私たちの暮らしやビジネスは、ITで一変した。特にDXが進む中で、働き方や社会の在り方が変わっている。例えば、顔認証で買い物の決済をする、自治体が住民の生活データを活用して健康な暮らしをサポートする、工場のロボットを遠隔制御して業務を大幅に効率化するなどだ。
背景にはセンシング技術やAIの進化、コンピュータの大幅な性能向上などがある。しかし、それら単体では変革を起こせない。忘れてはならないのがネットワークの存在だ。さまざまな機器同士をつなぎ、ほぼリアルタイムの計算処理や遠隔での指示や操作を可能にする。この役割を正確に実行し続けられなければ、DXの実現は困難であるといえる。
このネットワークの分野で「業界のリーダーを目指す」と宣言しているのがNECだ。
「電話網には100年以上の歴史がある一方で、インターネットが普及し始めたのは30年前。しかし、既に鉄道の運行や電力の供給を支えるなど、重要な社会基盤になっています。それに伴って安定性や情報セキュリティ上の安全性などが、いままでよりも一層求められています。NECの技術力を駆使すれば、ネットワークの進化を支え、業界をリードしていくことができます」――こう話すのは、NECでネットワーク事業を統括する尹秀薫(ユン・スフン)氏(デジタルネットワーク事業部門 マネージングディレクター)だ。
これからより一層重要になるネットワークには何が求められ、どう進化するのか。ITmedia NEWS編集部は尹氏に取材し、ネットワークの在り方と将来の姿について聞いた。
普段あまり気にしていないネットワークの在り方を人々が考えるきっかけになったのが、COVID-19の流行で進んだワークスタイルの変革だ。オフィスに集まって業務をする働き方から、オフィスや自宅、カフェなど場所を選ばずオンラインでつながるハイブリッドワークに多くの企業が移行した。「オンライン会議でネットワークが不安定になると、途端に不便さを感じるはずです。これまでネットワークのことはほとんど意識していなかったのに、その存在意義を実感する機会が増えました。ネットワークはいまや私たちの生活や仕事の重要なインフラになっています」(尹氏)
ネットワークの立ち位置を分かりやすく示すのが、NECが掲げるICT共通基盤「NEC Digital Platform」だ。社会を支える多様なデジタル機器や技術、サービスを整理したもので、NECはこの共通基盤を活用してDX事業を展開している。ネットワークは、上位のクラウドやSaaSを活用したDXなどを支える基盤として重要な位置にある。
NECは、注力するネットワーク事業のコンセプトとして「NEC Smart Connectivity」を掲げている。あらゆるものを“賢く”つなぎ、新たな価値を生み出すことがミッションだ。無線ネットワークやSDN(Software-Defined Networking)など多様な選択肢を取りそろえ、長年培った技術やノウハウを駆使して安定性や柔軟性、管理性を高めている。そしてLANやWAN、Wi-Fi、データセンターなどのネットワーク環境をエンドツーエンドかつワンストップで提供して、ユーザーのさまざまな要望に応えている。
「NECの強みは『総合力』です。用途に応じて多様なネットワークソリューションを適材適所で組み合わせ、機器の提供だけではなく、利用目的に合わせたマネージドサービスとして運用管理のサポートもしています。お客さまの暮らしやビジネスの舞台となる『ワークライフ空間』に『快適』で『効率的』かつ『セキュア』という価値を提供しています」(尹氏)
企業のビジネスを支えるネットワークの中で、DXに貢献可能な技術として期待を集めるのがローカル5Gだ。通信キャリアが5Gサービスを提供したことで、超高速・低遅延・多数同時接続といった、メリットの理解が広がった。
ローカル5Gでは、企業が自社の敷地や建物の中に独自の5Gネットワークを構築することで、事業に活用できる。例えば製造業では、工場内にローカル5Gを導入し、ネットワークカメラを使ってリアルタイムに製品の異常検知をする、などの活用方法がある。ショッピングセンターでは、在庫管理や無人店舗の運営に役立ち、スポーツスタジアムでは競技を多方向から撮影して配信する、マルチアングル観戦の実現に寄与できるなど、さまざまなユースケースが想定されている。
高速で安定性が高いネットワークを独占できることへの、企業の期待はとても大きい。しかし、もともと通信事業者向けの技術なので、一般の企業にとっては複雑かつ高額となり、使いこなすのが難しいというのが課題だ。自社にとっての効果が不透明なままでは、基地局の整備などへの投資に足踏みをするケースもある。
