宇宙を知る「宙博」開幕 宇宙服の試着や天文3Dシアターも
宇宙についての研究成果などを展示する「宙博」(ソラハク)が開幕した。天文地図が3Dで見られるシアターや宇宙服の試着ができるブースなどがあり、親子で楽しめる。
宇宙についての最新知識を楽しみながら知ることができる「宙博(ソラハク) 2009」が12月3日、東京国際フォーラム(東京・有楽町)で開幕した。宇宙航空研究開発機構(JAXA)などによる最先端の研究成果と環境エネルギー革命にスポットを当てた展示のほか、識者による関連講演も行う。6日まで。
宇宙服を着られるコーナーや、最新の天文地図を立体映像で見られるシアターのほか、開発中の惑星探査機の展示も。若田光一飛行士が自ら国際宇宙ステーション(ISS)でのミッションを紹介するイベント、地球観測や宇宙太陽光発電などの専門家を招いたセミナー、子どもや宇宙好きな大人のためレクチャーもあり、大人から子どもまで楽しめる構成になっている。
JAXAや国立天文台、高エネルギー加速器研究機構(高エネ研)などによる実行委員会(海部宣男委員長)が主催し、科学技術関連の広報などを手掛けるナノオプトメディア(藤原洋社長)が運営。今回を皮切りに毎年開催する予定だ。
宇宙服は重かった 3Dシアターで最新の天文地図も
会場中央では本物と同じグラスファイバー素材を使った宇宙服のレプリカを着ることができる。オレンジ色の船内服(予圧服)と、白い船外活動服の2種類を試着でき、子ども用もある。
予圧服も船外活動服もつなぎのような形。背中を開き、足を突っ込む形で着る。船外服を着る際は、ヘルメットをかぶり、生命維持装置の付いたバックパックも背負い、グローブや靴など一式すべてを身に付ける。
記者も着てみたが、保温性が高くかなり暑い。予圧服は余裕もあり動きやすかったが、船外活動服ではバックパックやヘルメットが重くヨロヨロとしてしまい、動くのが難しかった。本物はバックパックが80キロ、服が40キロあるが、レプリカは本物よりかなり軽く作られているそうだ。
国立天文台が開発した4次元デジタル宇宙ビューワ「Mitaka」を使った立体映像シアターも。最新の立体天文地図を、職員の解説とともにスクリーンに映し出す。地球を始点に映像が引いていき、太陽系や銀河、137億光年先の宇宙まで映し出す。スーパーコンピュータでシミュレーションした銀河の誕生・進化、銀河系の動きの映像も上映する。
逆さになっても落ちない超伝導コースター
高エネ研はノーベル賞のメダルレプリカや、宇宙線を見えるようにする「スパークチェンバー」などのほか、実験コーナーとして「超伝導コースター」で遊べるようになっている。
リニアモーターカーの原理と同じで、細いレールに永久磁石が敷いてあり、直径2センチ程度の超伝導体が付いた雪だるまやカメなどのフィギュアがその上を浮いたまま走る仕掛けになっている。
スタート地点で磁石にぐいぐいと押し付けてから手を離すと、コースターがレールに沿って滑っていく。レールはくねくねと曲がり、地面に対して垂直になったり、逆さになる部分もあるが、コースターはレールの上をふわふわと浮きながらも、コースアウトしたり、落ちることなくゴールまで滑っていく。
開発中の惑星探査ロボットも
開発中の惑星探査ロボットの実機も見られる。中央大学と明治大学、JAXAが共同で開発した「Micro6-02」は、遠隔操作でき、岩などの障害物を自動で避ける機能も備えている。
4本の足には金属製のタイヤが付いており、足の上の本体からは、採取などで使う1本のマニピュレータと長い首が伸びている。首には2台のカメラが搭載され、距離を測ったり、立体映像を撮影できる。
カメラから見える画像を元に障害物を自動で判定。移動先を設定すれば、障害物を避けたルートを計算して移動する。移動前に撮影した目的地の画像と現在地周辺の画像を比較し、自分の位置を推定することもできる。動力は太陽電池による発電だ。
戦車のようなキャタピラが付いた小型の探査ロボット「Omni-Crawler」(大阪大学)や、6本脚のクモのような形で、足場が悪い場所でも比較的自由に動ける「等方脚配置型探査ロボット」(JAXA)も展示している。
子ども向けの体験コーナーでは、星に詳しい「星のソムリエ」と一緒に星座早見盤と望遠鏡を作れる(実費が必要)。JAXAの金星探査機「あかつき」に搭載するプレートに印刷するメッセージを書けるコーナーも設けられている。
宙博は6日まで。開催時間は午前10時〜午後6時(最終日のみ午後5時閉場)。入場料は大人1500円、中高生1000円。保護者同伴で小学生以下は無料。
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