「AIでデータを英知に変える」 450超の施策でDX推進 大手IT企業のノウハウは? “AIスペシャリスト”が明かす

» 2023年02月10日 10時00分 公開
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 企業を成長させる起爆剤としての「AIのビジネス活用」といわれてから随分たつ。DXや働き方改革の推進でITの活用が進んでいるものの、AIは効果が不透明、専門的な知見がないなどの理由で導入をためらっている企業も多い。

 「AIが企業の成長を加速させる理由の一つが、社内にあるデータの活用に効果的だからです。データを集めてもただの『情報』ですが、それを『知識』に変えて業務に生かし、さらに『英知』という資産にして蓄積するプロセスで活躍します。脱属人化や省人化が叫ばれるいま、活用しない手はありません」――こう話すのは、デル・テクノロジーズのAI Specialistである増月孝信氏(DCWソリューション本部 シニア・ビジネス開発マネージャ)だ。

photo デル・テクノロジーズの増月孝信氏(DCWソリューション本部 シニア・ビジネス開発マネージャ AI Specialist)

 同社は、全社的に進めているDXの中で、IT部門はもちろんマーケティング部門や営業部門までAIを意識的に活用している。そこで得た知見を基に、AI導入を検討している企業のサポートも手掛ける。今回は、そんなAI活用のプロフェッショナルであるデル・テクノロジーズに、その効果や活用方法などを聞いた。

450超のAIプロジェクトが稼働 デル・テクノロジーズのAI活用術

 デル・テクノロジーズがDXに本腰を入れたのは、コロナ禍前の2019年ごろだった。働き方改革や業務環境の改善などを進める中で、その中心にAI活用を据えた。「AIの知見や技術は、顧客や業務の近くで成長する」という考えに基づくもので、「AI for Dell Technologies」という標語を掲げている。

 そんな同社の取り組みを支えるのが、「Dell Digital」と呼ばれるデータサイエンス専門部隊だ。約1800人のデータ担当者とデータサイエンティストから成る40チーム超が、実に450以上のAIプロジェクトを動かしている。その経験から、増月氏はAI活用の重要性を訴えている。

 では、実際にAIをどう活用してDXを進めているのか。デル・テクノロジーズは外資の大手IT企業だが、AIの使い方は多くの日本企業にも横展開できる内容だ。

製品サイト訪問から購入後のサポートまで ビジネスプロセスを最適化

 AIの活用方法として多くの企業で参考にできるのが、Webサイト訪問者が製品を購入して顧客になるまでのビジネスプロセス全般の最適化だ。まず、製品サイトを閲覧した訪問者の傾向をAIで分析して、購買意欲や予算感などのデータを基にマーケティングに生かす。次に訪問者が製品を選んだら、過去の購入データを学んだAIで、必要なオプションを提案して購買をサポートしている。

 さらに顧客に製品を素早く届けるため、製造や発注に関わる手続きを自動化している。購入後の製品トラブルに対応するサポートセンターでは1日に1万人以上の問い合わせに応じるが、自然言語処理を活用して電話対応の時間を約10%短縮できた。

photo 一連のビジネスプロセスにおけるAI活用(クリックで拡大)

サプライチェーン管理にAI活用 約20億円を削減

 デル・テクノロジーズでは、サプライチェーンの管理にもAIを取り入れている。需要予測の精度を高めることで、パーツ切れや品薄状態を防いで円滑な製品提供を実現した。加えて北米にある倉庫120カ所超のパーツ管理を効率化して、管理コストを約20億円(約1800万ドル)削減した。

 金銭的なメリットが分かる例では、保証サービスの悪用や迷惑行為の対策がある。悪意あるユーザーが、保証期限が切れた製品の修理やカスタマーサービスを依頼してきた際、誤ってサービスを提供すると損失になってしまう。これまで保証引当金(将来の保証に備えて用意する見積金)の約10%をサービス詐欺が占めていたが、従来の検知システムでは詐欺を見抜きにくかった。そこにAIを導入したところ、迷惑行為を高精度に見抜けるようになり、結果的にROI(投資利益率)が4倍から13倍に跳ね上がった。

