「AIは即戦力だ」 人材不足の製造業、“職人の経験”頼りの現場をAIは救えるか 専門知識なしでAI開発する方法とは?

» 2022年03月18日 10時00分 公開
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 今、製造業を取り巻く環境は厳しさを増している。新型コロナウイルスや大国間の摩擦といった影響を受けて、国内企業の業績も落ち込んだ。人材不足や従業員の高齢化も深刻な問題で、業務の効率化や省人化が急務だ。しかし、その歩みはゆっくりだ。

 データ活用やDX(デジタルトランスフォーメーション)に活路を見いだそうにも、社内のデータを活用できていない、分析ツールの導入が進まない、専門知識を持った人材を確保できないなど課題は山積している。

 こうした状況こそAIを活用すべきだと語るのは、製造業向けAIツールを手掛けるクロスコンパスの高倉敏氏(デジタルビジネス部 営業第二チーム AIコンサルタント)だ。

photo クロスコンパスの高倉敏氏(デジタルビジネス部 営業第二チーム AIコンサルタント)

 「これまで職人の経験といった“暗黙知”をプログラムに組み込んで機械化や自動化するには高いハードルがありました。しかしAIを使えばそうした課題を解決できます。また人材を育てるには何年もかかりますが、AIを使えば短期間で必要なスキルを現場に取り込むことができます」(高倉氏)

 逆境に立たされている製造業が反転攻勢するためにはどうすればいいのか。業務改善や課題解決にAIが寄与できる部分はあるのか。今回はAIコンサルタントである高倉氏に、製造業でのAI活用事例を紹介してもらいながらそのメリットや活用方法を探っていく。

AIで機械の不具合や不良品を発見 異常検知と予知保全に活用

 製造現場で活用できるデータは主に3種類ある。製造ライン全体の動作を記録した「時系列データ」、機械の振動や音を周波数で記録する「振動データ」、機械の動作状況確認や検品などで使う「画像データ」だ。これらのデータをAIに学習させることで、作業の機械化や自動化を進められる。

 こうしたデータの活用方法として一般的なのが、機械や製品の異常を見つける「異常検知」や不具合の予兆を早期に発見して整備に生かす「予知保全」の分野だ。例えば製品の出荷前に行う外観検査にAIを活用すれば、カメラ映像から傷や汚れ、塗装のむらといった異常がないか自動で検査可能だ。製造ラインでも工作機械や部品に異常がないか検査する工程で人手不足の課題を解決できる。

 工場で稼働している機械にセンサーを設置してデータを集めながら常時AIで監視すれば、正常時にはない不自然な振動を故障の予兆と捉えて担当者に警告するシステムも作れる。故障する前にメンテナンスや部品交換を行うことでトラブルを未然に防ぎ、工場の作業を止めないといった用途にもAIを活用可能だ。

製造業でのAI活用事例 自動車部品メーカーや半導体メーカーを紹介

 こうした異常検知や予知保全にAIを活用する企業は増えている。ある自動車部品メーカーでは、不良品を見つける外観検査装置を導入したものの誤検知が多く、結局は人手で再選別することになり手間が掛かっていた。そこでAIを使った検査に置き換えたところ精度が向上して、人手で再選別する量が5分の1になった。

 また、半導体メーカーでは半導体製造時にプラズマの発光を記録した時系列データで異常検知を行う。精密機器なだけに、わずかな異常でも見逃してしまうと使い物にならなくなってしまうため、検査精度の高さが求められる。そこで光の波形をAIで分析することで、高度な異常検知を実現した事例もある。

 製造業とは少し離れるが、社会インフラのメンテナンスにAIを活用した例もある。橋や建築物の補強材として壁や柱に注入する充填剤がきちんと入っているか確認する際、従来は壁や柱に打撃を与えた音を熟練者が確認する打音検査をしていた。この音や振動データを基にAIで作業を代替すれば、熟練の技がなくても検査可能になる。

自社向けAIの開発は難しい? そんな悩みは“簡単AI開発ツール”で解決

 ここまで紹介した事例で、製造業におけるAI活用のメリットを伝えてきた。精度が求められる現場や、熟練の技術が必要な作業もAIに置き換えて自動化したり人手不足を解決したりできる。とはいえ、AIを活用するのは高度な知識が必要だからと導入をためらう企業も多いだろう。専門のエンジニアやデータサイエンティストに開発を依頼すると、時間もコストもかかる。

 そうした問題を解決するのが、クロスコンパスのAIモデル開発ツール「MANUFACIA」(マニュファシア)だ。「AIをもっと身近に」という同社の企業理念を実現するため、現場で使いやすくて専門知識がいらないツールとして提供している。実は紹介した自動車部品メーカーと半導体メーカー、インフラ点検の事例で使っているAIはMANUFACIAで開発した。

 “簡単AI開発ツール”であるMANUFACIAはGUIを採用して視覚的に分かりやすくした上に、ほぼ全ての工程をノーコードにしたことで誰でも簡単にAIモデルを生成できる。プログラミングの知識は不要で、ドラッグ&ドロップなどPCの基本的な操作ができればAIモデルを作れる。

 導入も簡単で、最短5ステップでAIモデルを生成可能。ディープラーニングを使った機械学習も短時間で行える。データセットが小さければ最短で10分程度、画像などデータ量が大きい場合でも数時間〜2日程度で学習を終えられる。

