コロナ禍の3年間で何が変わった? 法人向けPC市場を取り巻く環境の現在と未来 NTT Com、インテル、HPが語る

» 2022年11月30日 10時00分 公開
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 コロナ禍、そしてロシアによるウクライナ侵攻と世界情勢は大きく変化し続けている。ビジネスにも大きな影響があったが、企業を支えるPC市場にも数々のトピックスがあったのは記憶に新しい。今回は法人向けPCの市場動向を振り返りつつ、今後の未来について、NTTコミュニケーションズ(以下、NTT Com)、インテル、日本HP(以下、HP)が語った。

それぞれの企業で起こった変化は?

――まずはお集まりの皆さまの事業にとって、ここ数年で起こった変化について教えていただけますか。

photo NTTコミュニケーションズ プラットフォームサービス本部 コミュニケーション&アプリケーションサービス部 第一サービス部門 宇田川賢治氏

NTT Com 宇田川氏(以下、宇田川氏):直近の変化というと、日本全国どこからでもリモートワークにより働くことを可能とする「リモートスタンダード制度」の導入が2022年7月1日から始まり、メディアでも話題になりました。グループ各社の取り決めや、お客さま対応が必要な部署などによって実施のタイミングは変わりますが、基本はリモートワークとし、出社するときやお客さまのところへ行くときは出張扱いになる形でハイブリッドワークが前提となりました。

 もちろん働く場所は自宅だけでなく、必要に応じて帰郷先など申請により承認が下りれば場所にこだわらず仕事をすることが可能です。とはいえ、コロナ禍の前から、リモートワークは実施されていて準備も整っていました。コロナ禍に入ってからはリモートワークが中心でしたから、本格的なテレワーク環境に合わせて制度も整理したという捉え方をしても良いかも知れません。

 また、NTTドコモ、NTT Com、NTTコムウェアは、22年7月に組織の再編成を実施しました。以前私が所属していたNTTドコモとドコモ・システムズの法人事業をNTT Comへ移管し、新しいドコモグループの法人向けサービスなどをNTT Comがワンストップで提供することが可能になりました。新たな法人事業ブランド「ドコモビジネス」のもと、これまでの固定VPNなどネットワークインフラの構築だけでなく、移動・固定融合サービスや5G、IoTなどの新たな先端ソリューションの提供が可能です。

photo インテル 業務執行役員 クライアント・コンピューティング・グループ コネクテッド・プラットフォーム・ビジネス開発 ディレクター 工学博士 庄納崇氏

インテル 庄納氏(以下、庄納氏):コロナ禍の影響で、半導体が使われるさまざまな産業において世界規模で深刻な供給不足が起こりました。加えて、在宅勤務の導入でPCの需要が急増したことにより、最新のPCをお客さまの納期通り供給できないといったことが起こりました。

 半導体の深刻な供給不足は、主要な半導体メーカーの大規模投資や各国政府の手厚い財政支援へとつながりました。例えば、米国では8月にバイデン大統領が「CHIPS and Science Act」(通称、CHIPS法)に署名し、今後5年間で半導体メーカーに約527億ドル(約7兆8000億円)を提供することになりました。日本では21年末に、先端半導体工場の国内での建設を後押しするための関連法改正案が参院本会議で可決・成立し、国内半導体製造工場の建設に大規模な財政支援が可能となりました。

 今は、欧米における急激なインフレと政策金利の利上げや、中国のゼロコロナ政策などによってPCの供給不足は落ち着いていますが、ハイブリッドワークの普及によって、PCの出荷台数はコロナ禍前の19年の水準を超えて推移する見込みです。

 また個々人の働き方を見てみると、私の所属するチームが米国、欧州、アジアとまたがっているため、以前からリモートで連携しながら仕事をしていたこともあり、コロナ禍で働き方の変化があったからといって混乱が生じたということはありませんでした。また、直近のインテル東京オフィスの出社比率は10〜20%程度です。特に出社制限を設けていないことを踏まえると、社員一人ひとりが働きやすい環境を選んだ結果が数値として出ていると思います。

