大手企業がWindows 11をスピード導入 「古いシステムが動かないのは時間が解決」「常にアップデートする体制づくりが最適解」

» 2022年06月30日 10時00分 公開
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 Windows 11の公開に伴って、ビジネスPCを新OSにアップグレードすべきか、情報システム界隈(かいわい)では議論が続いています。当面は既存のOSを使い続けるか、今すぐ移行するか、移行する場合はどのような段階を踏めば良いか、検討中の企業も多いでしょう。

 そんな中、Windows 11をいち早く業務用のPCに導入している企業が、ミドリ安全(東京都渋谷区)です。同社は、安全靴、ヘルメット等安全衛生保護具、オフィス・ワーキングユニフォーム・産業用防護服、空気清浄機・喫煙所システム・エアフィルターなどの環境改善機器、応急用酸素吸入器等の医療用具・機器、絶縁監視システム等の電気計測・設備機器の製造・販売を事業とする企業です。特に、安全靴及び、ワーキングウェア(作業服)においては、国内トップクラスのシェア(同社調べ)を誇ります。

ミドリ安全の会社概要

  • 商号     ミドリ安全株式会社
  • 設立     1952年6月
  • 本社所在地  東京都渋谷区広尾5丁目4番3号
  • 資本金    14億5432万円
  • 従業員数   1633名
  • URL     https://www.midori-anzen.co.jp

 ミドリ安全は、2021年11月からWindows 11への移行に取り組んでいます。ここでは、その進捗について、同社の古谷武彦氏(取締役 Eコマース推進部 部長)にお話をうかがいました。

photophoto HPの法人向けPC主力機であるHP EliteBook 630 G9

―現在、どのような立場で貴社の社内ITに関わっていらっしゃるか教えてください。

古谷武彦氏(以下、古谷氏):基本的にCDO(チーフデジタルオフィサー)としてEC事業を統括しつつ、4〜5年前からDXをけん引する担当として、インフラやアプリの導入などを含めて、企画、運営推進しています。その担当役員というのが今の立場です。

―コロナ禍になってから、自社の従業員の働き方にどのような影響がありましたか。

古谷氏:ご多分に漏れず弊社でも在宅勤務者の比率が増えました。コロナ前はデスクトップPCの比率が高く、ノートPCとは半々くらいだったのですが、コロナ禍で多くの従業員が在宅勤務するようになり、必然的にノートPCの比率が急激に高くなりました。

 モバイルやタブレットなどを活用してリモートで仕事をする機会が増えましたね。会社の事業形態としてはメーカーですが、直販営業やECで販売を行う販売事業もやっています。さすがに製造・物流部門は在宅勤務というわけにはいきませんでしたが、営業部門は週の半分以上が在宅になりました。コロナ禍の最盛期は、ほぼ全員が日常的に在宅勤務にせざるを得ない状況が続いていましたが、最近では週に一日程度に戻りつつあります。ただ、顧客の多くが大手企業なので、Web会議でないと商談ができない相手が多いのも事実です。

―HP製のPCは以前から使っていただいているのでしょうか。また、ITインフラに関する今後のご方針についてお聞かせください。

photo ミドリ安全 古谷武彦氏(取締役 Eコマース推進部 部長)

古谷氏:かなり昔からメインPCとして使っています。特にノートPCについては、ほとんどがHP製品ですが、安定して利用ができています。

 現在、会社としてはAzureベースのインフラ構築を目指しています。先々では、クラウド上で全てのITをまかなうような環境をイメージしています。その第一歩として、22年秋をめどにMicrosoft 365に移行する予定です。

 さらに、ERPの導入も23年の春に控えています。何しろ、基幹システムが汎用機レベルなので、それを少しでも早期にリニューアルしていかなければなりません。同時並行でさまざまなプロジェクトを進めているところです。

