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» 2021年11月10日 10時00分 公開

三菱電機の“IoT業務用エアコン”開発の舞台裏 ネット活用サービスで目指す事業戦略

[PR/ITmedia]
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 あらゆる建物の空調を担うエアコン。その存在はもはや当たり前となり、普段から特に気にすることは少ない。しかし、私たちが季節や天候を問わず快適に日々の生活を送れたり、仕事に打ち込めたりするのは、その存在があってこそだ。

 これがもし使えなくなったとしたら一大事。特にオフィスビルや商業施設に導入される業務用エアコンにおいては、その場所で行われるビジネスに多大な影響を与えるだろう。だからこそ安定稼働が求められるのは当然で、日々のメンテナンスも重要になる。そんなメンテナンス作業を効率化する仕組みとして、IoTが身近のものになっているのはご存じだろうか。

 そんな賢い業務用エアコンを手掛けるメーカーのひとつが三菱電機だ。業務用エアコンは設置から10年以上は稼働し続けるのが当たり前の世界で、こうした設備を個々に管理するのには大変な労力がいる。

 そこで三菱電機は2020年5月に空調機器管理システム「MELflo」(メルフロー)を開発。業務用エアコンのリモコンとPCやスマートフォンを連携させて、機器情報や運転データを収集・管理できるようにした。

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 業務用エアコンを設置した管理者が簡単に機器の情報を読み取れるようになるため、メンテナンス業者に状況を伝えやすくなるメリットが生まれる。さらにメンテナンス業者も物件ごとに点検状況を確認・管理しやすくなるため、双方でフロン点検を含めた運用管理を省力化できる仕組みだ。

 さらに2021年5月には、MELfloをリモートで扱えるようにした新サービス「AirCoNet」(エアコネット)もスタート。クラウド上で機器データやエアコンの運転状況、エネルギー使用量といった情報を蓄積、共有できるようになる他、管理者は異常発生時にメールで通知を受け取れる。メンテナンス業者も状況をリアルタイムに確認できるので、異常発生時にスピーディーに対処するサービスを提供できるようになる。

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 技術者や管理者の人手不足といった業界の課題などもあり、これらは今後欠かせない機能といえそうだが、空調機のハードウェア性能を追求してきた三菱電機にとって、ネット連携のようなハードとソフトの融合は“新たな挑戦”ともいえる取り組みだった。その舞台裏を担当者に聞いた。

管理しやすい業務用エアコン 法改正も後押しに

 これまで数々の空調機器を販売してきた三菱電機だが、国内には競合となるメーカーも多く、競争も激しい。そのような背景もあり、製品開発においてはプロダクト側に偏り、機能や性能に目が行きがちになっていた。

 しかし、空調機器は長い年数に渡って利用されるもの。その間には部品の劣化による性能の低下や故障もある。製品を納入、設置して終わりではなく、製品ライフサイクルを長い目で見守りたいという思いもあった。MELfloも、施設の中に5台、10台と複数台ある業務用エアコンを10年、20年たっても管理できるように生まれた仕組みだ。

 さらに法改正の後押しもあった。2015年に「フロン排出抑制法」が改正され、フロンガスなどの冷媒を外に漏らさぬように監督する義務が、業務用エアコンを設置した建物の持ち主に生じたことが大きい。

 MELfloを活用することで、建物にどのような機器が設置されているかをPCやスマホから一目で確認できるようになる。フロン排出抑制法で記録が義務付けられている点検項目も参照できるため、多くの機器を管理しなければならないビルのオーナーと設備業者にとっては渡りに船となるだろう。

photo 三菱電機の中田成憲氏(静岡製作所 パッケージエアコン開発推進プロジェクトグループ)

 実際に導入した顧客からも好評だ。三菱電機の静岡製作所で業務用エアコンのコンセプトやシステムの企画・開発を担当している中田成憲氏(静岡製作所 パッケージエアコン開発推進プロジェクトグループ)は次のように説明する。

 「お客さまからは、当初『これって便利なの?』と懐疑的に思われることもありましたが、手書きでの管理からPCやスマホでの一括管理に変わる便利さを徐々に感じていただけています。『もっとこうしたらいい』『こんな機能があるといい』という要望も積極的にいただいているので、要点を押さえつつ簡単に使えるという製品を作るために飽くなき追究をしています」(中田氏)

発展系としての「AirCoNet」

 そしてMELfloを一歩進めたところにあるサービスがAirCoNetだ。AirCoNetのベースはMELfloと同じだが、オプションとして無線LANアダプターを業務用エアコンに設置することで、モニタリングされたデータをクラウド上に蓄積。リアルタイムで業務用エアコンの運転データを参照できる。国内の業務用エアコンやスリムエアコンの商品企画、事業戦略企画を担当している迫田好貴氏(静岡製作所 営業部 パッケージエアコン営業課)は次のように解説する。

photo 三菱電機の迫田好貴氏(静岡製作所 営業部 パッケージエアコン営業課)

