「スパコン導入は大変」のウソと本当 いまやクラウドサービスも――導入支援企業に聞く実情

» 2021年11月24日 10時00分 公開
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 スーパーコンピュータ(スパコン)の世界ランキング「TOP500」や「Green500」などで上位に複数社がランクインするなど、活気づく日本のスパコン業界。コロナ禍で飛沫の飛散シミュレーションに使われたというニュースも記憶に新しく、こうした“複雑な計算を使った研究”にスパコンが力を発揮するのは多くの人が知るところだ。

 逆に言うと、スパコンといえば「研究用」「高額」「大学や大企業が使うもの」というのが常識でもある。多くの企業にとっては手の届かない存在、とも映る。

 実は、最近ではその常識を打ち破るソリューションも世に出てきている。月額10万円以下の出費で使える「スパコンのクラウドサービス」を展開するNECなど3社に、スパコン導入や運用の今を聞いた。

「研究機関や大企業のもの」は過去 デスクトップPC感覚で導入可能に

 スパコンの「SX」シリーズを手掛けてきたNECの安田昌生さん(AIプラットフォーム事業部 マネージャー)は、これまでのスパコンについてこう振り返る。

NECの安田昌生さん(AIプラットフォーム事業部 マネージャー)

 「従来のスパコンは、大きなマシン室の他にも、電源設備や冷却設備が必要な大掛かりな装置でした。必然的に、導入できるのは大規模な研究機関や大企業に限られていました」(安田さん)

 その常識を打破すべく、NECはSXシリーズの最新モデルとして「SX-Aurora TSUBASA」を投入した。SX-Aurora TSUBASAの特徴は、その構成を柔軟に選べる点にある。従来のスパコン的構成はもちろん、スタートアップ企業や大学の研究室でも手が届く構成を今回用意した。

 SX-Aurora TSUBASA「Vector Engine」(ベクトルエンジン、VE)は、グラフィックスカードなどと同じPCIeカードサイズでの提供。単体で114万4000円(税別)で購入可能だ。デスクトップPC感覚でオフィスに1台スパコンを置くといった活用も不可能ではない。

SX-Aurora TSUBASA「Vector Engine」 デスクトップPCのようにオフィスに1台置くことも可能

月8.8万円から使える“スパコンクラウド”も登場

 スパコンを導入できたとしても、運用面での悩みもある。オンプレミスでの運用はイニシャルコストや保守管理でのハードルも高い。

 さらに懸念されるのは、セキュリティ面での課題だ。安田さんも「大規模な研究機関であればセキュリティを確保できるが、大学の研究室単位など小規模な組織では設置のハードルが上がる」と指摘する。

 そうしたスパコンの保守・運用面での課題を解決するクラウドサービスが登場した。カゴヤ・ジャパンの「SX-Aurora TSUBASAクラウド」だ。

 同サービスでは、スパコンの計算リソースをクラウドサービスとして利用できる。ベクトルエンジン1基搭載のエッジモデルや、2基搭載のオンサイトモデルを契約者単位に割り当て、占有する形で提供する。

カゴヤ・ジャパンのデータセンター SX-Aurora TSUBASAの計算リソースをクラウドで提供する

 ホスティングサービスの場合、ベクトルエンジンを1基搭載するエッジモデルの初期費用は11万円から。月額費用は8万8000円からとなっている。機器を占有しつつ、所有はしない契約形態のため、イニシャルコストの負担軽減にもつながる。

 さらにデータセンター内に機器を設置することで、電源や空調設備、高度なセキュリティ管理といった、安定稼働には欠かせない設備を自前で用意しなくていい点も大きなメリットといえる。

 ホスティングサービスでの運用・保守管理はカゴヤ・ジャパンのインフラエンジニアが担当する。技術的なサポートが必要な場合や障害が発生した際には、メールや通話による綿密なサポートが受けられる。運用面での不安や負担を軽減し、研究開発やサービス運用など、本来の仕事に注力できるだろう。

スパコン専用の環境構築は不要に AI処理にもそのまま使える

 これまでのスパコン導入で課題とされてきた、コスト面やハードウェアの保守・運用については、SX-Aurora TSUBASAクラウドの登場によりグッとハードルが下がってきた。

 それでは、スパコンを使ったサービス開発・運用のハードルの高さはどうなのか。読者の中には、スパコンの高い処理能力を発揮するためには、スパコンに特化したプログラミングが不可欠だと考える人もいるだろう。

 確かに「スパコンに特化したチューニングにより、スパコンの性能を最大限に発揮できる」という意味では正しい。一方で、スパコン専用のコードを書く必要性はなくなりつつある。一般のソフトウェア開発と同じように、スパコンを使ったサービス開発ができる環境が整いつつあるのだ。

