「あかつき」エンジン噴射中に回転 大きく姿勢を崩す
「あかつき」は金星周回軌道投入に向けたエンジン噴射中に大きく姿勢を崩し、1回転していたことが判明。原因を調査し、6年後の軌道再投入につなげる。
(※)JAXAは翌日の会見で、あかつきは360回転しておらず、最大の傾きは42度だったと訂正。傾いた時間も、エンジン噴射から2分23秒後ではなく2分32秒後だったと訂正した。
宇宙航空研究開発機構(JAXA)は12月8日夜、金星探査機「あかつき」が、金星周回軌道投入のためにエンジンを噴射した際に大きく姿勢を崩し、1回転していたことを明らかにした。原因を調査し、6年後の軌道再投入につなげる。会見の様子はニコニコ生放送で中継され、約2万人が視聴した。
あかつきの高利得アンテナ(32kbps)を使い、約28Mバイトのデータをダウンロード。姿勢系のデータを解析した結果を、中村正人プロジェクトマネージャが説明した。
あかつきは、減速して金星軌道に乗るため、軌道制御エンジンを12分間噴射する予定だったが、噴射開始から2分23秒後の約5秒間で機体が360度ぐるりと回転したことが判明。機体が異常を感知し、ほとんどの機能を停止させる「セーフホールドモード」に入ったという。
あかつきを何らかの強い衝撃が襲ったとみられるが、原因について中村プロジェクトマネージャは、「きちんとした解析を行った上でお伝えしたい」と明言を避けた。何かにぶつかったり、軌道制御エンジンに異常が起きた可能性もあり、今後、関連データを解析して詳しい原因を調べる。
燃料は「かなり残っているようだ」とみており、6年後、金星軌道に再投入を目指す気持ちは「変わらない」と話している。
会見では、ニコニコ生放送のスタッフが「ユーザーから、中村先生頑張れ、あかつき頑張れというコメントが多数寄せられています」と報告。中村プロジェクトマネージャが「ありがとうございます」と笑顔をみせるシーンもあった。
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