2030年には170万人の専門職が不足…… 今ある「スキル」を生かす新たなデジタル人材確保策を探る職のミスマッチを解消せよ!

» 2023年10月05日 10時00分 公開
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 生産性を高めるため、あらゆる業種でDXの推進が急務となっている。DXを推し進めるために必要となるのはいわゆるITエンジニアだけではなく、ビジネスのデザインやデータ集計・分析、セキュリティに関するスキル、RPAツールなどを使いこなすスキルを持っている「デジタル人材」であることは言うまでもない。

 しかし、今の日本の現状はどうだろうか。政府によるリスキリング推進なども相まって、さまざまな企業でデジタル人材育成を進めているものの、まだ人員が足りていない。さらに、AIによる自動化が進むことによって事務職の人員が供給過剰となる「職種別の労働需給ギャップ」が拡大していくことも予想されている。

 デジタル人材を素早く確保し、企業の成長を加速させるために必要なことは何か――。企業のデジタル人材不足を解消するサービス「デジタルキャリアシード」を提供するAdeccoの平野健二氏(取締役)と、橋口加奈氏(DIGITAL CAREER推進課 課長)に話を聞いた。

(左から)Adecco平野健二氏(取締役)、橋口加奈氏(DIGITAL CAREER推進課 課長)

急激なテクノロジーの進化で顕著になる「職のミスマッチ」

――現在、日本で起きている“人材面の課題”について教えてください。

平野氏(以下、敬称略): 急激なテクノロジーの進化に伴い、今後、事務職が担っている業務は減少していくことが予測されます。実際に、銀行や保険会社などのバックオフィス業務にRPAが導入されるなどデジタル化が進み、これまで派遣社員が担っていた事務職のニーズにも変化が現れています。

 一方、世の中のデジタル人材不足は加速しています。三菱総合研究所は、2030年に事務職は15年に比べて120万人の供給過剰となる一方、専門職は170万人の不足となると試算しています。今後、AIやロボット技術の進化と普及により、生産職、事務職に従事する人材の供給過剰とデジタル人材不足が同時発生し、必要なところに働き手が行き渡らない“職のミスマッチ”が拡大していくのは間違いないでしょう。

職のミスマッチが拡大する(出典:三菱総合研究所「マンスリーレビュー2021年6月号特集1 人的資本を高めるための人材戦略」)

橋口氏(以下、敬称略): さらに各企業を悩ませているのが、思うようにDXが進まない点です。慢性的なエンジニア不足は続いていますし、DX推進はエンジニアやIT部門だけでは達成できません。非ITの現場でも業務をデジタル化するためのアクションを起こす必要があります。

平野: DX推進という文脈の中で、各企業は当然ながらデジタル人材の確保に走っていますが、そもそも人材の総数が足りていないので、獲得のハードルは高まるばかりです。

 確かにデジタルスキルを要する業務の実践経験がある人材を求めたくなる気持ちは分かりますが、いまの状況では十分な働き手を確保できず、業務が回りません。現在事務職として活躍し、実務を理解している人材にデジタル教育を施す方が現実的かつ効果的です。

 特にDXにおいては、業務プロセスの中でどこを効率化すべきか順序だてて分析できる人材が必要です。それはナレッジだけではなくて、オペレーションの理解もあわせ持つ人です。DXの観点から業務のどこに課題があり、どこを改善するべきかという目線が必要で、当然、その業務に慣れている人の方が業務理解度は高いはずです。

――事務職からDX、IT職へのキャリアチェンジを進めるにあたってのボトルネックは何でしょうか。研修以外に必要だと思うことは何ですか。

橋口: どちらかというと企業側に根強い抵抗感があると感じています。未経験者なのでどれくらいできるか分からないといった不安を口にする担当者も多くいるのは確かです。必要なのは企業として、キャリアチェンジを考えている方たちが実践経験を積みながらスキルを上げていけるようなスキームを構築することです。

平野: キャリアチェンジに抵抗がある方もいますが、技術的なコンテンツを学ぶ機会を提供すると同時に、そもそもなぜそれが必要なのかを伝えていくことで、ある程度解消できると考えています。

 例えば、AIやChatGPTの登場で事務職の需要が変化することに気付き、マインドを変えていけば、スキル獲得意欲、つまり内発的動機が湧いてくるはずです。当社では働く方々に、なぜ今後デジタルスキルが必要になるか、それがどのようにキャリアの役に立つかを研修を通して伝えていますが、そこで気付きを得る方も多いです。

デジタル人材不足解消の切り札になる「デジタルキャリアシード」

――職のミスマッチを解決し、デジタル人材不足を解消する切り札になるサービス「デジタルキャリアシード」の概要について教えてください。

平野: デジタルキャリアシードは22年9月に発表したサービスです。これまで事務職として働いていたIT未経験の方を当社の社員として採用し、1カ月間、社内研修によるリスキリングを経て、顧客企業に派遣するという無期雇用派遣のスキームでサービスを提供しています。社内研修は、業務遂行に十分なデジタルおよびITのスキルを身に付けることが可能なプログラム構成となっています。