 さらに言うと、スパコンが役立つシーンは以前からニーズがあったシミュレーションだけではない。近年では、より重要性が増しつつあるAI処理でもスパコンは高いパフォーマンスを発揮する。

カゴヤ・ジャパンの鶴岡謙吾さん(セールスグループ・フィールドセールスチーム)

 「SX-Aurora TSUBASAクラウドを提供する段階では、まずは大規模な企業や大学、研究機関で利用が進むと考えていました」と語るのは、カゴヤ・ジャパンでHPCを担当する鶴岡謙吾さん(セールスグループ・フィールドセールスチーム)。

 「しかし、実際にサービスをローンチしてみると、AIや機械学習を取り入れたエンドユーザーさん向けのサービスを提供されている企業さんなど、幅広い層からお問い合わせをいただきました」(鶴岡さん)

 SX-Aurora TSUBASAはAIの計算処理とも親和性が高い。プロセッサのベクトルエンジンは並列計算の性能で秀でており、特に膨大なデータセットから学習を繰り返してAIモデルの精度を改善する強化学習のような用途では、大きなリードタイムの短縮が期待できる。

 同クラウドを商用サービスでいち早く利用している企業が、AIベンチャーのウェルヴィルだ。同社は早くからSX-Aurora TSUBASAの可能性に着目し、サービス開発に取り入れてきた。商用サービス「AIアバターレジ」の運用開始に当たって同クラウドを採用している。

 AIアバターレジは、飲食店での会計を“AI店員”が行うというソリューション。同社の樽井俊行CTOは「スパコンとはいえ導入へのハードルは低かった」と打ち明ける。

ウェルヴィルの樽井俊行CTO

 「NECさんの支援もあり、SX-Aurora TSUBASAはサービス開発の初期段階からオンプレミス環境で利用していました。自然言語処理の強化学習で高いパフォーマンスを発揮したためです」と、SX-Aurora TSUBASAの計算能力を評価。

 「来店客との会話を認識して応対する際の自然言語処理で、SX-Aurora TSUBASAを使っています。もともとこの処理にはGPUクラウドを利用していたのですが、ものは試しとSX-Aurora TSUBASAクラウドで同じように構築してみたら、会話の応答にかかる時間が8%も短縮されました。このレスポンスの良さが採用の決め手となりました」

 そして、SX-Aurora TSUBASAは、AI開発との親和性も高い。AI・機械学習開発向けのオープンソースミドルウェアが提供されており、スパコン固有のプログラミング言語を学習する必要がない。SX-Aurora TSUBASAのベクトルエンジンは、Linux OSを搭載したx86サーバマシンの拡張カードとして動作するので、事前に動作確認されたハードウェアであれば活用するプラットフォームを選ばないのだ。

 さらに、機械学習で広く使われているプログラミング言語のPythonもサポート。実際に樽井さんがSX-Aurora TSUBASAで開発する際も、既存の環境をそのまま移植するだけでも高いパフォーマンスを発揮したという。

 しかし、AI系など今をときめくライブラリはそれだけアップデートの頻度も高い。こうした環境変化への追随はどうか。樽井氏は「Pythonなど、AI開発で必要となるリソースは、NECから提供されているため、SX-Aurora TSUBASAの開発で障壁と感じたことはありません」と説明する。

 もちろん、スパコンとて万能ではない。ウェルヴィルの場合は、AIアバターを3Dで表示する処理ではGPUクラウドを活用し、自然言語処理でSX-Aurora TSUBASAクラウドを利用する形で使い分けている。

“手軽にスパコン導入”がSX-Aurora TSUBASAで現実に

 NECはSX-Aurora TSUBASAクラウドへの積極的な支援を通じて、スパコンの新たなニーズを開拓していく方針だ。

 「SX-Aurora TSUBASAクラウドの登場により、AIなど最先端の開発に取り組まれている多くの方々に活用いただける環境が整ってきました。NECではこうした新しいユーザーの方々の声に耳を傾けて、サービスの改善を反映していきます」(安田さん)として、カゴヤ・ジャパンなどのパートナー、ウェルヴィルなどのエンドユーザーとともにSX-Aurora TSUBASAの利用シーンを広げていきたい考えを示した。

 スパコンというテクノロジーは、すでに研究機関や大企業だけのものではない。SX-Aurora TSUBASAの登場によって、導入費用のハードルが下がり、AI開発のような新たなユースケースにも対応しやすくなった。そして、カゴヤ・ジャパンがSX-Aurora TSUBASAクラウドを提供するに至り、運用にかかる手間やコストも大きく削減された。今や小さなスタートアップ企業や大学の研究室まで、“1組織1台のスパコン”を持つのも現実的な選択肢となっている。

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