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» 2022年01月05日 10時00分 公開

これは、私が夢で見た「人間とAIの未来」の“ちょっと不思議”なお話

50年後、人間とAIの未来はどうなっているのでしょうか。シンギュラリティが起こる、脳を機械にアップロードする――これらは実現するのか、夢物語なのか。一緒に未来をのぞいてみましょう。

[上原宏(デル・テクノロジーズ),PR/ITmedia]
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 皆さん、今年の初夢はどんな夢でしたか? 「一富士二鷹三茄子」と言うように、初夢は縁起が良いものです。私はAIが登場した“ちょっと不思議”な夢を見ました。とても面白かったのでお話します。

 その前に、自己紹介を忘れていました。私は、デル・テクノロジーズの執行役員を務める上原宏と申します。データセンター・ソリューションズ事業統括の製品本部長も務めていて、サーバ製品を扱っていることもあり、2021年はAIの活用を広げるためにはどうすれば良いか考え続けた一年でした。

 夢の話に戻りましょう。夢の中では、私は何やら箱のようなものに入っていました。箱の外は見たこともないようなデバイスで囲まれていて、現代とは比べものにならないほど高度な技術が使われているようでした。私がいる空間に浮遊するカレンダーの表示は「2072年」。どうやら、いまから50年後の世界をのぞいているようです。

2021年を振り返って――「意識を機械にアップロード」が現実になった

photo (画像はイメージです)

 2021年に注目を集めた書籍が、ピーター・スコット=モーガン博士の「ネオ・ヒューマン:究極の自由を得る未来」です。余命2年の運動ニューロン疾患(ALS)と診断されたスコット=モーガン博士自身が、マインドアップロード(自分の意識を機械に移植すること)して機械の中でサイボーグとして生き続けることに挑む実話です。ジョニー・デップ氏が主演した2014年の映画「トランセンデンス」で描かれた“当時はまったくの夢物語に思われたストーリー”が、ついに実証実験の段階に入ったのだと軽い興奮を覚えました。

 新しいテクノロジーを大胆に活用する際には、常に成功か失敗かの議論がありますが、モーガン博士の実験は人類が夢見てきた不老不死の実現への挑戦です。印象に強く残り、夢に出てきました。肉体は人類なら誰でも公平に必ず滅びますが、脳や精神はテクノロジーの力で永続できるかもしれません。

 トランセンデンスでは、主人公のウィル自身がインターネットにつながることで世の中のありとあらゆる情報にアクセス可能になる展開から“面白い物語”になります。そこまでの、意識のある脳をデジタル空間に移植できるようになる過程は、その実現可能性の見解が分かれそうです。

 そんなことができるはずがないと笑って済ませるのは簡単ですが、現実に起きているテクノロジーの進化を思うと、SF作家ジュール・ヴェルヌの名言「ヒトが想像できることは、ヒトは必ず実現させる」を思い起こしてしまいます。

 2021年4月には、イーロン・マスク氏が設立したスタートアップ企業のニューラリンクが、半導体チップを脳に埋め込んだサルが考えるだけでビデオゲームをプレイすることに成功したと発表しました。ヒトの脳とコンピュータをつなぐ「ブレイン・マシン・インタフェース」の研究開発を進めている同社は、その実行力を披露したことになります。

 ニューラリンクのように奇想天外な企業だけではなく、2021年にはアクセラレーターを活用したAIの実用化が確実に前進しました。AIを実際のビジネスに応用する企業や、デル・テクノロジーが進めるDell de AIプログラムに参加しているような、AIの採用を支援する企業など多くの企業が取り組みを進めました。テクノロジーは後戻りすることなく、AIは今後さらに速度を増して普及すると考えられます。

データ空間の中で生きるということ

 夢の中では、私は箱の中にいると思っていましたが、腕も足もあることに気付きました。身体の部位が生身の肉体ではなく、皮膚や筋肉に似せて作られた人工的なものだと理解するまでに時間がかかりました。

 もうお分かりでしょうが、私はサイボーグと化していたのです。脳は中央データセンターに保管されているデータでしかなく、全身は人工的な肉体を模したロボットになっていたわけです。

 データ空間では、データが消去されるまで自我が残り続けるので、「殺人犯罪」とは脳データの消去であり、「自殺行為」とはデータの自己破壊を意味します。また肉体が滅びる前に、医師からデータとして延命する選択を迫られるようになります。家族の在り方も大きく変わり、アンドロイドとして何世代にもわたって同じ空間に集まることが可能かもしれません。子、孫、ひ孫、外見は孫よりも若いアンドロイドという家族の可能性もあります。ややこしい。

新しい価値はテクノロジーとの融合で生まれる

 人類学者のジョセフ・ヘンリックは「デジタル化は進化プロセスの一部にすぎない」と言っています。彼は「例えばゲノム編集は慎重にアプローチすべきではあるが、そもそもこれまでヒトは淘汰を続けてきた。これまでの進化と異なる点は、選択プロセスが無意識ではなくヒトの望み通りに行われ、その行きつく先も分かっている」とも言っています。テクノロジーの進歩がもたらしたコンピューティング処理の飛躍的な向上によって、自動車がヒトの操作から自動運転に進化したり、危険な労働や単純労働からヒトを解放したりする進歩も必然なのかもしれません。

