後発なのに大ヒット 携帯ブログ「DECOLOG」がつかんだ“女心”(3/3 ページ)
07年にスタートした携帯ブログ「DECOLOG」は、デコメ素材で簡単にページを装飾でき、エロい広告もゼロ。おしゃれさやかわいさを追求している点が若い女性に支持され、月間60億PVを稼ぎ出す。
現在のDECOLOGものぞいてみよう。ランチの感想に友達とのプリクラ、恋人のグチ――若い女性の日常をつづったブログが大半だ。他愛もない内容に思えるが、「みんなそれぞれにストーリーがある。毎日こんな生活でこんな風に頑張っているんだと知るうちにブログのファンになる」。
生活のすべてを全世界にテレビ中継されている男を描いた映画「トゥルーマン・ショー」のような面白さがDECOLOGにはあるとも語る。「ぱっと見て面白いかどうかは……」だが、「読み出すとクセになるんです。すごく共感したり、自分も頑張ろうと思ったりするんだと思います」。
「女の子はしゃべらないと死ぬんです(笑)」
DECOLOGがブレイクした後も成長を続けてこられた理由はどこにあるのか。光山社長は「女の子の生理的な欲求を満たしてあげているからだと思う」と自己分析する。
その工夫の1つが、ブログトップページにある「Comment」メニューだ。アクセスすると記事タイトルの一覧が並んでおり、そこから各ブログ記事に付いたコメントだけをチェックできる。DECOLOGではお互いのブログにコメントを残し合い、2つのブログのコメント欄をまたいで会話を楽しむユーザーが多いため、「Comment」メニューでコメントにアクセスしやすくしているのだ。
「女の子ってDNAによってしゃべり続けることを宿命づけられている気がしている。女の子はしゃべらないと死ぬんです(笑)。だから、コミュニケーションをとりやすい環境を用意しています」
ほかにもユーザーのさまざまな欲求に応えている。例えば、DECOLOG発のCD「そら」は「DECOLOGが中心となってチャリティー活動をしてほしい」というユーザーの要望を受けて制作したもの。DECOLOGのブロガーが歌っており、世界の恵まれない子どものために活動するNGOに売り上げを寄付している。
女性だけが参加できるフリーマーケット「ギャルマ!」もユーザーの要望を受けて始めた企画で、昨年4月に第1回目を開催。第2回目を昨年10月に京セラドーム大阪(大阪市)で開催した際には、入場するための行列が1周600メートルの会場を一回り半するほど人が集まり、盛り上がった。
「女の子を喜ばせることがDECOLOGで食べていくことにつながると思う」。光山社長はしみじみ語る。
男性の光山社長が若い女性の要望に気付けるのは、若い女性が利用する携帯ブログやプロフをたくさん見てきたからという。DECOLOGが流行っておらず、それほど忙しくなかったころ、「いろんな携帯ブログやプロフを見ていたら、女の子の悩みや流行り、絵文字に異常に詳しくなった」と振り返る。
雑誌も創刊 DECOLOGでよりリアルなソーシャルグラフを
DECOLOGブロガーの活躍する場は、チャリティー活動やフリーマーケット以外にも、どんどん広がっている。
テレビ東京系列で放送している情報番組「女子☆ブロ」には、DECOLOGで人気のブロガー11人が出演。流行りものを紹介したり、おしゃれについて語ったり、時には恋人を連れて出たり――と素顔を垣間見せる。DECOLOGで人気が出て、ファッション誌の読者モデルとして活動するようになったユーザーもいる。
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昨年11月には、DECOLOGブロガーを紹介する季刊誌「DECOLOG PAPER」を創刊した。雑誌はブログと違い、プロの手で編集され、誰でも載せてもらえるわけではない。DECOLOGブロガーにとって、雑誌は「ネットよりもステージが上」で「あこがれ」。「そんなステージを用意してあげたかった」と創刊のきっかけを話す。
約500人のファッションスナップ、インタビューや座談会の様子などを掲載しており、ページに付いているQRコードを読み取れば、それぞれのブログをチェックできる。男性イケメンブロガーやママブロガーだけを紹介する特集、職業別にブロガーを紹介するページも。ブロガーをアクセスランキングとは違った切り口で紹介する狙いだ。
雑誌の構想は以前からあったが、同社は雑誌を発行した経験がなく、編集プロダクションや取次にアイデアを持ちかけても当初は相手にされなかったという。DECOLOG PAPERを雑誌として書店やコンビニで広く流通させるために必要になる雑誌コードの取得もハードルが高かった。2年かかってようやく出版にこぎつけた。
次号では紹介するブロガーを100人程度に抑え、ひとりひとりを際立たせていく予定だ。「雑誌単体でも収益化していく」と意気込む。
これまで口コミがカギとなり「CGMの王道的な広がり」で成長してきたというDECOLOG。今後は、DECOLOGというネット上の場だけでなく、イベントのギャルマ、雑誌のDECOLOG PAPERを使って「よりリアルなソーシャルグラフを作っていく」ことが目標だ。
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