赤外線ヒートシンクにMontecito――IBMとIntelが見せた省電力戦略
IBMやIntelなど競合各社の半導体設計者に共通のテーマがあるとしたら、それはこの10年の後半に向けて、もっと電力消費を意識したプロセッサが必要だということだ。今週サンフランシスコで開催されている国際固体素子回路会議(ISSCC)で、両社は将来のプロセッサの消費電力を削減し、ひいては熱の発生を抑えるための取り組みについて詳細を明らかにした。
IBMは、動作中のプロセッサのホットスポットを正確に特定できる新技術により、プロセッサの放熱をより的確に予測できる方法を発見したと考えていると、同社研究者は2月6日夜に行ったプレゼンで語った。また、Intelは8日、同社のハイエンドサーバ向けプロセッサ「Itanium 2」の次バージョン「Montecito」は、第2の処理コアを加え、クロックスピードも向上しているのに、消費電力は従来のモデルよりも抑えられると明かした。
IBMとIntelは、ISSCCに出席した卓抜した半導体企業の一部。この会議では、半導体設計における優秀な頭脳が仲間の進捗状況を見に集まる。
この会議で発表された進歩の中には、平均的なユーザーにはほとんど無縁のはるか未来の研究プロジェクトも幾つかある。例えば7日には、カタツムリのニューロンでシリコンチップを接続することを目指したプロジェクトが披露された。しかしIBMやIntelなど消費電力削減に取り組んでいる半導体企業は、大型サーバラックの冷却に苦労しているIT管理者や、荷物を軽くしたいノートPCユーザーにとってますます重要になっている。
IBMは、プロセッサが完全に動作している最中に放熱をマッピングするのに使える赤外線ヒートシンクを開発したと、IBM Researchのフォトニクス・サーマルシステム担当マネジャー、ヘンドリック・ハンマン氏。ヒートシンクはプロセッサが機能停止しないよう、過剰な熱を迅速に取り除くために使われている。
同氏によると、これまでの放熱を測定する試みでは、プロセッサ上に配置された限られた数の熱センサーから静的に測定していた。新たなヒートシンクでは、さまざまなアプリケーションタスクによりプロセッサの負荷が変わった時に、プロセッサの複数のセクションの消費電力と放熱を測定できるという。
このアイデアは、IBMがヒートシンクにより収集したデータに基づいてモデルを構築し、そのデータを利用して、将来のプロセッサとプロセッサの負荷に応じて熱の変化を予測する冷却戦略を設計できるようにすることを目的としているとハンマン氏は説明した。同社はこれにより、電力の供給を変化させることもできる。
「すべての作業負荷について、固有の電力配分を行う」とハンマン氏。ヒートマップを作成しようとするこれまでの試みは、負荷の変化や冷却戦略を正確に反映していない時の断片的なデータを集めたものにすぎないと同氏は指摘した。
IBMの赤外線ヒートシンクを使えば、どのプロセッサに関してもリアルタイムの放熱マップを作成できるとハンマン氏。
一方のIntelは昨年デスクトッププロセッサのロードマップを突然変更、これは消費電力と放熱がPC市場においていかに重要になっているかを示している。同社は高速なPentium 4の開発を中止したが、もし開発を続けていれば、4GHz以上のクロックスピードによる過剰な放熱に対処するためにかなりの取り組みが必要になっただろう。
サーバ市場では従来、デスクトップほど消費電力は心配されていなかったが、IT管理者が電気代とデータセンターの冷却システム代の増加に悩まされる中で、状況は変わりつつある。
IntelのデュアルコアMontecito Itanium 2プロセッサは、集中的な浮動小数点演算が必要な、極端に負荷の高い作業向けに設計されている。同プロセッサは17億2000万個のトランジスタを集積し、省電力技術が実装されなければ消費電力は300ワットにもなっていただろうと、Intelは7日に披露した論文の中で述べている。
同社によると、Montecitoはクロックスピード2GHz以上で、消費電力は100ワット。従来のシングルコアItanium 2はもっとクロックスピードが低く、消費電力は130ワットだ。
Montecitoの消費電力が削減されたのは、Foxtonなどの技術のおかげ。Foxtonは以前に発表された電力管理機能で、アプリケーションの負荷に応じてプロセッサに流れる電力の量とクロックスピードを調節できる。Intelはまた、Montecitoの電力消費センサーを改良し、クロック周波数・電力調整技術を起動するために十分なデータをプロセッサに提供できるようにした。
Intelは2005年末に向けてMontecitoをItaniumサーバベンダーにリリースする予定だ。
Copyright(C) IDG Japan, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
「焼肉きんぐ」個人情報約1079万件が漏えい 公式アプリのシステムに不正アクセス ほぼ全会員分に相当
-
2
大和証券、22万件情報漏えいか 顧客約11万人の口座番号も
-
3
日経社員のGoogle Workspaceに不正ログイン 1646人分の個人情報漏えいか
-
4
大阪公立大、システム障害で1週間近く休講に 出願期間中で入試にも影響
-
5
ホワイトエッセンス、約105万アカウントの個人情報流出 8月発表の不正アクセス調査で判明
-
6
渋谷区でシステム障害、窓口業務を縮小 復旧の見通し立たず
-
7
韓国の銀行6行にサイバー攻撃 計2万5000人超の個人情報流出──AIエージェントを使った可能性も 現地報道
-
8
個人向けGeminiのモデル選択が厳格化 無料ユーザーが使えるのは「Flash-Lite」のみに
-
9
パチンコ店の入場抽選アプリ「777CON-PASS」に不正アクセス 行動エリアやプロフ写真など流出か
-
10
日本交通、不正アクセスで停止していた「電話でタクシー配車」再開へ 約3カ月ぶり
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR