「宇宙×データ活用」を支えるエッセンシャルテック イノベーションの源泉に迫る

情報化社会といわれ、日々の生活やビジネスの成長はテクノロジー抜きには語れなくなった。社会の進化や課題の解決に不可欠なデータ活用を支えるキオクシアのフラッシュメモリやSSDは、私たちをどう支えていくのか。こうしたテクノロジーを「エッセンシャルテック」と名付けて、その可能性を探る。

» 2024年07月09日 10時00分 公開
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 およそ200万年前に荒野を歩いていた人類は、いまや宇宙に進出するに至った。大気圏外から青い地球の姿を眺めて、月面に足跡を残し、人が長期滞在できる国際宇宙ステーション(ISS)を建造。こうした目覚ましい進歩をテクノロジーが支えると同時に、宇宙への挑戦が新たなイノベーションをもたらしてきた。

 宇宙テクノロジーは人々の生活や社会に還元されている。ロケットの材料が建設用の断熱材になり、研究過程で生まれたダイヤカットと呼ばれるアルミ加工技術は缶チューハイに採用された。ISSの日本実験棟「きぼう」に搭載された超小型カメラの技術はカプセル型内視鏡に転用され、医療分野で利用されている。

 可能性に満ちたフロンティアを切り開く役目は民間企業に移り変わってきた。宇宙から取得するデータはビジネスをどう変えるのか。社会課題の解決にいかに役立つのか。

 ISSの高性能サーバに先端の記憶用デバイスであるSSDを提供したキオクシアと、成層圏を飛ぶ無人航空機で取得したセンシングデータの活用に取り組むNTTコミュニケーションズ(NTT Com)を取材した。

photo 左からキオクシアの福田浩一氏、NTT Comの坂本貴之氏

テクノロジーが世界を変えた

 キオクシアはフラッシュメモリやSSDを製造する半導体メーカーだ。同社が1987年に発明した「NAND型フラッシュメモリ」は大容量かつ高速な書き込み、省電力性能などの特徴から多くの電子機器に採用されることになる。

 NAND型フラッシュメモリは世界を変えた。デジタルカメラの普及を後押しし、携帯音楽プレーヤーの軽量化や保存曲数の増加に貢献。スマートフォンやノートPC、ゲーム機からデータセンターまで同メモリは欠かせない基幹製品になった。生成AIの利用が急速に拡大する現在、その発展を支えるSSD技術の開発にキオクシアは取り組んでいる。

 「『データを記録する』という普段は意識しない領域ですが、スマホをはじめありとあらゆるところに使われています。キオクシアの技術は縁の下の力持ちのようなもので、社会課題を解決して前進するための基盤となる不可欠な技術。いうなれば『エッセンシャルテック』です」――キオクシアの福田浩一氏(SSD応用技術技師長)はこう話す。

photo キオクシアの福田浩一氏(SSD応用技術技師長)

 キオクシアが「データ保存のスペシャリスト」なら、NTT Comは「データ通信のプロフェッショナル」だ。5Gや衛星通信などでデータの送受信を支援。NTTグループが世界標準にすべく開発している次世代通信技術「IOWN」のビジネス利用にも取り組んでいる。

 キオクシアとNTT Comそれぞれの宇宙での取り組みを「データ」というキーワードを念頭に深掘りすると、テクノロジーの可能性が見えてくる。

ISSから地球へのデータ送信を12時間→2秒に キオクシアのSSDが活躍

 2024年1月、「NG-20ミッションロケット」が米Hewlett Packard EnterpriseのエッジコンピュータおよびAI対応システム「HPE Spaceborne Computer-2システム」(SBC-2システム)をISSに送り届けた。そのストレージに選ばれたのがキオクシアの最先端SSDだ。容量は合計130TBを超える。

 「宇宙という人類の憧れの地にキオクシアのSSDがたどり着いたというのが感慨深いです。『エッジ環境』の最たる場所で活躍しているというのは誇らしく、研究開発をしている私たちの励みになります」(福田氏)