 「例えば、商業施設にある業務用エアコンは性質上、『お店が開いているときにはメンテナンスに来ないでほしい』『夜間に来てほしい』といったお客様のご要望もあります。しかし、少子高齢化に相まって設備・建築業者様の人口も減少している中では人手の確保も難しくなりつつあり、あらゆるニーズに人力で対応するのは難しくなっています。省人化、作業の効率化を図りたいというニーズは確実にあるので、AirCoNetはそれに応えられると考えています」(迫田氏)

 これらのサービスを作り上げるに当たっては苦労もあったという。もともと「業務用エアコンの状況をクラウドで確認したい」といった要望が顧客から寄せられていたわけではなかった。

 「お客さまの要望自体がはっきりと分かっていない中で、課題を具体化して訴求につなげるのが大変でした。全ての要望に対して要件・設計を固めるのではなく、要件がある程度明確、かつ、コアとなる機能に絞って設計・開発を進める方針に切り替え、優先度付けして初期リリースで世の中に出す機能を選定しました。自社の空調機器は“モノ売り”文化。これを“コト売り”にしなければいけない。道なき道を開拓するような状況でした」(中田氏)

 MELfloとAirCoNetの開発に際しては、サーバの運営やセキュリティ、信頼性、可用性といったモノ作り以外のノウハウも必要だった。中田氏は「クラウド、連携させるデバイス、サポート体制、そして業務用エアコンがあって──これらをどうスムーズに連携させるのか。開発に関しては基本部分をNECさんと共に、アマゾン ウェブ サービス(以下、AWS)の環境で作り上げ、ワンストップで構築できたのが効率化につながりました。やりたいことを一緒に実現できるパートナーシップ感を得られました」とも語る。

 三菱電機ではかつて、同様のサービスを立ち上げるときは自社サーバを用意していた。しかし、設備コストの負担が大きかった。クラウド基盤として採用したAWSは従量制課金のため、スモールスタートしやすかったのもメリットが大きかったという。つまり、社内での稟議にあたり、コスト見通しを早期からつけられたことで、企画の肉付けを具体化できたのが良かった。

 また、AWSを活用するにはクラウド領域の知見やノウハウが欠かせない。三菱電機の中には不足していたこの部分を、豊富な実績を持つNECが補完する形でサポートし、提案型の姿勢でプロジェクトを支えたという。

 例えば、前述した開発における優先度付けにおいて項目上の優先度と、実装上の影響とのバランスを加味した選択肢を提案したことにより意思決定を加速。開発においても、動くアプリをお客さまに実際に見てもらい、現場からのフィードバックをもらいながら完成形に近づけていった。

 さらに素早いフィードバックをもらうため、段階的にリリースしていくイテレーティブ(反復的)な開発スタイルを取ったことも大きい。まずはコア機能の登録/参照をスピード優先で開発し、その後、周辺機能の開発、品質担保するフェーズを設けてシステムを完成させていった。

モノ売りからコト売りへ一歩踏み出した三菱電機、今後の展望は

 中田氏はMELflo、AirCoNetを世に送り出した中で、「モノ売りの文化から一歩踏み出したことが大きい」と語る。

 「売って終わりではなく、市場に出ている空調機器に対してのケア、携わる人への支援は強化していきたいです。日本だけでなく、国外でもこのサービスを提供していきたいですが、まだ一歩しか踏み込めていません。現場において“これが欲しかった”という支援機能を提供するとともに、業務を効率化できたという体験ができるようにしたいです。それを加速するためにも、IoTシステム構成の企画・事業企画の仲間を増やしていきたいと考えています」(中田氏)

photo (感染症対策のため、取材は遠隔で実施)

 「これまでのモノ売りからコト売りにシフトする中で、商品としてどのような機能が必要なのかを追究したいです。ハードとソフトの融合というか、ソリューションとして何を提供するのかを考える必要があります。空調機のアフターケアについては、今後5年、10年と経過するうちに新しい概念が出てくるでしょう。創造力を働かせないといけません」(迫田氏)

 業務用エアコンといえば、室内の温度を快適に保てればいい、メンテナンス性が高ければいいといった考えにとどまってしまいそうだが、今後は“ウィズコロナ”時代に合わせた機能が求められていく可能性もある。

 例えば、換気の必要性が強調され、空気の質に対する要望が強くなっていくだろう。また在宅ワークの増加により、オフィスに人が少なくなる場合、人の動きに連動して空調を省電力に制御する必要性も高まっていくかもしれない。

 三菱電機は、時代に合わせて生まれる新しい課題に対する答えを今後もアグレッシブに提供し続けてくれるだろう。

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提供:日本電気株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia NEWS編集部/掲載内容有効期限:2021年11月30日