“IoT電池”で何ができる? 描く未来は「電池1本で世界中のモノをネットにつなぐ」 開発を支えた思いと技術

» 2022年07月26日 10時00分 公開
[PR/ITmedia]
PR

 IoTが生活やビジネスに浸透したことで、これまで“そこにあるだけ”だったモノに新たな価値が生まれている。いまや、さまざまな業種の企業が自社製品やサービスとインターネットの効果的な連携を模索している。工場の機械とネットをつないで遠隔地から常時監視する、洗濯機を外出先からスマホで操作するといった使い方は当たり前になりつつある。

 そこで今回は、ユニークなIoTの事例を紹介したい。選んだのは“IoT電池”こと「コネクテッドバッテリー」、つまりネット接続用の機能を組み込んだ電池だ。この記事で取り上げるコネクテッドバッテリー「MaBeee」(マビー)を開発したのは「電池1本で世界中のモノのインターネットアクセスを可能にする」というビジョンを掲げるスタートアップメーカーのノバルス(東京都千代田区)だ。

 どこにでもある小さな電池がネットにつながると、何ができるのか。ノバルスの岡部顕宏さん(代表取締役)を取材すると、その特長はもちろん、IoT領域における製品の立ち位置や、その将来像が見えてきた。

photo MaBeeeを紹介する、ノバルスの岡部顕宏さん(代表取締役)

乾電池×ネットで実現できること

 乾電池×ネットで実現できるのが、乾電池を使う製品のモニタリングや遠隔での出力制御だ。具体的にどう活用できるのか、MaBeeeのラインアップのうちモニタリングモデルの「MaBeeeみまもり電池」を例に説明したい。この製品を使うと、電流をモニタリングして電池を使う機器の使用状況を確認できるようになる。想定できる使い方は、離れた場所に住む高齢者の見守りや生活モニターだ。

 MaBeeeみまもり電池は、単三電池サイズのケースに単四電池を入れて単三電池として使う。電流が流れたことを検知してBluetooth Low Energy(BLE)で信号を発信し、別途設置したBLEゲートウェイ製品がその信号を受信する。そしてBLEゲートウェイ内のSIMカードを介したLTEのモバイル通信で、電流が流れたという情報をクラウドに送信する仕組みだ。

 例えば、普段使っているエアコン用リモコンの電池をMaBeeeみまもり電池に交換したケースを考える。リモコンのボタンを押すと、電池から電流が流れてエアコン本体に信号を飛ばす。MaBeeeみまもり電池はこの電流の変化を検知して、クラウド経由で専用のスマートフォンアプリに通知を送る。「今日は暑いけどエアコンを使っていない」「通知がこないから様子を見に行こう」といった使い方が可能だ。TVリモコンや照明器具など単三電池を使う製品なら何にでも活用できる。

 「MaBeeeみまもり電池は、単三電池を使う製品ならどのようなものでも使用できます。家電の使用状況をチェックする場合、他の方法に比べて低コストです。さらに監視されている印象も抑えられます。一般家庭や介護分野はもちろん、不動産業界でも高齢者の見守りに活用する動きが広がっています」(岡部さん)

photo MaBeeeみまもり電池向けのアプリ画面。電流を検知した際の通知や、チャット機能などがある(クリックで拡大)

電池ケースにSIMカードとLTE通信モジュールを内蔵した企業向けモデル

 コネクテッドバッテリーをより活用しやすくするため、ノバルスはラインアップを増やしている。2022年7月25日に発表した企業向け製品が単一電池サイズの「MaBeee ML」だ。ケースのサイズを大きくしたことで、単三電池を2本入れられるため、電池としての寿命が延びた。さらにMaBeeeみまもり電池は電池とBLEゲートウェイがセットだが、MaBeee MLは電池ケースにSIMカードとLTE通信モジュールを内蔵している。MaBeee ML単体でもクラウドと通信できるようにして、既存の業務やサービスに組み込みやすいIoTソリューションに仕上げた。

