米航空宇宙局は9月25日、遠い宇宙をハッブル宇宙望遠鏡(HST)を使って鮮明にとらえた写真「eXtreme Deep Field」(XDF)を公開した。ごく狭い領域に5500の銀河が写っており、最も遠いものは132億光年の彼方にあるという。
NASA; ESA; G. Illingworth, D. Magee, and P. Oesch, University of California, Santa Cruz; R. Bouwens, Leiden University; and the HUDF09 Team
HSTで超深宇宙の姿を探る「Hubble Ultra Deep Field」プロジェクトで得られた10年間の写真を合成して作成。満月よりはるかに小さな領域を合計2万秒かけて撮影した2000枚の写真から得られた。われわれの天の川銀河と同様の渦巻き銀河や、赤方偏移で赤い点として写った遠い銀河などが確認できる。
撮影されたのは南天の「ろ座」の一角。地上からは目立ったものは観測できない領域だが、HSTのカメラは多数の銀河をとらえた。平凡な領域にもこうした多数の銀河が観測できる事実は、宇宙には特別な場所はなく、一様に広がっていることを示している。
宇宙が生まれたのは137億年前とされており、XDFに写った最も遠い銀河は、宇宙誕生からわずか5億年後の姿を示している。研究者はXDFについて「遠い過去へのタイムトンネルだ」とコメントしている。
関連記事
- ハッブル宇宙望遠鏡21周年、記念に「銀河のバラ」
ハッブル宇宙望遠鏡(HST)の打ち上げから21周年を記念した、バラのように輝く遠方の銀河の写真が公開された。 - 5億以上の星が写った“宇宙の地図”、NASAが公開
赤外線探査衛星による多数の写真を組み合わせた“宇宙の地図”をNASAが公開。拡大して見れば宇宙散歩気分を味わえる。 - 大型の太陽嵐が地球に接近 巨大太陽フレアの動画をNASAが公開
太陽表面で発生した巨大なフレアによる大型の太陽嵐が、日本時間3月8日午後3時〜午後7時ごろに地球に到達する見通しだ。 - 超高解像度な青い地球の写真、NASAが公開
NASAが打ち上げたばかりの観測衛星で撮影した最新の地球の写真。地上の地形や雲がはっきり分かる超高解像度だ。 - NASA、地球に接近する小惑星の画像公開
地球に接近中の小惑星「2005 YU55」の画像をNASAが公開。最接近時には月よりも近くなる。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.