AI活用のハードルを一気に下げる、AutoMLツール最前線人材、ノウハウがなくても大丈夫

攻めと守りの両面で、規模や業種を問わず不可欠になりつつあるAI活用。もはや「PoC止まり」も許されなくなりつつある今、各種制約がある中でもプロジェクトを進められる方法とは。

» 2022年11月02日 10時00分 公開
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AIの本格導入が始まった

 AI(人工知能)活用が一般企業にも広がりを見せつつある。これまでは一部の先進企業における研究開発やPoC(概念検証)に限られるケースが多かった。だがここにきて、業種や規模を問わず、多くの企業がさまざまな分野でAIの取り組みを加速させている。

 例えば、生産設備や製造装置における予防/予知保全だ。装置に振動センサーを取り付け、その信号をAIで分析し、ラインで発生する機械の故障を事前に予測する。その他、購買履歴を基に顧客分析などに役立てている小売業、道路や橋梁(きょうりょう)などの設備メンテナンスに活用している建設業、SNSデータ分析などマーケティング活動に利用しているサービス業、ゲノム解析に活用している医療機関など、AI活用は幅広い業種に及んでいる。

 これには大きく2つの理由がある。1つはITインフラの進化だ。AIによる分析処理にはGPUを中心に膨大な計算リソースが必要だが、社内で賄うには多大なコストがかかっていた。そこでクラウドという外部リソースを活用するようになったが、今度はクラウド活用の専門ノウハウが必要になった。そんな中、近年は高性能なGPUを搭載したエッジサーバが開発されたことで、重要データをクラウドにアップロードすることなく、よりスピーディーかつコスト効率の良いAI処理が可能になってきたのだ。

 もう1つの理由は、AIモデルの作成が容易になったことが挙げられる。AIのメリットの1つは、信号や画像などから人では判別できない違いを素早く見つけられることだ。こうした分類のために作成するのがAIモデルだが、以前はAIモデル作成のためにデータサイエンティストのような専門家の力が必須だった。

photo H2O.aiの柿崎修氏(日本法人代表 営業統括部長)

 それが近年は、データサイエンティストの分析作業を省力化したり、データサイエンティストの代わりになったりするようなツールが提供されるようになった。こうした機械学習(ML)を自動化するツールは「AutoML(Automated Machine Learning:自動化された機械学習)ツール」と呼ばれ、人材やスキルの獲得が困難だった企業でもAI活用に着手できるようになってきたのだ。

 AutoMLツール「H2O Driverless AI」(以下、Driverless AI)を提供するH2O.aiの柿崎修氏(日本法人代表 営業統括部長)は、こう話す。

 「ハードウェア、ソフトウェアの両面からAI活用の基盤が整備されてきました。当社は2019年から日本での営業活動を本格化していますが、既に業界トップクラスの企業を含む30社以上のお客さまにご採用いただいています。多くの企業がDX推進に力を入れる中で、その根幹を支える技術としてのAIが本格的な普及期に入っていることを実感しています」(柿崎氏)

AI/MLの取り組みで直面する3つの課題

 H2O.aiは12年に米国シリコンバレーで創設されたAI企業だ。AutoMLの主力製品であるH2O Driverless AIを中心に、AIモデルやAIで処理したデータをWebブラウザ上で容易に可視化するためのソフトウェア開発キット「H2O Wave」を提供している。さらに近年はその周辺機能を強化し、プラットフォームとしてはマネージドクラウド環境で稼働する「H2O AI Cloud」の提供も始めた。H2O AI Cloudでは、自然言語や画像データといった深層学習「Hydrogen Torch」の提供に加え、チームでのモデル運用を効率化するMLOpsといった機能も提供している。

photo H2O.aiが提供するAIプラットフォーム(提供:H2O.ai)《クリックで画像を拡大》

 また、日本での展開に当たってデル・テクノロジーズとパートナーシップを結び、デル・テクノロジーズのハードウェア上でDriverless AIの性能が最大限に発揮できる状態にしているという。デル・テクノロジーズの山口泰亜氏(データセンター ソリューションズ事業統括 製品本部 シニアプロダクトマネージャー)は、協業の狙いについてこう話す。

photo デル・テクノロジーズの山口泰亜氏(データセンター ソリューションズ事業統括 製品本部 シニアプロダクトマネージャー)

