2020年から始まった新型コロナウイルスの感染拡大。忘れてはいけないのはコロナ禍に見舞われたこのおよそ3年間、数多くのエッセンシャルワーカーが世の中を支えてきたことだ。医療従事者や介護、福祉の現場を担う人々をはじめ、役所で働く公務員、宅配便の配送を担うドライバー、生活必需品を取り扱う小売りの店頭で働く人々などだ。
新型コロナウイルスの感染リスクがありながらも、現場で働く人々のおかげで私たちの暮らしが支えられてきたのは間違いない。一方、彼らの現場も業務効率化に向けてIT化の波が押し寄せている。DX(デジタルトランスフォーメーション)を推進する世の中の後押しもあり、現場で手を動かす業務の中枢にもビジネスPCの活用といったITの領域は拡大しつつある。
ビジネスPCといえば、コロナ禍において多くの企業はノートブックPCの導入を進めた。これまでオフィスでデスクトップPCを使っていた従業員にもノートブックPCを貸与し、自宅からリモートで業務を行えるようにするためだ。ノートブックPCは携帯性に優れ、場所を選ばずに仕事ができるという利点がある。しかし、それはエッセンシャルワークの現場でも通用するのだろうか。
運輸業や小売業、接客業などの現場で使われるビジネスPCにおいては、メンテナンス性や拡張性に優れたデスクトップPCを選ぶ傾向が根強い。特に省スペース性に優れた小型のマシンが選ばれることが多く、レノボ・ジャパンがそういった用途に向けて販売している「ThinkCentre Mシリーズ Tiny」(以下、Tinyシリーズ)も、狭いデスクの上や限られたスペースでの利用を見据えた小型デスクトップPCだ。次の表にデスクトップPCにおける業種別の課題と、Tinyシリーズが提案する解決策をまとめてみた。
現場が抱える課題 | Tinyシリーズが提案する解決策 | |
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運輸業 | 社内の移動が必要ないユーザーは、固定席で大きな画面が必要 | 省スペース筐体に豊富なビデオインタフェース。Tinyシリーズなら最大限に机上スペースを確保できる |
出入りが多い事務所、荷受けスペースなどで盗難防止への配慮 | Tinyシリーズは筐体を固定したり、隠して設置したりできるので、盗難リスクを低減できる | |
バーコードリーダーや各種周辺機器といった拡張性を確保したい | レガシーなシリアルポートを含め、豊富なインタフェースを搭載している | |
荷受けスペースや倉庫など、一般的なオフィスとは異なる環境でも安定稼働できる堅牢性が必要 | Lenovo独自の品質テストに加え、12項目の米国「MILスペック」に準じたテストをパスしている。一般的なオフィスより厳しい環境でも利用できる | |
小売業 | 店舗内のレジ回り、またはバックヤードの固定席に設置したい | Tinyシリーズは世界最小レベルの法人向けデスクトップPC。豊富なマウント系オプション製品を提供し、柔軟に設置できる |
立った状態でサッと使うこともあるため、見やすい大きな画面が必要 | 豊富な種類のビデオポートから複数同時に出力できる | |
店舗などは人の侵入が容易な場所でもあるため、盗難防止の観点からデスクトップPCを選びたい(接客する人はタブレット端末と併用) | Tinyシリーズは筐体が小さいため、見えないところに隠して設置できる。使用時に取り出す必要がないため、設置場所の常時施錠も可能 | |
店舗ごとにIT担当者が常駐できないため、リモートでデバイスを監視・管理したい | Intel® vProに対応し、分散されているデバイスをまとめて監視・管理できる | |
接客業 | 社内移動が必要ないユーザーは、固定席で大きな画面を利用したい | Tinyシリーズは世界最小レベルの法人向けデスクトップPC。豊富なマウント系オプション製品を提供し、柔軟に設置できる |
店舗/受付/レジなど、スタイルに合わせて本体をスマートに設置したい | レガシーなシリアルポートを含め豊富なインタフェースを搭載している | |
店舗などは人の侵入が容易な場所でもあるため、盗難防止の観点からデスクトップPCを選びたい(接客する人はタブレット端末と併用) | Tinyシリーズは筐体が小さいため、見えないところに隠して設置できる。使用時に取り出す必要がないため、常時施錠も可能 | |
店舗ごとにIT担当者が常駐できないため、リモートでデバイスを監視・管理したい | Intel® vProに対応し、分散されているデバイスをまとめて監視・管理できる | |
「ThinkCentre」ブランドは日本IBM時代から根強いニーズがあり、同ブランドを継承したLenovoもこのカテゴリーに注力してきた。レノボ・ジャパンでこの製品のプロダクトマネージャーを務める賈新(か しん)氏(コマーシャル事業部 企画本部 製品企画部)に、Tinyシリーズの位置付けや、現場で使われることを想定した製品開発におけるこだわりを聞いた。
まずオフィスやワークスペースを世界各国と比べた場合、日本固有の特徴として「作業スペースが狭い」ことが挙げられる。賈氏によれば、日本で確保されている平均的なデスクの広さは奥行き1200mm、幅700mm程度。こうした狭いスペースをいかに活用できるか。これが業務効率化の鍵を握っている。
Tinyシリーズを縦置きした場合、フットプリントは4.5型のスマートフォンと同じくらいであり、状況に合わせて設置場所を柔軟に変更できる。PC本体と同様に注力して自社開発している純正のマウント系オプションパーツを使えば、ディスプレイの背面(VESA規格に対応)やデスクの下にも設置できる。デスクトップPCでありながらデスクの上を占有しないのが大きな強みだ。
