NECとデルが異例の協業 競合サーバベンダーを結び付けたのは「赤いアイツ」

» 2023年02月28日 10時00分 公開
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 NECとデル・テクノロジーズ、日米のIT大手が手を結んだ――こんなニュースが飛び込んできた。両社が協業するのはスーパーコンピュータ(スパコン)の領域だという。サーバ市場ではライバルでもある両社が、ハードウェア領域で一体なぜ手を組んだのか。

 取材を進めると、両社の取り組みの背後に“あるマシン”の姿が浮かび上がってきた。一目見れば忘れられないほどインパクトがある真っ赤な筐体。印字された「VECTOR ENGINE」の文字。NECが開発したPCI Express(PCIe)カードタイプで“デスクトップサイズ”のベクトル型スパコン「SX-Aurora TSUBASA」だ。

 このSX-Aurora TSUBASAにどのような価値があり、NECとデル・テクノロジーズが協業するに至ったのか。両社のキーパーソンを直撃した。

photo NECとデル・テクノロジーズのキーパーソンを取材した

“赤いTSUBASA”が羽ばたいた 飛んだ先で見つけた異例の協業

 取材したのは、NECでSX-Aurora TSUBASAを手掛ける浅田洋祐氏と、デル・テクノロジーズで顧客のハードウェア戦略をサポートしている藤田克人氏、同じくデル・テクノロジーズの山田尚敏氏だ。

――SX-Aurora TSUBASAの実物を見ると、真っ赤な色がとても印象的でした。

photo NECの浅田洋佑氏
(プラットフォーム販売部門 SW・サービス販売推進統括部 Aurora・量子コンピューティング販売推進グループ ディレクター)

浅田氏(NEC) SX-Aurora TSUBASAは、手で持てるサイズのスパコンです。PCIeカードタイプながら、強力な演算能力を発揮します。汎用サーバにも搭載できるので、大学や研究機関の他、企業の事業部門でも導入が進んでいます。

 その“強さ”をアピールできる色についていろいろ検討しましたが、ほら、赤色なら「通常の3倍のスピード」が出そうでしょう?(笑) 実際はもっと速くなるケースもあり、演算処理を約38倍も高速化した事例があります。


photo デル・テクノロジーズの藤田克人氏
(パートナーセールスエンジニアリング本部 パートナーSE1部(PSE) 部長)

藤田氏(デル) 某エースパイロットの話ですね(笑) 私自身、初めてSX-Aurora TSUBASAを見たときは色合いに驚きました。こんなに赤いハードウェアはなかなか見かけないので。サーバ内に納めたら見えない部分なのに、ここまでこだわるNECの本気度を感じました。

ライバル同士がなぜ? 実は「互いにラブコール」

――国内のサーバ市場ではライバル同士のNECとデル・テクノロジーズが、スパコンとはいえサーバ領域で協業したのは異例ですよね。

photo デル・テクノロジーズの山田尚敏氏
(パートナーセールスエンジニアリング本部 パートナーSE1部 アドバイザリ システム エンジニア)

山田氏(デル) NECが主催するSX-Aurora TSUBASAの共創コミュニティーに、デル・テクノロジーズが2021年に参画して実現しました。ハードウェアメーカーの参加は初めてということからも、重要性をご理解いただけると思います。

浅田氏(NEC) 近年、スパコンやHPCの市場は急速に広がっています。その分、お客さまのニーズも広がっており、それに適応できる多様なプラットフォームが求められています。

 NECはスパコンの領域で約40年のノウハウを持っており、SX-Aurora TSUBASAは自信を持ってご提供できる製品であることは間違いありません。この強みを十二分に生かせるサーバとして注目したのが、自社製品に加えてデル・テクノロジーズが展開するビジネス向けサーバ「PowerEdge」シリーズでした。

山田氏(デル) これまでもNECとデル・テクノロジーズは、個別の案件で協力するシーンは多々ありました。当社のストレージ製品とNECのソリューションを組み合わせて提供するなど、互いの強みを生かした取り組みはあったのです。

 今回の協業は、従来の枠組みから一歩踏み込みました。デル・テクノロジーズではHPC領域のラインアップ拡充や、AI用途のニーズ獲得を強化しており、NECからのお声掛けは渡りに船でした。振り返ってみると、互いにラブコールを送り合っていましたね。

浅田氏(NEC) SX-Aurora TSUBASAの活路を広げたいと考えていたNECにとって、PowerEdgeはとても魅力的でした。実際、両社の協業を発表してから問い合わせや導入実績が増えています。

インフラのデル×ソリューションのNEC=新たな価値

――デル・テクノロジーズは、すでにHPC領域で高いシェアを誇っていますよね。それなのになぜNECと組むのですか。

藤田氏(デル) サーバがコモディティ化(高付加価値な商品が一般化して他製品との差がなくなること)する中で、いかに付加価値を付けるかが課題になっています。HPCの他にもAIや機械学習の市場を狙うデル・テクノロジーズにとって、お客さまが使うソリューションとして価値を上乗せするのにSX-Aurora TSUBASAが見事にマッチしました。

山田氏(デル) HPC分野で人気の計算用GPUは、データを分割して逐次処理するスカラー型演算アーキテクチャを採用しています。構造解析などのシミュレーションや需要予測のように、一度に大量の計算が必要なケースでは、データを一度にまとめて並列処理するベクトル型演算アーキテクチャの方が効果的です。その点でSX-Aurora TSUBASAの強みが生きます。

 また、デル・テクノロジーズは基本的にハードウェアベンダーなので、演算用のライブラリなど、ソフトウェア環境まで提供するのは難しい面もあります。一方でNECは、SX-Aurora TSUBASA向けにソフトウェアを提供するなどハード/ソフトの両面に注力しています。

 NECと協力することで、私たちが誇りとする“業界屈指の製品ポートフォリオ”をさらに強化できるのです。

藤田氏(デル) デル・テクノロジーズはインフラに強く、NECはインフラの上位レイヤーに当たるアプリケーションやサービスを含めたソリューションの提供に強みがあります。得意分野が異なる2社が手を組んで、新しい価値を提供できると信じています。

photo

SX-Aurora TSUBASA × PowerEdgeサーバの効果は?

