「生成AIの可能性を解き放つ」 キンドリル流の“AI活用・虎の巻” 4つの検討ポイントとは?

» 2023年09月06日 10時00分 公開
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 「生成AIは新たな産業革命」「ChatGPTはiPhone以来の衝撃」――こう表現されるほど、生成AIの登場は大きな出来事だった。今後、世界中のビジネスの在り方を大きく変える可能性を秘めている。

 生成AIを活用する企業が続々と増えており、ノウハウもたまってきた。これから本腰を入れる企業は、導入事例を参考にするとスタートダッシュを決められるだろう。

 そんな生成AIのサービスとして、米Microsoftの「Azure OpenAI Service」が注目を集めている。米OpenAIが開発・提供するChatGPTや大規模言語モデル「GPT-4」、画像生成モデルなどをMicrosoftのクラウドで利用できるサービスだ。これを使えば生成AIを手軽に導入できるが、ただ導入して使うだけでは真価しない。AIのメリットを享受してビジネスを加速するには、活用ポイントを押さえる必要がある。

 これから生成AIの活用に踏み出すには、Azure OpenAI Serviceをどう使えばいいのだろうか。実践的なアプローチを知るため、Microsoft主催のオンラインイベント「Microsoft Inspire 2023」(2023年7月19日〜20日)の中から、米キンドリルによる講演「キンドリルが生成AIの可能性を解き放つ」をレポート。同社が考えるベストプラクティスを紹介する。

生成AI導入における4つの検討ポイント キンドリル流の“AI活用・虎の巻”

 キンドリルは、21年にIT業界に彗星(すいせい)のごとく現れた。米IBMのマネージド・インフラストラクチャー・サービス部門から独立した企業で、IBMから受け継いだ知見を基に世界約9万人の従業員がITインフラサービス事業を手掛けている。クラウドやセキュリティなど6分野で事業を展開しており、その全てに共通する要素がデータとAIだ。

photo キンドリルのゴールディ・アロイシオス氏(Director - Data Architecture)

 「キンドリルは企業向けAIソリューションに取り組んできましたが、今ではその中心が生成AIになっています。最近はAzure OpenAI Serviceとの連携に取り組んでおり、お客さまと対話しながら知見を集めています」――キンドリルのゴールディ・アロイシオス氏(Director - Data Architecture)はこう話す。


 キンドリルは、生成AIに向き合う中で導入や活用を進めるために重要な視座を導き出している。いわばキンドリル流の“AI活用・虎の巻”といえる4つのポイントを、アロイシオス氏が紹介した。

photo 生成AIに対するキンドリルの視座。左上から時計回りに「データガバナンスとAIポリシー」「AIソリューションを使うための優れたデータ基盤」「高い価値を生むユースケース」「業務プロセスとスキル、組織設計」

ポイント1:データガバナンスとAIポリシー

 ポイントの1つ目が、データガバナンスとAIポリシーへの対応だ。AIは企業内にあるさまざまなデータを適切に生かすことで性能を発揮する。そのため、企業のデータ戦略や取り組み内容に沿ってAIを導入することが大切だ。キンドリルは、顧客との対話を通してデータ活用の推進状況や内部情報などを扱う際のガバナンスについて理解した上でAI導入をサポートしている。

 そして「責任あるAI」に関するポリシーの実現も重要だ。企業がAIを使うとき、誤情報や差別的な内容を出力しないように透明性や安全性、公平性を保つ必要がある。そのためにどのようなポリシーを用意し、信頼性を守るプロセスを整えるかが大切だ。

 キンドリルではこうした点に加え、各国が検討しているAI規制への備えについても顧客と最初に議論することにしている。

ポイント2:優れたデータ基盤の用意

 どんなAIソリューションであっても、ビジネス目標を狙い通りに実現するには信頼できるデータが不可欠だとアロイシオス氏は話す。そこで、優れたデータ基盤の確保がポイントの2つ目になる。

 信頼できるデータを確保する鍵が、社内に散らばったデータを統合して活用しやすくする仕組み「データファブリック」だ。オンプレミスやクラウドなどに点在するデータを適切に管理することで、データの保護や有効活用、新たな価値を創出できる。

 キンドリルは、推奨するデータファブリックの基準をまとめた資料として独自のリファレンスアーキテクチャを用意。モジュール形式のため拡張性に優れており、顧客のシステム全体から“特定の部分だけ”など、柔軟に対応可能だ。こうした企業内でのデータエコシステムの構築を多角的にサポートしている。

ポイント3:価値の高いユースケースの特定

 生成AIの活用には、データ基盤の整備や大規模言語モデルの学習・推論、AI人材の育成など多額のコストがかかる。それらへの投資計画を立てる際に参考になるのが、ポイントの3つ目に当たる「ユースケースの特定」だ。

 「投資を計画する際に特定するユースケースは、労力の削減や新たなビジネスチャンスやビジネスモデルの創出に役立つものでなければなりません」」(アロイシオス氏)

 価値の高いユースケースを見つけるため、キンドリルではデザイン思考戦略を手掛ける専門チーム「Kyndryl Vital」と顧客のワークショップを実施している。ユースケースを特定して優先順位を決め、いかに最小限の開発で済ませて本番環境に適用するか検討する取り組みだ。