―Windows Updateなど日常的なPC管理はどのようにされていますか。

古谷氏:OSのアップデートなどは、全社ベースであらかじめ従業員に案内をし、個々にアップデート作業をしてもらうようにしています。もちろん、そのサポート体制もしっかりあります。自前でできないという現場については、情報システム部門による補助をしています。まれに回収してセットアップ後に返送するようなこともありますが、できるだけ自分でやってもらうようにしています。

 ちなみに、Microsoft Endpoint ManagerなどOS更新を制御/自動化する仕組みは、これから導入していく方向で社内調整を行っています。

―Windows 11の導入に際し、セキュリティ強化などを意識されましたか。

古谷氏:新OSのセキュリティ機能については正直それほど意識をしていませんでした。ただ、Windows 11の大きな特長の一つという事も聞いていますので、期待しているところです。

 話は少しそれるのですが、21年の秋ごろからマルウェアのEmotetが猛威を振るっていますよね。大手ベンダーのウイルス対策ソフトを導入しているのですが、それをすり抜けて事故に遭遇してしまうケースが散見されるようになりました。

 業務を遂行する従業員はどうしても添付ファイルを開いてしまいますので、これに関しては、繰り返し注意喚起を実施している状況です。

 社内では情報セキュリティ委員会のようなものも作りました。対策全般を見直し、全社員に徹底するようにしたところ、意識が高まりノウハウも身についてきたと思います。

―従業員のPCは、どのような方針で調達されるのでしょうか。また、アプリや設定などのキッティングをどのように行われているかお聞かせください。

古谷氏:弊社の場合、経年劣化に応じて数十台のPCを小刻みに調達する方法を採っています。キッティングについては、情報システム部門が基本的なキッティングを行ってから従業員に貸与し、部門ごとに必要な業務アプリケーションや設定は自分でやってもらう方法となっています。

―Windows 11への移行方法や検証状況について教えてください。

古谷氏:実は部門によってさまざまなバージョンのWindowsが散らばって使われていたので、かねてより早く統一してしまいたいと考えていました。そして今やるなら、やはりWindows 11だろうという結論に至ったのです。

 今は、システム刷新やDXに関わっているメンバーはほぼ全てWindows 11に移行済みです。数としては約300人といったところですね。システムが問題なく動くのか、検証を兼ねながらの移行作業という事になります。

 最終的には、組織にある3000台近くのPCをWindows 11に移行していきますから、現時点では10%程度の移行率という事になります。本社から近い場所にある現場から徐々に進めていく計画です。既存のWindows 10環境から、ほぼ問題なくアップグレードできていますので、今後もスムーズに進む事を期待しています。

 もっともWindows 10になっていないPCも、わずかではありますが、残っている部門があります。そのようなマシンは老朽化も進んでいますので、アップグレードではなく、ハードウェアを丸ごとリプレースする方針です。

 移行のための検証としては、まず、稼働環境を作ってシステム開発部門のメンバーが使ってみるところから始めました。問題がないかを確認するために、旧機材と2台持ちで並行して使うようなことも半年ぐらい実施しました。そんな中で、古い基幹システムがうまく動かなかったり、IE関連のトラブルに遭遇したりもしましたが、それらはもはや論外というか時間が解決するのではないかと考えました。

 旧システム以外でのトラブルはないので、印象は悪くないですね。まれに多画面環境で使うとおかしな現象が起きるという報告を受けていますが、特に大きな問題ではなかったと聞いています。

―Windows 10のサポート期限は2025年です。大手企業としてはかなり早期のWindows 11移行だと思いますが、早いタイミングで移行に踏み切られた背景はあるのでしょうか。

古谷氏:先ほど申し上げたように、現在は全社的なシステム刷新を進めています。どうせなら多くのものを一度に変えてしまいたいというのが本音です。

 全体のシステムの中に古いシステムが残っていると不可解なことが起こりやすいのです。不可解というのは原因がどうにもはっきりしないということで、何か起きたときに分からないのでは困ります。だとすれば、とにかく最新のIT環境にもっていくほうが問題は早く解消されると考えました。アップデートが常に行われる中で、各システムベンダーには文句を言わせない環境で挑むということになります。