 SBC-2システムはシミュレーションやリアルタイムの画像処理、AIの実行などに使われる。これまで、ISSでは高度な計算や処理が必要な科学実験や観測で得たデータの分析ができなかった。このため大量のデータを地球に送って分析しており、送信に約12時間かかっていた。SBC-2システムによってISS内でデータを扱えるようになったことで、送信時間は約2秒に短縮。AIなど高度な処理もエッジ環境で可能になった。

 SBC-2システムに搭載されているSSDは特注品ではなく、市販モデルだというから驚きだ。SSDは、高速、低消費電力、耐衝撃性に優れた製品ではあることに加え、キオクシアのSSDは、宇宙に送り出せるほど信頼性とメンテナンス性が高いということがよく分かる。福田氏は「ISSは、まだ限られた人でなければ行けない場所です。そこで取れた貴重なデータは確実に保存しなければなりません」と胸を張る。

photo SBC-2システムに搭載されたキオクシアのSSD

成層圏を数カ月間飛び続ける無人航空機「HAPS」でできること

 NTTグループ各社などは宇宙ビジネス、宇宙産業の可能性を最大限に生かし、新たなサービスの創出や気候変動など地球規模の課題の解決に向けて、宇宙ビジネスのブランド「NTT C89」を2024年6月に立ち上げた※1。NTT Comもグループの一員として、ビジネスの場としての宇宙に注目している。

 NTT Comでは 「衛星や無人航空機『HAPS』(High Altitude Platform Station)のカメラやセンサーで得られる広域の地上観測データでマクロを把握し、地上のドローンや監視カメラ、IoTなどでミクロを把握します。マクロとミクロのデータをネットワークを用いて送信し、解析して活用していきます。将来的には衛星やHAPSのエッジコンピューティングにより、エッジでデータ解析を行うことで更なるリアルタイムデータ活用を目指す。このようなセンシングデータのリアルタイム活用を目指すプロジェクトです」※2――こう説明するのは、NTT Comの坂本貴之氏(イノベーションセンタープロデュース部門担当課長)だ。

photo NTT comの坂本貴之氏(イノベーションセンタープロデュース部門担当課長)

 宇宙統合コンピューティング・ネットワークという構想もある※3。高度20km程度の成層圏を数カ月間飛び続けられる無人航空機のHAPSも利用。HAPSに通信機能を持たせて“空飛ぶ基地局”にし、スマートフォンと直接接続するDirect to Device(D2D)サービスを検討中だ。HAPSには高精細カメラやレーダーを搭載して地上の様子を撮影したりセンシングしたりもできるため、将来的にはHAPSのセンシングデータ活用も目指している。

 観測衛星は地球を周回して撮影しているため特定のエリアを常時観測できないが、HAPSならば定点観測によるデータ収集が可能だ。災害が発生したら、被災地上空でHAPSを飛ばし、通信環境を提供しつつ被害の様子を撮影してリアルタイムに転送できると坂本氏は解説する。衛星やHAPSによる地上広域のリモートセンシングは、環境モニタリングや農業、都市計画、鉱物資源の探査などでの利用も期待されている。

photo 宇宙統合コンピューティング・ネットワークの構想
photo NTT Comが取り組むセンシングデータリアルタイム活用のイメージ

取得データを上空で処理 宇宙時代のデータ活用方法

 ストレージと通信は方向性が異なる取り組みだが、データという眼鏡を通すことでイノベーションの一端が見えてくる。

 NTT Comが目指す上空からのリモートセンシングに使うカメラや観測機器は、詳細なデータを取得するために高性能化が続いている。カメラの解像度が4K→8K→16Kのように高精細化しているのが良い例だ。そうなると発生するデータ量も膨大になる。いくら大容量のネットワークを用意したとしても、取得したデータを全て地上に送信するのは非効率だ。