ポイント4:人材や組織設計

 生成AIを導入するには、AIポリシーの検討やデータ基盤の構築を担うAI人材やチームの配置といった組織設計が必要になる。これは企業向けに調整済みの“エンタープライズAI”も同様だ。さらに、生成AIを業務に取り入れるためには業務プロセスの修正や強化も欠かせない。

 加えて、こうした役割を担うチームが効率的に業務をこなすために、どのようなスキルが必要なのか特定することも大切だ。これらへの対応が4つ目のポイントになる。

生成AI導入を迅速に “独自アクセラレーター”が役立つワケ

 生成AI導入のポイントを踏まえて、キンドリルは迅速な導入を実現する「アクセラレーター」を開発した。多言語での文章要約やメール文生成、FAQ、音声アシスタントなど、実務で役立つユースケースを、実装済みのサンプルアプリケーションから素早く確認できる。

 アクセラレーターはAzure OpenAI Serviceと、Microsoftが提供する「Azure Cognitive Services」のAIサービス群を組み合わせて、生成AIで解決したいビジネス課題の解決やサービスの開発を強力に後押しする。

 例えば、音声データをAzure Cognitive Servicesの音声テキスト変換サービスで文字に書き起こし、Azure OpenAI Serviceで読み込んで要点をまとめるといった実装内容が既に用意されている。その他、感情分析やテキスト分類、非構造化データからの質問回答などにも対応可能だ。このアクセラレーターの活用例として、顧客からの問い合わせに迅速に対応する、ユーザーからの質問に答えるチャットbotを用意する、ヘルプデスクをサポートするなどが挙げられる。

photo キンドリルのビシュヌ・ナンドリ氏(Director, Data & AI)

 「何を提供できれば顧客の役に立つのかを考え、アクセラレーターを新たな方法で組み合わせていくことで要望をかなえられます」とキンドリルのビシュヌ・ナンドリ氏(Director, Data & AI)は語る。

 例えば、事業を展開する地域に合わせて多言語でマーケティング活動を行いたい企業は、複数のアクセラレーターを組み合わせればそれを実現できる。また、ITシステムの状況把握や課題の原因解明を素早く行いたい企業なども同様で、アクセラレーターを組み合わせれば生成AIを使ってニーズを満たせる。

photo キンドリルのアクセラレーターの具体的な活用例

キンドリルだからできる生成AIの導入支援

 キンドリルがここまで企業の生成AI導入を後押しできるのには、4つの柱から成る同社独自の差別化ポイントがあるからだ。まず、ゴールを見据えた共創型の実装支援だ。専門デザイナーが率いるKyndryl Vitalチームが顧客とタッグを組み、優先度順にプロセスを考えて導入を支援する。技術中心ではなく、人中心のユーザー体験を描く点が画期的だとナンドリ氏は紹介する。

 次に、これまでに培ってきたスキルがキンドリルの大きな武器だ。自社内で生成AIやアクセラレーターを使うことで蓄積した知見やデータサイエンスに関する専門技術などを持っており、これらは生成AI活用の根本的な要素と言っても過言ではない。

 そして、コンサルティングにも強みがある。責任あるAIとして運用するために必要な対策やポリシー作成に取り組むための助言、生成AIへの向き合い方をアドバイスできる。

 最後に、コストの最適化だ。生成AIや大規模言語モデルの学習・推論にかかるコストは無視できない。効果的な削減策を知らないとコストが膨れ上がってしまうとナンドリ氏は警鐘を鳴らす。そこでキンドリルは、AIモデルの学習や運用環境の微調整、ファインチューニング、プロンプトエンジニアリングなどさまざまな要素を駆使してコスト削減をサポートしている。

キンドリルの「データ&AI基盤」を公開

 ここまで生成AIの活用ポイントをキンドリルの視点から紹介してきた。これらを具体的にシステムに落とし込むにはどうすればいいのか。キンドリル独自のリファレンスアーキテクチャから、「データ&AI基盤」のシステム構成を紹介する。

 まずテキストや画像などのデータを専用パイプラインで取り込み集約する。そしてデータを整えたら機械学習プラットフォーム「Azure Machine Learning」やAzure Cognitive Servicesと連携。最終的に、生成AIをサービス化した上でビジネスユーザーに提供したりアプリケーションに組み込んだりできる構成にしている。

photo キンドリルの「データ&AI基盤」

 この一連の流れの中で、データのガバナンス強化にも取り組んでいる。データの保護やセキュリティ対策を行うことで、責任あるAIを実現できるのだ。

 キンドリルはこうした知見に加えて、Microsoftのアーキテクチャからもベストプラクティスを取り入れている。これにより、自社にはないアイデアを生かして生成AIの力を引き出せるというわけだ。

 キンドリルが持つこれらのノウハウを反映したリファレンスアーキテクチャは、拡張性があり顧客の環境でも再現可能な点が大きな強みだ。さらにモジュール式なので、各社の既存のIT環境にも柔軟に対応できる。

 そして生成AIは「ただ導入するだけ」「サービスを契約するだけ」では、その価値を生かし切れない。AIのメリットを享受するには、データの準備や人材の確保などに適切に取り組む必要がある。そんなとき、すでに生成AIを活用している企業の事例や知見が大いに参考になるだろう。そうした情報を積極的に集め、必要に応じて信頼できるパートナーに頼るのもいいかもしれない。

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提供:キンドリルジャパン株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia NEWS編集部/掲載内容有効期限:2023年9月26日