 「MANUFACIAを使えば、現場の改善アイデアを手軽に短時間で検証できます。『こんなデータがあるから品質向上に生かせないか?』と思い立ったら、すぐAIモデルを作って効果を検証可能です。AIモデルを複数作って比較し、最適なものを採用するといった使い方も有効です」(高倉氏)

photo MANUFACIAを使ったAIモデル生成の流れ。ノーコードで実施できる(クリックで拡大)

AIの学習は機械におまかせ

 AIの学習に使うデータは、時系列データと振動データ、画像データだ。具体的には、工場内のセンサーで収集した振動や温度、湿度、レーザー光、圧力、電圧、音、カメラの画像や映像など。これらをCSVファイルやJPG/PNG/BMPファイルでMANUFACIAに取り込む。

 学習も難しくない。例えば、MANUFACIAを使って動物の画像から「犬」「猫」を分類するAIモデルを作る場合、犬と猫の特徴や違いを論理的に説明するのは難しい。そこで「犬ラベル」「猫ラベル」のフォルダを用意して画像を振り分けていく。人間の作業はここまでで、あとはMANUFACIAに任せれば、自動で特徴を学習してAIモデルを生成してくれる。

 製造現場でのAIモデル生成も同様で、用意したデータに「正常時」「異常時」といったラベルを付ければあとは自動で学習が完了する。製造業の場合は異常時のデータが少ないことも多い。その場合は正常時のデータと異なる値を検知したら異常と判断するなど、教師なし学習にも対応している。

 いくらAIモデルの生成が簡単だからといって、AIは作って終わりではない。AIモデルを現場エッジデバイスに実装してはじめて運用可能になる。実装段階ではある程度のプログラミング知識が必要だが、ソフトウェア開発キット(SDK)を提供することで実装作業もできるだけ簡単になるよう努めている。

photo MANUFACIAを使ってAIを導入する流れ(クリックで拡大)

事務用PCでもAIモデルを開発できる MANUFACIAの柔軟性

 使いやすくても、AIへの投資にはまだ抵抗感を抱く人もいる。そこでMANUFACIAではテスト導入から本格導入まで複数のプランを用意。データを預けてAIを作った場合の効果をレポートしてもらう「AI Factory」を活用して導入前から効果を検証できる。

 本格導入する際にはGPUサーバの準備が必要だが、一般的な事務用PCでも全ての機能を使える割安な「MANUFACIA-CPU」も準備してスモールスタートを後押しする。いざ本格導入となった場合には、1カ月間のトライアルで導入をじっくり検討できる。

 MANUFACIAはオンプレミスで動作するため、収集したデータが外部に漏れる心配がない。情報セキュリティの観点からも、製造現場に寄り添ったツールだ。

photo スモールスタートから始められるMANUFACIAの導入ステップ(クリックで拡大)

「AIは即戦力として活用できると知ってほしい」

 「AIをもっと身近に」という企業理念のクロスコンパスは、デル・テクノロジーズが主催するプロジェクト「Dell de AI “デル邂逅(であい)”プログラム」(以下、Dell de AI)に参加している。Dell de AIは、AIを活用したいと考えている企業とAIベンダーをマッチングする取り組みだ。AI導入に失敗しないよう、企業や現場に向き合って課題の解決方法をアドバイスしてくれる。Dell de AIに参加することで、AI活用に悩む企業をしっかりサポートしていく考えだ。

 MANUFACIAはもともと製造業向けに開発したツールだが、社会インフラの保守整備や医療分野からの引き合いも増えている。クロスコンパスでは、これまでに培ったAI技術を製造業以外の分野でも活用していく予定だ。Dell de AIに参加する他の企業とタッグを組んで、企業の課題解決につながるツールやサービスを提供することも視野に入れている。

 製造現場でも生産性の向上や人材不足への対応が迫られる今、AIは大きな助けになる。希少なデータサイエンティストを確保して育成して自社向けのAIを作るのは時間がかかりすぎる。専門知識がなくても製造現場にAIを導入できるMANUFACIAを使えば、こうした課題を解決できる。

 「MANUFACIAを使えば、AIを即戦力として活用できることを広く知っていただきたいです。現場での気付きをAIに反映したり、人が気付かなかったことをAIが発見したりと、AIを生かした課題解決や現場の改善が進むことで、人の働き方も効率化され、結果的に人の生活が豊かになることを期待しています」(高倉氏)

 さまざまな分野でAI活用が急速に進む一方で、専門知識や人材の不足によってAI導入や業務改善が進まない企業にとっては、専門家がいなくてもAIを導入できるMANUFACIAは一考の価値がある。AIを使って製造現場の課題を解決したいと考えている人は、クロスコンパスに相談してみるのがいいだろう。


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「AIをビジネスで活用する」──そう言い表すのは簡単です。しかし、組織にとって本当に価値のあるアクションへ落とし込むには、考えるべきことがあまりに多すぎます。誰に相談すればいいのか、どうすれば成果を生み出せるのか。「Dell de AI “デル邂逅(であい)”」は、そんな悩みを持つ企業や組織にポジティブな出会いや思いもよらぬうれしい発見──「Serendipity(セレンディピティ)」が生まれることを目指した情報発信ポータルhttps://www.itmedia.co.jp/news/special/bz211007/です。


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