「モード1」の刷新が導く“DXへの道” 効果的な業務効率化を実現する「自動化2.0」、その取り組み方は?

» 2022年06月09日 10時00分 公開
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 企業のIT環境を議論するときの概念に「モード1」「モード2」というものがある。米Gartnerが2015年に提唱した「バイモーダルIT」に基づく考え方で、前者は高品質かつ安定的に稼働するシステムを、後者は開発スピードの速さや柔軟性を備えたシステムを指す。

 DX(デジタルトランスフォーメーション)や業務改革を進める上で、モード1の変革が不可欠だ。“イケてるIT環境”のモード2に対応したいと考えている情報システム部門や開発部門の担当者も多いだろう。

photo NECの吉田功一氏(テクノロジーサービス部門 サービス&プラットフォームSI統括部)

 しかし現状は、まだまだモード1が根強く残っている。「数年前にはもっとモード2にシフトしていると予測していました。モード1が残るのは日本企業の30〜40%ほどと想定していましたが、実際は約70〜85%がモード1のままです。とてもマズい状況だと思います」――企業の現在地をこう分析するのは、NECの吉田功一氏(テクノロジーサービス部門 サービス&プラットフォームSI統括部)だ。

 その一方で、モード1を全てモード2に置き換えればいいかというと、そうではない。双方の強みを理解して、企業が目指す目的に合わせてバランスよく使うことがバイモーダルITの考え方だ。

 それでは企業は、モード1とモード2にどう向き合えばいいのだろうか。DXや業務改革に取り組む上で、この先どのようなIT環境を構築すればいいのだろうか。今回は吉田氏と、レッドハットの安楽慎吾氏(テクニカルセールス本部 パートナーソリューションアーキテクト部)との対談を通じてその答えを考えていく。

日本企業の「モード2」が進展しない真因と現実的な進め方

 日本ではなぜモード2が進まないのか、モード2への移行を成功に導くロードマップとはどのようなものか――。今回の記事の背景をより深く知りたい方は、NECの吉田氏やレッドハットの安楽氏らが対談したこちらの記事をぜひご覧ください。

「脱モード1」がDXにつながるとは限らない 企業が進むべき道は?

――日本企業は依然としてモード1が多数を占めています。しかしコロナ禍で企業のIT投資やクラウドシフトが進んだことで、状況が好転したのではないでしょうか。

吉田氏 コロナ禍では、ECサービスやフードデリバリーサービスなど従来は使うユーザーが限定的だったITサービスが大きく広がりました。またテレワークの実施に合わせたITツールの導入も進みましたが、これらを裏側で支えるITシステムがクラウドネイティブになったか、モード2に移行したかというと、そうではありません。

 ITサービスの急激な需要増加に応えるため、設備の強化や増設対応に追われた企業も多いでしょう。しかし2015年以降のシステムは仮想化が進んでいるため、対応自体はスマートだったと思います。とはいえシステムの構造はモード1のままで、そこは変わりませんでした。

photo レッドハットの安楽慎吾氏(テクニカルセールス本部 パートナーソリューションアーキテクト部)

安楽氏 私も同じ認識です。俯瞰して見れば、多様化する価値やニーズをいかに早く取り込むかという観点でモード2が取り入れられつつあると思います。

 とはいえ、双方の優劣を比較すべきではないものの、柔軟に変化に対応していくべきなのに現状ではモード1を踏襲してしまっているという印象を受けています。

――お二人ともモード1からの転換があまり進んでいないと認識されています。では、モード1からの脱却が、業務の効率化やコスト削減、DXにつながると捉えていいのでしょうか。

安楽氏 はい。そもそも「モード1=コスト削減」と理解している人が多いと思いますが、適材適所でモード2を取り入れて、適切に回すことこそが効率化やコスト削減にしっかりつながると考えています。

 実際にモード2を取り入れていく際には、現状の課題や目指す姿を決めた上で、経営層の理解や協力を得ながら進める必要があります。しかしそれが不十分で、技術メインでモード2に取り組んだもののビジネスモデルの変革には至らず、尻すぼみに終わったという失敗事例を目にすることがあります。

吉田氏 同感です。私は普段モード2の説明をするときに、企業の目的とそれを実現する手段に分けて伝えています。企業の目的は「ITリソースを活用して利益を向上する」ことです。利益を高める施策は「投資利益率を引き上げる」「運用費を低減する」に分解できます。例えばDXは前者で、生産性を高めて製品を素早くユーザーに届けることが狙いです。

 そしてモード2に必要な手段をNECが独自に洗い出しました。その内容は、投資利益率の引き上げに寄与するアジャイル開発やテスト・デプロイ自動化ツール(CI/CD)、運用費削減につながる仮想化やオートスケーリングなどです。

 私が提示したいのは、こうしたモード2とともに発展してきたいくつかの手法を、逆輸入のような発想でモード1にも適用してみませんか、という提案です。モード2を増やすことが望ましいですが、それがすぐ効率化につながるとは限りません。そこでモード1を見直し、タスクの一元管理や自動化、宣言型IaC(Infrastructure as Code、インフラ運用のコード化)といった手法を導入すれば、モード1を維持しながら人件費や保守運用費を下げられます。これがこの対談の核になる部分です。

photo モード2への取り組みを、企業の目的と手段に分けた図(クリックで拡大)