 「AIは世界中の企業が進めている取り組みです。お客さまが直面する課題は共通するものも多く、さまざまな解決策を共有することで、取り組みをスムーズに進めることができます。デル・テクノロジーズとH2O.aiはグローバルレベルで協業して、多くのお客さまをご支援してきました。そこで得た知見やノウハウを日本企業の皆さまにも提供できるようにしているのです」(山口氏)

 両氏によると、企業がAIやMLを推進する上で直面する課題は大きく分けて3つに分類できるという。1つ目は「AI人材の獲得・教育」だ。AIモデルを構築するのはデータサイエンティストだが、人材不足が続く中で、専門家を獲得することは容易ではない。

 「AIをビジネスで活用するためには業務知識が必須です。データサイエンティストを獲得できても自社の業務を教えることが不可欠となります。事業部門からデータサイエンティストを育成することも考えられますが、その場合、Pythonや統計学などデータサイエンスに必要な知識や経験を養っていく必要があります。いずれにしても長い時間と手間がかかります」(柿崎氏)

 2つ目は「業務への適用」だ。AIモデルを構築できても、実業務に適用できなければ意味がない。そこで「専門知識やスキルを持たない担当者でもAIモデルを使いこなせること」が求められる。

 3つ目は「スピード感を保ち続けること」。分析や機械学習を高速処理できることはもちろん、ビジネスニーズに機敏に反応できること、ビジネス環境の変化にも素早く対応し続けることが求められる。

 「AIモデルの構築もトライ&エラーの世界です。どのアルゴリズムがふさわしいかを探るのには時間がかかります。選択したアルゴリズムを実行する計算リソースも必要ですし、ビジネス環境が変化したら、それに合わせて適切なアルゴリズムやモデル、インフラを選択し直すことが重要になるのです」(山口氏)

Driverless AIがユーザー企業にもたらす3つの価値

 デル・テクノロジーズとH2O.aiが共同展開するソリューションのDriverless AIは、上記3つの課題を解消するものだ。具体的には3つの特徴があるという。

 1つ目は「GPUを利用できるAIモデリングツールであること」。AIモデリングツールは、準備されたデータセットからさまざまなアルゴリズムを適用して特徴量を抽出する。その際、CPUだけでなくGPUを利用できると、線形モデル(GLM)といった統計モデル、分散ツリー、GBM(Gradient Boosting Machine)などの樹形モデル、Deep Neural Networks(多層パーセプトロン)を使った複雑なアンサンブルモデルを高速に構築できる。これにより、業務への適用をスピードアップできる他、統計学やPythonプログラミングなどの深い知識がなくても利用できるため、人材獲得の課題も解消できる。

photo Driverless AIを利用したデータサイエンスのフロー(提供:デル・テクノロジーズ)《クリックで画像を拡大》
photo Driverless AIはさまざまな機能・特徴で機械学習を自動化し、業務への適用をスピードアップするとともに、人材獲得の課題も解消する(提供:デル・テクノロジーズ)《クリックで画像を拡大》

 2つ目は「作成したAIモデルをオフラインに展開して利用できること」だ。これにより、AIモデルをダウンロードしてスマートフォンアプリに組み込んだり、自動販売機のシステムに組み込んで商品の需要を予測したりすることが可能になる。すなわち、エッジサーバやIoT(Internet of Things)デバイス側でAIを活用できるため、ネットワークの制約を受けにくくなり、幅広い業務での運用が可能になる。

 3つ目は「継続的な機能改善が可能なこと」。AIモデルは一度作成したら一定期間使い続けることが基本。だが環境変化のスピードが速くなると、作成したモデルが陳腐化するのも早くなる。そこで継続的にモデルを入れ替えたり、不足している機能を補ったりして、AIモデルを改善していくことが重要になる。