 ハイブリッドワークが当たり前になると、PCの利用時間が大幅に増えることも今回の経験で分かりました。そうなるとPCに求められる要件も高くなります。これまでは感じなかったパフォーマンス不足や、Webカメラの精度などが業務の生産性に直接的に影響するので、お客さまがなるべく良いものを選ぶようになってきていると思います。Microsoft 365やMicrosoft Teamsなどクラウド活用による生産性の向上は、多くの方が実感していると思いますが、マルチタスクで作業をしながらWeb会議も行うなど、PCにとっては負荷の高い処理をよりスムーズにこなしたいというニーズも高まっています。この3年間で特に顕在化した傾向といえるのではないでしょうか。

 今後は、オフィスと自宅のハイブリッドワークから、コロナ禍が明け、それ以外の場所を含めたフレキシブルワークに移行していけば、いつでも、どこでも仕事ができるモバイルワークプレースを実現するために、いつでも、どこでもネットワークにつながる5G搭載のPCがより一層求められてくることになると思います。

photo 日本HP サービス・ソリューション事業本部 ビジネス開発部 松本英樹氏

HP 松本氏(以下、松本氏):弊社で象徴的だったのはハイブリッドワークを前提としたソリューションを持つ企業の買収が進んだことですね。例えばエンドポイントセキュリティです。大国同士の摩擦や戦争の影響でサイバー攻撃が増加し、日本国内でも被害が深刻になってきました。リモートワーク環境は脆弱(ぜいじゃく)性そのものですから、エンドポイントの強化を意識する企業がコロナ禍の前よりもはるかに増えています。実はマルウェアの感染経路の90%以上はメールの添付ファイルですが、ここをマイクロ仮想マシンという技術で丸ごと閉じ込めてしまう画期的なセキュリティソリューションを持ったBromium社を買収しました。今は、「HP Wolf Security」というブランド名に変更してサービスを強化しています。

 また、会議システム大手のPoly社も買収しました。これからの時代に求められるのは遠隔地同士のスムーズなコミュニケーションですから、そこを補填(ほてん)できるWeb会議システムの充実は欠かせません。Microsoft TeamsやZoomの隆盛が示すようにPC技術を軸としたWeb会議が世の中の主流になっていくでしょう。

 もう1つ、高度な画面転送技術を持ったカナダのTeradici社(現在は「HP Anyware」としてリブランディング中)を買収しました。在宅で使うノートPCはCADや動画編集、ゲーム制作などの負荷の高い作業をするには非力なので、パワーがあるCPUやGPUを持つデスクトップPCやワークステーションとの連携は欠かせません。会社のワークステーションを自宅に運ぶというのは物理的にもセキュリティ的にも難しいので、ネットワークを通じたリモート操作をより快適に、かつ安全にこなせるようなソリューションが求められています。HPはハイブリッドワーク時代に向け、ニーズが高まっていく事業のポートフォリオ強化にかじを切りました。

 PC市場はコロナ禍によって市場そのものが大きくなり、特にモバイルノートPCが主流になってきました。日本は主要国で唯一というほど15インチ以上のノートPCが主流という不思議な国でしたが、ここに来てようやくモバイルノートPCの比率が一気に高まってきました。以前は約15%の比率しかなかったのが、現在では半分近くまで増えています。

 HPの従業員の働き方も大きく変化し、特にこの3年近くはフル在宅ワークでした。21年に本社を品川駅近くに移転したことで、オフィス面積は半分になりました。つまり、全員出社を前提にフロア設計をしていないということになります。オフィス面積を縮小する日本の大手企業も増えていますので、「リモート」というキーワードで構成するITソリューションはますます成長していくのではないでしょうか。

顧客や市場はどう変わった?