 実は、常に最新の状態でシステムを使うという発想は、一部の部門で使っているiPadで慣れたという側面があります。iOSは勝手に新しくなっていきますよね。私はそれでいいと思っているんです。プラットフォームが最新状態なのに問題が起こるのであれば、各ベンダーも全力で対処してくれるからです。

―Windows 11では、いろいろと新機能も追加されています。それらの機能そのものをご存じない企業も多いようですが、自社ではお試しになったでしょうか。

古谷氏:しゃべっている言葉が自動で文字起こしされたり、声で文章を書けたりするようになっているそうですね。帳票を作るなどの定型業務を支援するRPAとして「Power Automate」なども標準搭載されていますよね。

 こうした機能をフルに活用して、生産性に直結するようなWindows 11の使い方ができるかというと、まだまだ、そこまでいっていないというのが正直なところです。

 例えば、弊社の現場ではMicrosoft Accessを使っています。現状としては、そこをどうするかが大きな課題となっています。代わりになるものがなく、先々が不安なのですが、Windows 11やMicrosoft 365への移行に際し、情報が足りないので、日本マイクロソフトさんへの質問や相談を日々しているところです。

 音声の文字起こしについては、中国企業のAIライティングレコーダーを使っているのですが、コスト面でもそれなりの負担になっていますから、Microsoft TeamsやWindows 11の文字起こし機能もどれほど使えそうなのか検証したいと思っています。また、社内で使っているコミュニケーションツールは今の進化を見る限り、最終的にはTeamsがもっとも有望です。

 今は、他社のチャットツールを全社導入しており、従業員がそれに慣れてしまっているので、それを置き換えたくてもなかなか難しそうなのが悩みです。そのツールの導入後に社内からの電話がまったく鳴らなくなったことを考えると、Teamsへの統合は、運用面でもコスト面でも大きな効果を生むはずなのですが……。

 だからこそ、日本マイクロソフトさんにはもっともっと積極的に情報を公開していただき、コミュニケーションツールの統合メリットや新機能の利便性を教えていただきたいと思っています。

 HP製ビジネスノートPCの最新の進化点をいろいろ見ていると、音響まわりやカメラなど、コミュニケーション機能を充実させようとする方向性を感じます。今の世の中でもっとも必要とされている面だけに期待も大きいですね。

photophoto オートフレームや優れた音質、双方向型のノイズキャンセリング等、大幅にコミュニケーション機能が進化したHP Elite Dragonfly G3

―コロナ禍でビジネスを取り巻く状況は大きく変わりました。最後に貴社の状況変化についても教えてください。

古谷氏:自社のEC事業で言うと、20年以降に爆発的に売れる商品カテゴリーが出てきました。その後も需要が減ることはなく、定着している状況です。

 特に、衛生にまつわる商品はこの数年、法人向けでなく一般消費者への販売数が伸びた影響で全体の数も大きく伸びました。

 また、コロナ禍前から徐々に出ていた傾向ですが、店舗や現場のパートやアルバイトなどの作業靴が、会社貸与の“使いまわし”ではなく、従業員に直接調達してもらって仕事をしてもらうようなトレンドがあります。特に、飲食業界のチェーン店ではそれが当たり前になりつつあります。そういった新たな市場が増加していく傾向もありますので、B2Bだけでなく、B2C事業にも力を入れているところです。

 B2B分野では、営業商談の多くがオンラインになりました。また、B2C分野ではEC事業がますます拡大していくでしょう。そういった意味では、どこでも快適にWeb会議や仕事ができる柔軟性のあるITインフラの整備が重要になっていくと思います。Windows 11への移行は、そうした世の中やビジネスの変化に対応するために必要な第一歩といえるのではないでしょうか。

―ありがとうございました。

この記事は日本HPの協力のもと、ITmedia NEWS編集部で一部編集したものです。

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