 Driverless AIはこうした新たなビジネスニーズが発生した場合に、「レシピ」と呼ばれる機能(Pythonコード集)をアドオンできる。さまざまなレシピが公開されており、それらを活用することで、顧客企業に合わせたオーダーメイドのAIシステムを迅速に構築することも可能だという。

 「つまり、Driverless AIはビジネススピードに追随できるアーキテクチャを備えているわけです。GPUで動くAIモデリングツールであること、オフラインにデプロイしてさまざまな業務に適用できること、足りない機能をレシピで拡張できること――この3つは、競合他社にはない特徴だと考えます」(柿崎氏)

專門的なスキルや知識が必要なく、ミニマムな予算でもチャレンジできる

 こうしたDriverless AIの特徴を最大限に引き出すハードウェアを提供するのがデル・テクノロジーズだ。デル・テクノロジーズはH2O.ai向けのリファレンスアーキテクチャを公開しており、検証済みソフトウェアとしてH2O.aiのデータサインエンスツール、MLツールを提供している。

 また、検証済みハードウェアとして2Uラックの2ソケット搭載のPowerEdgeサーバを提供し、Intelの機械学習ライブラリ「Intel Data Analytics Acceleration Library」(Intel DAAL)のレシピを使って、性能がどの程度向上するのかを公表している。それによると、機械学習のトレーニングプロセスは、比較対象のアーキテクチャに比べて11.7倍も高速化されたという。

photo デル・テクノロジーズが提供しているGPUサーバのポートフォリオ(出典:「デル・テクノロジーズ GPUサーバー選定ガイド」(https://japancatalog.dell.com/c/gpu-server_guide))《クリックで画像を拡大》

 「リファレンスアーキテクチャでは、汎用(はんよう)的なPowerEdgeサーバを用いることで、ビジネス用途での使いやすさを向上させています。検証済みのため導入が早く、安心、簡素化、高速といったメリットを確実に得られることが特徴です。また、デル・テクノロジーズの強みはそれらに加え、AI向けのGPU専用機や、AIの取り組みで活用できるオールフラッシュNAS(Network Attached Storage)などのストレージ製品を、幅広いラインアップで提供していることにあります」(山口氏)

 「そうしたデル・テクノロジーズのAIソリューションを取りそろえたAIの評価・検証センター『AI Experience Zone』を、東京都千代田区の大手町に設置しています。そこにH2O.aiのデモ環境を用意しています。お客さまのデータを持ち込んで検証していただくこともできるので、AIの効果を実際に体験できます」(山口氏)

photo 企業のAI導入を推進するデル・テクノロジーズの「Dell Technologies AI Experience Zone」(提供:デル・テクノロジーズ)《クリックで画像を拡大》

 もっとも、AI活用は未着手で何から始めればよいのか分からないという企業も少なくない。山口氏は「そうした悩みを受けて、デル・テクノロジーズでは導入目的の明確化から、必要なインフラ、ライブラリ、AIフレームワークの選定、活用までを支援します」と話す。

 「AIの取り組みが本格化するのはこれからです。今このタイミングでも決して遅くはありません。以前は『Pythonや統計学が分からないから不安』という声もありましたが、今はそうした知識がない方でも使えるツールがあります。まずはデル・テクノロジーズに相談してください」(山口氏)

 柿崎氏も「專門的なスキルや知識は必要なく、ミニマムな予算でもAI活用にチャレンジできるようになりました。大事なのは、まず足を踏み出すことです。これによって3年後には望む成果が得られるはずです」と訴える。

 冒頭で述べたように、AI活用は規模や業種を問わず、企業にとって不可欠になっていくことは間違いない。デル・テクノロジーズとH2O.aiが展開するAutoMLソリューションは、AI活用への第一歩を踏み出す上でも、現在のAIプロジェクトを加速させる上でも、大きな力になるだろう。

この記事は、@ITに掲載した記事の内容を一部更新して転載したものです。


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