シャボン玉や布もディスプレイに:ORF2009
「ORF2009」には変わった素材のディスプレイも。シャボン玉製ディスプレイや、熱で色が変わる布製ディスプレイが展示されていた。
ディスプレイ素材にシャボン玉や布を――慶応義塾大学湘南藤沢キャンパス(SFC)の研究成果を一般公開する「Open Research Forum 2009」(六本木アカデミーヒルズ40、11月24日まで)では、珍しい素材のディスプレイが目を引いていた。
シャボン玉を利用したディスプレイ「shaboned display」は、箱に敷き詰めた5個×5個のシャボン玉がふくらんだり割れたりすることで文字や記号を表現するディスプレイだ。筧康明研究室が開発した。
シャボン液を張った箱の中に、円柱状のスポンジを縦5個×横5個、計25個並べた。スポンジの表面にはシャボンの膜を張り、下から吹き出す空気で膜がふくらみシャボン玉を作る。1つのシャボンが1画素となる。
展示していたのは試作品。ランダムにシャボンがふくらんだり縮んだりしており、まだ文字などの表現はできていなかった。シャボンが透明なため見えづらいのも課題。今後は中に煙を入れて色を付け、見やすくするといったことも検討しているという。
ディスプレイが高画質化し、3Dテレビも実用化されるなど映像はどんどんリアルになっている。だが「3D映像などは本物のようだが触ることはできず、見えるだけで完結してしまう」と考え、触れて映像を変化させられるディスプレイの開発をスタート。伸縮でき、割ることもできるシャボン玉を素材に選んだ。
脇田玲研究室が展示したのは、布を使ったディスプレイ「Fabcell」。高さ約170センチ、幅約60センチの大型ディスプレイで、80×80ミリの布を5×12枚敷き詰めている。熱などで色が変わる布を利用しており、ZigBeeを使ってPCと接続、PCから布の色を変えられる。パーティションのようなデザインで、おしゃれな家具のようにも見える。
携帯電話やテレビ、ゲーム機など家庭内にディスプレイがあふれ、情報が増えていく中で、受信する情報があまりにも多いと受け手にとってストレスになるのでは――という発想から、ストレスにならないディスプレイの開発を検討。環境に溶け込みやすく、光らない情報発信媒体が作れないかと素材に布を利用した。
壁紙やカーペット、洋服などへの応用も検討している。服の柄をダウンロード販売し、気分に合わせて印象を変えるといった用途も考えているという。
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