さらにこんなエピソードがある。VESAマウントを利用してディスプレイの背面に設置する場合、「これまでは机の上に置いたデスクトップPCとディスプレイを接続すればキッティング作業が終わりだったので、逆に手間がかかってしまった」という顧客の声があったという。
これに対し、Lenovoではキッティング作業の業務負荷軽減を目指して、背面にTinyシリーズをスロットインできる専用のディスプレイ(ThinkCentre Tiny-in-Oneシリーズ)を開発。これによってオールインワンPCのように取り扱えるようにした。もちろん本体とディスプレイは別の筐体のため、故障などがあった場合はPC本体とディスプレイで別々に対応できる。
デスクトップPCといえば、一般的にカスタマイズ性の高さも大きな導入メリットになる。これはビジネスPCにおいても変わらない。TinyシリーズはノートブックPCとは異なり、ユーザーが本体のケースを開けてメモリやSSD、HDDを増設しても、適切な範囲であればメーカー保証内の行為となっている。
企業ユースの場合、PCに不具合が生じても記憶媒体に機密情報などが入っていると気軽にメーカー修理に預けられないこともある。情報システム部門の管理者が気軽にメンテナンスできる環境が用意されているのは、デスクトップPCを選択する積極的な理由の一つになる。
このように、レノボ・ジャパンは製品開発においてユーザーの声に耳を傾けることを重要視している。賈氏は顧客との会話や展示会、アンケートの他、レノボ・ジャパンが主催するカスタマーボイスを聴取するためのイベントなどを通じて得た顧客の意見を製品開発に反映するという。
加えて運用面でリアルな問題になってくるのがホコリ対策だ。業務で使われるビジネスPCは快適な環境に設置されるとは限らない。運輸業ではトラックの荷受けスペースのような半屋外や、小売業では倉庫などで使われる──なんてこともあるだろう。
ホコリがPCの中に入ってしまうと、ファンの回転効率が悪くなり熱暴走してマシンを壊してしまう可能性もある。このためTinyシリーズは本体内へのホコリ侵入を防ぐ専用のダストシールド(防塵フィルター)をフロントパネルに装着できる。Lenovoが企業ユースのいろいろな利用シーンを想定していることが、製品のラインアップに表れている。
さらに自社で厳しい品質テストも行っている。よく知られているThinkPadのトーチャーテストで積み重ねた経験を生かしている他、米国の軍用品調達規格である「MILスペック」に準じたテストを行い、それに合格したものを製品化している。「全ての対策が取れるというわけではありませんが、代表的な業種の主な課題については解決策を講じています」(賈氏)
現場の実情をしっかりと考えて製品を開発する──こうした積み重ねが、“現場で本当に使える”マシンの完成度を高めている。
「全体を見れば、デスクトップPCを望むお客さまは限られてきます。しかし、一定量のユーザーは存在している──そのお客さまの業務を支えるために新製品をどうやって作り上げていくのか、Lenovoは常に考え続けています」(賈氏)
2022年はTinyシリーズが日本で正式発表されてから10年が経過したメモリアルイヤーでもある。賈氏はこの10年という長い年月を振り返りながら、企業ユースを意識して変えてこなかったものがあると話す。
「一貫して“変わっていないこと”があります。それは筐体サイズです。サイズを変えてしまうとオプション製品、例えば本体をディスプレイ背面に固定するVESAマウントが使えなくなってしまいます。本体は3〜5年程度のライフサイクルかもしれませんが、本体を取り換えたときにオプション製品が使えなくなってしまうと、ユーザーに大きなコスト負担がかかってしまいます。使う人を考えて、進化する部分と、あえて変えない部分を分けています」(賈氏)
ビジネスPCは導入して終わりではない。その後の運用、数年先のリプレースまで見据えたとき、どんな製品を選べばいいのか。Tinyシリーズの方針は、そういったことを考える一つのきっかけになるだろう。
製品のこだわりは理解できた。しかし、外資系メーカーの製品を導入する上で気になるのが“納期”であることは、実際に導入に携わる人であれば“あるある”として実感しているのではないだろうか。
Tinyシリーズは山形県米沢市にある工場で生産することで短納期を実現している。海外で製造した製品を日本に運ぶ場合、経路が船便に限られてしまうという。これでは納期が1カ月程度となってしまい、一部の顧客のニーズに応えられないからだ。
レノボ・ジャパンはNECパーソナルコンピュータ(NECPC)と同じグループなので、2019年からNECPCの生産リソースを使って製品を製造している。何かマシントラブルに見舞われた場合でも、国内対応できる強みを発揮している。
Tinyシリーズはエントリーからハイエンドまで、用途に合わせて豊富なラインアップをそろえている。モデルによって第12世代Core iシリーズや大容量のメモリ、高速なSSDなど、小型なボディーでありながらハイスペックのマシンを構成できるのも大きな強みとなっている。
ここまで見てきたように、Tinyシリーズは設置場所を選ばない小型な筐体で、省スペースなPCが望まれる運輸業や小売業、接客業といった業種の現場で活躍できるマシンということがお分かりいただけたと思う。そんなTinyシリーズを導入検討してみてはいかがだろうか。
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提供:レノボ・ジャパン合同会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia NEWS編集部/掲載内容有効期限:2022年12月6日