 非常ボタンが押されたら通知する、工場の設備の異常をチェックして異常があれば通知するといった使い道の他、扉の開閉検知や人感検知、サーモスタットでの温度検知、水位や漏水検知などでの活用を想定した製品だ。既存のセンサー機器類が設置先にフィットしないといったケースも多い。そんなときに、MaBeeeMLを使えば新しいセンサーデバイスを簡易に開発できるため、発売前から企業やシステムインテグレーターからの問い合わせが多数あった。「ゲートウェイなしで直接インターネットにアクセスできる、真の意味でのコネクテッドバッテリーです」(岡部さん)

電池の出力を自由に操作できるコントロールモデル

 これらの他にも、コントロールモデルのMaBeeeがある。おもちゃやライトなど単三電池で機能する製品にMaBeeeを装着し、専用のアプリをインストールしたスマホをBluetoothで接続すれば、電流の出力を0〜100%の間で自由に操作できるようになる。要は、おもちゃを簡単にスマートトイ化できる製品だ。

 これまで一般的なおもちゃは、スイッチのON/OFFという選択肢しかなかった。例えば電車のおもちゃなら、走行か停車かの二択だ。しかしMaBeeeを使えば、20%の出力でゆっくり走るといった操作もできる。アプリで電池の出力を操作できる点が評価され、現在はプログラミングの教材にもなっている。

photo MaBeeeみまもり電池(左)とMaBeee ML(中央の2本)、コントロールモデルのMaBeee(右)

電池は国際規格 開発コストを掛けず、世界中の製品にMaBeeeを応用可能

 さまざまな機器への応用が利くMaBeee だが、そもそもなぜ電池に目を付けたのか。その理由は、IoT特有の課題と技術の進化を見据えた岡部さんの判断にある。従来のIoT対応電気製品は、もとの電気製品にセンサーや無線通信モジュールなどを組み込む方法で開発することが多かった。しかし、これでは工数が増えて開発期間が長期化するばかりか、コストもかさんでしまう。さらに後から変更することが難しく、販売後に通信規格などが進化しても対応できないデメリットがあった。

 しかし電池ならその問題を解決可能だ。電池は国際規格で作られているため、電池ソケットがあれば開発コストを掛けずに世界中の機器で使える。新たにセンサーデバイスなどを作る場合でも簡易に開発できる。さらに新しい通信規格が出たときは、それに対応したMaBeeeに入れ替えるだけで済む。

photo

 「デジタル技術の進化のスピードと、その他の製品の進化のスピードには差があります。そのギャップを埋めたいという思いもあり、電池を選びました」(岡部さん)

IoT電池を支えるモバイル通信は、IIJのSIMが活躍

 IoT電池を作る――そんな岡部さんを支えたのが、インターネットイニシアティブ(IIJ)のSIMだった。テレワークといった人が使うシーンだけではなく、IoT製品の通信用としても使える「IIJモバイルサービス/タイプI」を活用している。

photo MaBeee MLの電池ケースに挿入してあるIIJのSIMカード

 最大の特長は、在庫期間中の通信コストを抑えられる点だ。一般的に多くの製品は、製造してから販売するまで保管しておく在庫期間がある。SIMカードを製造時に内蔵したIoT製品の場合、在庫期間にSIMカードの基本料金が発生すると、採算が悪化してしまう。しかしIIJのモバイルサービスなら、独自のSIMライフサイクル管理機能により、出荷前など回線契約がない間は基本料金がかからないためとても助かっていると岡部さんは話す。特に資金が少ない中小企業やベンチャー企業などで効果を発揮する仕組みだ。

 さらに「パケットシェアプラン」も重宝していると岡部さんは言う。これは一定量のパケットを複数回線でシェアするプランで、回線ごとのデータ利用量のばらつきによる影響を縮小できる。そのため特定の回線でデータ利用量が大きくても、全体をならしてコストを抑えられる。

 これらは、IIJが「フルMVNO」だからできた料金設定だ。フルMVNOとは、MVNOの中でもパケット交換機(PGW)やSIMカードの管理装置(HLR/HSS)を自社で運用する事業者を指す。フルMVNO なら、SIMカードの提供方法や料金プランを細かく、柔軟に制御できる。ノバルスが活用しているSIMライフサイクル管理機能は、ものづくりをどう支援するか考える中で、在庫期間中の基本料金の問題解決を狙い、フルMVNOの柔軟性を生かして実現したアイデアだ。

