“π型人材”が組織と個人を成長させる ソフトバンクの人材育成に迫る!

» 2023年09月27日 10時00分 公開
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 生成AIやデータ活用、DXなどあらゆる業界でテクノロジーを活用した取り組みが加速している。それに伴い、新たな技術や顧客ニーズに対応できる人材の育成が課題となっている企業が増えている。

 組織と個人がともに成長していくために、複数の専門知識やスキルを持つ人材を指す“π(パイ)型人材”の育成に戦略的に取り組んでいるのがソフトバンクのソリューションエンジニアリング本部だ。事業の成長と課題解決に必要な各IT業務の能力基準となるグローバルIT業界団体・CompTIAの認定資格を活用しながら、エンジニアの体系的な人材育成を実現している。

 同本部は人材育成にどのような課題を抱え、解決するために認定資格をどう活用したのか。ソリューションエンジニアリング本部の福嶋一穂氏(クラウドデザイン統括部 統括部長)と、CompTIAの板見谷剛史氏(Regional Director/シニアコンサルタント)が語り合った。

1つの専門領域だけでは課題解決が難しい π型人材が必要な理由

板見谷: ソリューションエンジニアリング本部には、どのような職種の方が所属していますか。

福嶋: 私たちソリューションエンジニアリング本部は、法人や企業のビジネス成長を支援することがミッションです。お客さまのニーズに応えるソリューションを提案し、導入することを主な業務にしています。主な職種としては、お客さまの課題を把握しコンサルティングを担うソリューションアーキテクトと、ビジネスデザインに基づいて具体的な解決策をソリューションに落とし込むITスペシャリストがいます。

photo ソフトバンクの福嶋一穂氏(ソリューションエンジニアリング本部 クラウドデザイン統括部 統括部長)

板見谷: 福嶋さんと初めてお会いしたのは、私が2018年1月に「インフラエンジニアに戦略的かつ体系的な人材育成を」というタイトルの講演をしたときでした。そこで私は、効果的かつ持続可能な人材育成のために、CompTIA認定資格も含めたIT資格それぞれの活用と役割の違い、そして中長期のゴールを意識した体系的な人材育成計画と実践例をご案内しました。当時はどのような問題意識を持って参加されていたのでしょうか。

photo CompTIA日本支局の板見谷剛史氏(Regional Director/シニアコンサルタント)

福嶋: お客さまへの提案や導入にあたっては最新のテクノロジーやサービスを活用します。ただIT領域は変化が激しく、常に新しい技術やソリューションが登場します。1つの専門領域の理解だけではお客さまの課題を解決に導く提案が難しくなりました。

 お客さまにご提案するためには、さまざまな領域を把握して複数の分野をつないだ広い知見からアイデアやソリューションを生み出す必要があります。そのために、複数の知識やスキルを持つπ型人材のエンジニアを育成することが重要だと感じていました。

板見谷: 時代の変化に伴い、必要なスキルの幅は広がっているのでしょうか。

福嶋: 18年当時はキャリアビジネスが中心だったので、ネットワークや音声、モバイルに関するスキルが中心でした。それがクラウド、セキュリティ、アプリケーション、システムインテグレーションにまで広がり、今ではAIやデータ分析などのスキルも求められるようになっています。

 お客さまのニーズも「このソリューションを導入したい」から「新しいビジネスモデルを創りたい」へと抽象化が進んでいます。そのため、業務の基盤となる知識やスキルを体系的に学ぶ必要が出てきました。そこで、18年の出会いをきっかけにCompTIAさんとやりとりを重ね、19年からCompTIAの認定資格の取得に取り組んでいます。

体系的な人材育成のためにCompTIA認定資格を導入

板見谷: CompTIA認定資格を導入する前に、福嶋さんから資格取得推進表を見せていただいた記憶があります。以前から資格の取得自体は進めていたわけですよね。

福嶋: 自分の業務に直接的に関連のある特定のメーカーやITベンダーに特化した資格を取得している人が多かったと思います。ただ、当時は業務の中心がキャリアビジネスに偏っていて、クラウドやセキュリティ、AIといった新しい領域のスキルの取得については個人のモチベーションに依存した状態でした。

 そのため、組織内で前提となる知識や認識にずれが生じていました。そこで体系的な人材育成をしたいと考え、資格取得推進表の見直しを行い、CompTIA認定資格も導入しました。

板見谷: 体系的な人材育成を進めるために、どこから着手したのでしょうか。

福嶋: まずはエンジニア組織として、どのような人材育成を進めるのかを定義しました。ソフトバンクでは成長戦略に「Beyond Carrier」を掲げ、コア事業であるキャリアビジネスの持続的な成長を図りながらも、ソリューションビジネスなどさまざまな領域に事業を展開しています。