――皆さまの顧客や市場にも変化があったと思いますが、どのようなものがありましたか。

宇田川氏:弊社の分野ではやはり通信環境ですね。特に5Gは24年3月までに人口カバー率90%以上の実現を目指しており、そのころには多くの皆さまが「高速・大容量」の恩恵が得られるようになります。

 お客さまからは「5G対応のPCありますか?」といった問い合わせが増えているので、企業の皆さまからもご期待いただいていることを実感しています。

 企業ユースのPCライフサイクルとして3、4年で買い替えを検討されるお客さまが多く、今4G搭載モデルを買ってしまうと使用しているうちに5Gが主流となります。現時点で先を見据えて5G搭載モデルをご検討いただくのは、私たちとしてもお勧めですね。

 最近の法人企業が選ぶPCの傾向として、クラムシェル型を検討するお客さまが増えてきました。さらにいうと1kgを切る軽量さがありながらキーボードがしっかりしたものを選ぶことが多いので、やはり持ち運びのしやすさを意識しながらも生産性が落ちないようにタイピングのしやすさなどを考慮されているお客さまが多いと思います。

庄納氏:5Gの周波数には主にミリ波とSub6がありますが、通信事業者のミリ波のカバレッジも踏まえて、現状ではほとんどの5G PCはSub6のみとなっています。24年頃にはミリ波のカバレッジもかなり充実してきますし、インテル製のWWAN(Wireless Wide Area Network)モジュールもミリ波対応になります。そのころに5G PCは高速大容量の5Gの性能を最大限に利用できるようになると思います。ですからNTTさんが言う通り、PCの調達を考える際は今から5Gを想定した要件定義をしておくことをお勧めしたいです。

 実は、世界のPC市場は11年から17年まで縮小傾向でした。最初の3年はタブレット市場が急拡大した影響を受け、後の3年はスマートフォンの高機能化による影響を受けたものでした。コロナ禍前の18年にスマートフォン市場がピークアウトすると同時に、PC市場が7年ぶりに拡大しました。コロナ禍に入った20年にスマートフォン市場が大幅に縮小すると共に、PC市場が急拡大しました。特に法人PC市場が急拡大しましたが、ビジネス利用という観点で見ると、やはりスマートフォンやタブレットとPCでは生産性が圧倒的に違います。コロナ禍で在宅勤務を経験した世界中のビジネスパーソンが実感し、気付いた結果だと思います。

 ちなみに弊社で把握しているWWAN搭載PCの法人向けPCと個人向けPCの出荷比率は法人向けPCが圧倒的に多く、コロナ禍以降の販売実績も大きな伸びを見せています。これは大企業だけでなく中小企業でも同じような傾向です。外で使うことと生産性を考え、WWAN搭載モデルを選択するケースが非常に多くなっていることが、数値からも分かる状況です。

 もう1つ、WWAN搭載PCが求められる理由が情報セキュリティです。近年、ランサムウェアを用いたサイバー攻撃などにより、企業の顧客やクライアントの情報の他、知的財産などの企業の機密データを盗み出し、それらを販売や公開すると脅迫して身代金を搾取する事例が数多く報告されています。中小企業であっても他人ごとではありません。従業員に、設置者やセキュリティポリシーが明確でないフリーWi-Fiの利用を安易に認めることは、企業にとって大きなリスク要因となります。この観点でも、通信事業者が運用するWWANを搭載したPCは情報セキュリティ対策の一環となります。

松本氏:インテル庄納さんがPC市場の伸びについて説明くださりましたが、中でも私たちが感じているのはWeb会議環境です。弊社のオンライン調査でもWebカメラや音響周りに注目しているIT部門がコロナ禍前よりも圧倒的に増えていました。企業の導入が進むWindows 11とMicrosoft Teamsの統合もありますが、Web会議ツールのユーザーが世界的に急増していることは確かでしょう。

photo 2022年9月実施の日本HPのオンライン調査より(N=157)

 ほんの3、4年前のモバイルノートPCが採用していたそれらの技術は、十分とはいえないものが多いのが実情だと思います。音声は途切れがちで、映像も正しく送れません。会議の品質が大きく低下するため、より高性能なWebカメラやそれを支えるグラフィックス、スピーカー、マイクが求められるようになったと思います。

 HPの最新モデルでお分かりいただけると思いますが、Web会議を行うための機能を大幅に進化させています。スムーズな遠隔コミュニケーションを実現する技術が必須の要求仕様になってきていると感じています。

 そういった意味では、NTT Comさんが提供する5G通信網やネットワークセキュリティ、インテルさんが提供するWWANモジュールやWeb会議に最適化したCPUやグラフィックス技術、そしてHPが提供するWebカメラや音響周りの先進技術が、企業ユーザー同士の連携や協創的なイノベーションを加速させていく上で不可欠になっていくでしょう。

これから各社が注力していく製品・サービスは?