モード1の自動化は、どこを変えれば効果が大きいのか

――モード2の手法をモード1に取り入れると、大きな変化がありそうです。ではより具体的に、業務の効率化やコスト削減を実現するための自動化についてご説明いただけますか。

吉田氏 モード1の自動化というと、従来は作業手順のスクリプト化を指していました。作業工程の一部を自動化するだけなので、効果も小さいです。これは「狭義の自動化」(自動化1.0)といえます。そこで、より大きな効果を得るためには多くの時間をかけている部分、つまり組織内でのコミュニケーションやデータのやりとりといった部分に手を入れる「広義の自動化」(自動化2.0)が必要になります。

安楽氏 まさにその通りです。システム上の業務を、実際に手を動かす「実作業」と、作業前に社内で行う「調整、準備」に大きく二分した場合を考えてみます。このとき、過去のシンプルなITシステムなら実作業の半分を自動化すれば、作業全体の25%を効率化できるので効果が高かったです。しかし、現在の大規模化かつ複雑化したシステムでは、調整や準備に割く時間が圧倒的に増えているため、実作業部分を自動化しても全体に与える効果が出づらくなっており、結果として真の業務効率化には至らないと考えています。

 吉田さんの説明に照らし合わせると、自動化を単なる「実作業の置き換え」(自動化1.0)と考えるのではなく、多数の組織や人が関わるインフラ作業の多くの比率を占めている調整業務を減らすことにフォーカスする必要があり、それを実現した状態を「広義の自動化」(自動化2.0)と呼んでいます。

photo ITインフラを「実作業」「調整、準備」に分けて、自動化の効果を考える(クリックで拡大)

広義の自動化を進めるとき、NECとレッドハットから得られる支援

――企業だけでは広義の自動化を実践するのは難しいと思います。実際にどう進めればいいのか、またNECとレッドハットはそれぞれどうサポートするか教えてください。

吉田氏 私たちNECがサポートするのは、システム情報の一元管理です。業務部門、インフラ部門、ネットワーク部門など1つのプロジェクトに関わるメンバーは多岐にわたるので、作業要件やデータの在りかを共有しつつ運用するだけでも膨大なコストがかかります。

 そこで、私たちがが公開している自動化を管理するオープンソースソフトウェア「Exastro IT Automation」(以下、Exastro)を活用することで、Exastroを器として一元管理が可能になります。ただし器を用意しても、企業が目指すものによって一元化すべき情報も変わるので、NECがコンサルティング的な立ち位置で支援していきます。この取り組みがうまく進めば、日本全体のモード1を省力化していくことも夢ではありません。

 ただし、Exastroはチーム間の連携といった組織面の改革を対象にした機能は備えていません。そこで安楽さんたちレッドハットと一緒に組織面の改革まで支援します。

安楽氏 レッドハットでは組織面の改革も含めた自動化支援サービスとして「Automation Adoption Journey」(AAJ)を提供しています。自律的な自動化組織を構築するため、キーマンになる人に技術、プロセス、文化の3つを学んでもらい、その後自律して推進するためのトレーニングプログラムです。例えばその中で、インフラ業務の自動化を検討する際、作業プロセスを図示する課題分析手法「Value Stream Mapping」などを使って、お客さまのインフラ業務の各プロセスを可視化して作業時間を数値化します。そして自動化による課題解決が可能なプロセスの候補を抽出し、あるべき姿としてのToBe像を描くという、この一連のノウハウをお客さまが得られるよう支援しています。

――NECはデータに、レッドハットは人に注力する構図で、互いに補い合っていますね。パートナーとして密接に協力する両社が、互いに評価しているところはどこでしょうか。

安楽氏 NECが持つリーチの広い支援体制はもちろんのこと、吉田さんの所属部署とともにビジネスを推進している中で特に感じるのは、オープンソースとしてExastroを開発・提供するなど、NEC内でも先鋭的でパワフルな存在というイメージです。そうした背景から、勝手ながらレッドハットとしては強いシナジーを感じております(笑)

吉田氏 誤解を恐れずに言うと、NECらしくないのかもしれません(笑) だからこそレッドハットのオープンファーストやコミュニティーファーストといった動き方に共感できますし、今後もお互いに協力を続けたいです。

――広義の自動化や、その先にあるモード2の推進を考える読者に、メッセージを頂けますか。

吉田氏 お客さまに届けるシステムを作る現場が、古びたアナログな作業ばかりだとイマイチですよね。モード1の自動化やモード2への移行が進めば、自社もユーザーも喜びますし、それをサポートした私たちもうれしく感じます。そうした三方よしの世界を強く推進していきたいです。

安楽氏 お伝えたいのは、例えば自動化推進をまずは最初に小さく成功させ、小さい成功体験を積み重ねていくことが必要だということです。つまり、一度適用して終わらせない、ということです。そこから成功体験をした人が中心となり、マネジメントをする立場の人たちの理解のもとで組織横断的に自動化を進めるコアチームを作って、さらに推進していくことも大切だと考えています。

 またその際は、単発で終わらせず実りある変革にするために、必要なノウハウを持っているNECにアドバイスを依頼してもらえるといいと思います。そこで、私たちレッドハットもしっかり後方支援していきたいと考えています。

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