その課題を解決するソリューションとしてNECが開発したのが、ローカル5Gの機能を小型の筐体に一体化した「UNIVERGE RV1200」だ。基地局の無線部(RU)、制御部(CU/DU)を1つの筐体内に集約し、大幅な小型化と軽量化を実現。分かりやすいGUIを採用して運用管理の手間を減らしたうえ、価格も見直したため、導入費用を従来の50%以下に抑えられる。このNECの取り組みによって、ローカル5Gが多くの企業の手に届く存在になった。この点が高く評価され、IT技術とエレクトロニクスの国際展示会「CEATEC 2022」の表彰企画「CEATEC AWARD 2022」では、総務大臣賞を受賞した。
「ローカル5Gは、業種や規模を問わず、さまざまな課題解決に役立つ技術です。それなのに、構成する機器の複雑さや高額な費用が課題になり、導入が進まない状況に悔しい思いをしていました。それを解決し、より多くのお客さまに活用していただけるソリューションを実現できたことが、何よりうれしいです」(尹氏)
導入の効果が分からないと心配するユーザーに向けては、「可搬型トライアルパック」も用意した。移動式のラックに必要な機器を搭載し、サブスクリプションで提供している。NECが実験試験局免許を取得するため、利用者が免許申請手続きを行う必要がなく、気軽にローカル5Gを試すことが可能だ。
本導入が決まれば、NECでは無線局免許の取得など、企画や検証、設計、導入、運用、保守まで、ローカル5Gにかかわるライフサイクル全体を、フォローする体制とサービスを整えている。
そしてNECではさまざまな企業とローカル5Gの実証実験を進めており、既に安川電機とFA機器制御の無線化で、石坂産業と廃棄物処理プラント内の重機の稼働状況を可視化する取り組みで成果を挙げている。
NEC自身の取り組みとしては、玉川事業場のオフィスに導入して、来客案内用のロボットを使ったPoC(概念検証)に取り組み始めた。将来的には、入退室の管理や遅延のないオンライン会議など、次世代型オフィスの実現を目指している。
また顧客企業やパートナーとの共創の場となる「NEC CONNECT 5G Lab」を開設し、新たな価値やソリューションの創出で成果を挙げている。
ローカル5Gは注目の技術だが、Wi-Fiを置き換えるものではないと尹氏は話す。Wi-Fiの新規格「Wi-Fi 7」が見えてくる中、高速なネットワークを免許や許認可なく、設置した日から即使えるのがWi-Fiの大きなメリットだ。それに対してローカル5Gは免許が必要なものの、電波を独占して安定的に使用できる点が特長だ。NECは接続する機器の数やトラフィックの種類などから、ネットワークに求められる性能を見極めて適切なソリューションを提案している。
同社の総合力が生きた事例がある。ある企業ではデータセンターや各拠点にLANやWANを導入し、SDN技術を用いて統合的に制御し、オフィスのネットワーク管理を効率化した。工場でもSDNを使ってITとOT(Operational Technology)のネットワークを物理的に統合し、情報セキュリティ対策の強化や工場設備の柔軟な変更などを可能にした。ここにローカル5Gを追加して、工場の自動化や効率化をさらに進める、といった展開が現実的になっている。
情報セキュリティ対策については、ゼロトラストの考え方に基づくセキュリティ強化も提案している。またローカル5Gに接続する機器はSIMを内蔵しており、その悪用や乗っ取りを防ぐ仕組みが必要だ。NECではより有効なセキュリティ対策の開発を続け、既に実用化している。
NECはその総合力をフル活用し、ビジネスや暮らし、つまり社会を支えている。「私たちがネットワーク事業のマーケットリーダーを目指すことによって、お客さまの成長や人々の快適な生活に貢献できると確信しています」(尹氏)
DXの進め方やネットワークを活用した事例などを詳しく知りたい方は、NECが開催するオンラインセミナー「第3回 NEC Smart Connectivity Day」(2023年3月7日)をご覧になってはいかがでしょうか。
製造業や公共サービス部門、小売、金融、通信など幅広い業種に向けた内容なので、参考になるはずです。こちらから視聴登録できます。
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