楽天の1Q、増収・経常減益 「経常利益率25%目指す」
楽天市場が好調だった楽天の1Qは、前年同期比2割の増収だったが、コストがかさんで経常減益となった。三木谷社長は「経常利益率25%を目指す」と意気込む。
楽天が5月15日に発表した2008年1〜3月期(1Q)連結決算は、楽天市場などが好調で売上高は前年同期比22.9%増。だが、証券事業の不振や、開発費・施設関連費がかさんだ影響で、経常利益は4%減った。
売上高は595億2200万円、営業利益は72億1300万円(16.9%増)、経常利益は69億9200万円、純利益は18億8900万円(12.8%減)。
同社の三木谷浩史社長は「ベンチャー時代よりコスト高になり肥大化している」と認識しており、今後はコスト削減に注力。都内に複数ある拠点を新オフィス「楽天タワー」に集約するなどし、1Qは11.7%だった売上高経常利益率を、12月までに単月で25%まで高めることを目指す。
楽天市場は「機能を付けすぎた」 費用対効果重視へ
主力のEC事業は増収減益。売上高は21.9%増の211億1300万円で、営業利益は9.4%減の40億3800万円だった。
楽天市場と楽天ブックスの流通総額が26.5%増の1520億円になるなど順調に伸びたが、台湾版の楽天市場や楽天市場の物流代行サービスといった新サービスの開発などにコストがかかった。
「EC事業ではこれまで矢継ぎ早にいろんな機能を付け加えてきたが、少しやりすぎたかなと感じている。売り上げを伸ばすために費用対効果を意識せずに開発してきたが、今後はそこを意識していく」
楽天市場では、特に携帯電話サイト経由の流通が好調。全体では、化粧品やコンタクトレンズなどがよく売れているという。台湾版の楽天市場も5月5日にオープン。15日時点での出店数は約300、会員数は約9万で、「日本版のレベルに追いつくようやっていきたい」と話した。
ドリコムなど通じて広告を強化
「Infoseek」「楽天リサーチ」などのポータルメディア事業は内部売上高が減少し、売上高は0.8%減の36億3600万円。開発関連費がかさみ、営業利益は74.2%減の5100万円となった。
今後は出資先のドリコムと行動ターゲティング広告を展開したり、プロヴィデンスから譲り受けた広告ネットワーク事業「ぴたっとマッチ」を活用して広告事業を強化する。
証券事業はサブプライム問題の影響を受け、売上高が20.2%減の63億2000万円、営業利益が36%減の8億6500万円にとどまった。楽天KCと楽天クレジットを合わせたクレジット・ペイメント事業の売上高は7.9%減の166億3600万円だった。
関連記事
- Yahoo!買収問題は「インターネットの将来性の高さの証明」──楽天・三木谷社長
「資金をかけて買収しようという会社が複数あるということは、それだけインターネットの将来性が高くみられているということでは」──Yahoo!買収問題について楽天の三木谷社長はこう評した。「ネット企業の株価は低すぎる」とも。 - 楽天市場、初の海外進出 台湾の流通大手と合弁
楽天は、台湾でセブン-イレブンなどを運営する流通大手・統一超商と組み、台湾版「楽天市場」を始める。 - 楽天の中間期、営業益3割減
楽天の中間期は営業利益が3割減。ECやトラベルが好調な一方、新興市場低迷の影響を受けた証券事業など、金融関連事業が低調だった。 - 楽天、ポータル・メディア部門は大幅減益
「楽天市場」を中心としたEC事業の業績は回復したが、ポータルサイト「Infoseek」やブログ「楽天ブログ」などを運営するポータル・メディア部門は大幅減益。クレジット事業では大幅な赤字を計上した。 - 楽天、好調な中間期決算──Amazon参入は“歓迎”
楽天の中間期決算はEC事業と証券事業を中心に好調。三木谷社長は、Amazonが計画中のショッピングモール参入を歓迎する余裕すら見せる。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.