 人工衛星やHAPSにコンピュータを搭載すればエッジでデータを処理できる。上空からデータを取得して、その場でAI処理ができればリアルタイムに分かることが増える。災害現場の状況をリアルタイムで確認する、渋滞で混んでいる車線を伝えるなど、緊急性や即応性が求められるデータだけを抽出して地上に送信できる。

 「人工衛星やHAPSでデータ処理やAIの推論を実行するには、観測データを保存する必要があります。設置スペースや供給可能な電力量に制限があるので、小型で大容量かつ省電力のSSDが記憶媒体として適しています」(坂本氏)

 「昔はデータ量がネックでデータを十分に活用できない、カメラの性能が上がってもデータを送れないので意味がない、なんてこともありました。取得したデータを生かすために、キオクシアもNTT Comも技術力を磨く必要があります」(福田氏)

photo

電子機器にとって過酷な宇宙がイノベーションを生む

 上空でデータを保存するのは簡単なことではない。成層圏や宇宙は電子機器にとって過酷な環境だ。サーバやフラッシュメモリなどが宇宙空間から降り注ぐ宇宙線にさらされると、誤作動を引き起こす可能性がある。地上でも太陽フレアが電子機器に影響すると報じられるくらいなのだから、宇宙空間では影響が大きいはずだ。

 キオクシアのSSDは自分自身をモニタリングする機能がある。今後、残ったログを解析することで宇宙線が多い環境で何が起きているかを解明して、将来人工衛星などに搭載する際に役立てられるなど新たなイノベーションにつながると福田氏は語る。

 「キオクシアはイノベーションを続けてきた企業です。フラッシュメモリを開発する前は『データは1bitたりとも欠けてはならない』という不文律がありました。データが欠けても補正すれば問題ないと発想の転換でフラッシュメモリというイノベーションが生まれ、大容量のフラッシュメモリが実現しました」

生成AIも脱炭素化も 「社会を支える技術を開発したい」

 福田氏と坂本氏が口をそろえて語るのは、宇宙分野で認められた、磨いた技術力は地上でも価値を発揮するということだ。テクノロジーがもたらすメリットを社会や顧客に還元すると話す。

 「宇宙では電力を太陽光から得るしかないので、衛星やHAPSに搭載する機器の消費電力を抑えなければなりません。省電力のSSDは有用ですし、IOWNなら通信を電気信号に変換せず光信号で送れるので通信にかかる電力を節約できます。これらは脱炭素社会を目指す鍵になるはずです」(坂本氏)

 福田氏は「宇宙用に技術を開発したのではなく、ビジネスニーズに応えるべく開発したものが認められて宇宙まで到達した」とした上で、現在のニーズとして生成AIを挙げた。

 「生成AIの学習時には薪(まき)をくべるように大量のデータをどんどん送るので、遅延が少ないSSDが活躍できる場面です。生成AIの推論時には、回答精度を上げるために学習時に使われていないデータを参照することになるので、高速な検索を支えられるSSDの開発に取り組んでいきます。AIは数年でさらに進化して世界を変えるでしょう。SSDも進化しなければなりません」(福田氏)

 福田氏は、想像していなかった変化は必ずテクノロジーに基づくとして「社会や世界を支えるテクノロジーを開発したい」と結んだ。エッセンシャルテック――キオクシアのメモリが世の中をどう変えていくのか注目だ。

photo ISSに行ったものと同型のSSDを持ちながら

※1:NTTグループの宇宙ビジネスブランド「NTT C89」。NTT C89は、日本電信電話が商標登録を出願中です。
※2:NTT Com取り組みについてはこちらをご覧ください。
※3:宇宙統合コンピューティング・ネットワークは、NTTとスカパーJSATが出資し2022年に設立した合弁会社であるSpace Compassが事業化を進める構想です。

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提供:キオクシア株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia NEWS編集部/掲載内容有効期限:2024年8月8日

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