 IT部門の活用例では、資産の運用の効率化で効果を上げた。サーバの異常な動作や、提供しているサービスに障害が起きる予兆を検知して警告する仕組みを構築したところ、運用コストを約30億円(2500万ドル)削減できた他、IT部門の負担軽減につながった。

DXの鍵は「開発者ファースト」 大胆な組織改革を実施

 デル・テクノロジーズの成果を見ると、最初から成功を収めたように思えるが、決してそうではない。多くの企業と同じように、社内のITインフラはシステムやベンダーごとにサイロ化された状態だった。

 「DXの一環としてAIの活用を進めようにも、データサイエンティストやエンジニアはインフラの構築や運用管理、散逸したデータの整理、セキュリティチェックなどの手続きに手間が掛かり、本業のデータサイエンスに時間を割けていませんでした」(増月氏)

 そこで同社のCIO(最高情報責任者)が「DX推進の鍵は『開発者ファースト』にある」という方針を掲げて、大胆な組織改革に乗り出した。DXを進めるには、エンジニアやデータサイエンティストなど開発者が作業しやすい環境を整えることが重要だとする考えだ。

 そのために、受動的な運用姿勢から脱却し、ニーズの変化に柔軟かつ迅速に対応できるアジャイルな開発体制を構築した。クラウドネイティブな開発環境を用意して、開発担当と運用担当が密に連携するDevOpsやCI/CD(継続的インテグレーション/継続的デリバリー)の仕組みを取り入れた。

 こうしてDXやAI活用の取り組みを進め、蓄積した知見を基に開発を進めることで大きな成果を得た。

AI基盤の鉄板構成 クラウドネイティブな開発環境を構築

 デル・テクノロジーズの成果を自社にも取り入れたいと考える企業に向けて、同社では培ったノウハウを基に顧客のAI活用をソフトウェア/ハードウェアの両面から支える施策を展開している。同社ならではのベストプラクティスを製品やサービスとして提供することで、企業側のチャレンジを後押しする。

 まずソフトウェアの観点で展開しているのが、AI基盤の鉄板構成と銘打ったソリューション「Validated Design for Artificial Intelligence」だ。サイロ化されたIT基盤を統合し、開発や管理をスムーズにする枠組みを提供している。NVIDIAのAIソフトウェアスイート「NVIDIA AI Enterprise」やVMwareのコンテナ基盤「VMware Tanzu」などを組み合わせて実現しており、クラウドネイティブな開発環境を構築できる。

photo AIの鉄板構成 Validated Design for Artificial Intelligenceの概要(クリックで拡大)

 さらに機械学習を自動化して、AIの開発や検証を手軽に実施できる「AutoML」ツールの活用も支援している。

 そして多彩なパートナー企業と進めているのが、「Dell de AI “デル邂逅(であい)”」プログラムだ。AIを使った業務効率化ツールや画像検査ソリューションなどを提供するAIベンダーと、AIを導入したい企業をマッチングする取り組みで、素早い導入を後押しする。

NVIDIAのGPUを8枚搭載 デル・テクノロジーズ史上最多のサーバが登場

photo デル・テクノロジーズの山口泰亜氏(データセンター ソリューションズ事業統括 製品本部 シニアプロダクトマネージャ)

 AI活用に役立つソフトウェアを動かすのが、サーバなどのハードウェアだ。デル・テクノロジーズでは、AIの優位性を存分に発揮できるGPUサーバのラインアップを用意している。

 これまでも機械学習に適したGPUサーバを手掛けてきたが、22年11月に発表した高性能サーバ「PowerEdge XE」シリーズは従来とは格が違うと、デル・テクノロジーズの山口泰亜氏(データセンター ソリューションズ事業統括 製品本部 シニアプロダクトマネージャ)は説明する。