――協業の第一歩目として、デル・テクノロジーズがSX-Aurora TSUBASAの動作を検証して評価レポートを公開しました。その内容を教えてください評価レポートはこちら

浅田氏(NEC) SX-Aurora TSUBASAはパワフルなので、排熱量が大きくなります。これが汎用サーバへの搭載でハードルになる恐れがあり、PowerEdgeサーバで検証していただきました。

山田氏(デル) デル・テクノロジーズとしても、PowerEdgeをスパコンとして使う準備をいち早く整えたい思いがありました。浅田さんの言うように、SX-Aurora TSUBASAの消費電力と発熱を、PowerEdgeサーバの電源と冷却機能でカバーできるかが最大の焦点でした。

 「PowerEdge R7525ラックサーバ」を使って検証したところ、結果的にはいずれのテストも正常に完了し、最大の演算負荷を掛けても問題なく稼働しました。詳細は評価レポートをご覧ください。

 注目したいのは、SX-Aurora TSUBASAはサーバのCPUに負荷をかけないという点です。通常のサーバは、CPUの発熱を検知して冷却ファンを回す設定です。しかしSX-Aurora TSUBASAを動かしてもCPUへの負荷が少なく、発熱が少なかったためうまく排熱できませんでした。PowerEdgeサーバはセンサーを各所に配置しているので、PCIeカード周辺の排気熱を測ってファンを回す設定にして対処できました。

浅田氏(NEC) デル・テクノロジーズの検証で、PowerEdgeを使えばきちんと冷やせて、最大の能力を発揮できると分かりました。23年2月現在、PowerEdgeサーバの最新モデルでも検証を実施中で、間もなくレポートを公開する予定です。

強力な演算処理を省エネで 幅広いニーズに応えられる布陣

――SX-Aurora TSUBASAとPowerEdgeを掛け合わせることで、高い性能を発揮できると分かりました。では、この組み合わせでユーザーにどのようなメリットを提供できるのでしょうか。

山田氏(デル) PowerEdgeシリーズは、世界トップクラスのシェアを誇ります。今後もAIなど先端技術の発展に合わせて強力な演算能力を求める声も増えるでしょう。そうしたニーズに対して、お客さまに新たな選択肢をご提供できる布陣になりました。

 一方で、演算処理の消費電力や発熱について問題視されていることは事実です。SDGsの取り組みに注力するお客さまも増えています。PowerEdgeシリーズの排熱機能や冷却設計を生かして、高性能と省エネルギーを両立できます。

広がるHPCのニーズ スパコンをエッジへ 

浅田氏(NEC) HPCの市場は、計算用GPUの普及で急速に拡大しています。このうちGPUでは思うような効果を得られないお客さまや、SX-Aurora TSUBASAが得意とするシミュレーションなどの演算能力を求めているお客さまに対して、デル・テクノロジーズと共にサポートを拡充できます。

藤田氏(デル) 従来のHPCやスパコンは、データセンター内に大規模な環境を構築するものでした。それがSX-Aurora TSUBASAとPowerEdgeサーバによって、スパコンを小さな拠点に配備できるようになりました。

 これは、例えば高度なAI処理をデータセンターで実行せず、エッジでリアルタイムに処理できることを意味します。これはエッジコンピューティングに注力しているデル・テクノロジーズの戦略とも合致します。

PowerEdgeシリーズにスパコン追加 両社で進化

――現時点ですでに協業の効果にワクワクしています。今後の展開もとても楽しみですし、期待してしまいます。

浅田氏(NEC) デル・テクノロジーズは確かな技術力で正確に製品を評価し、お客さまの期待している情報を迅速に提供してくれます。その信頼性や安心感が、NECの新しいお客さまをお迎えするきっかけになるでしょう。私たちも積極的に開発を続けていきたいです。

藤田氏(デル) PowerEdgeシリーズにスパコンが追加され、ラインアップをさらに強化できました。お客さまにとっても、スパコンを導入する際に使い慣れたPowerEdgeを選べるのは大きなメリットです。

山田氏(デル) NECの技術は非常に高度ですし、SX-Aurora TSUBASAの開発には今後も増々注目です。お互いに、テクノロジーの進化に合わせて進歩していきたいですね。

浅田氏(NEC) 既存のPowerEdgeのユーザーにとっても、既存のSX-Aurora TSUBASAのユーザーにとっても、そして新しくSX-Aurora TSUBASAを使ってみたいと思った方にとっても、価値の高いソリューションを提供できるようになりました。今後も密に連携していきます。導入を検討されている方がいましたら、ぜひNECにご連絡ください。

オンラインセミナー開催

HPC・AI領域に求められる手軽で高性能プラットフォームとは?
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  • 日時:2023年3月6日(月) 15:00〜16:00
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提供:日本電気株式会社、デル・テクノロジーズ株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia NEWS編集部/掲載内容有効期限:2023年3月6日

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