MaBeee普及の鍵は使いやすさ APIやSDKの提供を進める

 MaBeeeの普及を後押しするため、ノバルスが重視するのは使いやすさだ。一般ユーザーが利便性を感じるだけでなく、MaBeeeを活用したいと考える企業にとっても使いやすい製品を目指している。

 ハードウェア面では、国際規格の電池を使うので自社製品への適用が簡単だ。製品全体を変えずに、電池の周辺部分を変えてMaBeeeの通信を確保するよう調整すれば済むため、高度な専門知識は必要ない。

 ハードウェア面と同じくらい注力しているのが、ソフトウェア面だ。事業を展開する中で、使いやすいアプリや管理画面の開発、クラウドの活用、パートナー企業のサービスとデータを連携するためのAPIの用意なども入念に進めている。企業向けのMaBeee ML提供に合わせてパートナー企業のニーズに応えるよう取り組んでおり、活用を促す柔軟な環境を整えている。

 その柔軟性をよく表しているのがコントロールモデルのMaBeeeだ。GitHub上にソフトウェア開発キット(SDK)を公開しており、ユーザーがMaBeeeを制御する自作アプリをアプリストアで配布している。このように、よりよいIoT電池を提供するために出し惜しみしない姿勢を貫いている。

 「一般のエンドユーザーや、パートナー企業のことを考えて、使いやすく手軽に導入できるかが問われています。MaBeeeは開発やセットアップ手順の簡単さも大きな特長です」(岡部さん)

技術の進化とともにMaBeeeも進化 アナログな機器と利用者をつなぐ架け橋に

 MaBeeeは、電池を使う製品をIoT製品にすぐ変えてしまう。ユニークでなおかつ使いやすさを考慮したIoT電池は今後どう進化していくのか、岡部さんに聞いた。

 「現在は電池の手軽さを十分に生かせています。これまで『ちょうどいいセンサーデバイスがなかった』という課題を抱えている人や、ネットを活用した監視が進まなかった領域でMaBeeeは活躍するはずです。それを後押しするために、電池のサイズラインアップや機能面の拡充を進めていきます」(岡部さん)

 さらにIIJの協力を得ながら、内蔵するSIMカードの進化も考えている。SIMカードを物理的に挿入することなく、基板上のチップにプロファイルをダウンロードして使える「eSIM」や、通信モジュールにSIMの機能を搭載する「ソフトSIM」を活用することで、物理的なSIMカードをMaBeeeに挿入する作業コストや、接触不良などの不具合を減らしていく考えだ。

 これからもテクノロジーは進化を続け、IoTも変わっていくだろう。もちろんMaBeeeも成長を続ける。そして、インターネットに接続していない製品やアナログな機器と、利用者をつなぐ架け橋になるはずだ。そうすればきっと、いまより生活は便利になり業務は効率的になる。自社の製品をIoT化したい、社内の設備を手軽に管理したいと考えている人は、ぜひノバルスに声を掛けてほしい。きっと力になるはずだ。

 また、新たにIoT製品を開発したい、新サービスを始めたいと検討している場合は、IIJに相談してみてはいかがだろうか。コストを抑えつつも便利な機能を備えたSIMが、製品開発を後押ししてくれるだろう。

Amazonギフト券3000円分が当たる!アンケート実施中 <本アンケートは終了しました>

「IoT電池と法人向けSIM」に関するアンケートを実施中です。
アンケートにご回答いただいた方の中から、抽選で10名様にAmazonギフト券3000円分をプレゼントいたします。アンケートはこちら、ぜひご回答ください。

※賞品(Amazonギフト券)の発送をもって発表にかえさせていただきます。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.


提供:株式会社インターネットイニシアティブ
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia NEWS編集部/掲載内容有効期限:2022年8月25日

Amazonギフト券3000円分が当たる!

<本アンケートは終了しました> 「IoT電池と法人向けSIM」に関するアンケートを実施中です。アンケートにご回答いただいた方の中から、抽選で10名様にAmazonギフト券3000円分をプレゼントいたします。