 最新のPowerEdge XEシリーズ(※)は3機種を展開しており、AI用途だけでなくHPCやモデリングなどとの相性もいい。各モデルのCPUにはIntelの最新「第4世代 インテル Xeon スケーラブル・プロセッサー」(※)を搭載。汎用プロセッサとして各種計算からシミュレーションまで幅広く活用できる。

 同シリーズの中でも最上位モデルが6Uラック型の「PowerEdge XE9680」だ。最大の特徴はNVIDIA製の次世代GPU「NVIDIA H100 SXM5」(※)を8枚搭載できる点にある。これはデル・テクノロジーズ史上最多の枚数だ。強力な演算処理能力でAIのワークロードをサポートする他、35℃の高温な環境でも動作する設計の空冷方式なので、一般的なデータセンターでも活躍できる。

※23年1月現在で最新のもの。

photo PowerEdge XE9680の概要(クリックで拡大)

 2Uラック型の「PowerEdge XE9640」はIntelのHPC向けGPU「MAX GPU OAM」を4枚搭載できる。水冷式なので排熱効率がよく、小型化したことで設置面積を抑えられる。また4Uラック型の「PowerEdge XE8640」はNVIDIA H100 SXM5を4枚搭載可能で、空冷の通常サイズのサーバなので通常サイズの19インチラックに設置できる。

 「お客さまの声を聞くと、ハイエンドのGPUを複数枚搭載できるサーバが求められてきています。デル・テクノロジーズのPowerEdgeサーバは、スマート冷却テクノロジーを採用し、最新のGPUでパフォーマンスを劣化させずに、高い性能を引き出せます」(山口氏)

 最近では、画像解析や自然言語処理の精度を上げるためにパラメータを増やしたはいいが、パブリッククラウドでは最新のGPUを使えない、リソースを増やすとコストが増大するなどの理由からAIモデルの作成が進まないケースも多い。オンプレミスで高性能なインフラを構築するメリットが再認識されはじめている。そうした中で、PowerEdge XE9680は強い味方になるはずだ。

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AI用途向け新世代PowerEdge XEサーバー紹介動画

デル・テクノロジーズのGPUサーバを無料で体験 専門施設「AI Experience Zone」

 PowerEdge XEシリーズや各種AIソリューションを導入しようにも、本当に効果があるのか分からず投資を決断できない企業もある。そこでデル・テクノロジーズは、GPUサーバを試せる無料の評価センター「AI Experience Zone」を東京都千代田区大手町に用意している。

 同施設では専門家がアドバイスをしてくれるので、AI活用を進める際の課題を解決する上で心強い。すでに多くの企業が訪れており、GPUサーバ導入前の効果検証やDX推進に向けた事前確認、データサイエンティストの作業効率の改善を狙ったAIモデルのチェックなど、さまざまな目的で利用している。

最先端を求める企業も、これから取り組む企業も支援

 「お客さまの中でもAI活用の目的や現状は異なります。最先端のものを望む方はまさにPowerEdge XEシリーズにご満足いただけるでしょう。これから取り組む企業の方は、AI Experience Zoneやコンサルティングなどさまざまなサービスでキャッチアップしていきます」(増月氏)

 AIを自社に導入してビジネスに生かすには、さまざまな知見やインフラが欠かせない。全てを自社で賄うのは難しくても、デル・テクノロジーズのように幅広くAIの知見をためてソフトウェア/ハードウェアの両面から支援してもらえれば心強いだろう。

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Dell de AI(でるであい)とは──


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「AIをビジネスで活用する」──そう言い表すのは簡単です。しかし、組織にとって本当に価値のあるアクションへ落とし込むには、考えるべきことがあまりに多すぎます。誰に相談すればいいのか、どうすれば成果を生み出せるのか。「Dell de AI “デル邂逅(であい)”」は、そんな悩みを持つ企業や組織にポジティブな出会いや思いもよらぬうれしい発見──「Serendipity(セレンディピティ)」が生まれることを目指した情報発信ポータルhttps://www.itmedia.co.jp/news/special/bz211007/です。


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