「iPhone 4」の評価は? アナリストはテレビ電話に注目
アナリストは新型iPhoneをおおむね好意的に評価しており、特にテレビ電話機能「FaceTime」の可能性に期待している。一方で、予想どおりで目新しい発表がなかったのが残念だという声も。
米Appleは6月7日、同社の開発者会議「2010 Worldwide Developers Conference(WWDC)」で新型iPhone「iPhone 4」を発表したが、既にこの数カ月間で新型iPhoneのプロトタイプとみられる端末が2台も流出していたこともあり、ほぼ予想されていたとおりの発表となった。ただし、この次世代スマートフォンのデザインやさまざまな機能は、イベントに参加したアナリストの多くをそれなりに印象づけることはできたようだ。
「iPhone 4はAppleが言うほど大きな飛躍ではないが、確かに非常に美しい端末だ。Appleのマインドシェアと市場シェア、両方の伸びを十分に維持できる、しっかりとしたアップグレードになっている」とForresterのアナリスト、チャールズ・ゴルビン氏は6月7日の調査ノートで述べている。「Appleと提携しているキャリア各社は、新規顧客の獲得よりも、アップグレードに伴う既存顧客の忠誠心の高まりによって、より多くの恩恵を受けることになるだろう。ただしAT&Tの新しいデータプランではファミリープランの追加も進むかもしれない」とさらに同氏は続けている。
また同氏は、とりわけ大衆市場にアピールする機能として、Wi-Fiを使ったテレビ電話機能「FaceTime」を挙げている。Appleのスティーブ・ジョブズCEOによると、この機能を3Gでも提供すべく、同社は目下キャリア各社と相談中という。
「FaceTimeのテレビ電話アプリにより、Appleは自社の得意とするところを披露できた。つまり、メインストリームの消費者が使いやすいような技術の開発だ。AppleがこのFaceTime機能を標準として業界に広めることができれば、1964年のニューヨーク万国博覧会で描かれた未来像の1つ、つまりテレビ電話がいよいよ現実のものとなるだろう」とゴルビン氏は指摘している。
そのほかのアナリストもFaceTimeの可能性に期待を寄せているようだ。
Apple Insiderなどのブログによると、Piper Jaffrayのアナリスト、ジーン・マンスター氏は6月7日付の調査ノートで次のように指摘している。「iPhone 4で特筆すべき機能は、ビデオチャットのFaceTimeだ。これまでPCにしばられてきた機能がまた1つ新たに携帯端末に追加された。さらにiPhone 4には、HD動画カメラ、動画編集アプリ『iMovie』のiPhone版、複数のアプリケーションを同時に実行できる機能なども追加されており、これまで複数の端末を必要としてきた体験をひとまとめに実行できるようになっている。iPhoneは今後、ほかのカテゴリの端末市場から販売台数と売上高のシェアを奪うことになるだろう」
一方、全体的に見てiPhone 4にはそれほど強い印象を受けなかったというアナリストもいるようだ。
Wall Street Journalによると、Macquarieのアナリストは「iPhone 4の発表は予想されていたとおりであり、ほかに目新しい発表が何もなかったのが幾分残念だ」とコメントしている。
iPhone 4の詳細に関しては、テレビ電話向けに前面にカメラがついている点や、バッテリーが大型化している点なども含め、今年4月にIT系ブログGIZMODOが分解して調べた、新型iPhoneのプロトタイプとみられる端末とほとんど同じだ。この端末は、北カリフォルニアのApple本社近くのバーに同社のエンジニアが置き忘れたもので、それを拾った人物から、その後、GIZMODOの親会社が買い取ったという。
そのほかの特徴としては、iPhone 4はApple製のA4プロセッサを採用しており、500万画素の背面カメラには裏面照射型センサーが搭載されている。WWDCのライブリポートによると、ジョブズ氏は6月7日の基調講演でこの新しいスマートフォンについて、「初代iPhoneからの最も大きな飛躍だ」と語り、さらに、「この製品は紛れもなく、われわれがこれまでに開発してきた中でも最も精密で最も美しい製品の1つだ」と続けたという。またiPhone 4向けのOSはこれまで「iPhone OS 4」と呼ばれていたが、今回、名称が「iOS4」に変更された。iOS4はマルチタスクに対応し、1500もの新しいAPIのほか、「iAd」などの新機能を備える。iAdは、サードパーティー製アプリケーションにモバイル広告を埋め込むためのプラットフォームだ。
大型化したバッテリーの駆動時間は、通話は7時間、音楽再生は40時間、動画再生は10時間、3GでWebを閲覧する場合は6時間、WiFiを利用する場合は10時間、待機時間は300時間という。またiPhone 4は3軸ジャイロスコープを搭載しており、正確な位置情報の把握が可能、さまざまなアプリでの活用が期待される。
iPhone 4の発売は6月24日。白と黒の2モデルが提供され、AT&Tと2年契約をした場合の価格は、16Gバイトモデルが199ドル、32Gバイトモデルは299ドルとなる。
関連記事
- AppleのジョブズCEO、基調講演で新型iPhoneを語る
Appleのスティーブ・ジョブズCEOは「iPhone 4」を「われわれの最も精密で最も美しい製品の1つ」と語るが、流出した試作機のニュースを知っている人には驚くべき発表はなかった。 - 「iPhone 4」発売は6月24日 「iOS 4」アップデートは21日から
iPhoneの新機種「iPhone 4」は日本などで6月24日発売。マルチタスクに対応した新OS「iOS 4」は6月21日に無料アップデートを開始する。 - iPhone 4でAndroidの引き離し狙うApple
- iPhone 4にあったらよかったもの
- 厚さ9.3ミリ、高精細ディスプレイ搭載の「iPhone 4」発表
Editorial items that were originally published in the U.S. Edition of “eWEEK” are the copyrighted property of Ziff Davis Enterprise Inc. Copyright (c) 2011. All Rights Reserved.