)mmで、ペン先端から40〜60mmの場所に2つのボタンを搭載。標準でインストールされているアプリ「Lenovo Pen Pro Settings」で筆圧の感度や円形のUIで各種機能を利用できる「ラジアルメニュー」の他、2つのスイッチを押した際の機能を設定できる。
筆圧感知は4096段階で、筆圧機能はWordやExcelの「描画」機能などが対応している。書類やデータの補足を描き足したり、メモを書き込んだりするのに便利だ。常に一定の太さで線を引きたい場合、「ペン先の感度」を最大にしておけばいい。
ThinkPad X1 Yoga Gen 6は、ディスプレイに10点のマルチタッチ機能を備えているところも魅力だ。対応したアプリやブラウザでは、スマホやタブレットと同様のタッチ操作が可能で、指で触れた場所が反応するためトラックパッドを使用するより直感的に操作できる。データ量の多いExcelや個人情報の入力フォームなど、細かい場所をポイントする場合は直接タッチした方が便利に感じる。
電源ボタンには標準で指紋センサーが搭載されており、Windows Helloを利用して初回起動時の他、「設定」の「サインイン オプション」から指紋でPCのロックを解除できるように設定可能だ。
カメラには物理的なカバーでレンズを遮る「ThinkShutter」を備える。ディスプレイ上部の溝に爪をひっかけて左にスライドするとカバーが閉じる。ディスプレイ上でもZoomやLINEなど、どのアプリでも専用のアイコンが通話画面に現れてカメラが利用できないことを画面上でも示す。2018年に発表し、「Yoga Gen4」などさまざまな機種にも装備されている同社の定番機能だ。
オプションでIRセンサーを搭載したWebカメラを追加すると、Windows Helloでの顔認証に使えるだけではなく、画面上の視野角を調整して「ソーシャルハック」──いわゆるのぞき見を防ぐ「PrivacyGuard」機能を利用できる。
ユーザーの動きを検知して自動的に画面をオフ/ロック解除する「Human Presence Detection」(HPD)機能もオプションで提供する。PCのログインを便利にしたい、外出先で安心して仕事をしてもらいたいなど、従業員の生産性を高められるだろう。
オンライン会議ツールで使う機能として、マイクやスピーカーの品質も高められている。スピーカーは空間オーディオ機能「Dolby Atmos」に対応したステレオスピーカーで、マイクはディスプレイ上部に上を向くように設置された「Dolby Voice」対応の集音マイクとなっている。
Dolby Voiceは少人数のグループが1つの端末から会議に参加する際に集音性を高める「コラボレーションモード」や、端末の前にいるユーザーの声を集音してその他の雑音を抑制する「プライバシーモード」を備え、イヤフォンなどを接続しなくても品質の高い通話が可能となっている。
スピーカーは詳細なスペックが公開されていないものの、大きめの音量で音楽を流してもザラついたノイズが発生することもなく、きれいな音を確認できた。品質の高さがうかがえる。
本体を逆向きに180度以上曲げるとスタンドを備えた、もしくは平らなタブレットとして利用できるところが「Yoga」シリーズの特徴だ。
持ちやすさに配慮してキーボードや電源ボタンの操作がオフになる点に細かな配慮を感じる。画面をロックした状態でもソフトウェアキーボードが使えるため、席に戻った際に画面がロックされていてもキーボードを戻す必要がないのはうれしい。タブレットモード時は横向きと縦向き、それぞれ逆側の4方向で利用できる。
標準でインストールされているアプリ「Lenovo Commercial Vantage」では、端末の保証期間やストレージ/メモリの使用状況、BIOSなどのアップデートを確認できる他、Fnキーとファンクションキーを同時に押した際に使える機能の設定も可能だ。キーボードのバックライトも設定でき、標準でオフになっているが設定するとキーボードの印字部分が白く発光するようになる。
ThinkPad X1 Yoga Gen 6は、情報技術と現実空間を融合させる社会モデル「Society 5.0」の標準化を見据えたセキュリティ機能や、可搬性に優れたボディーが魅力だ。幅広い用途に使える性能を持ったノートPCを開発してきたThinkPadシリーズならではの信頼性にも期待でき、高い汎用性を備えるデバイスだと感じた。
ビジネス用途に利用するには十分な性能を備え、PCモードとタブレットモードの軽快な切り替えやセキュリティ機能、幅広い用途に使えるスタイラスペン、携帯回線への対応など、場所を選ばずに仕事に臨むユーザーにはかなり魅力的な端末だといえるだろう。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
提供:レノボ・ジャパン合同会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia NEWS編集部/掲載内容有効期限:2021年10月5日