橋口: 具体的には、研修内容が異なる「デジタルコース」「ITインフラコース」を用意しています。研修は全てオンラインで実施していますので、遠方の方でも受けることが可能です。

 デジタルコースは、Microsoftのローコードアプリ開発やRPA開発、BIツールでの分析を学び、Microsoft Power Platform 基礎(PL-900)の取得を目標とします。これまでの経験を生かしながら、データ集計や分析、RPAツールの運用、ローコードの開発など、業務にITツールを取り入れることで現場の生産性を向上する人材を育成します。

 もう一つのITインフラコースは、さまざまなバックグラウンドからインフラエンジニアへとスキルチェンジを目指すコースです。ITインフラとネットワークの基礎を学び、インフラエンジニアとして最低限必要なスキルを習得。ITキャリアに必要な基礎知識を網羅した資格 「CompTIA A+」の取得を目指します。インフラ運用の仕事自体も手順に沿って進めることが多いため、未経験の方も挑戦しやすくなっています。

2つのコースでデジタル人材を育成する(出典:Adecco公式Webサイトより)

――デジタルキャリアシードを活用することで生じる、人材、企業それぞれのメリットを教えてください。

橋口: すでに事務系職種で就業している方がデジタルスキルを身に付けることで、企業でのより効果的なDX推進が可能になります。例えば、事務系職種で十分な職務経験やそこで身に付けたスキルを有している方が、これまで培ってきた経験やスキルをベースに新しいデジタルスキルを付加できるため、キャリアの展望を描きやすくなります。

 研修と実際の業務とはどうしても違いがありますので、働き始めは派遣先企業のサポートが必要です。そのため、派遣先企業の担当者の皆さまには私たちと一緒に人材を育成しようと考えてくださるようお話しています。リスキリングするという強い意志を持っている人材ばかりですので、派遣先企業からは「やる気のある人と仕事ができている」と、派遣社員の前向きな姿勢を評価いただいています。

 特にデジタルコースは、「どのような経験を持った人材に声をかければいいか分からなかった」という難しい領域の支援ができている自負があります。

 例えば、業務の中で専門のITエンジニアほどのスキルは求められないものの、一定のITリテラシーがなければ対応できない仕事や、IT関連の担当者とコミュニケーションが必要となる、“エンジニアではないが、単なる事務でもない”という層を求めている企業から支持を得ています。

 働く方々にとっても、一人で学ぶリスキリングとは違い、当社がバックアップ体制を整えているので、安心して学び、新しい仕事にチャレンジできる環境です。また、就業したその先のスキルアップに対してもしっかりと支援していくので、安定した環境で新しいチャレンジを継続できます。スキルアップすることで、給与面の待遇アップも見込めるという効果もあります。

デジタルスキルを身に付けてキャリアアップを目指す

――現在、どのような方々がデジタルキャリアシードで働いていますか。

橋口: デジタルコースは、現在、30代の事務経験者が中心となっています。事務職として経験を積んできて、さらにスキルアップしたいと考えている方が多く就業しています。また、この先どのようにスキルアップすればいいかと壁にぶつかっていた方にも積極的に挑戦していただいています。

 ITエンジニアを目指すITインフラコースは完全なキャリアチェンジになるので、社会人経験の比較的浅い方が中心です。さまざまなバックグラウンドの方を採用していて、前職が販売職や製造職だった方などもいます。もちろん事務職だった方もいて、「手に職をつけたい」「時代に左右されない能力をつけたい」という思いを持っている方が多くいます。

 今後は年齢層の高い方や地方にお住まいの方などにもアプローチしていきたいと考えています。今でも地方都市での採用を進めていますが、地域をさらに広げていきたいですね。

平野: Adeccoは全国でビジネスを展開していますので、地方創生にも積極的に関わっていきたいという思いがあります。人材不足に悩んでいる地方の企業は多いので、ぜひ支援したいと考えています。また、地方に住む求職者にも、研修や就業の機会を提供してサポートをしていきたいと思っています。現在は、リモートワークの環境も整ってきたので、地方に住みながら都市にある大企業の仕事をするということも不可能ではありません。

――今後のビジョンを教えてください。

橋口: 「自分にできるかな」と二の足を踏んでいる方々が多いと思うので、あまり悩まずにチャレンジできる環境を作っていきたいと考えています。また、チャレンジをしたいと思っていても家庭の都合などで難しい方も多いと思います。そういう方々にもチャレンジしやすい環境を整え、さらに活躍できる場を提供していきたいですね。

平野: 当社は「人財躍動化を通じて、社会を変える。」というビジョンを掲げています。社会を変えるためには、雇用形態に関係なく世の中で働いている全ての人が躍動できる環境が整うことが必要です。現在、政府も人的資本経営の後押しに力を入れていますが、デジタルキャリアシードを通して新たな機会を提供し、企業の活性化にも寄与したいと思います。

――ありがとうございました。

 今持っているスキルを生かしデジタル人材として活躍することで、職のミスマッチを解消し企業の成長にも寄与できる――。デジタルキャリアシードは日本社会全体が抱える課題を解決する有効な手段となるだろう。

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