音楽を介して出会いやビジネスが生まれてほしい、これこそがクラブカルチャー!:コミュニティー運営の要諦(2/2 ページ)
オフラインでSNSのような場を作りたい――Webマガジンやラジオ番組、DJイベントなどを主催するカネコヒデシさんは、楽しい“場”を演出するコミュニティーリーダーだ。
音楽を介して、出会いやビジネスが生まれてほしい
カネコさんは実にマメな男である。
月に2回ラジオを放送し、オフラインのイベントを月1回行う。ほぼ毎日自身のWebマガジン『TYO magazine』を更新し、他の人が主催するイベントでもDJを行う。友人知人とはメール、TwitterやFacebookなどのSNSを駆使して連絡を取り合い、読み応えのあるメールマガジンを月に2回発行している。しかもこのメルマガ、10年近く続けているという。
「休もうと思ったことはないですね、これが生きる基本になってるから(笑)」とカネコさんは話す。「まずは続けることに意義があると思っていて。やはりマメなことは大事だし、続けるための努力も大事。そう思うんです」
連絡先を交換した人、全員に(許可を取った上で)メルマガを送る。そうやってつながり続けることで、いつかそこから“何か”が生まれ、違う展開になったりする。
メルマガの内容は、ファッションや音楽、アートに加え、政治問題も扱っており、その中には風刺的なこと、つまり”笑い”も必要だと考えているとのこと。「これらが渾然一体となったものがカルチャーなんです」とカネコさんは言う。
だが、文章には押しつけがましさがまったくない。「僕はこう感じたんだけど、あなたはどう思う? という提案が好きなのかもしれないです。自分の考えに対する、人の意見を聞くのが好きなんです。自分が良いと思った音楽を『これ良くない?』って紹介するみたいな感じですよ。自分だけの主張ではなくて、人にもそれについての考えを聞きたいんです。もちろん主張することも大事ですけれどね」
イベント『Japanese Soul!! ナイト』は最初のころはお客さんが少なかったそうだ。しかし、地道な情報発信やコミュニケーションのおかげもあって今では毎回大盛況、会場はいつもギューギュー詰めである。
「(会場の)BAR NIGHTFLYは、狭いところがいいんですよ。コミュニケーションが生まれやすくなるんです」とカネコさんは話す。「イベントは音楽がメインですが、キチンとコミュニケーションが取れる場所にしたいんです。いわゆるオフラインのSNSみたいな感じですね。音楽を介して人と人が知り合ったり、そこから新しいビジネスが生まれたり、はたまた恋したり……。それがクラブカルチャーですから」
日本の音楽を広めていくというプロジェクトは、この先、メディアが何になったとしてもずっと続けていきたいとカネコさんは話す。やめることや休むことはいつでもできるけど、いったんやめるとそのままなし崩しにダメになってしまう。
「日本人でいる限りは、続けたいですね」と、決めポーズでカネコさんは笑った。
カネコヒデシさんのコミュニティー運営のポイント
- 仲間を巻き込む ひとりではできないことも、仲間がいればムーブメントになる
- 人とつながり続ける つながっていれば、違う展開になることもある
- コミュニケーションは対話型 自分の主張だけではなく、人の考えも聞いてみる
- 続けること、続ける努力は大切
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