――皆さまがこれから市場や顧客に打ち出していくサービスはどのようなものですか。

宇田川氏:先ほどインテル庄納さんが触れていましたが、確かに携帯電話網は回線自体が閉域通信網ですからセキュアです。さらにNTT ComはVPNも持っていますから、これからは両面で法人のお客さまにとって安全な通信手段がワンストップで提供できることになります。

 最近はクラウドサービスが充実し、導入する企業が増えています。クラウドに接続するにはインターネット通信網を使いますので、セキュリティを意識する必要があります。弊社ではFlexible InterConnect(FIC)と言うサービスを提供し、閉域網からクラウドサービスへの接続が可能です。FICは公衆網を通らずクラウドサービスにアクセスが可能なため、クラウドサービス利用のセキュリティの課題もクリアにできます。

 またリモートワークを検討、導入するお客さまも増え、リモート環境になったことで情報システム部の方々がPCの入れ替えの際にキッティングをしづらくなったというお声もいただいています。Microsoft IntuneなどによるAutopilotを活用したキッティングなどもご提案可能です。

 これまでNTT Comは首都圏を中心としたエンタープライズのお客さまが多かったのですが、始めにお話しした通り、各都道府県に拠点を置いていたNTTドコモの法人営業組織が加わったことで全国のお客さまにも身近に感じていただける存在になったと考えています。お困りのことがありましたら、ぜひお気軽にお声がけいただければと思います。

庄納氏:生産性向上のために高機能・高性能なPCが必要と感じている企業ユーザーが増えている現状を踏まえると、それにお応えするための「インテル® Evo プラットフォーム※1」やPC管理の面も含め 「インテル® vPro® プラットフォーム※2」をより充実させていきたいと考えています。

 特にインテル® Evo プラットフォームは5Gを要件に加えることも考えていますので、今後はこれがスタンダードになっていくことも予想されます。WWANモジュールは、インテルが提供する5G環境を実現する「インテル 5G ソリューション5000」として、今後多くのPC製品が採用することが決まっていますので、企業の皆さまには注目していただきたいですね。

※1 インテル® Evo プラットフォームは次世代のモバイルユーザー向けPCの指標として仕様をまとめたものです。最新世代のインテル® Core プロセッサーの搭載を前提に、場所を選ばない応答性、長時間のバッテリー駆動、瞬時の起動、高速充電、インテル® Wi-Fi 6E(Gig+)およびThunderbolt 4を搭載したクラス最高の接続性など、モバイルユーザーの使い勝手に焦点を当てた厳しい基準をクリアした製品を対象PCとして認定し、「Evo」のロゴシールを付与しています。

※2 インテル® vPro® プラットフォームはビジネスニーズに応えるために、リモート運用管理をサポートする「インテル® アクティブ・マネジメント・テクノロジー」(インテル® AMT)、「インテル® エンドポイント・マネジメント・アシスタント」(インテル® EMA)、高度なハードウェアベースのセキュリティ機能である「インテル® ハードウェア・シールド」などの要件を満たした製品を認定しています。

松本氏:冒頭でも触れましたが、ゼロトラストの設計思想で開発したエンドポイントセキュリティやMicrosoft Teamsに最適化されたWeb会議システム、高度な画面転送ソリューションといったハイブリッドワークを快適かつ安全に遂行するサービスを充実させていく予定です。

 そしてまさにその起点になるのが、最上位のモバイルPC「HP Elite Dragonfly G3」のようなモデルです。インテル® Evo プラットフォームやインテル® vPro® プラットフォームにも対応するモデルも用意していますので、生産性はお墨付きです。もちろん、WWANモジュール搭載モデルもありますので、NTT Comさんが提供している5G通信サービスを利用してクラウド上の業務アプリを快適に利用でき、Autopilotを活用したキッティング作業の負荷削減などの運用設計もできるようになります。

――ありがとうございました。

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この記事は日本HPの協力のもと、ITmedia NEWS編集部で一部編集したものです。

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