数分かかる検査作業を3秒以下に AI活用で工事現場の安全確認を迅速化 速さのカギは「仮想GPU基盤」にあり

» 2022年07月01日 10時00分 公開
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 DX(デジタルトランスフォーメーション)に取り組む企業が増えている中、業務課題の解決や業務プロセスの改善にAIを活用すれば大きな効果を得られるという考え方が浸透してきた。実際に自動化や省人化といった成果を耳にする機会も多くなったが、具体的にどう取り組めばいいのかよく分からないケースも多々ある。

 そこで今回はAI活用の事例を取り上げて、その取り組み方を見ていく。紹介するのは、情報通信設備の設置工事などを手掛けるエクシオグループ(東京都渋谷区)だ。同社は、1日に1万件以上の工事を行っており、そこでの安全確認や品質確認を人に頼った判定方法で実施していた。そこで判定業務の効率化を目指し、AIを使った写真判定ソリューションを開発して現場への導入を進めている。

 エクシオグループではAIをどう運用し、どのような成果を上げたのだろうか。取り組みの中身を見てみると、他の企業も参考にできるノウハウが詰まっていた。

photo 中央がエクシオグループの大毛忠文氏(執行役員 ビジネスソリューション事業本部 開発本部長 兼 DX戦略部)、左が金井俊氏(DX戦略部 担当課長 システムイノベーション担当)、右が寺内崇氏(DX戦略部 担当課長 インフライノベーション担当)

高い技術力を生かしてAIを自社開発 工事現場の安全管理を自動化

 エクシオグループは、大手通信各社から担った通信工事事業をビジネスの主軸にしつつ、近年は社会インフラ事業やシステムソリューション事業の展開も積極的に進めている。同社はこの3つの事業を柱に成長してきた。そして、それぞれの強みを融合して新たな価値を生み出そうと、「Engineering for Fusion 社会を繋ぐエンジニアリングをすべての未来へ」というコンセプトで複合的なビジネス提案にも力を入れている。

  同社はAIソリューションの開発にも注力しており、AIの構築やコンサルティング、ソリューションの提供を手掛けるセカンドサイトアナリティカ(東京都中央区)との戦略的協業を2017年10月に始めた。こうした取り組みを通してAIやIoTといった技術をグループ内で開発・実用化し、自社の事業に適用することでより実践的なソリューションに仕上げて社内外に提供している。

 その一つが、社内サービスとしても利用し、外販もしている「安全品質AIソリューション」だ。通信工事の際には、作業車両を色付きのコーン標識やコーンバーで適切に囲っているか、作業者がしっかりと安全具を装着しているかなどをチェックし、工事後はしっかりとした品質で工事が行われているかを確認する必要がある。これまでは現場から送られてきた写真などを人が見て適切かどうか判断していたが、安全品質AIソリューションならAIで写真を判定し、自動化できる。

photo エクシオグループの大毛忠文氏(執行役員 ビジネスソリューション事業本部 開発本部長 兼 DX戦略部)

 「全国で1日に1万件以上の工事があるので、人に頼った判定には限界があります。AIを使って作業者を待たせることなく判定し、判定の精度も上げられるのではないかと考えました」――こう話すのはエクシオグループの大毛忠文氏(執行役員 ビジネスソリューション事業本部 開発本部長 兼 DX戦略部)だ。実際、人力に頼って写真の判定を行っていたときは、データのアップロードから判定結果が返ってくるまでに数分以上かかっていた。


photo エクシオグループの金井俊氏(DX戦略部 担当課長 システムイノベーション担当)

 この安全品質AIソリューションを開発したエクシオグループの金井俊氏(DX戦略部 担当課長 システムイノベーション担当)は、開発当時を次のように振り返る。「技術力の向上と蓄積のため、一からAIのモデルを作っていきました。施工不良はほとんどないため、AI学習に必要なエラーの状況を示す画像データが極端に少ない状況でした。また、現場によって異なる車両やコーンを使っているため、あえて不安全な状況を作って写真を撮り、さまざまなパターンを学習させることに苦労しました」(金井氏)