 ソリューションエンジニアリング本部では、エンジニア組織として一人一人が自分自身を超えていくことを目指す「Beyond Myself」を掲げました。この方針を実現するための必須スキルとして定義したのがクラウド、セキュリティ、プロジェクトマネジメントです。それぞれのスキルに対応しているCompTIA認定資格が「CompTIA Cloud+」「CompTIA Security+」「CompTIA Project+」ですね。本年度からはデータ分析を学べる「CompTIA Data+」も導入しました。

板見谷: こうした取り組みでは資格取得だけが目的になってしまうケースもあります。そうならないために、どのような工夫をされていますか。

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福嶋: おっしゃる通り、研修の受講や資格取得自体はゴールではありません。実際の業務で生かして初めて意味があるので、知識と業務経験を連動させるために2つの取り組みをしました。

 1つは、スキルに応じた研修や資格を「見える化」するマップの作成です。このマップを見ることで、自分の業務に役立つスキルが得られる研修や資格が分かります。難易度も示しているので、どの資格からチャレンジしていけばいいのかも理解できます。

 もう1つは、学んだ知識をアウトプットする場づくりです。ベテランから若手まで年齢やキャリアに関係なく、自分が研修や資格で得たスキルを業務にどのように生かしたのか組織の中で勉強会という形で実施しています。毎回一定数の参加者を集めていますね。

 他にも、メンバーが自分の受けた研修や取得した資格、その知識が案件にどう生きたかなどを体験記にして社内のポータルサイトで公開しています。自分に近い立場の人が体験した内容は、スキルやキャリアを考える上で参考になります。

マネジメント層が率先して資格を取得

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板見谷: ソリューションエンジニアリング本部では、メンバーの8割以上がCompTIA認定資格を保有され、「CompTIA Certified Team Award」を2年連続で受賞されました。これだけの高い取得率は、これまでお話しいただいた取り組みで実現したのでしょうか。

福嶋: 資格への認識を浸透させるために、時間がかかってでも浸透させていくことと、現場を巻き込むことを意識しました。例えばソリューションエンジニアリング本部のうち、私が受け持つクラウドデザイン統括部では、メンバーはどうしてもクラウド領域や自分の案件に関連する資格に関心が向きがちになります。組織の方針とベクトルが一致していない状態だったので、メンバーへの意図の浸透に時間が必要でした。

 また、マネジメント層が「みんなで資格を取得しよう」と呼びかけただけでは、現場にはなかなか浸透しません。そこで私も含めた現場経験が豊富なマネジメント層が率先して推奨した資格を取得し、評価しました。私も2つの資格を取得しています。

 CompTIAの資格取得者は、導入前は全体の2割程度でした。それが、5割を超えたところから浸透しつつあると感じ、現在では取得するのが当たり前といった雰囲気になっています。

板見谷: ビジネスの面ではどのような効果が生まれましたか。

福嶋: お客さまの課題に対するアプローチが変わりました。複数の知識を得ることで、お客さまの様々な課題に対して会話をして、ヒアリングすることができるようになったので、提案の幅も広がります。

 実際にネットワークやモバイルなどを使うお客さまにクラウドサービスも使っていただくなど、ソフトバンクの通信以外のソリューションを連動させた事例が増えています。複数の知見を持っているからこそ、お客さまの課題に幅広くかつ柔軟にアプローチできるようになってきていると思っています。

人の成長にはそれなりの時間が必要

板見谷: ビジョンを掲げることは人材育成の上で重要です。今回成功された要因は、ビジョンに対応する人材を育成するために、マネジメント層を巻き込みながら研修や資格に取り組む「環境」を整備したこと。もう一つは、資格を活用しながら体系的に学ぶ「仕組み」を作ることによって、効率的な人材育成ができていることです。

福嶋: 現場を知る私が意図を伝え、「自分も資格を取るから一緒にやろうよ」と言えたことは意味がありましたし、説得力もありました。必要な資格をビジョンに対応する3つの必須スキルの資格にしたことも良かったですね。これを取ったら次はこれを取ろうと、学びに関連性と継続性が生まれました。

板見谷: 人材育成について、今後はどのような展望を持たれていますか。

福嶋: 今の仕組みを継続していきながら、スキルの幅を更に広げて、キャリアを上げていくエンジニアのロールモデルを多く出していきたいですね。他のメンバーの事例をたくさん知ることで、エンジニアが自分の3年後や5年後のキャリアをイメージしやすくなると思います。

 人材育成は、最初からうまくいくものではありません。人の成長にはそれなりの時間が必要です。組織や仲間とともにくじけずに継続していくことで、乗り越えていけるのではないでしょうか。

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 顧客のニーズが抽象化、複雑化する今、複数の専門領域を持つπ型人材はさまざまな企業で求められている。しかし社員の意識だけに頼っていてはそうした人材はなかなか育たない。ソリューションエンジニアリング本部のように、CompTIA認定資格を活用した体系的な人材育成が必要となるだろう。

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提供:CompTIA
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia NEWS編集部/掲載内容有効期限:2023年10月10日