 テクノロジーを活用して特定の産業分野や業界の革新をけん引する動きが活発になり、これらは総称して「○○テック」と呼ばれて脚光を浴びています。伝統的にその分野で実績のある企業や団体だけではなく、ゲームチェンジャーとして新興企業やスタートアップ企業が参入しやすいことも特徴です。例えばテクノロジーを金融業に活用するフィンテック、農業はアグリテック、教育はエデュテック、そして脳科学との融合がブレインテックです。

 米スタンフォード大学の研究者らが、脳インプラントとAIで思い浮かべた文字の認識と入力に関する研究論文を2021年5月に学術雑誌「Nature」に掲載しました。カーソルを動かして文字を入力するのではなく、脳で手書きする動作をイメージすることで、脳に取り付けた半導体チップが神経活動の動きを読み取る方法です。ここでもAIが利用されていて、文字をデコードしてリアルタイムにPCに入力することに成功しています。

2045年に、技術的特異点 (シンギュラリティ) に到達する

 夢の中でサイボーグになっても、遠い過去の記憶を呼び出すには少々時間がかかるようです。……2005年にアメリカの発明家、レイ・カーツワイル氏が2005年の時点で、「技術的特異点は近い」と発表したことを思い出しました。

 カーツワイル氏は技術的特異点(シンギュラリティ)を「100兆の極端に遅い結合(シナプス)しかない人間の脳の限界を、人間と機械が統合された文明によって超越する瞬間」と定義して、その到来を2045年だと予言しました。2022年から23年後のことです。ヒトの生み出した機械がヒトより賢くなるという話に、私は不安や恐怖よりもロマンを感じます。

 技術的特異点には多くの反対意見や否定論があります。しかし2022年から23年ほど前を思い出すと、20世紀末だった当時、現在のようなテクノロジーの進化を想像できなかった私としては、指数関数的に進化するテクノロジーによって今後23年の間に何が実現できるのかできないのか断定できませんでした。さらに先の2072年を夢で見てみると、どうやら機械がヒトを超越するということは、脳が機械と物理的に統合することで実現することだったようです。

脳と機械が合体する――脳のアップロードはすでに始まっている

 ブレインテックとは、脳の信号を読み取り、念じるだけでPCやデバイスを操作したり、反対に脳へ情報を送り込んだりするテクノロジーです。何らかの装置を装着するか、脳に直接、半導体チップを埋め込むことで脳と機械を接続します。

 2022年時点で応用が進んでいるのは、脳波や脳血流、瞳孔の動きなどから脳の状態を「見える化」する分野です。脳の状態に基づいてトレーニングをしたり適切な刺激を脳に与えたりできるので、アルツハイマー病などの脳疾患の治療につながると期待されています。

 三菱総合研究所では、世界的なブレインテックの市場規模は2024年に5兆円程度になると予想しています。ニューラリンクだけではなく、日本国内でもスタートアップ企業のMinD in a Device(マインド・イン・ア・デバイス)が2019年に「20年後に人間の意識を機械にアップロードすることを目指す」と発表しています。夢のような試みはすでに始まっているのです。

サイボーグはAIの夢を見るか?

 2072年を舞台に、記憶や感情を持ったままサイボーグ化していた――そんな夢から覚めると、いまは2022年。新聞やインターネット上では将来的なAIの応用や予測の記事が2021年とは比べものにならない量で飛び込んできました。

 いまから54年前、1968年にSF作家フィリップ・K・ディック氏が、のちに原案を用いて「ブレードランナー」のタイトルで映画化される小説「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」を発表しました。この小説では、火星(映画では架空の宇宙植民地、オフワールド) から感情と記憶を持つアンドロイドが逃亡します。彼らは「自分がアンドロイドである」ことすら分かっていません。作品内では、自然が破壊されて動物や昆虫なども機械化されているという設定です。

 果たして、脳をマインドアップロードしても、夜が訪れて夢を見ることはあるのでしょうか?

photo (画像はイメージです)

主な参考文献

  • ピーター・スコット=モーガン「NEO HUMAN ネオ・ヒューマン: 究極の自由を得る未来」2021年、東洋経済新報社 
  • 大野和基編「人類が進化する未来」2021年、PHP新書
  • 小林雅一「ブレインテックの衝撃」2021年、祥伝社新書
  • Engadget 日本版「脳インプラントで思い描いた手書き文字を認識。スタンフォード大が論文発表」2021年(https://japanese.engadget.com/brain-implant-hand-write-083045455.html)
  • レイ・カーツワイル「ポスト・ヒューマン誕生」2007年、NHK出版
  • 三菱総合研究所「ブレインテックが切り拓く5兆円の世界市場 第1回 ブレインテックの現状」(https://www.mri.co.jp/knowledge/column/20180720.html)
  • フィリップ・K・ディック「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」1977年、早川書房


この記事はデル・テクノロジーズから提供された原稿を、ITmedia NEWS編集部で一部編集したものです。


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