京大など、“曲がるディスプレイ”向け透明基板開発
熱膨張率が低い透明な基板と、有機トランジスタにEL発光機能を持たせた「有機発光トランジスタ」を開発。フレキシブルな表示デバイスの開発に一歩前進したとしている。
京都大学とパイオニア、三菱化学、ロームは1月25日、フレキシブルな表示デバイスの開発につながる新技術を開発したと発表した。熱膨張率が低い透明な基板と、有機トランジスタにEL発光機能を持たせた「有機発光トランジスタ」の2つ。書籍や新聞、ポスターなどに応用できる電子ペーパーの開発につなげる。
透明基板は、透明ポリマー材料を、直径100ナノメートル以下の透明ナノファイバーで補強して作成したフレキシブル基板。「バイオナノファイバーコンポジット」と名付けた。平行光線透過率85%以上の高い透明性と、アラミド繊維並みの弾力性を確保しながら、熱膨張係数をシリコン結晶の約30分の1と石英ガラス並みに抑えている。ナノファイバーは生物由来なため、生産・廃棄時の環境負荷も小さい。
従来のポリマー材料基板は熱膨張係数が高いため、組み上げ・実装プロセス時の高温環境下で、基板上に形成した金属配線や透明導電膜などが断線・破損するおそれがあった。
有機発光トランジスタは、新開発の有機化合物に、ソース/ドレイン/ゲート電極を配置したトランジスタ。アクティブマトリクス型表示デバイスに利用すれば、従来の有機ELディスプレイよりも部品点数を大幅に削減できるという。
ゲート電圧でトランジスタのEL発光量を制御可能。発光効率を高め、携帯電話向けにも十分使える明るさを確保した。発光材料を変えれば、EL発光色の変更も可能だ。
新技術は、産学連携プロジェクト「包括的産学融合アライアンス」の成果。
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