「そして時は動き始めた」──そんな2005年だったかな(4/4 ページ)
前年を引き継ぎ、波に乗って/起こして力を発揮し始めた人や企業に注目が集まった2005年を振り返る。
何が“パクり”なのか――「のまネコ」騒動
いわゆる“パクり”騒動がネット上で盛り上がった。最大の騒動はやはり「のまネコ」だろう。エイベックスグループが販売する音楽CD「恋のマイアヒ」の映像に登場するキャラ「のまネコ」が2ちゃんねるの「モナー」に似ているとする指摘がメディアを通じて広く伝えられ、騒動に火がついた。
エイベックスは当初「『のまネコ』は、『モナー』などのアスキーアートにインスパイアされて映像化された」などとし、独自性を主張していたが、ネット上の批判はエスカレート。2ちゃんねる管理人のひろゆき氏が、エイベックス所属の浜崎あゆみさんのシンボルマークに似たキャラクター「のまタコ」の商品展開計画を発表するなど、ネットユーザーの攻勢は続いた。
結局エイベックスは、のまネコを使ったFlashアニメのCDへの収録を中止。商標登録出願も撤回したほか、のまネコのキャラクター使用料を受け取らないなどと決め、軍配はネットユーザーに上がった形だ。
ネットユーザーが“パクり”を見付けた例は他にもあった。文化庁の著作権関連のWebサイトに、Mac OS Xのアイコンにそっくりな画像が掲載されていたことがネットユーザーの指摘で発覚。文化庁は無断利用を認めてアップルコンピュータに謝罪した。2ちゃんねる上では、講談社の少女漫画に「スラムダンク」などと酷似したシーンが登場すると指摘があり、同社は盗用を認めて単行本の絶版・回収を決めた。
ブログのテレビ番組化続々 “炎上”も相次ぐ
一昨年からネットユーザー間で盛り上がっていたブログは今年一気に一般化。今年の新語・流行語大賞にもランクインし、“ブログの女王”真鍋かをりさんの人気がジャンプアップ。ブログは、芸能人の広報媒体としても普及した。「電車男」に続けとばかり人気ブログの書籍化が相次ぎ、ブログがきっかけで人気が拡大した「生協の白石さん」はベストセラーになった。
テレビ局も積極的にブログを活用し始めた。「実録 鬼嫁日記」はテレビドラマになり、「Yahoo!ブログ」でネタを募集する番組も始まった。
ブログの負の側面も顕在化した。自らのブログに不用意・不適切な書き込みをしたブロガーが読者から激しく批判され、個人情報などをさらされる“炎上”事件が相次いだ。コミケの飲食施設でアルバイトしていたスタッフがブログに「大量オタ きもい!」などと書いたことに対し、雇い主の企業が謝罪するという例もあった。
SNSはブログの“次”を狙えるか
SNS(ソーシャルネットワーキングサイト)がブログの“次”のサービスと目され、メディアに登場する機会も増えた。ターゲットを絞らない総合型SNSは、ユーザー数200万人を突破した「mixi」一強体勢が強固なものになってきた。
今年はゲームと融合したSNSや、アキバのオタク専用SNS、就職内定者や既存顧客囲い込み用SNSなど、mixiと直接競合しないニッチな分野でのSNS参入が相次いだ。総務省も地域コミュニティーをSNSで活性化させようという取り組みを始めた。
2007年末にはSNS利用者が1042万人まで増えるとする総務省の調査結果などを受け、SNSの市場性に期待する企業は増えている。しかしmixi以外で会員数が急増した例は少なく、ビジネスモデル構築も容易ではない。今年乱立したSNSを各社がどう維持し、収益化していくかが来年の課題だろう。
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