AIの運用環境を構築 仮想GPU(NVIDIA vGPU)対応のプライベートクラウド導入を検討

 安全品質AIソリューションを開発した直後はパブリッククラウドで運用していた。しかし大量の写真を処理する上で、低コストかつリアルタイムに判定を実施する必要があるため、現在は自社データセンターでの運用に変更することにした。また日々変化するAIモデルに対して、GPUの割り当てを変更するにはオンプレミスのほうが柔軟に対応できる利点もあると考えた。

 オンプレ環境の構築に当たり、まずはGPUサーバの選定からスタート。GPUに特化したGPU専用機器では、運用やメンテナンスのために専用の管理者を用意する必要がある。そこでエクシオグループでは汎用(はんよう)的に利用できるIA(Intel Architecture)サーバ「PowerEdge R740」の採用を決めた。

photo エクシオグループの寺内崇氏(DX戦略部 担当課長 インフライノベーション担当)

 「事前にGPUについて調べていましたが、GPUの特性を調べるにも限界がありました。集約効率を高めるため、GPUパススルー方式ではなく、仮想GPU方式(NVIDIA vGPU)を採用したいと考えていました。そんなとき、デル・テクノロジーズが最適な提案をしてくれて、vGPUプロファイルの割り当て方法などを手厚くサポートしてくれたのが決め手になりました。2021年12月に構築したCAD/BIM on VDIでもPowerEdgeを使っていますが、用途に合わせたモデルとして『NVIDIA A40 GPU』を勧めてくれて、信頼でき、困ったときに寄り添ってくれるメーカーだと感じました」――こう話すのは、とエクシオグループの寺内崇氏(DX戦略部 担当課長 インフライノベーション担当)だ。

 仮想GPUに初めて挑戦したエクシオグループだったが、GPUサーバの設定やGPUプロファイルの設定などについてデル・テクノロジーズが実機を使って細やかにサポートしたことで、1カ月程度でスムーズに構築できたという。

photo エクシオグループが構築したシステムの構成図(クリックで拡大)

数分かかっていた写真検査が3秒以下に 作業者を待たせず効率的な作業を実現

 検査員が写真検査を実施していたときは数分以上かかっていたが、安全品質AIソリューションをプライベートクラウドに置いてからは長くても3秒以内に判定結果が表示されるようになった。作業者を待たせることがなくなり、しっかりと安全品質AIソリューションを使って効率的な作業に切り替えられた。

 また、安全品質AIソリューションを活用することで、工事件数の多さから数日かかることもあった品質判定も即座にできるようになり、品質確認のために再び現場に戻って写真を撮り直すといったこともなくなった。

photo 安全品質AIソリューション(※特許出願中)の使用イメージ。写真を送ると、その場で安全状況を判定する(クリックで拡大)

 「AIは今後発展していく技術のため、パブリッククラウドとプライベートクラウドの両方で社内実績を作る必要があると考えています。今回についてはプライベートクラウドを使うことで効率化重視の運用をできていると思います。自社設備に置くことでGPUの使い方の自由度が高まり、信頼性を高めることが可能になりました。また、結果的にランニングコストを大幅に抑えられました」(大毛氏)

作業現場とITツールを密に連携するには?

 エクシオグループとして今後も、事業部ごとの業務に合わせてAIソリューションを増やしていきたいと話す大毛氏は、例えば設計業務にAIを活用して自動化していくことなども考えている。最後に大毛氏は業務にテクノロジーを取り入れる際の考え方を話してくれた。

 「工事現場などのリアルな世界での業務と、それを支える各種ツールやソリューションを密に連携するためには、プライベートクラウドとパブリッククラウド、エッジデバイスを連携させ、さまざまなことに使えるシステム基盤を作っていく必要があると考えています。それによって、災害が発生したときにも柔軟に対応できるようになると思います。デル・テクノロジーズには、ハードウェアの強みを生かしたDXを支えるソリューションの提供や、引き続きの手厚いサポートを期待しています」(大毛氏)

 2019年にDX戦略部を立ち上げ、さらなるIT技術の活用を行ってきたエクシオグループは、確かな技術力を背景に今後もシステムソリューションを作り上げ、従来の通信工事事業や社会インフラ事業だけでなく新たな価値を生み出していく。次にどのような取り組みをするのか、期待してほしい。

この記事はデル・テクノロジーズから提供された原稿を、ITmedia NEWS編集部で一部編集したものです。




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